見立て遊びが子供に与える影響
見立て遊びの重要性は?子供の想像力を養う為にできること
見立て遊びをする姿が見られるのは2歳くらいからです。おもちゃを何かに見立てて遊ぶのはまさに想像力が発達している証拠。親として見立て遊びの重要性を理解して子供の成長に良い影響が与えられるような姿勢が求められます。
見立て遊びってどんな遊び?
見立て遊びとは、実際にその場に無い物を、まるで本当にあるかのように、他の物を使って見立てながら遊ぶことです。
例えばコップの中に何も入っていないのにゴクンと飲む仕草をしたり、積み木や石などを電話のように耳に当てて「もしもし~」と言ったりする遊び方です。
見立て遊びは日常生活において親がよくする行動や言動を真似することが多く、自分が親になったつもりで人形に何かを教えるという遊び方もよく見られます。見立て遊びをする時の想像力や発想力は、子供の成長に良い影響を与えてくれます。
見立て遊びをする年齢
一般的に見立て遊びをするようになるのは2歳前後です。子供は2歳になると思考能力や伝達能力、言語能力が急激に発達します。
いつも一緒にいる大人の行動をよく観察しているので、お料理や掃除などを真似してみたいという感情が湧くようになります。
第一次反抗期である「魔の2歳児」と言われる「イヤイヤ期」が訪れると同時に、とにかく「真似したい!」「自分でやりたい!」という時期でもあります。
しかし、これは成長するためには重要な感情なので、親は頭ごなしに否定するのではなく気長に付き合ってあげる必要があります。見立て遊びもその一環なので、子供の目線に合わせて一緒に楽しんであげましょう。
3~4歳にはごっこ遊びに発展
3~4歳くらいになると、お人形などを上手く使いこなして、自分で場所やセリフなどの設定ができるようになります。何かを見立てるのではなく、自分が他の人物や物になりきって遊ぶ「ごっこ遊び」に発展します。1人で遊ぶ場合もありますが、親やお友達を誘ってそれぞれの配役を決めて遊ぶようになります。
5歳前後はなりきり遊びに変化
さらに5歳くらいになると、自分が誰かになりきって、その人が言いそうなセリフを考えることもできるようになります。
また、1人ではなく複数の役になりきることもできるようになり、仕草や言葉を使い分けることもできます。
無限の想像力が働くことで、それぞれの役になりきって的確に演じることができるのでしょう。
ただの遊びとはいえ、1人が複数の役を演じるということはかなり成長をしている証拠です。なりきる相手の視点に立って気持ちを汲み取ることができるなんて、すごいことなのです。
見立て遊びが子供に与える影響7つのこと
見立て遊びをし始めることで、これまでとは違った影響を受けるようになります。それらの影響は成長過程において必要不可欠であり、この世に生まれてきて間もない子供に訪れる重要な変化でもあります。では、見立て遊びではどんな影響を受けるのでしょうか。
想像力が養われる
子供が見立て遊びをしているのを観察していると、大人では到底思いつかないような想像力に驚かされる時があります。形状が似ているもので見立てるのは想定内ですが、例えば積み木を人間に見立てたり、どう見ても似ていない同士が頭の中で一致するのは子供ならではの発想です。
何かを見た時に「あれに似ている!」とひらめき、逆に興味を持った物を「何で見立てればよいのか?」と考え、そこからイメージをどんどん膨らませて見立て遊びが始まり、さらに想像力が養われていきます。
人の気持ちを理解できるようになる
見立て遊びをしている時は、自分以外の人や物が頭の中に登場します。その相手と1人2役で会話をする中で喜んでもらえるようなセリフを考えたり、悲しむような発言は控えたりすることができるようになります。
つまり相手の気持ちを察することができるようになるので、今後のコミュニケーション能力にも大きな影響を与えます。
自分以外の人と一緒に遊べるようになる
3歳くらいまでは1人で見立て遊びをする姿をよく目にしますが、徐々に他の人を交えての見立て遊びが楽しくなり始めます。親や祖父母と一緒に、また子供同士でそれぞれの役柄を決めて、それまでよりも高度な見立て遊びの内容になります。
指先の発達につながる
見立てたものをそれらしく動かすには、手や指先を上手く使う必要があります。それまでは物を握ったり、投げたり、叩いたりすることしかできませんでしたが、何かを持って指先を使った動きができるようになるのは、小さな子どもにとってかなり大きな発達と言えます。
言葉の発達につながる
見立て遊びで指先が発達すると同時に、視覚や聴覚も発達します。色や形がより細かく認識できるようになり、音にも敏感になります。積み木を車に見立てて走らせている時に「ブーン」、電車に見立てて「ガタンゴトン」と音で表現することができるようになります。
表象が理解できるようになる
「表象」とは言葉では表現出来ないことを他の何かに置き換えて表現することで、分かりやすくいえば「イメージ」することです。対象物を連想させるような、身の周りにある物を使って見立て遊びをすることで、抽象的な理念も理解できるようになります。
例えば、自分の家にいる犬とお友達の家にいる犬は子供にとって全く別物ですが、どちらも「犬」というグループに属しているということを理解し始めます。
ごっこ遊びができるようになる
実物ではない何かを見立てながら、自分でイメージを作り上げて遊ぶことができるのが見立て遊びです。見立て遊びできるようになると、同じくらいの年齢の子供同士が集まった際、一緒に見立て遊びを楽しめるようになります。そこで、それぞれの役割を決めて遊べるようになればごっこ遊びに発展します。
ごっこ遊びでは、さらに見立て遊びでは得られなかった想像力や発想力を得ることができるので、幼児期の子供にとっては見立て遊び→ごっこ遊びというプロセスが非常に重要な成長過程と言えます。
見立て遊びとごっこ遊びの違いとは?
見立て遊びは、大抵身近な物を使って単純な動きをすることから始まり、言葉や音で表現するようになり、それを使う時の簡単な大人の仕草を真似る遊びです。それに対してごっこ遊びは自分以外の誰かになりきる遊びです。日常生活で大人の様子を観察したり、テレビから得る情報を元に、自分の中で印象に残っているシーンを再現します。
さらに独自の設定を加えて、自分の世界観を想像しながらごっこ遊びをする子供もいます。
見立て遊びをする時に便利なおもちゃ3種類
子供の発達に伴い、それぞれの年齢に適したおもちゃがあります。見立て遊びができるようになる2歳頃からは、できる限り子供の創造力を伸ばしてあげることができるおもちゃが重宝します。
例えばおままごとをする場合、1歳くらいの子供は包丁や鍋、果物、野菜など、パッと見てすぐにわかる具体的な形状のおままごとセットで遊ぶことが多いです。中にはマジックテープで切り離せるようになっていて、包丁で切る真似をすることができる物もありますが、これはまだ何かを見立てて遊ぶのが難しいからです
しかし見立て遊びができるようになると、具体的な造形があるおもちゃがあるとひとつの遊びしかできなくなってしまいます。そこで役に立つのが、次のような積み木やおはじきといったプレーンなおもちゃです。何にでも見立てやすいおもちゃを自由に使って、無限の創造力を引き出すことができます。
積み木
幼児のおもちゃの定番でもある積み木は、積んで遊ぶだけではありません。つなげて電車に見立てたり、丸い積み木を上手く使って車輪に見立てたり、スマホと同じくらいの大きさを選んで電話に見立てて遊ぶことができます。
子供が見立て遊びをする時に定義はありません。親にしてみれば積み木同士が戦っているように見えても、子供にとってはヒーローと怪獣が戦っているので、自由に遊ばせてあげましょう。
おはじき
昔ながらのおもちゃであるおはじきは、子供から見ればキラキラした宝石みたいで、様々な想像力を掻き立てられるおもちゃです。ひとつひとつカラーリングが違うのも見立て遊びに取り入れやすいです。
例えばおままごとをする時に同色系に分けて食材に見立てたり、全部混ぜてサラダやチャーハンにすることもできます。また、お買い物をする時のお金に見立ててお店屋さんごっこをするのも良いですね。
チェーンリング
カラフルなプラスチックのチェーンリングは、様々な物に見立てることができる手軽で便利なおもちゃです。バラバラでもつなげても遊べますが、幼児にとってはつなげるのがなかなか難しいので手伝ってあげましょう。
白いチェーンリングばかりをつなげて麺に見立てて、緑や茶色を具として上に乗せればうどんやラーメンができます。また、鍋に様々なカラーのチェーンリングを入れて具沢山のスープを作ることもできます。
おままごと以外でも長くつなげて、男の子はヘビや電車、女の子はアクセサリーに見立てるのも楽しめます。積み木やおはじきといった形状の違うおもちゃと合わせて何かに見立てるとさらに想像力が広がります。
お砂場は見立て遊びに最適な遊び場
見立て遊びは室内だけではなく、公園の砂場でも楽しめます。
見立て遊びができるようになる前は、スコップで土を掘ったり、型抜きをしたりするのが主流です。大人がやる様子を見て真似できるようになり、自分で試行錯誤しながらうまくできるようになります。
しかし2歳頃になって見立て遊びができるようになると、砂を高く積んでお山に見立てたり、穴を掘ってトンネルに見立てたり、水を流して川に見立てたりするようになります。室内では味わえないダイナミックな見立て遊びをすることで、さらに想像力と創造力の両方が養われます。
また、公園では他の子供と触れ合う機会も多いので、道具を貸してあげたりすることでコミュニケーション能力も身に付けることができます。自分よりも小さい子にやり方を教えてあげる仕草も見られるようになるでしょう。
親は見立て遊びに関わる時の4つのこと
見立て遊びは子供の成長に大きな影響を与えます。親としては見立て遊びにどう関わればベストなのかを知って、子供の持っている力を伸ばしてあげましょう。
子供の想像力を広げてあげる
見立て遊びをしている子供に対して口出しをしたくなる気持ちはよくわかります。「それじゃないでしょ!」「その遊びをするなら使うおもちゃはコレじゃない?」など、すでに多くの知識を持ち合わせている大人だからこそ意見したくなります。
しかし遊びの内容を大人から決められることで子供の創造力はストップしてしまいます。具体的な遊び方を決めつけるのではなく、遊び道具を探して「今度はこれで遊んでみたらどう?」と提案をしてあげるのがベストです。子供が迷っていたら「これ〇〇に似てない?」とヒントを与えてあげるくらいで十分です。
限られた材料を子供なりに創意工夫しながら見立て遊びをすることが大切なので、完成したら「凄い!」と褒めて自尊心を育ててあげましょう。
1人で見立て遊びができるようになったら、空き箱や新聞紙、トイレットペーパーの芯など家にある物を与えて子供自身がイメージする物を作らせてみると、きっとビックリするような素晴らしい作品が完成するでしょう。
普段から言動や行動に気を付ける
見立て遊びをする時に子供の創造力を後押しするのは、周りにいる大人の言動や行動です。子供は大人の言動や行動をヒントにして、身の回りにある物を使ってそれを自分が実行しようとします。
実は子供には生存本能として、大人の真似をすることで生き延びることができるという考え方が備わっているので、大人の真似、特に一番身近な存在である親の真似をするのは本能なのです。見立て遊びで大人の真似をすることで、本能的な欲求が満たされると言えます。
親が音を立てて食べれば子供もそれを真似しますし、ドアを足で閉めれば子供も真似します。「見立て遊びやごっこ遊びから家庭環境がわかる」と言われているので、子供にしつけをする前にまず自分の言動や行動に気を付けるようにしましょう。
子供と一緒に楽しむ
見立て遊びは1人で楽しむ時もありますが、2歳といえばまだまだ親と一緒に楽しみたい気持ちが強いです。見立てる対象に少々無理を感じても、あえてそれを指摘するのではなく子供と目線を合わせるようにして一緒に楽しみましょう。
また、自分以外の役を演じる時は「〇〇だったらこう思うんじゃないかな」と相手の視点に立って考えてみると、人の気持ちを考慮する姿勢を子供に示すことができます。
真似したい!と思われる対象になる
子供が自分をパパやママに見立てて遊ぶケースもあります。例えばママの役を演じる時は、子供自身がママのことをどう思っているのかが反映されます。怒ってばかりいるなら、子供は普段からママのことを「怒ってばかりいる人」だと認識していると言えます。
さらにナイーブな子供になると「怒ってばかりだからママの役はやりたくない」と言い出すケースもあります。もちろん悪いことをしたら怒るのは悪い事ではありません。しかし子供のイメージとして残るのはいつもイライラしていたり、理不尽な理由で怒られたりしたことです。
子供と一緒に見立て遊びを楽しむことができるように、いつも「ママの役になる!」と言ってもらえるような関係を築きましょう。
見立て遊びを親子で楽しみ想像力豊かな子供に育てる
見立て遊びをすることによって、子供の創造力はどんどん成長します。一番近くで子供を見守っている親として出来ることは、時には見守り、時には一緒に楽しむことです。子供の世界観を尊重しながら見立て遊びを一緒に楽しむことで、子育ての楽しさも見つけることができるでしょう。
見立て遊びが上手にできるようになったら、子供の遊びは徐々にごっご遊びへと発展していきます。ごっこ遊びについてもっと知りたいという方は、ごっこ遊びの年齢別の遊び方をご覧ください。