子供のしつけはちゃんとできていますか?
「最近の子供はしつけがなっていない」
「いったいどういうしつけをしているのか、親の顔がみたい」
子供について語られるときに、よく聞くフレーズですよね。
スーパーマーケットなどの公共の場所で子供が走りまわったりするのはよくあることです。周囲に迷惑がかかるのはもちろんよいことではないので、親はみんな、自分の子供をきちんとしつけたいと思っているはず。
しかし、ひとくちに「しつけ」といっても正解があるわけではありません。ちまたには専門家による子育てやしつけに関する本があふれ、子育て雑誌でも頻繁に特集されています。また、最近はネットでもしつけに関する情報が簡単に手に入ります。
ところが、本により、その専門家(あるいは保育園の先生など、子供のプロ)により、しつけに関する考え方やスタンスは驚くほど違うと思いませんか?
ここでは、そもそも「しつけ」とは何を目的にしているのか、なぜ子供にしつけが必要なのか、どうしたら効果的にしつけることができるのかを、1歳半頃~幼稚園くらいの子供を対象に、考えてみたいと思います。
子供をしつける必要性
しつけは漢字では「躾」と書きます。その字の成り立ちのとおり、「身を美しくする」ということですよね。立ち振る舞いや生活態度、他人への接し方など、美しい行いができるように、ということではないでしょうか?子供のしつけについていえば、将来、社会のルールをきちんと守り、周囲の人と上手にコミュニケーションがとれ、自分の道徳観をもとに自主的に行動できる大人になるための訓練だとも言えます。そして、その訓練をしてあげるのが親の務め。
英語では日本語の「しつけ」に相当する言葉といえば、”Discipline”を使いますが、こちらはどちらかといえば、「規律を守らせる」、「自制心を持たせる」という意味合いが強い言葉です。日本語の「躾」、美しい言葉だと思いませんか?
しつけってどんなこと?
国語辞典によると、しつけとは「礼儀作法をその人の身につくように教え込むこと、または身についた礼儀作法」とあります。「三つ子の魂百まで」ということわざもあるように、幼児期に身につけたことは大人になっても自然とできるものです。
基本的生活習慣をつけるためのしつけ
生まれてまもない頃は、ミルクを飲んで、眠くなったら寝て、不快なことがあると泣いて、と本能のままに生きている赤ちゃん。しかし、しばらくすると、人間として社会的な生活を送るために、基本的な生活習慣を学ぶようになります。
最も基本的な生活習慣とは、睡眠、食事、排せつ、着・脱衣、清潔に関わること。食事の前には手を洗い、きちんと座って、スプーン・フォークやお箸を使って食べる、自分でボタンが留められるようになるなど、成長するにつれ、だんだんとルールに従って自分でできることが増えていきます。このように、毎日の生活を気持ちよく送るための基本を身につけるのが、しつけの始まりといえるでしょう。
社会のルールを教えるためのしつけ
幼い子供は、気に入らないことがあると駄々をこねたり、ときには親やお友達を叩いたりして我を通そうとすることもあります。しかし、おとなになってもそのままでは、社会の一員として生きていくことはできませんね。
どのような場面で、どのように行動することが望ましいのか、また、どのような行動をとってはいけないのか、なぜ暴力をふるったり、危険な行為をしてはいけないのか…。社会のルールを、大人が少しずつ子供に教えてあげる必要があります。
しつけはいつから始めるべき?子供の成長に合わせてできることを教えましょう
しつけとはいっても、まだ子供が小さいうちは、なかなか難しいですよね。実際、いつから、どのように子供のしつけを始めたらいいのか、悩んでいるママやパパも多いようです。
しつけはいつから、始めるのがよいのでしょうか?また、子供の年齢により、どう変わっていくのでしょうか?
1歳からのしつけ
1歳になると、歩き出して行動範囲が広がったり、食事もある程度、自分でできるようになったり、少しずつ自立していきます。また、意味のある言葉が出るようになるのもこの頃。
1歳代の子供には、毎日の生活の中で、まずは親が率先していいお手本を見せてあげるのが一番。
「おはよう」「いただきます」などの挨拶をする、帰宅したら靴はそろえる、など、普段の生活で親がしていることを、たとえ今はまだできなくても、子供は実によく見ています。
また、子供が危険なことをしたり、噛んだり叩いたりしたときは、それがしてはいけない行為だということは根気よくしっかりと伝える必要があります。ただし、1歳代の子供はまだ親が言っていることを理解できていないことも多いので、怒ったり怒鳴ったりして見せてもその意味が伝わらず、遊んでいると思って笑っているか、もしくは恐怖心を与えてしまうことは多くあります。
子供に『何がいけないか』をシンプルにわからせるには、ダメなことをしたそのときに、短い言葉でビシッと、「ダメ」ということを伝えましょう。
2~3歳のしつけ
2~3歳も基本的には1歳代と一緒ですが、2歳頃からは「イヤイヤ期」と呼ばれる第一次反抗期が始まる子供も多いので、ママやパパも余計にイライラとさせられ、しつけが難しいと感じるようになることも。また、2~3歳代はいろいろなことに興味がわく時期でもあるので、子供はさまざまな(大人からは「イタズラ」としか思えないような)ことをして「これをしたらどうなるのか?」を実験しています。
あれもダメこれもダメではなく、よっぽど危険なことでない限りは見守るようにし、引き続きしつけの優先順位をしっかりとつけて、『これだけは譲れない』というポイントをおさえるようにしましょう。
具体的には、自分や他人に危害を加える、または加えるおそれのある行動をとったときなど。お友達を叩く、人に向かって石を投げる、走って車の前に飛び出すなど、危険なことをした(またはしそうになった)場合には、それは絶対にやってはいけないことだと本気で伝えることが重要です。
男の子・女の子別のしつけの違い
同じことを注意するのでも、効果的に伝えるには、男の子と女の子で違いがあるようです。
男の子を叱るとき
男の子は一つのことに集中しがちなので、何かに夢中になっているときは何を言っても聞いていません。効果的な伝え方としては、回りくどい言い方をせず、最初の言葉で端的に伝えるのがコツ。目線を合わせて、低めの声でしっかりと話すのが効果的なようです。
何度同じことを言っても繰り返してしまう男の子ですが、反面でプライドが高い傾向があるので、人前で恥をかかせるような𠮟り方は避けること。何十回何百回と同じ注意を繰り返すたびに忍耐強く伝えていきましょう。
女の子を叱るとき
女の子は脳の仕組みから見て言語能力に優れているので、言い返されて親も感情的になることもしばしばです。周りの状況や人間関係もよく理解する女の子には、ちょっと大人扱いして理解していることを前提に話すのも効果的。また、女の子にはやさしい言葉で叱るのがいいようです。
ですが、「なんで~しなかったの?」と問い詰めると、言い訳がたつようになるので逆効果。
大人のマネが得意な女の子には、親がお手本となるような話し方や生活態度を見せると、自然と身につくでしょう。
基本姿勢と具体的な子供のしつけ方
それでは、幼児期の子供のしつけについて、具体的にみていきましょう。
子供は、親など周囲の大人の言動を実によく観察しています。毎日の生活の中で大人たちがどのように行動し、物事に対処しているのかを見て学び、自分もマネしてみることにより成長していくのです。
中でも子供は、自分の親が大好き。いつでもママやパパがすることはしっかり見ています。ですから、まずは親が、子供のお手本になるような生活習慣を持ち、行動をとるのが一番大切な点です。
「褒める」しつけの重要性
子供が健やかに成長するためには、「自己肯定感」を持てるようになるということがとても大切です。「自分はこんなことができる」という自信や「自分は親に愛されて、必要とされている」という安心感を持つことにより、心身ともに健康に成長し、将来、自主的に判断して行動できる大人になるのです。
そのためには、子供がいいことをしたときにはきちんと褒めて、その行動を認めてあげることが必要です。大人でも褒められるとうれしいものですが、子供も褒められることにより「自分は認められている」と自信につながり、人の役に立つのをうれしく思い、自分の存在を肯定的にとらえることができるようになります。
仕事や家事、育児で忙しいと、ついついできていないことにばかり目が行きがちですが、できたことをたくさん褒めてあげましょう。
子供を褒めるときのポイント
子供を褒めるときはただ褒めるのではなく、ポイントをしっかりとおさえて褒めることが大切です。子供は褒められると次も頑張ればまた褒められると思い、言われなくても褒められたことをするようになります。
1.しっかりわかりやすく褒める
「お皿を持ってきてくれてありがとう」、「きちんとご挨拶できてえらかったね」、「弟となかよく遊んでくれて助かるわ」など、具体的な行動をあげて、子供自身がどの行動について褒められているのかはっきりとわかるようにしましょう。褒められれば子供はうれしくなり、また次もやろう、と思うようになります。
2.なるべくたくさん褒める
何かができたときに限らず、さまざまな場面で、なるべくたくさん褒めてあげるのもコツ。たとえ成功しなくても子供が努力したことについて褒めたり、昨日はおもちゃをお友達に貸せなかったのに今日は貸せた、こないだは妹を叩いてしまったのに今日は叩かないでがまんできたなど、ささいなことでも、子供は自分のがんばりが認められたと思い自信がつくはずです。
上手な子供の叱り方
しつけをする上では、褒めると同時に、子供を叱るというのもとても重要なこと。
でも𠮟り方を間違えてしまうと、子供の反発を招いて逆効果なばかりか、子供の心を傷つけてしまうことも。まだ大人と同じ知識や判断力がない子供に対して叱る場合は、子供の目線にたって叱り方を考えてみることが必要です。
上手に子供を叱るポイント
褒めるばかりではなく、ときには子供を叱ることも必要ですが、くれぐれも「叱る」のであり、感情に任せて「怒る」と子供に何も伝わらないので注意しましょう。
1.子供の自尊心を傷つけない
叱るのは子供がとった間違った行動に対してであって、その子の人格を傷つけるような言葉は使ってはいけません。「おもちゃを投げて壊すなんで、なんて悪い子なの!」などと言うと、子供はおもちゃを投げたことが間違っていたとは思わず、自分は悪い子だからママやパパは怒っているんだと思ってしまいます。
2.感情的に叱らない
感情的に怒鳴ったり叫んだりすると、子供は恐怖心を覚え、その恐怖から逃れることだけを考えるようになり、行動の改善にはつながりません。叱るときには低めの声で、冷静に話すほうがいいでしょう。
3.いつまでも長時間叱り続けない
子供は集中力が続かないので、いつまでもくどくどと小言を言っても逆効果。子供は何について叱られていたのかわからなくなってしまいます。注意したいことだけを、短時間で端的に伝えたほうが効果的です。また時間がたってから言われても理解できないので、後でではなくその場で叱るようにしましょう。
4.他の子とくらべない
つい言ってしまいがちな、「お姉ちゃんはできるのに」「○〇くんはできるって」といった表現。他の子と比較されることにより、子供は自分自身が否定されているように感じたり、劣等感を感じたりします。
5.叱っている具体的な理由を伝える
ただ「ダメ!」と禁止されるだけでは、子供もなぜダメなのかが理解できず、反発や混乱を招きかねません。「ダメ」と伝えたあと、「これをすると○○になるから、危ないんだよ」など、してはいけない理由を簡単に説明するようにしましょう。
6.子供の気持ちに共感する
叱らなければいけない場面でも、まずは子供の気持ちに寄り添って、なぜその子はそうしたかったのかを考えてみましょう。「○○ちゃんもそのおもちゃで遊びたかったんだね。でもお友達のおもちゃをとるのはいけないよね。」と一度共感してあげることで、子供も親は自分の気持ちを理解してくれていると安心し、素直に聞くことができます。
項目別・しつけ方のコツ
ここでは具体的にしつけをしたい各内容について、どうしつけたら効果的かをみてみましょう。
挨拶をしつける
まずは家庭内で、大人が「おはよう」などの基本的な挨拶をきちんとすること。また、外で知っている人に会ったら、「こんにちは」と親が挨拶をするのを見ていれば、子供も自然と挨拶ができるようになります。
子供の行動範囲が広がるにつれ、幼稚園の先生やお友達のお父さん・お母さん、親戚など、挨拶をする機会は増えていきますので、その都度、適切な挨拶の仕方が覚えられるようフォローしてあげましょう。
挨拶は社会生活の基本です。子供が学校に進学したり、就職しても恥ずかしい思いをしないよう、しっかりと身につけてほしいものですね。
どうしても挨拶が苦手な子
人見知りで恥ずかしがり屋の子供はどうしても挨拶が苦手。もじもじして声に出すのが恥ずかしいようなら、会釈だけでもするように教えてあげるといいでしょう。
食事マナーをしつける
食事は毎日のことだけに、気持ちよく過ごせるようにきちんとマナーを身につけてほしいことのひとつですよね。以下の項目については、1歳半を過ぎたら少しずつしつけを始めるといいでしょう。
- 「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶をきちんとする
- 姿勢よく座って、食事中は立ち歩かない(食事の前にはトイレに誘導しましょう)
- テレビは消して、食事に集中する
- 口に食べ物を詰め込みすぎず、口を開いたまま噛まない
- 食器をたたいたりして遊ばない
その他にも、お箸の持ち方や使い方のルール、食べる順序など、挙げたらきりがありませんが、小さいうちからあまり厳しく言いすぎるのも考えもの。
中でも、お箸の使い方は子供にとっては一つの難関です。食事中にトレーニングをすると子供が食事を楽しめなくなってしまいますので、お箸のトレーニングは食事以外の時間にゲーム感覚で行うなどの工夫をしてあげましょう。
また、昔は食事中には話はしないように言われたものですが、最近では家族で楽しく会話をしながら食事をするのが一般的になってきています。しつけの内容も、時代とともに変化してきているのです。
食事ができることに対して感謝の気持ちを持ち食事は楽しむものだということも、大切なマナーとして教えてあげたいですよね。
暴力行為・危険行為について
子育てをする上で絶対に譲れない点、それが危険を知らない子供とその周囲の「安全を守ること」です。どんな場面であろうとも、自分や他人の命に関わること、自分や他人に危害を加える可能性のあることについては、「絶対にしてはいけない・許されないこと」だと厳しく教える必要があります。
子供が危険なことをした場合には、短い言葉で行動を制止する、言葉で制止できにくい場合は、抱きとめる・手を握るなど自らの行動をもって制止し、その後、なぜその行為が危険だったのか、簡潔に説明してあげましょう。
お友達をたたいてしまうようなとき
人を叩いたり物を投げたりする暴力行為の場合は、子供の普段の様子を注意深く観察しているようにしましょう。例えば子供がお友達に手をあげそうになったら、すばやく、そっと手をとって阻止し、それを繰り返すことで、子供は次第に手を出すことをしなくなります。
また、小さい子供は自分の感情を言葉でうまく表現できないために手がでてしまうので、気持ちを代弁してあげるのもいいでしょう。「○○くんが作ったお山を壊されたのが嫌だったのね」と理解してあげたうえで、「じゃあ、壊さないで、って言えばいいんじゃないかな」と、どう表現したらいいのかを教えてあげることにより、子供はだんだんと、叩いたり押したりせずに、言葉で気持ちを表現することを学んでいきます。
こんなときどうする?シーンで見る具体的なしつけ
スーパーマーケットでやたらと商品に触る、店内で走りまわる、電車のつり革にぶら下がる・・・。小さな子供がいると、外出先でも困らされることが多くありますよね。そんなときにはどう対処するのがいいのでしょうか。
公共の場でやりたい放題!他人に迷惑をかける問題行動を抑制するには
外出先で子供が言うことを聞かず、周囲に迷惑をかけている。そんなとき、ちゃんと子供を叱れていますか?周りの人の目が気になって叱れない、という人もいるのではないでしょうか?
なかには、家に帰ってから注意するという人もいるようですが、小さな子供は後で叱られても何のことを言われているのか理解できません。たとえ外出先でも、子供が問題行動をしたならその場で叱るようにしましょう。
何も知らない子供と思いきや、子供だって子供なりにいろいろと観察しています。家では叱られるようなことなのに外だとママやパパに叱られない思うと、子供は外では思う存分、より激しく駄々をこねるようになります。
公共の場での叱り方
ただし大きな声を出したり怒鳴ったりはNG。かえって周りの人の迷惑になります。大きな声を出さなくても、しっかりと子供の目を見て、低めの厳しい声で真剣に叱れば、子供はまずいことをした、と理解します。
特に3、4歳以上にもなると、子供が「これ以上は叱ってこない」と舐めてかかっているような態度を見せるときもあります。子供なりにも節度を守ることを教えるためには、「そんな態度ではお出かけさせられません」という態度を示し、悪態をやめないときは即座にその場から連れ出すようにしましょう。
公共の場で駄々をこねて止まらない!
「このお菓子買って~!」と手足をバタバタして泣き叫ばれると、その場を収めるためについ、買ってしまっていませんか?そんなことが続くと、親は外出先でわがままを言えば聞いてくれる、と学習してしまいます。
外出先で子供の駄々コネを防ぐためには、お出かけ前に「今日はお菓子は買わないよ」、または「今日はお菓子をひとつだけ買ってあげるね」などと約束しておきましょう。
一つ買ってあげると約束したら、もう一つ欲しがっても与えないように。それを繰り返すことで、「泣いても約束した分しか買ってもらえない」と理解するようになります。
やってはいけない!NGなしつけ・叱り方
効果的なしつけ方法についてみてきましたが、それではしつけでやってはいけないこと、逆効果になったり、子供に悪影響を与えるしつけとはどんなものでしょうか?
叩いてはダメ?家庭での体罰
子供のしつけのためなら、叩いたり体罰を与えるのもあり?
これはとても難しい問題で、専門家の間でもいろいろな意見があるようです。もちろん、過度な体罰は論外ですが、言ってもわからないときはお尻を叩くくらいは仕方がない、という考え方もあります。
叱る目的を考えて
たしかに、体罰により一時的には子供が言うことをきくということはあるかもしれません。
しかし、根本的に自分のやったことの何が悪かったのかを理解できていなければ、子供には恐怖心や親に対する反発・不信感が残るだけ。恐怖心は子供の思考を停止させ、しつけには逆効果だと考えられます。
『躾のために叱る』とは、親の思い通りに行動させることを指すのではなく、『どうしてそれがいけなかったのか、どうしたら良いのか』を子供ながらにも理解してほしいからすることであり、子供に考えさせたいのなら恐怖心を植え付けるような体罰を躾に用いることは不適切といえます。
特に小さい子供への体罰は、愛着形成に悪影響を及ぼすともいわれ、その後の成長過程での心理的影響も考えると、しつけのための体罰は望ましくはないといえるでしょう。
一貫性のないしつけ
子育てで大切なことのひとつは、ポリシーに一貫性を持たせることです。
例えば、この間は叱られたことを、今日、同じことをして叱られなかったら、子供は混乱し、何を信じたらいいのかわからなくなります。親も人間なので、疲れていたり急いでいたりしていると、つい、いい加減になってしまいがちですが、そのときの気分で子供を叱らないようにしましょう。
指示を出しすぎる
我が子をちゃんとしつけようとするあまりか、それとも失敗させないようにか、次から次へとああしなさい、こうしなさいと細かく口出しをしてしまうママ・パパもよく見受けられます。でもしつけの究極の目的は、子供の思考力、子供の自主性を育てること。
小さいうちから、いちいち行動に口を出されていたら、子供は自分で考えるのをやめ、大人のガイドを待つようになり、人に指示をしてもらわないと何もできない指示待ち人間になってしまいます。
危険なことや人に迷惑をかけること以外は、子供が自分で考えて自分で判断できるように、広い心で見守ってあげることが重要です。
海外の親はどうやってしつけをしている?
子育てに関する親の悩みは世界共通。海外の親たちも日々、子供のしつけで悩んでいます。欧米諸国の多くの家庭では、言うことを聞かない子供には「タイムアウト」と呼ばれるしつけ法を使うのが一般的です。
海外では「タイムアウト」が一般的
タイムアウトとは、子供が悪いことをしたときに、部屋の隅などあらかじめ決めてある場所に連れて行き、「なぜタイムアウトになったのか、どうするべきなのか」を考えるように低い落ち着いた声で伝え、その場を離れひとりにさせる方法のこと。
しばらくしたら子供になぜタイムアウトになったと思うかを聞き、どうするべきかも理解できていれば、ハグをしてタイムアウトは終了。まだ理解できていないようならタイムアウト延長となります。
タイムアウトの時間は、子供の年齢 x 1分が基本なので、3歳なら3分が目安です。
タイムアウトのいいところは、大人も子供も頭を冷やす時間が与えられるところ。子供が言うことをきかないと、つい大人も感情的になって怒鳴ったりしてしまいがちですが、一度、お互いに気持ちを落ち着かせる時間をとることにより、冷静に考えられますよね。また、子供も自分の何が悪かったのか考える時間を与えられることで、自分の気持ちを説明できるようになるというメリットもあります。
子供のしつけで失敗しないために
子育ての中でも、特に悩みが多い「しつけ」。立派な大人になってほしいという気持ちが強いほど厳しくなってしまいがちですが、しつけのもともとの目的に立ち返って、子供がのびのびと成長できるようなサポートをしてあげたいものです。
とはいえ、まだ小さなうちは、毎日の生活の中でのしつけがとても大切になってきます。毎日、親や周りの大人の行動をみて学んでいる子供のためにも特にこの時期は親自身が手本になれるような行動をとるように意識しましょう。毎日子供とバトルで、親も子供もストレス・・・ということにならないよう、楽しくしつけと向き合っていきたいものですね。