子供はどうして忘れ物が多い?
子供が学校でもらってきた通知表の先生からのコメント欄に「忘れ物が多い」と書かれていることはありませんか?特に小学校低学年~中学年では、忘れ物のことで先生から注意を受ける子供は多いです。
もちろん大人でも忘れ物が多い人も存在します。忘れ物をしてしまう理由は、準備が面倒臭くて後回しにしてしまいがちだったり、集中力が続かなかったりということがあります。まして子供はまだ物の管理能力が未熟なために、大人よりも忘れ物が多いと言えるでしょう。
人間は、毎日の生活の中で、すべてのことを記憶しているわけではありません。人は、興味のあることや重要なことは覚えているものですが、興味や重要だと思う事柄は人によって異なり、特に大人と子供では興味や優先度が違うため、大人には重要だと思われる明日の時間割も、子供にとってはたいして興味の持てないことだった場合、記憶に残りにくいというわけです。
忘れ物が多い子供の特徴
クラスの中でも、忘れ物が多い子とほとんどしない子供がいます。忘れ物が多い子供にはどのような特徴があるのでしょうか。
忘れ物をする原因
子供が忘れ物をしてしまう大きな原因のひとつは、他のことに興味が向いていることがあげられます。先述のとおり、自分の興味があることなら子供もちゃんと覚えています。遊びの約束や、おやつの時間を忘れてしまう子供はあまりいません。
大好きな野球をしに行くのに、バットとグローブを忘れることもないでしょう。ところが、学校に給食の割烹着を持って来るように先生に言われていても、食べるのは好きでも給食の準備自体は特に好きなことではないために、気持ちに残らずに忘れてしまうのです。
また、早く遊びに行きたかったりテレビを見たかったりと、他のことに興味がいってしまっていると、子供は面倒臭い明日の準備をいいかげんに済ませようとすることもあります。
忘れ物が多い子供の共通点
忘れ物が多い子供には、一般的に次のような共通点があります。あなたの子供にあてはまることはありませんか?
整理整頓ができない
ランドセルの中がプリントやノート類などでぐちゃぐちゃになっている子、机の引き出しが整理できておらず、どこに何があるのか把握できていないタイプの子は、必要なときに必要な物を探すことができず、忘れ物につながります。
いつも物が乱雑にある状態にあると、準備をするのも億劫になってしまい、明日の持ち物チェックも後回しという負のスパイラルに陥ります。
ぼーっとしていて話を聞かない
いつも空想の世界に浸っていて、傍からはぼーっとしているように見える子供も、忘れ物をしやすいタイプと言えます。先生の話をちゃんと聞いていなかったり、親が「○○は入れたの?」と確認しても、聞いているようで聞いていないことが多いのです。
集中力がなく気が散りやすい・飽きっぽい
明日の準備をしていたのに途中で他のことに興味が移ってしまい、中途半端なまま置きっぱなしにしている子もいます。明日の時間割を入れたつもりでカバンの横に置きっぱなしだった、ということもあるでしょう。集中力がなく飽きっぽい子供、気が散りやすい子供はやはり忘れ物が多くなりがちです。
忘れ物が多い子供への効果的な忘れ物対策
忘れ物自体は子供本人の問題ですが、ときには友達にまで迷惑をかけてしまうこともあります。繰り返し忘れ物をすることで先生や友達からの信頼を失ったり、責任感のない、いい加減な性格の子だと思われてしまう可能性もあるのです。
授業に必要な物がなければ、先生の話に集中できず、授業にもついていけなくなります。いい加減な生活態度を続けていると、長い学校生活において学習意欲の低下にもつながり、学力が伸びないことになってしまいます。子供の忘れ物が多いようなら、ある程度、親がサポートをしてでも改善する努力が必要でしょう。
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自業自得方式では忘れ物は多いまま
「忘れ物をして本人が困れば次から気を付けるだろう」と放っておく方針をアドアイスされることもありますが、これは一見、理にかなっていて効果的なように思えますが、自業自得方式では実は忘れ物を減らすことはできません。それどころか、忘れ物をすることに慣れてしまい、忘れ物が慢性化してしまうことにもなりかねません。
さらには、自分が困るだけならまだいいのですが、忘れ物の多さで周りに迷惑が掛かっている(こともある)認識がないのは困ります。自業自得方式によって必ず子供の責任感を育てられるとも限らないのが問題です。
自業自得方式が逆効果な理由1
忘れ物が多いと、先生や友達から「また忘れたの?」と、否定的な言葉をかけられることが増え、自己肯定感が削がれていきます。
結果、忘れ物をしないように気をつけようという注意力や責任感を持ち、取り組む意欲を持たずに「どうせ自分は忘れ物ばかりするダメな人間だ」と自分を否定するようになってしまいます。
自業自得方式が逆効果な理由2
授業で必要な物を忘れることが度重なるにしたがい、忘れ物があることを先生に言い出しにくくなります。忘れ物に気を取られているうちに授業に集中できない時間が積み重なっていき、次第に学力低下へとつながってしまう可能性は十分に高く、子供はますます自分に自信をなくしてしまうことになります。
自業自得方式が逆効果な理由3
自分が自業自得方式で育てられていると、当然周りの人にも同じ態度で接するようになります。例えば友達がエンピツを忘れたようなときに、「自業自得だ」と貸さない人間になってほしくはないでしょう。子供は親の言うことは聞きませんが、親がやっていることは真似をするものですので、注意が必要です。
自業自得方式が逆効果な理由4
忘れ物が多くても放っておかれると、忘れ物をすることに対しての罪悪感も徐々に薄くなり、「忘れても友達に借りればいいや」と軽く考えてしまうようになります。そのような子供はいうまでもなく、先生や友達からの信頼をなくしてしまいます。
忘れ物対策の基本!忘れ物が多い子供にしてあげられること
忘れ物が多い子供はどうしたら忘れ物をなくすことができるのか、その方法を知りません。自業自得方式では忘れ物を減らすことができないのは当然です。適切なサポートをしてあげるのが最良であると言えます。
生活習慣の見直してあげよう
忘れ物が多くて問題になっているようなら、まずは基本的な生活習慣を見直してみましょう。特に朝、起きる時間が遅いためにいつもバタバタしているような場合、起床時間を早くする必要があります。朝食を摂り、身支度を整えたら、今日必要な持ち物をもう一度確認する時間的余裕を持つことができます。
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整理整頓をサポート
部屋の整理整頓も必須要素です。家の中に物が多すぎたり雑然としていると、物がなくなったり見つけにくくなりやすく、忘れ物の原因になります。
物の定位置を決めて、使ったら定位置に片づける習慣をつけることにより、探す時間を省くこともできます。定位置を決める際には、例えば学校で必要な物は家のあちこちに場所を作るのではなく、一か所にまとめて置き場所を作るようにしましょう。ランドセルや体操着、上履き、給食着等をまとめて置ける棚を作れば、そこだけ見れば全部揃えることができます。
子供も無理なくできる!忘れ物防止のための奥の手
闇雲に、子供に「忘れ物のないようにきちんと準備しなさい」と言っても、子供は何をどうすればよいのかが理解できません。特に低学年のうちは、放っておいたりただ口で言うだけではなく、親が子供と一緒に考えながら工夫して、子供が自分で自主的に無理なく効率的に準備ができるようなシステムの構築を親がサポートしてあげましょう。
具体的なシステムについては各家庭に合う方法で構いません。参考までに、一般的にどの家庭でも簡単に実践できる方法を紹介します。
最初に宿題を済ませる
せっかく時間割をそろえても、宿題が終わってなければまた教科書やノートをカバンから取り出さなければならなくなり、忘れ物をしてしまう要因を増やしてしまうことになります。帰宅したら、まずは宿題を済ませてから時間割を揃えるのが得策です。
カバンの中を一度空にする
いつの間にかランドセルの底にプリント類がぐちゃぐちゃになって溜まっていた…なんてこと、子供にはよくあります。時間割を揃える前には一度、カバンの中を空っぽにさせてみるといいでしょう。子供が親に渡すのを忘れていたお知らせ類も発見されるかもしれません。
時間割を見ながらセットする
カバンの中を空にしたら、翌日の時間割表を見ながら、必要な物をセットしていきましょう。教科によって必要な物が異なる場合もあるので、教科ごとに「教科書・ノート・漢字ドリル」など、持ち物リストを作っておくといいでしょう。一教科ずつ、カバンに入れたら、時間割に〇を付けるなどで確認するようにしましょう。
学校用と家用の2セット用意する
あまりに忘れ物が多い子供には、筆箱とエンピツ、消しゴムなどは、学校用と家用の2セットを用意して、カバンから出さなくてもいいようにするのも手です。
教科書など1つしかない物は仕方ありませんが、複数用意できる物であれば、学校専用、家専用と用意してあげると忘れることはないでしょう。ただし、管理するものが増えてしまう点は注意が必要です。
小さいうちは親が一緒に準備してもOK
親があまり手や口を出しすぎる過保護な状態は、子供の自主性を育てるためにもよくありませんが、忘れ物に関しては子供に「忘れ物をしない準備の仕方を教える」という意味でも、低学年のうちは親がサポートしてあげましょう。
忘れ物が少なくなるまでは、親が一緒に連絡帳やクラス通信などを見ながら、時間割をそろえるのを上記の要領で手伝ってあげることは大切です。ただし、子供の時間割や宿題などやるべきことの洗い出しを親が先回りしてやってしまうのは、自立の妨げになるのでNGです。慣れてきたら少しずつ自分ひとりで準備できるように任せてみましょう。
子供がしっかり準備をできたら褒めてあげて
もう一つの大切なポイントは、たくさん褒めることです。忘れ物がなかった日には、「今日は忘れ物がなくてえらかったね」とたくさん褒めてあげましょう。
逆に忘れ物をしてしまっても、グチグチと嫌味や小言を言うのは逆効果です。大切なのは、子供が「忘れ物をしないようにしよう!」という思考に至ることです。忘れ物をしてしまったことをグチグチ責めても、忘れ物をしないことの大切さは伝わらないどころか、自分は「忘れ物をするダメな子」だと萎縮してしまいます。
また、「うちの子は忘れ物が多い」と判断してしまうのもよくありません。親にそう決めつけられたら子供がいくら自分で気を付けようと思っていたとしても、なかなか上手く行かなくなってしまうものなのです。
忘れ物の多い状態から脱却するためには、あくまでもポジティブな声掛けをして、子供が自ら、「忘れ物をなくそう!」というやる気を引き出すことが重要です。
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忘れ物が多い場合は親がサポートして責任感のある大人になる手助けを
子供のうちは忘れ物をして当然だとは思っても、あまり頻繁なようだと周囲の信頼もなくしてしまうし、親としては心配です。成長したときに責任感のある大人にするためにも、小さなうちからなるべく忘れ物を少なくできるような工夫や、親のフォローが必要だと言えます。
あまりに忘れ物が多く改善もうまくいかないときは、忘れ物の多さを巡る親子の対峙から、本人も辛い思いをしている可能性があります。その可能性が感じられるときは、子供に適切に接していくためにも、たかが忘れ物と軽くみるのではなく、早めに専門機関に相談してみるのもいいでしょう。