不登校の小学生~学年別原因と対応方法
小学生の不登校が年々増加しています。これまで楽しくお友達と遊んでいた幼稚園生活を終えて、子供達はさまざまな心と身体の変化を迎える小学校6年間をスタートさせ、子供から大人への階段を一段ずつ上っていき、変化が著しい思春期ですから、当然親として予想も出来ないような状況になってしまうこともあるでしょう。
「小学校低学年のうちは楽しそうに学校に通っていたのに、最近は休みがち」「子供がいきなり学校に行きたくないと、仮病を使うようになった」と悩む親も増えています。
我が子が不登校になったら、あなたはどのように対応しますか?小学生の場合、学年ごとに不登校の原因や対応方法が変わります。子供ひとりひとりに合った対応を探っていきましょう。
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近年小学生の不登校は増加傾向に…!
文部科学省の平成2年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、小学生の不登校の数が、増加傾向にあるといいます。全体数だけを見れば、小学生の不登校は中学生・高校生に比べると少ないのですが、小学生の不登校数は過去最多をマークしてしまいました。これは、もう他人事ではありません。
ちなみに、平成28年の時点では全国で約31,000人の子供達が、何らかの理由で小学校に通うことができなくなっていて、長期欠席者になると約68,000人にものぼります。
ですが、自分の子供が学校に通わなくなったからと言って、親がうろたえたり落ち込んだりしてしまうと不登校に悩む子供は余計に責任を感じてしまいかねません。親が深刻に考えすぎたことで、子供達が「自分は異常なのではないか」「学校にも通えないで、出来そこないだ」などと思い込んでしまったら悲しいことです。
小学生の不登校は増加傾向にあるということを、はじめに理解しておきましょう。
小学生の不登校~学年別の原因と対応方法とは?
小学校は6年という長い学校生活を過ごす場所です。幼稚園・中学校・高校のほとんどは3年間通うところですが、小学校だけはその倍の6年間通います。もちろん身体は一回りも二回りも大きくなりますし、それに伴って心にもさまざまな変化が現れ、小学校6年生は、色んなことに敏感になる思春期の入口です。
ちなみに小学生の不登校は、学年が上がるほど増加する傾向にあります。全国統計によりますと、小学校1年生では1,000人ほどですが、6年生になると8,000人ほどと増えています。思春期に差し掛かるほどに心のバランスがうまく取れなくなりはじめるために、不登校の割合も高まってしまうのでしょう。
それでは、小学生の不登校の学年別の原因と対応方法について一緒に確認していきましょう。
子供の心は親が思っているよりも速いスピードで成長していきますから、学年ごとの子供の心理状態をきちんと感じ取り、受け止めて、親自身も真剣に不登校に向き合っていくことが大切です。
- 不登校の原因から読み取る子供の心が抱える悩みと親の対応
不登校の原因はいったい何なのでしょうか?親としてその原因を考え、悩みを抱える子供の心に寄り添っていくことが大切です。今回は今の時代、もはや珍しいことではない不登校の原因をリサーチしてみました。
低学年(小学校1~2年)の不登校の原因と対応方法
幼稚園や保育園から小学校に入学することは、子供達にとって大きな環境の変化となります。小学校に上がると園とは違い、学校にいるほとんどの時間は勉強で、先生との距離感も違ってきますし、自分1人でしなければいけないことも増えていきます。
これら環境の変化が子供にとって、親と長時間離れることに改めて不安を感じてさせてしまう側面を持ちます。
さて、小学校1~2年生の低学年の子供達は、どうして不登校になってしまうのでしょうか?思い当たる原因は以下の4つです。
原因1◆親と長時間離れることへの不安さ寂しさ
両親が共働きのため、保育園に通っていた子供達は、預けられる時間が長いので親と離れて過ごすことに慣れています。しかしながら、幼稚園に通っていた子供達は、午後の早い時間にお迎えとなり、親と長時間離れることに慣れていません。
比較的保育園に通っていた子供より、幼稚園に通っていた子のほうが、小学校に上がって親と長時間離れることに不安や寂しさを感じてしまう傾向があります。
原因2◆新しい生活へ順応しきれない
幼稚園の場合は保育園と違って小学校入学に向けた勉強時間を設ける園も多いために、保育園に通っていた子供よりも『授業』へは順応し易いのではと考えられます。逆に保育園に通っていた子供は、新しい環境への違和感を受け止めきれずに不安を抱えてしまうこともあるでしょう。
どちらにせよ、大きな環境の変化によって、親と一緒に居たいという気持ちが強まって、入学当初は登校拒否をしてしまう子供は珍しくありません。
原因3◆ルールや規則の拘束感に馴染めない
小学生になると、わりと自由に過ごせていた幼稚園・保育園の生活から、ルールや規則の中で過ごす集団行動の多い生活になる分、慣れるまで、子供達が感じるストレスも自然と大きくなってしまいます。
授業の開始時間・給食の時間・休み時間の過ごし方など、細かく決められたルールの中で毎日過ごすわけですから、園から進学したばかりの子供が窮屈に感じてしまうことは少なくありません。
筆者の子供も園からの進学でまるで自由を失ったかのような、相当窮屈な感覚でいたようです。
1年生の頃は「(自由な)休み時間が短い、給食の時間も短い、園に戻るか動物になりたい…」としばしば漏らし、不登校にはならなかったものの、学校をズル休みしたがったり、実際にズル休みをしてしまうこともありました。
原因4◆勉強が嫌い
小学校低学年の時点で、学力に大きな差が付くことはほとんどありませんので、勉強について行けないと言うよりは、勉強そのものが嫌い・座ってじっとしているのが嫌だなどの理由で、学校に行きたくなくなる子も少なくありません。
みんなと一緒に座っていられなかったり、また、先生に叱られている理由がよくわからないと居心地が悪くなって、そのまま不登校を引き起こすという状況ができ上がってしまうのです。
- 小学生の子供が勉強しない時にやる気を促す親の接し方
小学生の子供が勉強しないとき、親としてはどのような態度を取ることが望ましいでしょうか。また、反抗期を迎えて言うことを聞かなくなったとき、どのようにモチベーションを高めることができるのか説明します。
小学校低学年で不登校になった子供にどのように対応すればいいの?
低学年で不登校になってしまった場合、親としてどのように接していけば良いのでしょうか?
まず、絶対にしてはいけないことは「学校に行きなさい」と急かすことです。
小学校1年生のうちは特に漠然とした不安が主な原因ですので、「僕はこんな嫌なのに、どうしていかなきゃいけないの?」という素朴な疑問を力ずくでねじ伏せるのではなく、安心して行って来られるように促しましょう。
そして、子供とゆっくり向き合って今どのように感じているのか話を聞いてあげ、子供が小学校から帰ってきたら頑張って行けたことをほめてあげましょう。「そのうち慣れるから」と子供が学校に行きたくない理由も聞かないで、頭ごなしに学校へ行かせるのは、今後の親子関係のためにもあまりおすすめできません。
中学年(小学校3~4年)の不登校の原因と対応方法
小学校3~4年は、中学年という時期に差し掛かります。低学年の頃はみんな仲良くが当たり前にできていたとしても、中学年になれば1人1人の情緒や自我が発達していきますので、人間関係に何らかの変化が現れます。
誰とでも仲良くから徐々に特定の仲良しができて、グループで行動するようになるのがこの時期です。それでは、中学年の子供達の不登校の原因についてまとめてみました。
原因1◆友達関係がうまくいかない
「○○ちゃん好きだけど、△△ちゃんは嫌い」「仲間にいれてあげないよ」など、子供達の中で上下関係が出来たり、いつも行動するグループがハッキリと別れてくるのが中学年のこの時期です。
グループのリーダー的な存在の友達には逆らうことが出来なかったり、集中的に意地悪をされる子が出てきてしまうことも珍しくはありません。
友達関係が良好で学校に行くのが楽しくて仕方ないときもあれば、友達関係がギクシャクして学校に通うのが億劫になってしまうときもあるでしょう。
中学年からは不登校の原因として、圧倒的に友達関係のトラブルが多くなっています。ですが、クラス替えをきかっけに友達関係が変わることによって、不登校がなおることもあります。
原因2◆勉強が難しくなって行きたくなくなる
低学年の時には差が付きにくかった勉強面も、中学年になって理科や算数などの教科が難しくなって行くにつれて、少しだけ学力に個人差が出てきます。
成績優秀な子供と成績不振で悩む子供の差が、どんどん広がっていく時期はまだ少しだけ先ですが、テストの点数も気になるようになってきて、周囲と自分を比較して「自分は頭が悪いんだ」と思い込んでしまう子供もいます。
原因3◆恥ずかしい気持ちに耐えられない
中学年になると「恥じらい」の気持ちが大きくなります。
好きな子がバレてからかわれたり、走るのが遅かったり、テストの点数が低いことで周囲からチクリと言われると、恥ずかしい気持ちが大きくなって学校に行きづらくなってしまうのです。
小学校中学年で不登校になった子供にどのように対応すればいいの?
小学校中学年で不登校になってしまった場合は、ある程度原因を突き止めることが大切です。友達関係がうまくいかないのか、勉強について行けないのかなど、原因によって対応を変えていきましょう。
例えば勉強のつまづきが不登校の原因だったら、宿題を一緒にしたり、塾に通って苦手を克服したりすることをオススメします。不得意なものが得意になれば、自分に自信がついて何事もなかったように学校に通い始める子も少なくないでしょう。
友達が原因の場合、イザコザかそうでないかで対応は変わりますが、基本はしっかりと味方でいてあげることが大切です。一緒になって同級生を悪く言うのではなく、子供が落ち込んでいるときは気を紛らわせてあげたり、話しやすい環境を作ったり、学校に行けないのなら家で安心や自信を取り戻していけるようにしてあげましょう。
高学年(小学校5~6年)の不登校の原因と対応方法
男子は身体つきがたくましくなり、女子は丸みを帯びた女性らしい身体つきになって、早くも思春期に突入し、初潮を迎える子もでてきます。小学校の高学年にもなれば、男女の違いを意識しはじめるために、人間関係のトラブルも起きやすくなってくる時期です。
原因1◆男女を意識することによる人間関係の複雑化
小学校高学年は、思春期を迎える年代です。身体つきが大人に近づいて来るだけではなく、男女を意識するなど、心も大きく変化していきます。
「好きだ」「気になる」という気持ちが表に現れやすく、そのことを周囲の友達にからかわれることで、学校へ行きづらさを感じてしまうのです。小学校高学年になると、人間関係が複雑化してくることから、不登校になってしまう子供も少なくありません。
原因2◆親や教師に対する反抗
小学校高学年になると、思春期を迎えます。早くも反抗期のような態度を示しだす子供もいます。
小学校低学年までは「先生に褒めてもらった」「花丸をもらった」と素直に喜ぶことが出来ますが、高学年になるとそうはいかず、小さな頃のように褒められても素直に受け止めることもできずに、嬉しいという感情が湧いても表現できないことは少なくありません。
また思春期の反抗期は、いわば親から精神的に自立をするための大きな1歩です。大人の一員として認めてもらいたい自己表現は、親や教師に対する反抗心に変わります。こういった反抗期の一連の変化が不登校という形になってしまうこともあります。
- 反抗期の特徴とそれぞれの反抗期の子供の成長
反抗期の特徴は、心と体の発達と密接に関わっています。第一次反抗期、中間反抗期、第二次反抗期と、それぞれの特徴と意味を知ることで反抗期の子供との接し方を知り乗り切りましょう。
原因3◆勉強についていけない
学習内容が難しくなってくるので、クラスの中で成績の良い子とそうでない子の差が大きくなってしまいます。本当は小学校中学校ではまだまだ勉強の遅れを取り戻せる時期であるにもかかわらず、一度自分はできないんだと思いこんでしまうことで、勉強に対するやる気も起きなくなって、さらに成績が落ちるという負のスパイラルに陥ってしまいます。成績が悪いと意識して勉強や学校から逃げるようになり、反抗期がよりひどくなってしまう傾向が見られます。
小学校高学年で不登校になった子供にどのように対応すればいいの?
高学年になると、る程度、子供の意向を認めてあげることも必要です。内心は不安を大きく抱えたデリケートさがあるので、不登校だからと言って頭ごなしに怒って突き放すのではなく、きちんと話を聞いてあげながら、『適度に』大人扱いしてあげましょう。
子供が心を開いて安心して相談してくることがあれば聞いてあげたり、何も言わないのであれば子供が相談しやすい環境を整えてあげるのも大切です。
高学年になると情緒も不安定になりがちです。学校へ通うことに大きなストレスを抱えている様子なら「今日は学校でどんなことがあったの」と、学校での様子を聞いてみましょう。「どうして学校に行きたくないの?」「何があったの?」としつこく問い詰めるようなことはしないで、自ら話してくれるのを待つ根気も必要です。
勉強よりも自分に向き合ってじっくりと考える時間が必要だということが見えてくる場合があります。
また、高学年の子供が不登校になってしまうと、自信を喪失し再び学校に行くことのハードルが上がってしまいます。現在の勉強や友人が全てであると認識していると、自信を持てずに学校に戻り難くなってしまうため、運動・音楽・趣味などの自分の得意分野を見つけて、自信を育めるようにさり気なく応援してあげましょう。「学校へ行っていない=自分にはなにもない」と子供が思い込むのではない、得意分野が見つかると心強くなります。
勉強はフリースクールを活用するのも手
不登校の小学生を持っていたら、世間体が…などと親戚家族に言われてしまうこともあるでしょう。しかし、学校に通うことが出来ないからと言って「ダメな子」「普通の子ではない」と思わないで欲しいのです。
勉強なら、学校に通わなくても、今はフリースクールという学びの場があります。フリースクールとは、何らかの理由から学校に行くことができない子供達が過ごす場所です。
- 学校が辛いと打ち明けられた時の子供に寄り添った対応
学校生活が辛いと子どもに告白されたとき、あなたはどう受け止めてあげられますか?学校が辛いという子どものリアルな現状を探り、親としてどう対応すべきなのか、学校以外の選択枠などについても詳しく解説します。
基本的にフリースクールは、個人経営・NPO法人・ボランティア団体などが運営していますので、費用・教育理念はそれぞれ異なりますが、子供達に無理をさせないで、少しでも楽しく過ごしてもらうことを目的としているため、規則やルールにそれほど縛られることはないといえるでしょう。
不登校の悩みは子供にも重くのしかかりがちですが、学校に無理に通って状況を悪化させるのではなく、自分にあった環境で勉強をしながら自分のペースで人と関わりを持ち始めてみるのも、子供に新しい価値観を持ってもらう方法です。
今回は、不登校の小学生の学年別の原因と対応方法について紹介しましたが、小学校は心身ともに大きく成長をしていく時期。周囲と自分との距離に悩んでしまうこともしばしばですが、親である以上、出来る限り子供の声に耳を傾けて、気持ちに沿った対応をしていってあげてください。