「産後ドゥーラ」とは?産前産後のママをケアするスペシャリスト
産後ドゥーラという言葉を聞いたことはありますか?「ドゥーラ」はギリシャ語で経験豊かな女性という意味で、「産後ドゥーラ」とは産後のママを家事や育児でサポートしてくれるサービスのことです。日本ではまだ浸透しきれていませんが、今後必要性の高まる分野であることは間違いありません。
産後ドゥーラは、産後のママの自宅を訪問し、赤ちゃんのお世話のお手伝いやアドバイス、ママができない家事の代行をしてくれます。シッターやヘルパーとは違い、決まった作業のみを行うのではなく、ママの悩み相談から上の子のお弁当作りまで幅広いサポートをしてくれます。
2人目育児をするときこそ、産後ドゥーラを頼ってみませんか?ドゥーラが活躍することで、ママは安心して赤ちゃんのお世話ができるようになりますし、産後うつや児童虐待の防止などにつながると期待されています。そんな産後ドゥーラの仕事や、依頼するメリットとデメリットをまとめました。
産後ドゥーラの仕事内容や受けられるサービス9つ
産後ドゥーラは、第二子以降の産後にこそ頼って欲しい存在です。「産後のお手伝い」と言われると、第一子を生んだママに対するサービスと思われがちですが、第一子のときは赤ちゃんのお世話に集中できたママも、上の子がいると他にもしなくてはいけないことがたくさん出てきます。
赤ちゃんのお世話と並行して上の子のお世話をすることは、ママには大きな負担になります。近くに両親など頼れる人がいないママや、パパが育児に参加できないワンオペ育児状態のママにとって、ひとりで複数の子供の育児をすることはとても大変です。
無理をすると、夫婦関係が悪くなったり子供にきつくあたって心を痛めたり、ひどい場合には産後うつや疲労で体を壊すことにつながることもあります。そんなママをサポートしてくれるのが産後ドゥーラです。ドゥーラの代表的な仕事の内容を9つ見てみましょう。
1.希望するドゥーラを自由に選べる
産後ドゥーラを利用したい場合は、ホームページでドゥーラのプロフィールを見て、どんなスキルを持っているのか、1時間の利用料金はいくらなのか、依頼したい時間に対応可能か、写真の雰囲気はどうか、といったことをママがチェックして依頼するかどうか決められます。
場所によっては、実際に会って依頼するかどうか決めることもできますし、事前にサポート内容を面談でプランニングしてくれる所もあります。あなたが安心できるサービスを活用しましょう。
2.依頼したいときだけ単発での利用も可能
産後ドゥーラに依頼するのは1回だけの単発でも可能です。利用する際には、機関に出向いて入会手続きをしたり、特別な書類を提出したりする必要はありません。産前産後のママは忙しさや倦怠感もあり、身軽に出かけることができないので、面倒な手続きがないのは助かります。
ただ、住んでいる地域に希望するサービスを行ってくれるドゥーラがいるかどうかは分かりません。産後依頼を検討しているなら、産前にしっかり調べておくと安心です。
3.子育てに関するアドバイスを受けられる
産後ドゥーラは育児に対する知識が豊富で、育児に関するさまざまな疑問や不安を相談すると、適切なアドバイスをしてくれます。相談例には以下のようなことがあります。
ドゥーラへの育児相談例
- 自宅での沐浴の仕方やコツの指導
- 母乳マッサージの方法や授乳に関する疑問
- 赤ちゃんに合った寝かしつけの方法
- 赤ちゃんや子供の言動に関する相談
- 上の子への接し方や育児法のアドバイス
- ママの心のケア
他にも、育児に関することならどんなことでも相談できます。内容によっては、両親や友達には相談できないこともありますが、第三者の専門家である産後ドゥーラには気軽に相談できるのも助かります。何より、悩んだら相談できる相手がいるという存在だけでも、ママにとっては心強いものです。
4.家族やママの食事作りや家事のお手伝い
産後のママの多くが経験していることですが、赤ちゃんがいるとトイレにもゆっくり行けない日があります。そんな状況で、掃除や料理をしている時間はありませんし、無理してやろうとするとストレスになります。そんなときは、産後ドゥーラが料理や家事を代行してくれます。
どうしても上の子のご飯を自分で作りたい場合は、ママが料理をしている間だけドゥーラに赤ちゃんを見てもらうことも可能です。こうした面は、家事代行業やヘルパーさんにはお願いできないことなので、ママにとってはありがたいことです。
私が第二子を出産したとき、上の子はやたらと「お母さんが作った〇〇が食べたい」と言うようになりました。上の子は、私にリクエスト通りの料理を作ってもらうことで、愛情を確認したかったのだとおもいます。こうしたことも、産後ドゥーラがいてくれれば応えてあげられます。
5.パパへのアドバイスや育児参加への提案
育児をしているママの多くが、パパの育児参加への頻度や方法に不満を持っています。忙しいパパが育児に参加できないのはしょうがないのですが、父親という意識を高めるためにも、ある程度育児に参加してもらうことが必要です。
しかしママの中には、疲れているパパにそれを言えない人もいますし、言っても理解してくれないパパもいます。そこで産後ドゥーラがママとパパの間に立ち、パパに合った育児の提案などをしてくれると、パパの育児参加がスムーズに行きやすくなります。
例えば、ママが赤ちゃんの沐浴の方法を教えるより、第三者である産後ドゥーラがパパに教えることで、パパの育児意欲を引き出しやすくなることもありますし、ママの大変さをドゥーラからパパに伝えてくれると理解しやすくなります。
6.疲れたママの心や体の産後ケア
出産で疲れているママを退院後に待っているのは、授乳で眠れない夜と子供たちの世話、家事などで休む暇もない毎日です。本来新しい家族が増えるのは幸せなことですが、日々の疲れでその幸せすら実感できずにいるママはたくさんいます。
そんなママの疲れを癒すことも、産後ドゥーラの仕事のひとつです。ドゥーラは、家事や育児のサポート以外にも、ママの悩みを聞いて心のケアをしてくれます。産後は人と会うことも少なくなるので、会話できる相手がいてお喋りをするだけでもストレス発散になります。
また、マッサージのスキルを持つドゥーラは、疲れているママの体をマッサージでケアすることもあります。こうしたさまざまな方法で、疲れているママの産後ケアをしてくれるのです。
7.お兄ちゃんやお姉ちゃんのお迎えなどのサポート
産後、赤ちゃんを抱えて移動するのはママにとって大きな負担です。赤ちゃんがいない環境ではそれ程大変だと思わなかったことも、赤ちゃんが生まれてみると想像以上に大変なことは多いですが、上の子の保育園や幼稚園、塾や習い事への送迎といったことも、産後ドゥーラは代行してくれます。
お願いすると上の子のご飯だけでなく、お弁当まで作ってくれますし、帰宅後の子供の相手も頼めます。上の子が帰宅した後、赤ちゃんを産後ドゥーラに見てもらい、上の子との時間をしっかり取ってあげることもできます。
上の子はしょうがないと分かっていても、赤ちゃんに付きっきりのママに対して寂しさを感じていることがあります。しかしママに余裕がなければ、それを理解しケアしてあげることができません。産後ドゥーラの存在で体と気持ちに余裕ができると、上の子に対するケアもしっかりできます。
8.医療機関や育児の専門家との橋渡し
赤ちゃんは急に熱が出たり、体調を崩したりします。そんなとき、ママはどこに相談すればいいのか、どの病院がいいのか分からずパニックになることもありますが、産後ドゥーラは医療機関などに対するアドバイスもしてくれます。
育児に悩んだ場合でも、専門家への橋渡しをしてくれますし、サポートをしている中で得たたくさんの経験や知識を元に、ママに合った解決法を提案してくれます。
9.仕事復帰後の病児保育も依頼できる
産後ドゥーラのスキルによっては、病児保育を請け負ってくれる人もいます。産後すぐに仕事復帰したいママにとって、赤ちゃんの体調次第で仕事を休まなくてはいけないのは、大きな悩みの種になります。そんなとき、安心して赤ちゃんを預けられる産後ドゥーラがいてくれるのは助かります。
すぐに対応してもらえない場合もあるので、信頼できるドゥーラを数名おさえておくと、より安心して仕事に集中できます。
他にもドゥーラの持っているスキルや対応時間によって、さまざまなサポートを受けることができます。信頼できるドゥーラと出会えれば、子育てはもっと楽しくできます。
産後ドゥーラを依頼すると得られるメリットとデメリット
産後ドゥーラを利用したいと思ったママは、実際に依頼すると得られるメリットと、考えられるデメリットを頭に入れておきましょう。
産後ドゥーラを利用するメリット
産後ドゥーラは、産後のママをさまざまな手段でサポートしてくれます。ママは、そのサポートで単に楽になるだけではありません。産後ドゥーラを利用したら得られる、たくさんのメリットをまとめました。
産後ドゥーラを利用するメリット
- 里帰り出産しなくてもよくなる
- ママの肉体的・精神的負担が激減する
- 単発利用が可能なので料金がお得
- 上の子の精神面でのケアがしやすい
- ママのストレス軽減で夫婦関係が良好になる
- 病児サポートもあるので仕事復帰しやすい
- サポート内容が幅広いのでママの育児への理想を実現しやすい
- 子育てが楽しくなる、子育て中の想い出が残せる
ママの仕事やパパの都合、両親との関係で里帰り出産ができないママにとって、産後ドゥーラは親のように頼れる存在になります。赤ちゃんに関しては誰にでも頼れるものではないので、専門的な知識をもった女性のサポートが受けられるのは本当にありがたいことです。
また、私が特にメリットだと感じるのは、上の子やパパとの関係が良好になりやすいことです。人は疲れが溜まると少しのことでイライラします。産後は特にホルモンバランスが乱れているので、情緒不安定になりがちです。
ママがこのような状況でいると、その場の感情で上の子を叱ったり、パパに思ってもいない暴言を吐いたり愚痴を言ったりしてしまうことがあります。何より辛いのは、ママ自身が後になって家族を傷つけたことを後悔し、自分を責めて辛くなることです。
産後ドゥーラの利用で心に余裕ができる
私も上の子が甘えようとすることに対して、「ちょっと待ってよ!」と強く言ってしまい、罪悪感で辛くなったことが何度もありますし、旦那に不満を感じて嫌味を言ったり怒鳴ったりしたこともありました。
心の余裕がなくなるほど疲れる前に、ドゥーラに頼って気持ちに余裕が出れば、家族と良い関係を築きやすくなります。
産後ドゥーラを利用するデメリット
産後ドゥーラは素晴らしいサービスなのですが、利用する際にはデメリットもあります。依頼する前にデメリットもしっかり把握しておきましょう。
産後ドゥーラを利用するデメリット
- 利用料金が必要なので金銭的に余裕がないと依頼できない
- ドゥーラと相性が合わない場合もある
- ドゥーラの数が少なく、住んでいる地域によってサポートの質が異なる
- 上の子や赤ちゃんが懐かないこともある
- 産前から探しておかなくてはすぐに利用できないことがある
- 他人が家に入るのが嫌な人には不向き
産後ドゥーラを利用する場合、自治体や施設でも違いますが1時間2,000~4,000円の料金と交通費が必要です。産後ドゥーラがどんなに良いサービスでも、複数回や長時間利用すると料金が高額になるので、家計に余裕がなくては満足に利用することは難しくなります。
ドゥーラとの相性は重要
ドゥーラは専門知識が豊富で資格を持った優秀な人材なのですが、ママとの相性が合うかどうかは分かりません。理想通りのドゥーラが来てくれるかどうかは巡り合わせなので、その点が不明であるのはデメリットと言えます。
同じ理由で、赤ちゃんや上の子がドゥーラに懐かないこともあるので、初日から満足いくサービスが受けられないことがあるのは念頭に入れておかなくてはいけません。
メリットだけでなくデメリットもしっかり把握して利用を決めるようにすると、より産後ドゥーラのサービスを効率よく利用できます。利用を検討している場合は、産前の時間があるうちに、一度相談に行ってみることをオススメします。
産後ドゥーラを賢く利用して子育てをもっと楽しもう!
産後ドゥーラは今後益々活躍が期待されている職業ですし、ドゥーラがもっと増えれば受けられるサポートの幅も広がり、ママはもっと育児を楽しめる環境が整います。
育児はどうしても1人で悩んだり頑張ったりしがちなので、産後ドゥーラなどのサービスを上手く活用して、上の子や赤ちゃんとの楽しい想い出をたくさん作りましょう。
また、育児が一段落したら自分が産後ドゥーラとして困っているママをサポートすることもできます。日本でもっと産後ドゥーラが増えると、幸せなママが増えて少子化や産後うつも減ることでしょう。