こども食堂ってどんなところ?参加するために知っておきたいこと
こども食堂は全国で年々数を増やしていますが、その存在や特徴を知っている人はまだまだ少数です。これから利用したいと考えている人は、できるだけ多くの情報を知りたいでしょう。
ここで、こども食堂の特徴や利用した際のメリットやデメリットを紹介します。興味が出たらすぐに近くのこども食堂を検索して、一度利用してみてはいかがでしょうか。
こども食堂の目的はどんなこと?
こども食堂が最初に作られたのは、2012年に民間発の取り組みとして東京都大田区からと言われています。子供が一人でも来られる食堂を目指し、貧困で栄養バランスの整った食事が食べられない子供や、両親が働いており一人で食事を食べる子供に、無料もしくは低価格で食事を提供することが目的です。
こども食堂は、取り組みが始まると全国に広がり、今では各地にさまざまなスタイルのこども食堂ができています。こども食堂に参加資格はないので、あなたの子供もすぐに利用できます。
こども食堂を知るための特徴10選
こども食堂をこれから利用してみたい、またはボランティアに興味があるという人に、代表的な特徴を10個紹介します。ただし、こども食堂の前提として個人や賛同機関が運営している慈善事業なので、サービス内容には大きな差があります。
だいたいの特徴を把握したら、お住いの地域にあるこども食堂について詳しく調べる必要があります。その前に、まずはどんな施設なのかを見ておきましょう。
1.全国で約2300ヶ所以上のこども食堂がある
こども食堂は年々増えており、確認されているだけで現在2300か所以上あります。今後も、さまざまな個人や団体がこども食堂を開催し、増えていくことが予想されます。
食を通じて子供が安心して過ごせる場所が増えることや、地域の交流の場が増えることは、子育てする私たちにとってありがたいことです。
2.貧困家庭や孤食の子供に食事を提供する
2008年頃から、貧困家庭について取り沙汰されるようになりました。食費を満足に使えない家庭では、栄養バランスを考えた食事を作るのが難しく、中には満足に食事を食べられずお腹を空かせて学校に行く子供もいます。
また、両親共働き世帯も一般的になり、夕食をひとりで食べる子供=孤食も増えています。そんな貧困や孤食で寂しい思いをしている子供たちに、2010年頃から無償もしくは低価格で栄養バランスを考えた食事を提供するのが「こども食堂」です。
本来、成長期の食事はとても大切なものですが、家庭の事情で理想的な食事を食べさせることができない家庭があり、そんな子供をひとりでも減らそうという趣旨で運営されています。
3.調理をするのは地域のボランティアが中心
こども食堂は、子供の食事は基本的に無償もしくは低価格で提供されます。その仕組みを支えているのは、無償で調理を担当するボランティアの存在です。ボランティアはここ数年SNSで募集されることも多く、参加する人も年々増加しています。
「自分に何かできるだろうか」と少しでも思ったら、ボランティアとして参加してみるのもこども食堂の事情を知るいいキッカケになります。子供にこども食堂を利用させようと思う場合は、運営が賛同機関や個人であり、調理はボランティアだということを理解して、過剰なサービスを期待しないよう注意しなくてはいけません。
無償で料理を食べられる施設の中には、子供にお手伝いをさせる所もあります。子供はお手伝いを通じて料理や家事の練習ができるので、結果的には子供の成長につながります。こども食堂は、通常の食堂とは違うということを理解しておかなくてはいけません。
5.食材や運営費は寄付で賄われている
こども食堂の調理がボランティアで賄っているように、食材も寄付に頼っている施設がほとんどです。寄付金を使ってスーパーで購入する場合もありますが、大半は農家で出た流通できない傷物や、形が整っていないものを提供してもらうことが多いです。
中には家庭菜園で作った野菜の提供や、お寺のお供え物を提供してくれる施設もあり、個人の善意で運営されているのが分かります。
5.オシャレなカフェや和める憩いの場という雰囲気
こども食堂が貧困の子供や、孤食で寂しい思いをしている子供を対象にしているというと、少々暗いイメージがありますが、施設はとても明るいところが多く、中にはカフェのようなオシャレな場所を利用している施設もあります。
どんな家庭の子供でも行きやすいように、明るく和やかな雰囲気で遊び場や勉強スペースなどを併設している所もあるので、子供は伸び伸びと過ごすことができます。以前テレビでこども食堂をリフォームするという企画がありましたが、その施設も遊びスペースの充実を願ってのことでした。
特別な雰囲気や堅苦しい雰囲気では、子供たちはなかなか一人で入ることができません。そんな心配がないよう、どこの施設も入りやすい雰囲気になるよう工夫されています。
6.地域の交流の場になっている
こども食堂は、貧困家庭でなくても利用することができます。保護者同伴で参加する家庭もあり、ボランティアや他のママとの交流を楽しみ、ストレス発散をしている人も多いのです。
保護者が参加する場合は食事の料金が少し高くなりますが、子供と一緒に安心して楽しく食事ができる環境は、親にとってありがたいものです。
7.現時点では貧困家庭が利用できていないケースが多い
こども食堂を利用するには、住んでいる地域で開催されている場所を探さなくてはいけません。実際、貧困で悩んでいる家庭やネグレクトなどで子供が満足に食事を食べられない状況の家庭では、こども食堂の存在すら知らない家庭が多いです。
また、貧困家庭に向けて開催されていると言われると、本当に貧困に悩んでいる家庭が参加し辛いという問題もあります。他にも、親は高級ブランドの服を着ていても、子供の食事には無頓着というケースもあり、本当に食堂を必要としている子供を見極めるのが難しいという点も問題です。
こうした問題は今後のこども食堂の課題のひとつであり、認知度を上げる取り組みや地域で支える仕組み作りを強化することが必要です。
8.毎日ではなく決まった日時に開催される
こども食堂は毎日開催されているわけではなく、多くの場所では月に1~2回開催しています。開催している曜日もそれぞれの場所で違い、平日の夜の所もあれば日曜日に開催しているこども食堂もあります。
他にも、夏休みや冬休みといった長期休暇のみ開催している施設もあるので、参加したい場合は地域のこども食堂について調べてみましょう。
10.難しい運営の中で努力している
こども食堂の運営で、食材が寄付、調理はボランティアとなると、どんな食材が届くのか何人調理できるのか、直前まで分からないことが多々あります。こうした問題は、実際にこども食堂を運営する人にとってかなり厳しい問題です。安定的に寄付やボランティアを確保できなければ、運営は難しくなります。
実際に、どんなに子供に安心できる場所と美味しい料理を提供しようとスタートさせても、人材や食材不足などで閉店してしまうこども食堂もあります。こうした問題が起きないよう、地域で存在を知って理解した上で、できる範囲で応援する人が増えることが必要です。
東京都ではこども食堂から派生した宅食のサービスもスタート
こども食堂は、実際に貧困している家庭や一人で食事をする子供が、食堂に行けないという問題があります。そこで、LINEを使った宅食サービスをスタートした施設があります。
本当に貧困している家庭は、わざわざ交通費をかけて出かけることが難しい場合もありますし、親が仕事で連れていけないケースもあります。そんな家庭では、自宅まで食材や加工した食品を届けてくれる宅食はかなりありがたいサービスで、実際に好評を得ています。今後は、こうした取り組みも増えていくことが予想されます。
こども食堂は、さまざまな工夫で子供たちに食事を提供できるよう努力しています。子育てしやすい環境ができることは、私たち親にとってありがたいことです。利用するだけでなく、余裕ができればボランティアとして参加することも大切です。
こども食堂のメリットとデメリット
これからこども食堂を利用する場合、考えられるメリットとデメリットは何でしょうか。体験談を交えて見ておきましょう。
子供食堂のメリット
こども食堂を利用するメリットには、次のようなものがあります。子供だけ参加した場合でも、じゅうぶんなメリットがありますが、ママも一緒に参加することで他のメリットも得られます。地元のボランティアや食堂を利用している子供のママとの出会いは、あなたの子育てに良い影響を与えてくれます。
こども食堂を利用するメリット
- 無料、低料金で食事できる
- 安心できる環境で過ごす場所ができる
- 孤食の子供は寂しさを感じず食事できる
- 地域の人たちと交流できる
- 同じ年代のママと出会える
ワーキンマザー家庭が子供食堂を利用した体験を教えてくれました。自宅でのお手伝いの習慣もつき、助かっていると語ってくれました。
お手伝いがありがたい
Y.I(30代前半)
残業が多くなる時期にこども食堂が開催されるときには、子供を一人で参加させています。食事をみんなで食べられることが楽しいようですし、安心して過ごせる場所があるのが親としては嬉しいです。
参加している食堂では、お手伝いをするのが決まりなのですが、そのおかげで自宅でもお皿を片付ける習慣が付きました。本当に助かっています。
仕事で帰宅が遅くなるとき、子供が安心して過ごせる場所があるのはありがたいです。仕事が終わって食事を作るとなると、栄養バランスまで考えて作ることが難しくなるので、栄養バランスを考えて提供してくれる食堂で食事をすることは、子供にとって大きなメリットになります。
子供食堂のデメリット
こども食堂にはデメリットもあります。次のようなことは、利用する際デメリットになることがあるので理解しておきましょう。
こども食堂のデメリット
- 開催が毎日ではない
- 本当に貧困している家庭の子供は利用し辛いケースがある
- 継続が難しく閉鎖することもある
- 意図していない参加者もいる
運営している施設で違いますが、毎日開催しているこども食堂はなく、週に1度のところもあれば一か月に1度の開催のところもあるので、どんなに貧困で困っていても毎日子供に食事をさせることはできません。
また、本当に貧困で困っている家庭は情報収集できず、こども食堂の存在を知らないケースも多いですし、知っていても貧困だとバレるのが嫌だという理由で参加し辛いということもあります。
金銭面で困っていない家庭でも「安く食事ができる」という節約目的で参加する、意図しない参加者もいるということも、利用者や施設によってはデメリットになる場合もあります。こども食堂に関する体験談も参考にしてみてください。
貧困家庭の子供が来ているのか疑問
A.H(40代前半)
近所にあるこども食堂に行ってみましたが、明るい雰囲気でとても居心地のいい環境でした。しかし、その場に貧困家庭や、ネグレクトされている子供が来ているのかは正直疑問でした。
みんな元気で天真爛漫な子供たちばかりで、困っているから来ているというより、楽しいから来ているという感じでした。かといって、暗い雰囲気では他の子供たちも利用し辛いので、難しい問題だとおもいます。
確かに貧困家庭や孤食の子供だけが参加する食堂には、人が集まらず開催する意味がなくなってしまいます。しかし、貧困ではない子供ばかりが参加していると、本当に困っている家庭の子供は参加し辛くなります。このデメリットは、今後のこども食堂の課題と言えそうです。
こども食堂は今後ますます注目されること間違いなし
高齢化社会を迎える日本では、若者が働き高齢者を支えるという構図になることは現時点では避けられない事実です。社会を担う子供に健康的な食事を提供するこども食堂は、今後も期待されている慈善事業であることは間違いありません。
今以上にこども食堂の認知度を上げることで、高齢者のボランティア参加が増え、親が安心して働ける環境が整えば、少子化に歯止めがかかることも考えられます。私たち親世代もこうした取り組みを把握して、協力できる範囲でサポートすることで、子供が伸び伸びと育つ環境ができていきます。
現在、子供の参加を検討しているママは、思い切って一度こども食堂を利用してみましょう。参加者が増えることも、この取り組みを盛り上げる方法のひとつです!