学校が辛い時の子供の気持ち

学校が辛いと打ち明けられた時の子供に寄り添った対応

学校が辛い、泣くほど行きたくない、勉強が辛くて休みたいと子どもにいわれた親に向けて、小学校・中学・高校の子どもたちの声からそのリアルな背景を探り、子どもたちが辛いときの親としての正しい対応について解説します。

学校が辛いと打ち明けられた時の子供に寄り添った対応

学校が辛い!子どもをどう救う?子どもが学校に行けない理由と親の受け入れ方

子どもにとって、学校は新しいことを学び友達と会える楽しい場所であるはずなのに「学校が辛い」と言い出すに至ったその理由をきちんと知って、親としてどう受け入れるべきなのか一緒に考えていきましょう。

学校に行きたくないほど辛いこと・行くのが辛いのはどんなとき?

「行きたくないほど辛いこと」「学校に行くのが辛い」とはどんなときなのか。大人としての立場や考えはひとまず捨てて、子どもだったころを思い出しながら読んでみてください。

学校に行くのが辛い…子どもの声に耳を傾けてみる

勉強が嫌で学校に行きたくない女の子

小学生から高校生たちの学校が辛いと感じた本当の声を紹介します。

小5男子

 クラスで仲間はずれにされています。辛いです。でも仲間はずれをしている奴に「誰かに言ったらぶっとばす」と言われているから怖くて言えないです。

 小6女子

 家に帰ると自分の部屋で泣いています。親に「学校が面白くない」って軽い感じで話したこともあるけど「何を甘いこと言っているの!」と逆に怒られました。片親なので、余計に心配はかけられないけど、誰も相談できる人がいません。

中2女子

 悪口は言われていないだろうけど、言われている気がして人が怖いです。

 高1女子

 高校に入ってから本当に「ぼっち」です。クラスみんな明るくてスポーツできる子ばかりのクラスに、私だけおとなしくてどんくさいタイプ。無視じゃないけど存在が全くない感じ。お弁当もほとんどひとりで食べています。

 高2男子

 県でトップクラスの文武両道の私立高校に進学できました。中学までは優秀キャラで親もそう思っているけど、高校のみんなはもっと優秀で、今ではすっかりいじられキャラです。毎日バカにされているみたいで、もう耐えられません。こんな学校来なきゃよかった。行くの辛すぎです。

友人関連の問題で学校に行くのが辛い

子供しか分からない悩みを抱える小学生

具体的にどんなことがきっかけとなっているのでしょうか?まずは友人関係の事例を集めてみました。

友達ができない・いつも「ぼっち」

小学校の低学年くらいまでは、成長度合いの差が大きく「マイペース」過ぎて馴染めないといったケースもあります。
それ以降の年代では、特に悪口を言われるわけではないけれど、友達グループの輪にうまく入れず、いつの間にか仲間に入れない、遊ぶ友達がいないという形で孤立化してしまうケースが多いようです。「私なんて誰からも気にされていない」という孤独感に陥りやすくなります。

学校生活がうまくいかない

小学校高学年以上に良くみられます。思春期特有のうわべだけの友達はいるけど「本当の友達がいない」という疎外感や自分が思い描いていた友人関係・学校生活と現実のギャップに精神が疲弊してしまうケースがあるようです。
また親の無意識の期待などを察して、その期待に応えられない自分をふがいないと責めるケースもみられます。

仲間はずれにされている

仲間はずれは深刻な問題です。朝晩の顔つきがさえない、友達の話題が極端に減った、反対にやけに明るく振舞って家族に優しくするといった行為は、仲間はずれを受けているときにみられるサインです。

SNSなどのスマホトラブル

LINEなどスマホ上でのトラブルが発端となって、学校の交友関係にヒビが入るケースです。スマホをトイレやお風呂まで持ち込む、夜中でもやっているという場合は、すぐに返事をしないと仲間外れにされるといった暗黙のルールに追い込まれている可能性があります。
反対にスマホの着信音に怯えているという場合は、個人的に責められている、悪口を言われているケースが考えられます。

子どもが学校に行きたくない理由と接し方・低学年/高学年
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子どもが「学校に行きたくない」と言ってきたら無下に否定しないことが大切。子供の背中を押す前に小学校低学年~高学年の子供が学校にいけない気持ちをまずはよく聞いてあげて!学校へ行かない間の過ごし方も解説。

友人以外の学校生活の問題で行くのが辛い

必死に勉強についていく中学生

先生が怖い・嫌だ

カンニングをしていないのに疑われ、個室で数時間もの間、生徒1人に対し複数の教師が「白状」するよう迫ったり、部活動などでもキャプテンであることを理由に、教師が気合いだとみんなの前でビンタしたり言葉で追い込んだ結果、自分の責任と思いこみ自ら命を断つまでに追い込まれた子供のことがニュースになり、常軌を逸した指導が問題となっています。

また勇気を出して担任に相談したのに、翌日には職員室中の先生が知っていて恥ずかしくて学校に行きたくなくなったというように、教諭の軽はずみな言動で子供が傷ついてしまうケースがあります。

部活トラブル

部活に力を入れている学校や文武両道をうたう学校では、勉強以外の部分も「暗黙の基準」をクリアーできないと、落ちこぼれのような立場に追い込まれるケースがよく聞かれます。

勉強が辛い・テストの点がとれない

入学試験を受けて入った私立の小・中学校や高校などでは同じ学力の子どもたちが集まるので、それまで勉強ができて優秀であったとしても、進学した途端に成績が中から下になってしまう子どもたちが全体数の70~80%を占めます

そんな現実とのギャップに耐えられず、自己否定に陥り学校に行けなくなってしまうケースが、特に成績優秀だった子どもにみられます。

学校が辛い!子どもが打ち明けてきたら…

子どもに「学校が辛い」と打ち明けられたら、どんな親でも動揺して頭の中が混乱してしまうのが普通です。でもまずは落ち着いてしっかりとした対応をとることが重要です。

知っておくべき3つのこと

小学生の生徒に勉強を教える塾の先生

親として知っておきたい3つのポイントがあります。すでに子どもに告白されているという親御さんでも、この後の対応が変わってくるはずです。

学校が辛くなった経緯と背景をきちんと理解し受け止めること

「思春期はそんなもんだ」「みんな同じ経験をしている」という意見は、数十生きてきた大人の今だからいえる言葉です。「こっちがこれだけ心配しているのに反抗的な態度だ!」と反抗期特有の言動に腹が立つこともあります。ただ今はそれら大人の意見はぐっとおさえ、傷ついた子どもの心の葛藤、苦しい胸の内をそのまま受け止める姿勢を示し、大人への信頼感を与えることが子どもの心を回復させる近道となります。

一週間休んだら復帰のハードルはかなり高くなることも知る

はじめは「学校が辛い」ということを言わずに、腹痛として学校を休んだかもしれません。ただ休みが一週間を超えると、子供にとって登校はちょっとしたハードルとなります。
きっかけが友人関係であれば、時間の経過が溝を広げたように感じている可能性があるだけでなく、美術の課題制作などの遅れ、漢字テストや体育の実技テストの未受験など、別の要因も加わり学校に行くことが辛い状態になります。

だからといって子どもの気持ちを考えずに無理に行かせては、子どもたちを最終段階まで追い詰めてしまいます。学校が辛い現状を子どもからうまく聞き出し、それをサポートする方法を模索しながら上手に背中を押す姿勢が大切です。

小学校高学年~高校まで、思春期における影響も知る

最近では、早い子は小学校3年生くらいから思春期が始まるといわれています。その頃の子どもの心は非常に不安定で、先ほどまで笑顔だったのに急に不安定になったり、意見がくるくる変わるということはどこの子にも起こる現象です。

また個人差はありますが感受性も異常なまでに敏感で、親や教師が言った何気ない一言に深く傷ついたりすることも珍しくありません。こういった影響も少なからずあるとふまえておくことで、子どもの急な感情の高ぶりや落ち込みにも、大きく動揺したり激高することなく対応することができます。

学校が泣くほど辛いと告白されたときの親の基本姿勢

子供を見守る姿勢の夫婦

学校に行く方がいいことくらいは、小学1年生でもわかっています。そんな正論は、傷ついた子どもの心には何も響かず何の解決にもなりません。人生で最大の試練に困惑している子どもたちを救うために、親がとるべき基本姿勢について考えていきます。

大人に話してくれた勇気を褒める

みなさんも多少の悩みなら誰かに相談したことはあると思いますが、本当に苦しんでいる「自分の弱み」を人に話すことは、とても勇気がいることだと思いませんか?子どもが学校で辛い状況にあるということは、生活のほとんどを学校が占めている子どもにとって最大の弱みとなります。

そんな自分の弱み話してくれた「勇気」と「判断」を最大限に尊重して「勇気を出せて偉かったね。ありがとう」と素直に褒めてあげてください。それだけでも「自己肯定感(自分のことを認める感覚)」を持たせ失った自信を回復させるのにつながります。

落ち着いて対応する

大人もついパニックになって「学校に行かないなんて、先生になんていうの」など世間体を気にする発言をしてしまいがちですが、絶対にNGです。また、夫や自分の親友などに洗いざらい相談したくなる気持ちもありますが、自分を信頼して打ち明けてくれた子どもに許可なく、他の人(たとえ自分の夫や妻、母親、兄弟であっても)に全てを話してしまうことも絶対にNGです。

親の世間体なんて、子どものことを心から考えたら今は重要ではありません。夫や教師に相談する場合も、子どもの状況が少し落ち着いてきてから「学校を休むことだけは、お父さんにも話すね」と許可を得てからという気遣いが大切です。

学校に行きたくない時の親が学ぶ子供の心理
学校に行きたくない時の親が学ぶ子供の心理
学校に行きたくないと子供が言い始めたとき、周りの大人たちはどんな対応をしてあげればよいのでしょうか。子供たちの本音を知り、親が取るべき姿勢や年代ごとの心境や背景について一緒に模索していきましょう。

大人の常識を押し付けない

不登校の子供と遊ぶパパ

まずは「学校に行かなくてはならない」という考えを捨てましょう。その他にも「子どもはこうあるべきだ」「学校とはこういうものだ」「友達とは…」という親の常識はときに正しいですが、時に時代とずれていたり、子どもの現状と違うことがままあります。そんなずれた意見は、ずれた親=私のことなんてやっぱりわかってくれないという心理につながってしまいます

人格は否定しない

「あなたが消極的だから誰も話しかけてくれないのよ」「いやだって、どうして自分の意見がいえないんだ」といった親が良くいう言葉も、子どもにとっては「あなたという人がダメ」としか聞こえないことがあります。親であるあなたが子どもの頃、悩んだこと、できなかったこと、やればよかったと後悔していることは何ですか?そんな話からアプローチすると、うまいきっかけになるかもしれません。

聞き役に徹する・子どもの考えに耳を傾ける

「どうしたいのか」「どうすべきと考えているのか」子どもの気持ちに耳を傾けることが問題を打開するための第一歩です。
「こうしたらいい」「こうすべき」は禁句。親の意見をいうときは「フリースクールという手もあるし、まずは親が学校に相談する手もあるけど、どうしたらいいと思う?」という選択肢のある提案型で子ども自身に決めさせることが重要です。

「自分で決めた」という事実が積み重なることで、自分の言動に責任を持つようになり、その後の自信にもつながります。
このとき親の提案とまったく別の答えが返ってきても、それを聞き「今すぐには回答できないけど、さっそく調べてみるね」などと子どもの意見を受け入れる意志を明確に示します。現実離れした提案でない限りは、その提案の中で最善策を探すように努力してみましょう。

家庭内での勉強の環境を整える

勉強の遅れなら、早めの対策で学校復帰は可能なことがほとんどです。最近は、勉強の遅れを中心にみてくれる家庭教師を比較的手ごろな月謝で派遣してくれる会社も出てきています。町の個人塾などに相談してみるのも良案です。わからない、追いつかない範囲が少ないうちの早めの対策が重要です。

勉強しない子の特徴を知りやる気を引き出すための親の対応
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勉強しない子だと将来が心配になりますよね。何故勉強しないのか、勉強しない子の特徴から勉強に対するやる気の引き出し方を紹介します。勉強しない子から勉強大好きな子に変身させてあげましょう。

学校に行くのが本当に辛いときは学校について考える

インターネットの悩み相談で「学校に行くのが辛い」という相談をみていくと、中高生では「この世から消えたいくらい辛い」というキーワードが信じられないほど多くみられます。子どもが学校に復帰できるよう学校と連絡を取り合いながら、子どもとともに努力することが基本姿勢です。ただそれが「この世から消えたいくらい辛い」とき、最悪の事態を避け子どもの命を守るためには、親はひとつの大きな決断をしなくてはならないこともあります。

そもそも学校はどうして行かなきゃいけないの?

教室に放置されたイスと机

「そもそも学校はどうして行かなきゃいけないの?」この質問にあなたは答えられますか?

義務教育の義務は親の義務

小中学校は特に「義務教育」だから、子どもは、毎日、学校に行かなくてはならないと親だけでなく、悩んでいる子ども自身も思っていませんか?義務教育とは「国民がその保護する子女に受けさせる義務を負う教育」と憲法に規定されています。

つまり、義務教育の「義務」とは、戦後の混乱の中、子どもを学校に通わせるよりも労働力として働かせる親に対して、子どもに教育を受けさせる義務を負わせたものです。ですから子どもにとって学ぶことは「義務」ではなく「権利」とされています。親の義務といっても、親の自己都合などによって通わせないときに問題となるので、子どもの心身のトラブルを癒すために親の判断で休ませることは問題にはなりません

学校を休む・変えるという選択

自宅で勉強中の中学生

「どうしたら学校に復帰できるだろう」「どうしたら楽しくなるだろう」と考えるのは当たり前ですが、子どもの状態が悪いときはその考えだけだと前にも横にも進めないのが現状です。そんなときは、発想の転換がひとつの打開策となります。

しばらく休むという選択

普通、体調を崩せば2~3日は学校を休みますよね。学校が辛いと感じている時は心が弱っている時です。辛いことを話してくれたときは少し休んで、親子でおいしいものを食べに出かけましょう。大人も疲れれば半休をとりますよね。嫌なことがあった日は、早めに仕事を切り上げて仲間と飲みに行きますよね。そんなイメージです。子どもにはただ休ませるのではなく「今は心が疲れているからちょっと休んでいいよ」という休む理由を明確に伝えましょう。そうすることで「心が元気になったら、また学校へ行けるよ」という学校復帰への大きな道を残すことにつながります。

フリースクールという選択

休みが続くようなら学校復帰への道も模索しつつも同時に別の道を探すことが重要です。各都道府県や市町村のホームページに「不登校」などに関するページがあります。そこにはその地域で活動しているフリースクールの紹介あります。

フリースクールとは主にNPO団体が、子どもたちのメンタルや学習面をサポートしながら、学校復帰や別の形での社会復帰を目指すよう教育・支援が受けられる施設をいいます。正式な教育機関ではないものの、小中学校の場合はフリースクールに通うことで、通常学校の出席扱いとなるよう国や各都道府県が認定しているところもあります。フリースクールから高校へ進学し大学まで行かれた子どもも多数います。民間ですから月謝はかかりますが、一度調べてみる価値はあります。

通信制高校という選択

基本的な勉強は自宅で行い、月に2回程度の通学、試験だけ登校する形の高校です。順調に単位をとれれば「高校卒業」資格を得られるため学歴では「高卒」と書くことができます。

もうひとつ「技能連携校」という学校も同じように通信制の高校でいながら「技術」「美容」といった専門的な分野を学べるところです。
ほとんどは提携している通信制高校と連携しながら単位がとれるので「高校卒業」資格も取得できます。いずれも民間機関で日立やNHKといった企業や高校、予備校などが運営していて、通学回数や月謝などは各団体で異なるので事前に調べておく必要があります

サポート校というものもありますが、それはあくまで自宅学習で遅れがちの勉強をサポートするためのところなので「高卒」資格はとれないので、区別が必要です。

大検(高卒認定)という選択

大検(大学入学資格検定)とは、何らかの理由で高校に進学しなかったり中退をした人が、その試験に受かると高校卒業と同じレベルの学力があると国が正式に認めてくれる資格で、近年は「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)」と名称を変更されました。

年に2回試験を実施していて、その資格が得られると各大学へ進学ができるようになり、就職時にも「高卒認定」という資格を書けるようになります。予備校などで高卒認定取得に向けた通信教育を実施しているところも多く、中学から不登校で高校に行かなかった子どもが医大に入学したケースもあります。詳しい試験内容などは「文部科学省」のホームページに掲載されています。

学校が辛いと子供が言っても未来を諦めないで

私たち大人も思い起こせば「普通に」学校に行って友達と遊んでいたようでも、実は相手のことを気遣い、時に失敗して落ち込んだりを繰り返して相当な「努力」をしながら過ごしていたのではないでしょうか。

いまあなたの目の前にいる子どもは、相当な努力をしたけれど、うまく行かず立ち止まってしまっただけ。普通に学校に通っている子どもたちと何ら違いはありません。育て方が悪かったわけでもないんです。学校に復帰できるよう親が子どものために積極的に学校に働きかけたりする姿勢は子どもを勇気づけ親が変わることで子どもが元気になるケースも数多くあります

ただそれでもどうしても無理そうなときは、「普通の学校」というスタイルにこだわらず、別のアプローチで社会復帰をさせてあげることが、子どもの未来を救うことになります。」学校は諦めても、未来は諦めない!」その信念を貫いて、親子で乗り越えてほしいと願っています。