フリースクールの小学校に行くきっかけ

フリースクールの小学校はどんなところ?特徴9つ!

フリースクールの小学校は、子供が学校や友達に馴染めない、授業についていけないなどで不登校になった生徒が通える施設です。学校の先生と違い、不登校の子供の心理に詳しい専門家がいるスクールもあるので、利用の仕方次第で子供のストレスが軽減します。フリースクールの小学校の特徴を紹介します。

フリースクールの小学校はどんなところ?特徴9つ!

フリースクールの小学校の特徴やメリット・デメリット

一人ぼっちでしゃがみ込む子供

フリースクールとは、不登校の子供を受け入れる団体や施設のことで、友達とトラブルになった、学校に馴染めないといった理由で学校に行けなくなった子供達を、学校への復帰や自立につなげるサポートしてくれる場所です。

文部科学省の統計では、平成29年度の小学生の不登校児童数は、国立・公立・私立すべてで144,031人とされており、平成3年度の調査以降徐々に増え続けています。そんな不登校の子供たちの中で、フリースクールに通っている子供はわずか2~5%と言われています。(注1)

まだ認知度が低く、利用者も少ないフリースクールですが、子供達が学校に通えなくなったときの受け皿になってくれる大切な場所でもあります。そんなフリースクールの特徴や、通うことで得られるメリットやデメリットになりうることをまとめました。

フリースクールの小学校の特徴9つ

フリースクールの小学校に見られる特徴を9つまとめました。 子供が不登校になってしまい、フリースクールを検討しているパパやママは、代表的な特徴を一度チェックしてください。

1.フリースクールへの入学試験はなく誰でも通える

フリースクールに入学試験はありません。基本的に誰でも入学できますし、どの学年からでも何月からでも入学できます。フリースクールには、現時点で決まったプログラムはないので、入学した施設の決まりに沿った形で学習をしていくことになります。

基本的に個人に合わせて学習指導をしてくれることが多く、しばらく学校に行っておらず学習面で遅れがあっても心配することはありません。

2.フリースクールに通う小学生は約1800人以上

文部省の調べでは、全国でフリースクールに通っている小学生は1,800人程度という統計が出ています。現在、小学生の不登校が31,000人以上いるので、フリースクールを利用している子供はごくわずかなのが分かります。(注2)

2人の女の子のラフイラスト

フリースクールを利用しない理由はさまざまですが、認知度の低さや情報の少なさも大きな原因になっています。不登校が増えている現在、益々必要性が高まる施設であることは間違いありません。

3.フリースクールにかかる費用は団体によって異なる

フリースクールに通う場合、入学金と授業料が必要です。入学金は施設によって違いがありますが、平均で5万円前後です。授業料にも幅があり、平均は約3万円ですが、安い所では1万円~3万円ほどになります。

費用に幅があるのは、スクールの規模や提供されるサービスに大きな違いがあるからです。週1日行くだけのコースや全寮制のスクールまであるので、料金に差が出てしまいます。免除制度がある施設もあるので、フリースクールを探す際には検討材料にしてください。

4.フリースクールの規模や授業プログラムはさまざま

たくさんの子供たちのイメージイラスト

フリースクールの規模や形態は、現時点で決まりがないためそれぞれのスクールで大きく差があります。100名以上の生徒を抱える規模の大きなスクールから、個人で運営し、少数の子供を預かるスクールまでさまざまです。

学習塾がフリースクールとして子供を預かっている所もあり、入学を検討する際は子供の性格や気持ちを考慮し、吟味して選ばなくてはいけません。

授業プログラムもそれぞれの施設で違うのですが、マンツーマンの授業が一般的です。不登校になってしまうと、学習の進み具合にもバラつきがあるので、その子に合ったプログラムで授業を進めてくれます。

5.全国に470か所以上のフリースクールがある

フリースクールの形態は、NPO法人から個人まで規模はさまざまですが、全国に470か所以上あることが確認されています。全国で470か所というと多いようですが、全国の小学校の数が公立、私立を合わせて26,880校あるので、その数が少ないことは明白です

少ない施設の中から子供に合ったスクールを選ぶのは難しく、その点でもフリースクールに通う子供が少ない理由が分かります。

6.出席扱いになることや卒業資格が取れる場合がある

フリースクールに通うことで、学校に出席扱いになることや、卒業資格がもらえるケースがあります。判断するのは、本来在籍している学校の校長先生です。

一定の要件を満たしていない場合は出席扱いにならないこともあるので、これから通わせようかと検討しているなら、学校に相談してからにしましょう。

小学校などの義務教育では、出席日数を満たしていれば卒業資格が得られるので、どうしても学校に馴染めなければ、フリースクールを検討してみましょう。

7.全寮制のフリースクールもある

フリースクールには、全寮制もあります。自宅ではどうしても改善が見られない場合、全寮制のスクールで生活を改善したり、専門の先生がいる場所で自然体験などを通して、心身ともに健康になってから学校へ復帰するという選択もできます。

小学生の年齢で、親元から離して全寮制に入れるのは両親にも葛藤があるでしょうから、もし検討される場合は、しっかり子供やスクールと話し合って決めてください。

8.学習授業以外にもたくさんのイベントが開催される

学習ばかりではなく、フリースクールでも通常の小学校と同じように、季節のイベントや運動会などが開催されるスクールがあります。イベントを通して得られる学びもあるので、学習ばかりでないことは親としては嬉しいことです。

フリースクールによっては、修学旅行が開催されることもあるので、学校で同年代の子供達との思い出ができるのは素晴らしいことです。学校を卒業した後も、そこで得た人脈が続くこともあります。

9.生徒の心理を理解できる専門の先生がいる

音楽を教えている先生と生徒たち

スクールによりますが、通常の小学校には不登校の子供の心理に詳しい先生は少なく、フリースクールには専門的に子供の心のケアをしてくれる先生がいるのが特徴です。 こうした専門家がいてくれることは子供にとって心強いことですし、親にとっても子供のことを相談できるので安心です。

フリースクールによっては、カウンセリングしてくれるところもあるので、専門家に相談しながら子供と向き合いたい場合は、そのようなサービスを受けられるところを探しましょう。

フリースクールは認知度が低く、情報も少ないのでどんな特徴があるのか分かりにくい施設です。スクールによって学習内容や費用にも差があるので、入学を検討する場合はしっかり確認してください。

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小学校に行かずフリースクールに行くメリットとデメリット

小学校を不登校になってしまい、フリースクールに行く場合のメリットとデメリットをまとめました。子供の個性はさまざまなので、決してこの限りではありませんが、代表的なものをいくつか紹介します。

フリースクールに通うメリット

フリースクールのメリット

子供が不登校になったり「学校に行きたくない」と言い出したとき、フリースクールに通わせるとどんなメリットがあるのかまとめました。

個人に合わせた学習ができる

フリースクールに通う子供は、不登校の間は満足に学習できていない場合も多いので、基本的にその子に合わせてマンツーマンで学習を進めてくれます。服装なども自由なので、自分のペースで伸び伸びと過ごせるのは、フリースクールの大きなメリットでしょう。

一時的に不登校になり、学習面でついていけないことで余計に学校に通い辛くなる場合もあります。マンツーマンで授業してもらえることで、子供の自信につながり、復帰が早まるケースもあります。

学校に行けないというストレスが軽減される

不登校になって一番ストレスを抱えてしまうのは、不登校になっている子供自身です。学校に行きたい気持ちがあるのに、どうしても行けないというストレスは大きなものです。そこに、フリースクールに通うという目的ができると、ストレスが幾分か軽減できます。

私たち大人も、社会とのつながりがなくなってしまうと、とても大きな不安や孤独を感じます。子供も同じで、社会とのつながりが無くなったように感じると、精神的な負担が大きくなります。そんな時、他人と関わることができる自分の居場所ができると心の支えになります。

自宅で孤独を感じることが少なくなる

不登校になって辛さを感じる理由のひとつに、孤独感があります。個々の性格もあるので一人の方が楽だと思う子供もいますが、みんなが学校に通っている時間を1人自宅で過ごすことに、孤独を感じる子供は多いです。フリースクールに行き、他人と関わる時間を持つことで、その孤独感も多少は楽になります。

子供が安心して過ごせる居場所ができる

フリースクールに通う子供の学校に行けない理由のひとつに、「自分の居場所がない」というものがあります。周囲に馴染めず、ひとりになる時間が多くなり、休み時間や集団行動で孤独を感じてしまい、それがストレスになります。

私の息子も、一時期学校に通うのが辛いと言い出したことがありました。休み時間に友達と遊びたくないという理由でした。どうするべきかしばらく悩んでいましたが、ある日息子が楽しそうに帰ってきました。

話を聞いてみると、休み時間に用務員さんのところに行って遊ぶようになったとのことでした。息子は休み時間中の、自分の居場所を見つけたのです。そこで他の生徒と遊ぶようになってからは、用務員さんの所に入り浸ることもなくなりました。

子供達には、こうした「居場所」が必要です。学校で見つかればいいのですが、そうでなければ学校の時間は辛いだけです。それが原因で不登校になってしまった場合、フリースクールがその子の「居場所」になります。

活き活きとしたたくさんの子供たち

学校以外の選択肢が増えて気持ちが楽になる

子供は学校に通う以外に選択肢がなく、そこで上手く行かなければ、小学校に通う6年間は我慢するしかないと思ってしまいます。子供には大きな負担になりますが、フリースクールという選択肢もあるのが解れば、子供の心の余裕になります。

大人でも経験がありますが、仕事が辛くなって辞めたいと思っていても、辞めてはいけないと思うとストレスが大きくなります。しかし、次の仕事が見つかったり辞めていい環境になった途端に、そのストレスから解放されます。

心に余裕ができれば、学校で感じるストレスが軽くなり、フリースクールに通わなくても良くなるケースもあります。子供に、選択肢のひとつとして提示しておき、一緒に今後を考えるようにするといいでしょう。

子供に合ったフリースクールが見つかれば、子供のストレスが軽減されることが大きなメリットです。

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フリースクールに通うデメリット

フリースクールのデメリット

フリースクールは、まだ整備されていない点が多いので、デメリットもいくつかあります。それを踏まえて入学を検討してみてください。

入学金や授業料といった費用がかかる

フリースクールは、入学金や毎月の学費が平均3万円程度必要です。金額には幅があり、1~10万円と大きく差があります。住んでいる地域に家計を圧迫しない授業料のスクールがあればいいのですが、それが難しい地域もあります。

場所によっては入学金や授業料の免除制度があるスクールもありますが、公立の小学校に通わせるのに比べると、費用の負担は大きくなります。送迎や公共交通機関を利用すれば交通費もかかるので、費用面はデメリットです。

フリースクールの数が少ない

フリースクールの数が少ないので、住んでいる地域に子供に合った施設がない場合や、授業料の費用が高く、支払いが難しいスクールしかないなどのデメリットがあります。運よく近くにあればいいのですが、遠い場合は小学生という年齢を考えると、送迎が必要になる場合もあります。

ママかパパが送迎できればいいのですが、通わせるために仕事に影響が出てしまう場合もあるので、実際には難しいことが多いでしょう。

公的な支援や奨学金がほとんどない

現時点では、フリースクールへの公的な支援や奨学金はほとんどありません。不登校が増えているので今後は見直しがされる可能性もありますが、家庭では待ったなしの状況であることが多いでしょう。

こうしたサポートが現時点でなされない状況であることは、デメリットになります。

フリースクールのデメリットの多くは、親が感じることが多いです。公立小学校に通うのと比べると、資金面でかなり負担が大きくなります。

小学校でフリースクールに通う前に考えるべきことはある

勉強の用意をする子供2人のイラスト

フリースクールは、学校に通うのが辛くなった子供の大切な受け皿である一方、金銭面やスクールの質にムラがあるなどの問題も抱えています。フリースクールの整備を整えることも必要ですが、まずは親と先生の連携を強め、子供たちが明るく過ごせる環境を整えることが第一です。

また、家庭や学校だけに任せず、私たち大人がどうしたら不登校をなくせるのか、真剣に考えていく必要があります。自分の子供ではなくても、地域で未来を担う子供たちを見守る体制を整え、ストレスなく子供たちが過ごせるようにしていく努力が必要です。