認証保育園とは?認可保育園や無認可保育園との違いや特徴とは
認証保育園と認可保育園との大きな違いは、認証保育園は東京都が独自の基準で設置している保育園だという点です。ですから、東京都以外の人は認証保育園を利用することができません。待機児童が特に問題化している東京都で、その問題を緩和するために設置されています。
2013年に始まった制度で利用者も増えていますが、未だに認可保育園との違いが分かり辛い面があります。そこで、認証保育園の特徴やメリット・デメリットを紹介します。
認証保育園・認可保育園・無認可保育園の違い
認証保育園と既存の認可、無認可保育園との違いは次のようになります。下記以外にも細かな違いがあるので、選択する際には入園したい施設を事前に調べることが必要です。
子供を抱えて園を回るのは大変ですが、認証・認可・無認可と気になるところには実際に足を運んで、大切な子供を預ける場所を検討してください。
認証保育園の認可・無認可とは異なる特徴10個
認証保育園には、認可、無認可保育園とは異なる特徴がいくつかあります。より違いを把握するために、代表的な特徴を10個見てみましょう。
1.東京都に限った保育施設
認証保育園の大きな特徴は、東京都に限った施設であるという点です。都市型保育施設として待機児童問題を緩和するための取り組みなので、他県で保活しているママにとっては無関係です。しかし、今後同じような取り組みが始まることも考えられます。
働きたいママにとって、待機児童の問題は本当に辛いものです。私も、第一子のときは認可保育園に入れず、選択肢の少ないまま不安な状態で無認可保育園に預けている時期がありました。その時期は、働いていても子供が心配で、仕事に集中できずにいました。
無認可保育園がいけないというわけではなく、一定の基準がない保育園というのは保育内容に大きな差があるので、施設によっては不安を感じる場合もあります。認証保育園のように、一定の基準を設けた施設が増えることは親としてはありがたいことです。
2.A型とB型の保育スタイルがある
認証保育園には基本スタイルであるA型と、家庭的な保育スタイルであるB型の2種類があります。それぞれの特徴は以下のようになります。
A型保育
民間企業などが運営する保育所で、駅前に設置することが義務付けられています。入所できるのは0~5歳で、保育人数は20~120名と決められており、認可保育園に比べると少人数の保育になります。駅前という立地上、園庭のない園も多いのが特徴ですが、親のニーズに合わせた保育が魅力です。
B型保育
個人が運営する保育所で、入所できるのは0~2歳です。かなり小規模保育で、保育人数は6~29名となっており、アットホームな保育が魅力です。保育人数が少なく、ひとりひとりに目が届きやすいので、働くママは乳児を安心して預けることができます。
3.保育料は施設によって異なるが上限はある
認証保育園の保育料は、施設が直接徴収するので金額はそれぞれ自由に設定できます。しかし、東京都は保育料が高額になりすぎるのを防ぐために上限を定めており、3歳未満児で80,000円、3歳以上児で77,000円とされています。
上記の保育料は、一か月で220時間利用の場合で、長時間保育になると別途の給食代やおやつ代が必要です。認証保育園の保育料の平均は5万円前後なので、認可保育園より高額になります。
4.補助金制度があるので利用前に確認が必要
認証保育園は認可保育園に比べて高額になりますが、区が補助金制度を設けているので認可保育園と同額程度で通園できる場合があります。
ある区では認可保育園に入所した場合の差額を、上限3万円まで補助してくれる制度があります。この制度を利用すると認証保育園の保育料が月額60,000円だったとしても、同じ区内の認可保育園に入園した場合の保育料が月額32,800円だったら、27,200円が補助される計算になります。助成制度は各区で異なるので、お住いの区の制度を調べてみましょう。
5.入所の申し込みは直接施設にする
認証保育園は4月入園などの決まりがなく、それぞれの施設が設定しているので、直接相談しなくてはいけません。5月には翌年の募集をしている園もあるので、入園を検討している園があれば翌年を待たずにすぐ行動しましょう。
また、入園が先着順で決まる場合もあれば、施設が独自の選考基準で選ぶ場合もあります。先着順の場合はその情報を早めにつかんでおかなくては、入園の機会を逃してしまいます。入園を希望する園があれば、早めに情報収集に取り掛かりましょう。
育休期間が決まっているママは、妊娠中に見学に行って仮の申し込みを済ませることで、翌年スムーズに入園できる場合もあります。妊娠中の移動は大変ですが、仕事復帰前に慌てなくていいよう、事前に準備することを忘れずに行ってください。
6.保育所と利用者が直接契約するので嘘はNG
認可保育園は市区町村に申し込みしますが、認証保育園は入りたい施設と利用者が直接契約します。利用時間なども、申し込み時に申請し契約することになるので、仕事や生活状況などで嘘をつくと、入園後に苦労することになります。
認可保育園では仕事で忙しいママの方が入園しやすい傾向にありますが、認証保育園の審査基準は不透明で、未だにハッキリした基準は分かっていません。しかし、認可保育園と違い自分たちが保育する家庭を選ぶことを考えると、あまりに忙しく預けっぱなしになるような家庭は避けるでしょう。
また、嘘を書くような家庭も信頼関係を築けずに入園後トラブルになることがあるので、認証保育園に申し込みをする場合は、無職や短時間のパートなどでも嘘を書かず正直に記載しましょう。
7.0歳児からのお預かりが義務付けされている
認可保育園では施設によって0歳児を預けられない場合がありますが、認証保育園は0歳児の預かりが義務付けられています。育休期間が決まっているママは、出産後すぐに預かってもらえる施設が増えるのはありがたいことです。
認証保育園に0歳児から通わせているママは、認可保育園や幼稚園の空きが出たら退所させて移動する人も多いので、あなたの仕事や周辺の保育所事情に合わせて検討してください。
8.開所時間が認可保育園に比べて長い
認可保育園は基本的に11時間開所ですが、認証保育園は13時間開所が義務付けられています。開所時間が2時間長いことで仕事復帰がスムーズになったり、選択する職場の幅が広がったりするのでワーキングママには助かります。
また、現在残業が多いママや勤務時間が不安定なママは、二重保育をしている人も多くなっています。二重保育とは、同時期に2つの施設やサービスを利用することで、例えば朝から幼稚園に預けて帰宅時間になったらベビーシッターを頼む、といったことも二重保育になります。こうした二重保育の問題も、保育時間が長くなることで解消できる場合があります。
9.ニーズに合った施設が選べる
認証保育園は認可保育園に比べて基準が緩和されていることも多く、開所時間が長いこともあってニーズに合った園を選ぶことができます。しかし、保活激戦区では認証保育園の競争率も激しいので、希望した園に入れないということは当然のように起きています。
認可保育園に申し込みをする場合も、認証保育園を並行して調べ見学などを早めに済ませておくと、保活がスムーズに進みやすくなります。
10.独自のカリキュラムを充実させている
施設によって大きく異なるのですべての認証保育園がそうとは言えませんが、認可保育園に比べて独自のカリキュラムを充実させている園が多いのも特徴のひとつです。
特に多いのが英語やリトミックなど、習い事としても人気の高いカリキュラムを取り入れている所です。認可保育園でも増えてきましたが、園児の数がダイレクトに運営に関わってくる認証保育園の場合、他の保育園と差別化を図るようなサービスを取り入れるのに積極的です。
また、認可保育園と違い料金を支払う利用者は、お客様という意識が強いので、保護者の負担を少なくしようという取り組みも、認可保育園より充実しています。
認証保育園の登場で、保活をしているママの選択肢が広がりました。しかし、未だに都内での待機児童問題は解消されていないので、今後こうした取り組みがもっと活発になることが望まれます。
認証保育園のメリットとデメリット
認証保育園に入園を検討しているなら、メリットやデメリットを把握しておかなくてはいけません。施設によって広さや園児の数、保育内容が大きく異なるのであくまでも参考として見てください。
もちろん、認可保育園や無認可保育園にも、それぞれ良い面と悪い面があるので、あなたの育児スタイルや働き方に合わせて入園先を検討しましょう。
認証保育園のメリット
認証保育園には、認可保育園などと比べてどんなメリットがあるのでしょうか。代表的なものでは、次のようなことが挙げられます。
認証保育園のメリット
- 認可保育園に入所できないときの新たな選択肢になる
- 園の立地が預けやすい場所にある
- 開所時間が長いので、安心して仕事復帰できる
- 保育の目が行き届いている
- 融通を利かせてくれる
- 個人のニーズに合った場所を選べる
- 年齢が違う子供とも交流できる
特に大きいメリットは、預けやすい駅前などに場所があることや、個人のニーズに合った場所を選べるという点です。他にも、認可保育園より融通を利かせてくれることが多い点も、働くママにとっては嬉しいメリットです。
少人数なので保育の目が届きやすいというのも、ママとしては安心できる大きなポイントです。認可保育園に入園が決まると認証保育園を退所する子供も多いのですが、子供が安心して通えるのでそのまま就学まで通わせるママもたくさんいます。
認証保育園のデメリット
認証保育園にもデメリットはあります。次のようなことが考えられるので、入園を検討しているなら把握しておきましょう。
認証保育園のデメリット
- 施設ごとに料金や保育内容が違うのでしっかり確認しなくてはいけない
- 保育料が認可保育園に比べて高額になる
- 保育する人数が少ないので寂しさを感じることがある
- 施設によって保育レベルが違う
- 園庭の・保育所自体が狭い施設がある
- 認可保育園に移ったとき戸惑うことが多い
デメリットになっているポイントも、園独自の工夫で解消している所もありますし、見方を変えればメリットになることもあります。施設ごとに保育内容が違うので、必ず事前にいくつかの認定保育園を見学し、実際にあなたの目で見て入園を検討してください。
どんなに立地が良くても狭くて窮屈なイメージであれば、子供を通わせるのは不安です。しかし、園によっては外遊びを頻繁にしてくれる場合もあるので、一概にデメリットと言えません。こうした細かなことも実際に行ってみなくては分からないので見学や相談は積極的に行いましょう。
メリットやデメリットは、個人の考え方や子供の性格によって変化します。特徴をしっかり把握して、園の方針などもチェックした上で、ピッタリの施設を選ぶようにしましょう。
認証保育園を上手く利用して仕事復帰をスムーズに!
認証保育園は保活をしているママの選択肢を広げてくれる一方で、認定保育園との違いや、それぞれの施設での運営方法の差に戸惑いを感じる人も多いです。それを解消するには、基本的な特徴を把握した上で、実際に施設に出向いて相談することが一番です。
急いで仕事復帰をしなくてはいけないママにとって、育児をしながら園を探すのは大変な作業です。しかし、妥協したことで入園後に後悔することもあるので、しっかり情報収集し、パパや周囲の人に協力してもらって最適な園を見つけてください。上手く活用できればつらい保活からも解消されます。