保育園の健康診断の目的と項目

保育園の健康診断の検査項目や実施時期/欠席したら自費?

保育園での健康診断について詳しく知りたい方へ、健診項目や実施時期についてご説明します。健診日に欠席したら自費で健診を受けなければならない場合もあるので注意しましょう!

保育園の健康診断の検査項目や実施時期/欠席したら自費?

保育園での健康診断の目的と項目/健診結果の活かし方

保育園では、定期的に園児の健康診断が行われています。幅ひろい年齢の子供が通う保育園では、年齢により検査項目や問診表が異なります。今回は、保育園の健康診断の目的・時期・項目などについてご説明していきます。また、認可外の保育園では、実施内容や費用など認可保育園とは異なりますので注意が必要です。

子供の成長をチェックするためにも、健康診断は非常に重要です。園に全てお任せするのではなく、検査結果を親が十分に理解しておきましょう。

保育園で健康診断を行う目的

保育園で行われる健康診断は、厚生労働省により定められたものです。各保育園の嘱託医は、健康診断を行う役割があるとされています。

健康診断は法律で定められた義務

「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)・第12条(入所した者及び職員の健康診断)」において、保育園などを含む児童福祉施設の長は、入所時および年に2回の健康診断また臨時健診を実施しなければならないと定められています。また、健康診断の内容については、学校保健法第6条で定められた検査項目に準ずるとされています(注1)。

学校保健法第6条で定める検査項目

  • 身長・体重・座高
  • 栄養状態
  • 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
  • 視力・聴力
  • 目の疾病・以上
  • 耳鼻咽喉疾患。皮膚疾患
  • 歯・口内の失敗
  • 結核の有無
  • 心臓疾病・異常
  • 尿
  • 寄生虫の有無
  • その他の病気や異常

法律で定められた検査項目は、時代の流れと共に変化しています。座高の項目については、活用例が少ないことから、検査項目から外れました。また、寄生虫の有無を調べるギョウチュウ検査についても、現在は実施されていません。

健康診断の目的

円の嘱託医と話す母子

嘱託医が定期的に健康診断を行うことにより、子供達がより安全で健やかな保育園生活を送ることが出来るようになります。保護者は、子供が通園する保育園の嘱託医(園医)が誰なのかきちんと把握しておきたいですね。中には、子供のかかりつけの小児科医が嘱託医だったという嬉しい偶然もありますよ。

保育園の健康診断の目的

  • 子供の健やかな発達を促し、家庭の子育てを支援すること
  • 多面的に子供の発達をとらえること
  • 保育士が楽しく育児ができるようにする

保育園の健康診断が行われる時期

保育園での健康診断は、実施することが定められている定期健診と、必要に応じて行われる臨時健診があります。時期などの詳細は、市町村や保育園により異なりますので、必要に応じて保育園に問い合わせましょう。

定期健診

入園時健康診断

入園後すぐに行われる健康診断。入園前に提出された健康診断の結果をもとに園児の健康状態と発育状況について、確認します。保護者同伴のもとで行われる場合もあります。

定期健康診断

春・秋の年2回実施することが定められている健診です。各家庭で問診表を記入して保育園に提出し、保育時間中に嘱託医が健診を行います。

臨時健診

臨時健診は保育園が必要と判断した時に実施されます。想定される状況としては、短期的に多数の園児が体調不良を訴えた時、大きな災害や事件などに遇い園児の健康状態や精神状態に不安が感じられる場合などがあります。

保育園の健康診断の項目

健康診断の項目

保育園の健康診断における検査項目は、それぞれの自治体や保育園により異なります。園児の健康や発達を見る上で、目安いしたい項目は、以下の通りとなります。また、歯については、嘱託の歯科医師が別途健診を行います。

体の発達

身長・体重の計測結果をもとに、成長曲線に照らし合わせて、体の発達状況を確認します。その他、全身の観察も行います。

運動能力の発達

年齢に応じた運動が出来ているか確認します。ハイハイ・ひとり立ち・歩行・けんけん・ジャンプ・スキップなど。

ことばの発達

医師の前で、自分の名前・年齢を言う、短い会話をするなどして、園児のことばの発達を確認します。初めての人を前に緊張する園児もいるので、親があらかじめ記入した問診票の内容もあわせて評価が行われます。

精神面の発達

健診中の園児の行動や発言などをもとに、精神面の発達度合いを確認します。健診時にいつもと違う態度になってしまう子供もいつでしょうから、親が記入した問診表の内容も重視されます。

集団生活への適応能力

順番待ちなど健診中の園児の様子から、集団生活への適応能力を確認します。担任の先生からのヒアリングや問診票の内容もあわせて評価が行われます。

体の各器官の機能

園児の全身を観察する時に、呼吸器・循環器など一連の器官もあわせて観察されます。健康診断で確認しきれない内容については、詳しい検査を案内されることがあります。

【年齢別】健康診断で重視される項目

言葉の発達をテストされる幼児

保育園の健康診断では、園児の年齢により注意してみるべき検査内容が異なります。お子さんがどのような項目に注目して検査されるのか理解しておくと、健診結果を見る時にも役立ちます。

0歳児

  • 月齢に応じた運動(寝返り・ハイハイ・つかまり立ち)をするか
  • アーなど声を発するか(ほとんど声を出さないということはないか)
  • あやしたら笑いかえすか
  • 体がふにゃふにゃしていて抱きにくい様子があるか
  • 予防接種はきちんと行われているか

1歳児

  • 立位歩行ができているか
  • ママ・バイバイなど意味のある言葉を発するか
  • 耳はきちんと聞こえているか
  • 目つきや目の動きに変わった様子はないか(斜視など)

2歳児

  • 歩き方に問題がないか(左右の足の動き)
  • 走ることができるか
  • 意味のある言葉を話すか
  • 人の真似をした動きをするか
  • 目・耳・鼻に問題はないか

3歳児

  • 片足立ちやケンケンができるか
  • ペンを持ち、〇を書けるか
  • 2語以上の言葉をつなげて話すか
  • 自分の名前をはっきり言えるか
  • お友達とコミュニケーションをとり遊ぶことができるか
  • ごっこ遊びをしているか

4歳児

  • 歩く・走る・片足立ち・けんけんの動作に問題はないか
  • 言葉が増えてきているか
  • 家で友達や保育園の話をするか
  • 集団の中でルールを守れているか
  • ペンを持ち□が書けるか

5・6歳児

  • トイレが一人でできているか
  • 小学校入学にあたり不安な要素はないか(着替え・食事)
  • 保育園でのことを家で話すか

問診票の設問項目と記入する時の注意点

保育園での健康診断を実施するにあたって、保護者に問診票が配布されます。お子さんの様子をよく観察し、丁寧に記入してください。

問診表の項目は園により異なる

問診票の設問項目は、保育園によりそれぞれです。母子手帳や各市町村の定期健診の項目を参考に、それぞれの年齢で注意して確認すべき内容を考慮して、保育園と嘱託医で相談して、問診票の内容を決定します。

問診票記入時の注意点

問診表は、母子手帳などを確認しながら正確に記入しましょう。問診表に記載にない項目についても、健診時に見て欲しことや気になることがありましたら、記入しておくと良いでしょう。

また、母子手帳もあわせて提出することがありますので、母子手帳の中の自宅で記入できる箇所は記入しておくと良いでしょう。母子手帳の成長曲線に印をつけておくと健診時に分かり易いです。

健康診断の結果報告を活かそう

保育園での健康診断は、子供の発育を定期的に診てもらえるとても良い機会です。健診結果をしっかりと確認してください。

専門医の受診が必要な場合は早めに対応する

健康診断が行われてしばらくすると、子供の健康診断の結果が保護者にフィードバックされます。場合によっては、主治医や専門の医師の診察が必要となることがあります。その場合には、できるだけ早く病院を受診しましょう。

健診結果についての不明点は確認する

健診結果を見て分からない点がある時は、保育園を通じて嘱託医に確認をするようにしましょう。子供ですから、当日、気分が乗らずいつも通り出来なかったということもあります。健診の様子も気になるようでしたら、担任に聞いてみると良いでしょう。

健診結果を日常生活に活かす

健康診断の内容から、嘱託医より子供との生活において何かアドバイスを頂いた場合には、それを日常生活に活かしていきましょう。

保育園の健康診断と自治体の定期健診共に大切

専門医に耳を検査される赤ちゃん

保育園の健康診断と自治体が実施する定期健診の時期が近い場合、「自治体の健康診断は行かなくていいかな?」と考えてしまう人もいるのではないでしょうか。自治体の健診は仕事を休んでいかなくてはならない人が多いので、「仕事を休んでまで行かなくても」と思ってしまいます。

ただ、保育園の健康診断も自治体の定期健診も、どちらも子供の健やかな成長にとって大切な健診です。お仕事を調整して自治体の定期健診も受けるようにしてください。

自治体の健診の検査項目

同じ年齢であっても自治体の定期健診と保育園の健康診断の検査項目は、全て同じではありません。また、色々な小児科医や保健師に見てもらうことで、子供の成長過程でおこるささいな変化にも気づくことがあります。

自治体の健診を受けるメリット

保育園での健康診断は保育時間中に行われるので、基本的に保護者は健診の場にいません。一方、自治体の定期健診は保護者が付き添うので、直接、小児科医や保健師さんとお話をするこができます。その場で思いついたことをすぐに聞けるのは良いことです。

また、自治体の健診では、同じ月齢・年齢の子供ばかり集まるので、自分の子供の成長は、同じ年の子供と比較してどうなのかということを観察することもできます。

保育園の健康診断日に欠席したらどうなるの?

保育園で行われる健康診断は、法律により義務付けられているので、保育園に通っている全園児が対象になります。ただ、子供ですので、健診の日に急に発熱など体調を崩してしまって欠席することも考えられます。健診日に欠席してしまった時の対応について説明します。

他の日に健診を受けて保育園に報告する

女医の診てもらう幼児

保育園の健康診断の日に欠席して健診を受けることが出来なかった場合には、他の日に健診を受けて保育園に健診の結果を報告する必要があります。

健診を受ける医療機関については、保育園の方から嘱託医の病院で受けるように勧められる場合もありますし、保護者が自由に病院を決めることができる場合もあります。

他の日に健診を受けた場合自費になる可能性あり

保育園の嘱託医の病院に行って健診を受ける場合には、基本的には健診費用は発生しません。一方、かかりつけ医の所で健診を受けた場合には、健診費用がかかります。もちろん、保護者の負担です。

健康診断は、保険のきかない自費診療になりますので、健診費用は病院により様々です。2,000円程度の病院が多くなっていますが、受診前に一度健診費用について問い合わせてみると良いでしょう。

健康診断は早めに予約しよう

病院によっては、一般の病気での受診と健康診断の時間帯を分けていることがあります。健診を受けたいと思っても、希望日に受診できないことがありますので、早めに予約しておきましょう。子供は、いつ体調を崩すかわかりません、早めに対応してください。

認可外保育園での健康診断

保育園での健康診断が無料で受けることができるというには、認可保育園での話になります。認可外の保育園では、園それぞれ健康診断の実施の仕方が異なります。認可外保育園での健康診断への対応の一例をご紹介します。

  • 保育園で集団での健康診断を行い、健診費用を保護者に請求する(または保育料に上乗せ)
  • 個別に病院で健康診断を受けてもらい、診断結果を保育園に提出する

小児医療制度が充実している自治体に住んでいる方の中には、風邪を引いた時の受診料は無料なのに、高い健診料を払って健康診断を受けることに疑問を持つ保護者の方もいることでしょう。ただ、定期的な健康診断は、保護者と保育園側が子供の健康状態や成長について共通の認識を持つために必要なことですので、保育園の依頼に協力しましょう。

保育園の健康診断を受けて子供の成長を確認しよう

保育園の健康診断は、無料で子供の健康状態や発達について診てもらえるまたとない機会です。年に2回の定期健診結果の経過をみていくと子供の成長がよくわかります。

お仕事をしているママにとって会社を休んで子供を病院に連れて行くのはとっても大変ですが、体調管理をしっかりして、保育園の健康診断の日に子供が欠席することのないようにしたいものです。