2歳児の食事の特徴
2歳を迎えた子供は、徐々に自我が芽生えだし、自己主張がはっきりしだすことで、イヤイヤ期とも呼ばれます。それは、食事のときでも同様に、イヤイヤが出てきてしまうようになります。そんなイヤイヤ期を迎えた2歳の食事には、次のようなことが特徴として挙げられます。
- 離乳食を卒業して幼児食になる
- スプーンやフォークを使って食べることができる
- 好き嫌いの主張が激しくなり食べないこともある
- 遊び食べや食べムラ・ダラダラ食べをする
- 手で食べようとする
- 食器をたたいたりご飯をひっくり返したりする
自分のしたいことを、ママに一生懸命アピールするこの時期は、やりたいこととやりたくないことが行動にはっきり表れます。自己主張が激しく、また、好奇心旺盛な時期でもある2歳の食事は、とっても大変なものです。
嫌いなものは食べてくれない、食べ物や食器を叩いたり投げたりしだして、テーブルはぐちゃぐちゃ。いろいろなものを触って確認する時期でもあるので、食事も直接手で触ったりするようになり、毎日食事のたびに、ママもかなりのパワーを使ってしまいます。
イヤイヤ期にご飯を食べてくれない原因
イヤイヤ期の子供は、なかなか食事を食べてくれずに困ってしまうことも多いのではないでしょうか。子供が食べてくれない原因には、次のようなことが挙げられます。
お腹がすいていない
単純にお腹がすいていないだけのときがあります。離乳食が終わり、幼児食になり始めた頃の未発達の消化器官では、まだ消化が追いつきません。
離乳食や幼児食は、母乳やミルクのように消化が早くないため、食事の時間があかないと、なかなかお腹がすかないものです。また、間食におやつを食べすぎることも、お腹がすかない原因となります。
イヤイヤ期の始まった子供は、気分で「食べたくない」ということもありますので、無理に食べさせるのではなく、お腹がすいて、自分から食べるまで様子をみてみましょう。
パパやママが見てくれない
子供は自分のことを見てほしいものです。食事のときに、ついパパとママだけで話していて、自分のことを注目できていないと、子供の食欲が落ちてしまうことがあります。
子供と一緒の食事のときは、子供に話しかけ、家族で会話するようにし、食事中は、皆で話せて楽しい時間だということを教えてあげましょう。
体調不良や眠気がある
体調不良で食事を食べないことは、食欲もでないため仕方がないことですので、無理に食べさせるのではなく、ヨーグルトやプリンなど、食べやすいものを与え、体調を整えることを優先しましょう。
お昼寝をしていない時や、いつもより遊びすぎて疲れている場合は、食欲より眠気の方が勝ってしまい、食事を食べないことがあります。いったん寝かせ、様子を見て食べさせてあげましょう。
見たことのない料理がある
子供は好奇心旺盛ながらも、食事に関しては警戒心が強く、見慣れないものはなかなか手が進まないことがあります。見慣れた料理には警戒心を持たないので、定期的に作ることで子供も慣れ、安心して食べられるようになるのです。
見慣れた定番料理の中で、味付けは変えずに材料を少し変えるなど、工夫すると食べられる食材も増えるようになり、食わず嫌いや好き嫌いを防ぐことができます。
子供が食事を食べてくれないときの対策
子供が、なかなか食べてくれない・好き嫌いが激しいときの対策には、以下のようなことがありますので参考にしてみてください。
自分で食べられるようにする
2歳の子供は好奇心旺盛で、なんでも自分でやりたがかります。それは食事でも同じです。自分で触って確認し、自らの力で食べることで、食事に興味を持ってくれるようになります。自分で食べられるようにするための工夫としては、次のようなことがあります。
- 食べやすいサイズに小さく切る
- 手づかみできるメニューにする
- ママが食べさせないようにする
食材を小さく切ることで、子供だけでもフォークやスプーンを使って食べることが出来るようになります。また、手づかみできる料理なら、触りながら食べられるので、子供も楽しく食べることができます。
子供が食べにくそうにしていると、ママが食べるのをお手伝いしてしまうことがありますが、思い切って子供の力だけで食べさせるようにしてみましょう。
盛り付けや食器で子供の目をひく
子供の好きなキャラクターがついているものや、カラフルな食器などを使用して子供の目を引いてみましょう。盛り付けも好きな動物の形や、かわいくしたり、大皿に盛って自分で取り分けさせたりするなど工夫することで、食事を楽しみ、興味を持ってくれるようになります。
子供が食べきれる量を盛る
料理を盛り付けるときは、子供にとって少なめに盛ってあげましょう。完食できる量を盛ることで、子供も全部食べきることができ、達成感を得ることができます。
食べきったらたくさん褒めてあげ、お代わりをしたらさらにほめます。褒められると、子供は喜び、食べる意欲にもつながります。
料理に興味をもってもらう
食べることや料理にに興味を持ったもらうと、食べてみようとする気持ちが起こります。そのために、次のようなことがおすすめです。
- 一緒に料理をする
- 野菜を育てる
- お手伝いをしてもらう
子供と一緒に料理をしたり、庭やベランダで野菜を育て、自分で収穫することで料理への思いがでて、喜んで食べてくれるようになります。
また、おはしやスプーン、フォークを運んでもらったり、テーブルを拭いてもらうなど、2歳児でもできるお手伝いをしてもらいましょう。お手伝いできたらたくさんほめてあげます。
食事の準備のお手伝いをすることで、これからごはんの時間だということが分かり、気持ちを切り替えるきっかけにもなります。
ママがおいしそうに食べているのを見せる
子供はママの真似をするものです。また、大人がおいしそうに食べることで、食事への興味もわいてきますので、ママが笑顔でおいしそうに食べ、笑顔で話しかけることで、食事が楽しくなるものです。
2歳児に食事をさせるときの注意点
子供が食事をしないときは、しばらく放っておいて様子をみましょう。子供は、目の前の、興味のあることが最優先なので、食事を食べてくれないことも珍しくありません。
お腹がすいたら、自分から食べたがるようになります。子供は、大人のように食事が大事という感覚がありませんし、食事を三食摂るという概念もありません。生活のリズムを整えて、食事を三食摂るようにしていくことが必要です。
無理に食べさせない
食事を食べないからといって、怒って無理に食べさせたりすると、子供にとって食事がストレスになってしまうものです。食べる量や内容ではなく、食べられることを優先し、子供が食事を楽しめるようにしましょう。
先にテーブルについているパパママが楽しそうにしているのを見せ、興味をひくのもいいでしょう。絶対に、食べないことに対して怒ってはいけません。
食べ過ぎに注意する
食べてくれない子がいる一方で、食べ過ぎてしまう子供もいます。2歳前後は成長のために、多くのカロリーを消費します。食事のバランスがよく、体格や成長が正常であれば、食べすぎは問題ありません。
ただ、毎食あまりにも食欲がありすぎると、肥満になってしまうのでは?と心配なママもいるでしょう。子供が食べすぎてしまう原因には次のようなことがありますが、肥満の兆候が現れる場合や、倦怠感やむくみ・活発に動けていないなど体調に変化が現れるようなら、一度、小児科に相談することをおすすめします。
- お腹がすきすぎている
- 食事が柔らかすぎる
- いつまでも食べている
食事量が足りない時や、時間が空きすぎているときなど、お腹がすきすぎると食べすぎにつながります。おやつを小さいおにぎりにするなど、内容や時間を変えて、食事までにお腹がすきすぎないようにしましょう。
食事が柔らかすぎると、食べやすく、あまり噛まずに食べてしまうので、満腹感を感じづらくなります。一品だけでもよく噛まなければいけにメニューを加えるようにしましょう。
また、大皿から取り分けて食べるのは実際に食べた量がわかりにくいので、予め個別に取り分けましょう。食事も、いつまでもダラダラ食べるのではなく、時間を決めて食べたら、「ごちそうさま」で締める習慣をつけるようにしましょう。
2歳児が1日に必要なカロリーの目安
2歳の子供に必要とされている1日のカロリーは、男の子が950Kcal、女の子は900Kcalです。(注1)大人の女性の1日の摂取カロリーが約2,000Kcalなので、子供はママの半分くらいの量が目安です。
これを朝・昼・夜の1日3回の食事と、不足分を1日1~2回のおやつで補給するようにしますが、2歳前後の子供は食べムラや好き嫌いが激しいので、1日のカロリーや栄養をきっちり摂ろうと思っても、なかなか難しく、ママも大変になってしまいます。
食事をたくさん食べる子や、なかなか食べてくれない子など個人差もありますので、毎食ごとに「食べさせないと」とピリピリするのではなく、1日や1週間で、上手にバランスがとれていれば問題ありません。まずは、子供が楽しく、積極的に食事がとれることを大事にしましょう。
子供に注意が必要な食べ物
2歳の食事は、まだ離乳食の延長でもあるため、大人と同じ食事をいきなり食べられるわけではありません。消化器官や歯の発達がまだ途中であるため、食事には注意が必要です。
また、子供に与えるときに注意が必要な食材が多くあります。2歳の子供が食べるときに、注意が必要なものには以下のようなものがあります。
塩分が多いもの
いくら、たらこ、漬物、インスタント麺などの塩分の多いものは、腎臓に負担がかかってしまいます。たらこは、加熱したものを少量与えるようにし、生のたらこや明太子は与えないようにしましょう。また、インスタント麺も塩分だけではなく、添加物も多いので、できれば与えない方がいいでしょう。
噛みにくいもの
歯の生え方が未熟で、消化器官も発達していない時期なので、タコやいかげそ、貝類などの噛みにくいものは、丸呑みして喉に詰まらせたり、消化に負担がかかる恐れがあります。
歯固めの代わりにスルメを与えるママもいますが、千切れて丸呑みしてしまうこともありますのでやめましょう。
アレルギーの心配があるもの
2歳前後は、アレルギーが出やすい時期でもありますので、そばや生卵を与える場合は、少量から食べさせるようにします。
そばや生卵だけではなく、初めて食べさせる食材を使っている場合は、万が一のため、できるだけ病院が開いている時間帯に与えるようにしましょう。
消化の負担になるもの
ベーコンやお肉の脂身などは、消化器官が未発達の子供には負担があります。ベーコンは脂肪分だけではなく、塩分も多いので、注意が必要です。ベーコンは熱を通して余分な脂を落とし、お肉は赤身の部分を食べさせるようにしましょう。
刺激が強いもの
生のネギやキムチ、大人が食べるカレーなど、香辛料を多く使用しているものや、刺激が強い食材は、5歳くらいから徐々に始めるようにしましょう。レモンや酢は、料理に少量混ぜる程度なら問題ありません。
誤嚥の恐れがあるもの
豆類やキャンディー型チーズ、ミニトマトなどは、誤って気管内に入ってしまう可能性があるため、食べさせるときには注意が必要です。
楽しく食事をするのは大切ですが、口に食べ物が入っているときにお喋りしていると誤嚥の原因にもなりますので、食べ物を飲み込んでからお話するように教えてあげましょう。
その他その他注意が必要な食べ物
刺身などの生ものは控え、食べさせる場合はできるだけ加熱するようにし、3歳くらいから、食事に少しずつ取り入れることをおすすめします。
また、ハチミツは1歳から食べさせてもいいとされていますが、子供の成長の度合いに合わせ、注意して与えることが必要です。
2歳の子供の食事に関する5つのポイント
2歳の子供に、大人と同じようにしっかりと食事をしなさいと言っても無理があります。でも、食べるときにはちゃんと食べてほしいと思うのも親心です。
ちゃんと食事に向き合えるようにするために、子供と食事をするときのポイントを紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
1.マナーを少しずつ教える
食事のマナーを少しずつ教えてきましょう。「いただきます」「ごちそうさま」と、両手を合わせることをするなどの、簡単なことから始めていきましょう。
最初はほとんどの子供ができないものですが、ママがお手本となってゆっくり教えていくようにしてください。また、子供は大人の様子を見ているものなので、パパとママも、食事のマナーには気を付けるようにしましょう。
ただ、マナーを教えるからといって神経質にならないようにしましょう。成長期の子供は、自分で積極的に食べられるようになることが大事です。
食べる度にママに怖い顔をされてしまうと、食事自体を嫌いになってしまいます。食事を楽しむことを優先して、マナーをできる範囲で教えるようにしましょう。
2.食事の環境づくりを心がける
子供が食事に集中できるようにしましょう。テレビを消し、おもちゃも見えないところに隠して、気が散らないようにします。
食事時間も30分ほどで切り上げるようにしましょう。食事の時間が長いと、子供の集中力も切れてしまうだけではなく、満腹中枢が刺激され、少しの量でお腹がいっぱいになり、ダラダラ食べや遊び食べになってしまいます。
3.お菓子を与えすぎない
食前にお菓子を与えすぎると、食事が入らなくなります。子供は、自分が食べてもいい量が分からないものです。おいしいお菓子をもらえれば、食事前でも好きなだけ食べてしまいますので、ママが調整してあげることが大事です。
また、甘いおやつは腹持ちもよく、食事に影響してしまいますので、おやつ選びには気を配りましょう。あくまでも、おやつは栄養の補助的に与えるようにし、メインの栄養は食事で摂るようにしましょう。
4.薄味で栄養バランスよく
消化器官が発達途中の子供にとって、塩分が多いものは腎臓に負担がかかってしまいます。塩分や糖分は控えめにしましょう。濃い味の食事に慣れてしまうと、薄味のものを味気なく感じてしまい、食べなくなってしまいます。
また、栄養バランスよく、いろいろな食材を取り入れるようにすることで、子供が成長してからの偏食も少なくなります。
5.家族そろって食べる
家族みんなで一緒に楽しく食事をすることが、何より大事です。ママとパパが笑顔で、おいしそうに一緒に食べれば、子供も食事が楽しくなり、進んで食べてくれるようになります。
子供の食事づくりのコツ
子供の食事を作る時、栄養バランスを考えて、食材をたくさん入れて、彩りも…となると、毎食の食事作りも一苦労ですので、子供の食事作りのコツとして、以下のことを参考にしてみましょう。
- 基本は主食・主菜・副菜・汁物
- 子供の分だけ別メニューにしない
- 定番メニューを作る
毎食の主菜(メイン)だけで頑張ろうとせずに、ごはんとみそ汁といった主食と汁物をひと工夫するだけで、食卓がにぎやかになり栄養価もアップします。
混ぜご飯にしたり、おにぎりの形を変えたり、みそ汁の具材をゴロゴロ入れるだけでも、印象が華やかになります。
また、子供用に別で作るのは手間もかかるし、別メニューにしてしまうと子供も寂しくなってしまいます。ママ・パパが食べる食事のバランスを整えて、子供も同じもので形を変えたり、盛り付けを工夫するなどして、一緒に楽しく食べられるようにしましょう。ハンバーグを子供の分だけハートにしたり、ウサギの形にするだけで、子供は大喜びします。
新しいメニューや食材を取り入れることも大事ですが、安定の定番メニューを持つようにもしましょう。子供は食べなれた定番のメニューが落ち着くので好きです。子供の好きな定番メニューを持つことで、困ったときは定番!というように献立作りも楽になります。
子供が楽しめる食事にする
しっかり食べてもらえない時も、毎食きっちりしないと…と焦るのではなく、まずは、子供が楽しく食べることを第一に考えましょう。ママが笑顔で食卓に向かことで、子供も楽しく食事ができるものです。
2歳の子供は自我が芽生えたイヤイヤ期でもあり、自己主張から好き嫌いが激しく、食事を食べてくれなかったりするものです。そんなイヤイヤ期に、子供とどう接していいのか頭を悩ませているママは、イヤイヤ期の接し方8つ!を参考にして、楽しい食卓にできるよう、工夫してみましょう。
参考文献