3~4歳の子供には鉄棒の前回りって難しい
「鉄棒の前回りってどうすればいいの?」と、子供から言われたらどうしますか?鉄棒の前回りを難なくできる人でも、誰かに教えるとなると、どうやって教えていいのか戸惑う人もいるでしょう。
自分で練習をするよりも、人に教える方が難しいものです。まして、体で覚えることを口で説明して、分かってもらうのは至難の業です。
そこで、今回のテーマは「必見!鉄棒の前回りの教え方」です。早速ご紹介していきましょう。
子供が鉄棒の前回りができない理由
鉄棒の前回りは日常的な動きではないので、出来なくても当たり前ですし、いきなりできる子供も稀です。
中には、お手本を一度見ただけで簡単にこなしてしまう子供もいますが、ほとんどの子がすんなりと出来ないものです。では、どうして鉄棒の前回りが出来ないのでしょうか。
鉄棒の前回りを教える際に、どうして前回りができない子供達がいるのか、できない理由を知っておく必要があります。考えられる理由を次に3つ挙げてみます。
理由1.ジャンプ力が足りない
鉄棒の前回りの醍醐味は、やはりグルリと回るところです。しかしながら、回るにしても、鉄棒に上半身を委ねる体勢にならなければ、グルリと回ることができません。
鉄棒の前回りをするにあたっての第一段階は、お腹ではなく、伸ばした腕で体を支える、いわゆる「ツバメのポーズ」になることです。
低めの鉄棒の場合はあまり気になりませんが、高さがある鉄棒の場合はジャンプ力が必要です。ジャンプ力が足りなくて、ツバメのポーズが上手にできないという子も少なくないのです。
理由2.手が痛い
中には、素手で鉄棒を握ると、手に痛みを感じる子がいます。ケガをしているわけではないのですが、錆びた鉄棒を握って手の平がヒリヒリしたり、ギュッと強く握っていると痛くなってしまうのです。
敏感な子は「手が痛い。もういやだ」となってしまうので、錆びていない、新しい鉄棒で練習することをおすすめします。
理由3.空中でグルリと回れない
鉄棒の前回りは、人間が恐怖感を覚えてしまいやすい動作なのです。自分の目線よりも高いところから、頭から地面に落ちていくような感覚になります。
しかも、ゆっくりではなく、勢いよく落ちていくので、前回りができない子供が恐怖感を覚えるのも、納得がいきます。
このように、鉄棒の前回りができないという子供は、大きく分けて上記の3つの理由で苦手だと感じている人が多いのです。
鉄棒の前回りを教えていく際に、どうして子供達ができないのかを考え、その理由に合わせた練習方法・克服方法を見つけていきましょう。
鉄棒の前回りに必要な身体能力を鍛える方法4つ
鉄棒の前回りができるようになるには、苦手意識を克服するだけではできるようになりません。
前回りのやり方が頭で分かっていても、体がついていかなければできませんので、ある程度の身体能力を身に付ける必要があります。そのためには4つの身体能力が必要になります。
能力1.鉄棒に飛び乗るジャンプ力
前回りをするためには、鉄棒にぴょんと飛び乗るジャンプ力が必要です。高さのある鉄棒の場合は、腕の力も必要ですが、特にジャンプ力が必須です。
鉄棒に限らず、バレー・バスケ・縄跳びなど、ジャンプ力はさまざまな運動で必要になるので、ジャンプ力を鍛えておくのは無駄にはなりません。
その場で何回もジャンプをして、垂直に跳ぶということに慣れましょう。
最初は小刻みに、だんだんと高くジャンプをするように意識をしていくと、自然と高さのあるジャンプが出来るようになります。
能力2.指で鉄棒を握る力
くるんと前に回る際、ギュッと握ることができないと鉄棒から落ちてしまうため。日ごろから力強く握るという鍛錬をして、握力を高めておく必要があります。
手をギュッと強く握り、そしてパーッと開く練習をさせてあげてください。
テレビを見ながら、お風呂の中、バスや電車の移動時間などの空き時間に、グーパー運動をさせて、握力を鍛える練習をするクセをつけると、時間の有効活用にんもなります。
能力3.腕で体を支える力
鉄棒に飛び乗った際、腕の力が弱いとツバメのポーズができないため、全身を両腕で支える筋力が必要になります。さらに、安全に前に回るためにはバランス感覚も重要です。
手軽な方法は、うんていやジャングルジム遊びです。公園で遊びながら腕力がつきます。それは、鉄棒を使って懸垂をする方法です。
鉄棒の練習を始める前のウォーミングアップ方法として、懸垂をして両腕の筋肉を鍛えるだけではなく、握力のアップにもつながります。
能力4.頭が下になる恐怖に打ち勝つ力
毎日を過ごしていく中で、頭を下にして過ごすことはあまりないでしょう。だからこそ、慣れるための練習が必要なのです。
頭が下になる恐怖は、意外と大きいものです。「落ちたらどうしよう」「頭に血が上っている気がする」という恐怖は、子供にとってはとても大きなものです。
そこで、自宅でできる「頭が下になる恐怖に打ち勝つ練習法」を紹介します。
- あまり高くないイスを用意します。
- イスの上に正座をして座ります。
- そのままの体勢で前かがみになり、両手を地面に近づけます。これで、頭を下げた姿勢になれます。
- そのままの体勢で20~30秒キープしてください。
最初は怖がりますので、手を添えてあげましょう。体のバランスをとりながら頭を下げられるようになったら、両手をイスの上から出さず、体だけで頭を下げる練習をします。
くれぐれも、バランスを崩してイスから落ちてしまわないよう、すぐにフォローできるようにしておいてください。決して、子供だけで練習をさせないよう、注意しなければいけません。
この他にも、鉄棒で前回りせずに、頭を下にした状態をキープする方法もあります。
もちろん、落ちないんだよ。というフォローで、手を添えてあげるのを忘れないでください。
子供に鉄棒前回りを教える5つのポイント
「子供が分かりやすいように、鉄棒の前回りを教えてあげたい」と思うのは、親としては当然の気持ちです。ですが、子供に限らず、人に鉄棒を教えるのは本当に難しいものです。
教えるポイントを意識して、子供達が1つ1つのコツを確実にこなしていけるようにしていきましょう。
1.鉄棒をお腹に引き寄せる
前回りをするためにはお腹が鉄棒につかなければならないため、慣れないうちは低めの鉄棒を選ぶことが大切です。
チャレンジ精神があるのはとても良いことですが、最初から難易度の高いことに挑戦すると、なかなか前回りができなくて、落ち込んでしまう子も少なくありません。最初は簡単に出来ることから始めて、少しずつ難易度を上げていきましょう。
2.電柱に止まっているツバメになりきって止まる
ここからは、サポートが必要となってきます。子供が安心して鉄棒の前回りの練習が出来るように、しっかりとサポートしてあげてください。
- ジャンプをして鉄棒に飛び乗ったら、ツバメのポーズをします。
- ツバメのポーズをしたら、両膝の裏に手を添えて、サポートをしてあげましょう。
体に触れてあげるだけで、子供達の安心感はアップして、チャレンジする気持ちが後押しされます。
3.ツバメのポーズの状態から腕を少しずつ曲げていく
鉄棒の前回りで一番恐怖を感じるのは、頭を下にして降りてくるところです。慣れないうちは、両手で体を支えきれなかったり、恐怖心から手を離してしまい、頭から落下してしまう可能性もあります。
そこで、回る時に子供の膝の裏と胸のあたりに手を当てて、回る時の支えになりましょう。
4.頭を下におろしていき、グルンと回る
グルンと回る時には、鉄棒から落ちないよう、背中に手を当ててあげましょう。回転する時に気を付けることは、子供に具体的な指示を出すことです。
「足を曲げてみようか?」「腕を少し曲げてみて」「腕を体の方に引き寄せて」と教えてあげると、子供に分かりやすく伝わります。ただ回ってみてと指示しても、どうやって回ったらいいのか分からないので、鉄棒の前回りができないのです。
5.頭が地面のところまで下がったら、両足を曲げる
頭が地面のところまで下がったら、両足を曲げましょう。足を曲げないと反動が付かず、前回りが出来ないので「ひざを抱えるようにして回ってみようね」とアドバイスしてあげてください。
子供は教えてくれる人の言うこと忠実に守ろうと努力するので、次に何をすれば良いのかを出来るだけ具体的にアドバイスすることをおすすめします。
保護者がそばにいるという安心感が後押しする
「何かあった時に、保護者がそばにいてくれるから大丈夫」という安心感は、子供のチャレンジ精神を後押ししてくれます。鉄棒の前回りはアクロバティックな要素もあるので、鉄棒ができない子供も勇気を出して取り組む必要があります。
保護者がそばにいて、見守ってくれているという安心感は、鉄棒の前回りに挑戦する子供には、必要なことなのです。
子供が1人で鉄棒と向き合って、コツコツと練習を重ねるのも大切な時間ですが、保護者がそばで見守っている中で、褒められたり、教えてもらいながら練習を重ねる時間も大切です。
鉄棒の前回りは難しい!でも諦めないで!
鉄棒の前回りは、普段する動きではありませんから、どんなに一生懸命鉄棒の前回りを教えても、子供がすぐにできるようになるとは限りません。むしろ、すぐに鉄棒の前回りをマスターする方が珍しいです。
そこで、子供が鉄棒の前回りを習得するのは長期戦になるものだと心得ておきましょう。出来ないことに対し、モチベーションを高めながら取り組んでいくのは、想像以上に大変なことです。
子供のテンションが下がってしまうと、なかなか練習も続かないので、子供が楽しんで練習できる環境を作り上げましょう。
褒めて伸ばす!これ大事です!
「どうしてできないの?」「何でこんなに教えているのに、できないわけ?」と子供を責めるような口調で伝えても、絶対うまくは行きません。年齢が低いほど、褒めて伸ばしてあげることが大切になります。
ですが、毎回同じ褒め言葉だと、その場で取り繕っている言葉だと、敏感な子供は感じ取ってしまいます。ですから、褒め方にもバリエーションを付けるようにしましょう。
参考までにまとめましたので、ぜひご覧ください。
褒め方のバリエーションを増やそう
「しっかり鉄棒を掴んでいるね!そのままつばめのポーズを10秒続けよう!」
と、具体的な秒数を提示する。
「すごい!前回よりも○○ができているよ!」
など、子供の小さな成長を見逃さず、具体的に褒めてあげる。
「頑張っているのがわかるよ!チャレンジするたびに、上手になっているね。」
「今は出来なくても、ここまで出来るようになったことがすごい!」
現状をしっかりと褒めてあげることが大事。
「ママも一緒に頑張る!」
「手が痛くなったら、少し休憩しようか。パワーが溜まったらまたやろうね。」
など、無理をさせず、余裕を持たせてあげることも大事。
「頑張っているね」「すごいね」このように褒めてあげるのは、とても良いことです。しかしながら、もっと具体的に褒めてあげたり、目標が達成できなくても現状を褒めてあげることで、子供のやる気を引き出します。
悪いことをしたら怒るのは当たり前のことですが、本人が頑張って練習に取り組んでいるのですから、出来ないからと言って、怒ることをしてはいけません。
褒めて、伸ばす!これが、保護者が鉄棒の練習をさせる上での心得です。
鉄棒の前回りのまとめ
鉄棒の前回りを子供が中々マスター出来ないのも仕方ないでしょう。中にはコツコツと1人で鉄棒の練習をする子もいますが、幼稚園や学校では、1人1人にじっくりと鉄棒の前回りを教えている時間はありません。
保護者が技術面も、精神面もしっかりとサポートをしてあげながら、練習を続けていきましょう。
鉄棒の前回りだけではなく、総合的な体操を教えてくれる体操教室に興味のある方は、幼児が体操教室に通うメリットを参考にしてみてください。