子供に野球をやらせるときはどうすればいい?
子供が野球をしたいと言えば、親なら応援してあげたくなるものです。しかし、野球部や少年団に入ると、親の負担は大きくなります。応援したい気持ちはあっても、仕事や家庭の事情でサポートができないというのは親のジレンマです。
そこで、子どもに野球をやらせる前に、子供が野球をするメリットと、始めるにあたっての注意点を改めて確認してみましょう。メリットが子供にとって大きいと感じれば、時間や仕事の都合を変えるのに前向きになれますし、注意点を見て本当に無理であれば、他に野球を楽しむ方法を考えるしかありません。冷静に判断し、子供も親も無理をしない方法を考えてみましょう。
子供に野球をやらせる前に子供が野球をするメリットを知っておこう
子供が野球を始めると、単に野球が上手くなるだけでなく、生活面や人間関係の面などさまざまなメリットが得られます。代表的なメリットを5つ紹介します。
1.上下関係や礼儀が身につく
野球はスポーツの中でも、まだまだ上下関係を重んじている傾向が強く、野球を始めた子供は小学生でも、上下関係や礼儀を最初に教えられます。息子の同級生でも、野球部の子供たちは他の部活の子供たちと比べて、挨拶の仕方がまるで違っています。
どんなに引っ込み思案な子供でも、周囲の仲間がみんな大きな声で挨拶するので、当然のように堂々と挨拶ができています。現代では、うまい敬語を使える子供が減っているので、この特徴は周囲の子供と差別化できる大きなメリットになります。
また、上下関係が身についていると、大人になったとき目上の人に可愛がられますし、部下に信頼されやすくなります。このように野球は、人間関係の面でたくさんのメリットが得られます。
2.基礎体力がアップする
野球に限ったことではありませんが、子供の頃スポーツに打ち込むと基礎体力がアップします。野球は試合を見るとあまり動かないイメージがありますが、走ったりキャッチボールを何度も繰り返したりなどの基礎練習を含め練習はとてもハードです。こうした経験は、子供の体をたくましく成長させてくれるので、大きなメリットと言えるでしょう。
野球を始めた子供を持つママの中には「野球を始めて、風邪をひかなくなった」「少々のことでは疲れたと言わなくなった」という感想を持っている人は多いです。体が弱いから野球は無理、と心配しているならその必要はありません。体が弱いからこそ、野球をさせるメリットが大きくなるのです。
3.将来にわたって長く付き合える仲間ができる
野球は子供にとってとてもハードなスポーツで、休日も試合や練習で長い時間を仲間と共有します。学校で出会う友達とはまったく違い、野球を通じて仲良くなった仲間は、大人になっても継続できる人間関係を形成してくれます。
私たちは、楽しいことだけ共有した友達より、苦労を一緒に乗り越えた友達の方が、絆が深まることが多いものです。大人になっても付き合える仲間ができるのも、子供時代に野球をする大きなメリットになります。
私は兄弟が2人おり、どちらも小中と野球をしていました。彼らが大人になった現在、野球を一緒にしていた仲間と、未だに飲みに行っているようですし、仕事などで協力することもあるようです。これらを目の当たりにしていると、やはり野球のメリットは大きいのが分かります。
4.野球で得た経験は大人になっても役に立つ
男性は、大人になっても野球チームなどを作り、スポーツを楽しむ傾向が強いものです。会社のチームや社会人野球などでは、野球経験者はかなり重宝されますし、野球を通じて人間関係を深めたり広げたりできます。そんな意味で、競技人口の多いスポーツである野球を経験しておくことは、大人になって思わぬところで活きてきます。
私は、中学の3年間ソフトボールを経験しています。以前、営業の仕事をしていたとき、お客様の野球チームに呼ばれて、しばらくプレイをしていた時期がありました。
そこで仕事の契約が取れたり、お客様を紹介してもらえたり、という経験があるので、あながち野球をかじっておくことは無駄ではなかったと、大人になって思えました。競技人口が少ないスポーツは、なかなか周囲の人と共有できませんが、野球はどこかで役に立つ可能性が高いスポーツです。
5.野球を通じて親子の会話が増える
野球は親が常にサポートしなくてはいけないスポーツなので、自然と会話が増え子供とのコミュニケーションがとりやすくなります。男の子は特に、小学校高学年から中学生になると、母親と会話をする機会が減っていきます。
しかし野球していると、試合結果やスケジュールのことなど、会話をしなくてはいけない機会が多くなります。また休日も一緒にいる機会が増えるので、共通の話題が多くなるのもメリットです。
日頃、子供とあまり接することができないパパなら、子供とのキャッチボールでコミュニケーションをとることができます。時間があれば、バッティングセンターに行くなど、野球というスポーツを通して親子が親密になるというメリットは大きいでしょう。
6.個性を活かせるのでどんな子でも活躍できるチャンスがある
野球は、それぞれの得意不得意によってポジションが決まるので、どんな子にも活躍できるチャンスがあります。例えば、足は遅くてもパワーがあれば、バッターとして活躍できますし、足が速ければ技術面で劣っていても、盗塁や外野の守備などで力を発揮できます。
他にも、ボールさばきが得意な子、チームをまとめられる子、ムードメーカーなど、自分の得意な分野を活かしてチームに貢献できるので、子供の自信につながります。他のスポーツでも似たような傾向はありますが、野球は特にポジションによって役割が大きく変わります。それぞれが得意なことを伸ばせる点が、野球の面白いところでもあり、子供にとってのメリットになります。
7.子供の努力する姿勢に感動できる
通常、親が子供と接するのは、たいてい休日や帰宅後にダラダラしている時間です。運動会や発表会、授業参観など、イベントのときでなければ子供が頑張っている姿を見る機会はありません。
しかし野球をしていると、毎週末に練習や試合を観戦しなくてはいけないので、子供の努力している姿や成長していく過程を頻繁に見られます。夏場などは、汗をかきながら一生懸命ボールを追いかけている姿や、試合で喜んだり悔しがったりする姿が私たち親を感動させてくれます。
試合で自分の子供が活躍しチームに貢献するとなれば、親としてはこの上ない喜びです。これらは、親のメリットになりますが、野球をしているからこそ得られるものです。
他にも、子供が野球をするメリットはたくさんあります。部活、少年団、スポ少、スクールと、それぞれの特徴があるので、子供に合った環境を見つけてあげると、子供は野球を通じてどんどん成長します。
子供が野球を始めるなら知っておきたい注意点5つ
子供に野球をさせようか悩んでいるなら、事前に知っておきたい注意点に目を通してください。応援したいからと簡単に入団してしまうと、他の保護者やコーチとトラブルになったり、継続が難しくなったりします。
せっかく子供が興味を持って取り組みたいと望んだことなら、事前に対策をしていればサポートもスムーズにできますし、親子でかけがえのない思い出が作れます。野球部や野球チーム、少年団に入る際の注意点を5つまとめました。
1.グローブやバッドなどの道具は安くない
子供が野球を始めて、最初に親が頭を抱えるのが道具の購入費です。野球を始めるには、次のようなものを揃えなくてはいけません。
野球を始めるときに必要な道具
- グローブ
- バット
- スパイク
- ユニフォーム+練習着
- アンダーシャツ
- ストッキング+ストッキング止め
- スポーツバッグ
すべて新品で揃える場合は、初期費用が3~10万円ほどになります。チームで統一しているものがあれば、安いものを選んで購入するということができないので、道具の費用はさらに高額になることが考えられます。
また、子供はすぐ大きくなるので、ユニフォームやスパイクは短期間で買い替えが必要です。少年団や野球チームに入団すると、道具に加えて年会費や月会費も必要なので、出費はさらに増えます。経済的に余裕があればいいのですが、あまり余裕がなければ、費用面の問題はデメリットになります。
2.野球チーム・スクール選びは慎重に行う
入団する野球チームが子供や親の性格に合っていないと、大きなストレスを抱えることになります。これからチームを探すなら、次のことには気を付けてください。
野球チームを選ぶ際に必要なこと
- 子供の希望をじゅうぶん考慮する
- 所属している子供たちをよく観察する
- 親ができる範囲を明確にする
- 見学や体験は面倒でもしっかり行う
子供がチームの雰囲気を気に入ったかどうかは、大きな判断材料になります。レベルが高いとか低いはあまり関係なく、子供が「ここで野球がしたい」と思うところに入団する方が上達は早いです。
もうひとつ気を付けたいのが、送迎など親がどれだけサポートしなくてはいけないかという点です。親が毎週末出かけなくてはいけない場合、仕事で参加できないとチームや他の保護者に迷惑をかけてしまいます。なにより子供が、不安や寂しさを抱えて試合に挑むことになってしまいます。
チームに入る前には、保護者が「できること、できないこと」を明確にして、入団するチームでサポートが可能かどうかチェックしてください。中には、保護者の飲み会や打ち上げが多いチームもあるので、あなたの性格も考慮しないとストレスを抱えることになります。
3.コーチの教え方に口出ししない
コーチは、子供の技術面だけでなく性格や状況を考えて、選抜で出すか、どのポジションにするかなどを考えてくれます。また、それぞれの理念を持って指導している人ばかりなので、その教え方に口を出してはいけません。
保護者の中には「どうしてうちの子が試合に出ないの?」「うちの子はピッチャーになるべき!」などと口出しする人がいますが、これは子供にとってもNGです。
コーチや監督は、試合に出さないことで成長を促す、あえて苦手なポジションで鍛える、という指導をすることがあります。子供はそれを経験することで成長するのですが、親が横やりを入れることで子供の成長を妨げてしまいます。
どんなに納得がいかなくても、子供の人格に影響を与える危険があるので、入団したらコーチや監督、何より子供を信じて見守りましょう。
4.土日祝は試合や練習でつぶれるのを覚悟する
休日がなくなるというのは、多くの親が持っている悩みのひとつです。野球をしている間は、家族で休日出かけることができなくなりますし、平日仕事で疲れていても、家事が溜まっていても、子供の送迎や試合のサポートに駆り出されます。
仕事がハードな親では、なかなかすべてのサポートをこなすのは難しいでしょう。子供に野球をさせるなら、数年は休日がないという覚悟を持っておかなくては、ストレスや疲ればかりがたまることになります。
サポートが難しい状況で、どうしても子供が野球をしたいと言う場合は、祖父母に協力を頼む、仕事のシフトや働き方を工夫するなどして乗り切りましょう。
5.「野球のセンスがない」「素質がない」は気にしない
子供が楽しく前向きに野球をしているのなら、センスや素質がないことは気にしないようにしましょう。野球は、小学校や中学校で素質が分かるものではありません。例えば、小学校のときは全く素質がなく試合に出られなかった子供が、高校になって活躍し始めることはよくあります。
逆に幼いころ素質があっても、練習のし過ぎや間違ったフォームで肩を壊してしまうケースもあるのです。小学校や中学校では、体作りや友達作りに重きを置き、センスや素質がなくても子供が楽しんでいれば見守ってあげてください。
注意点を見て不安に思う必要はありません。こうした問題が起きやすいということを把握して、事前に対策をすればいいのです。子供も親もストレスがないよう、しっかり準備して野球を始めましょう。
子供が野球をやると親子で素敵な思い出が作れる
子供が野球をしている親からは、「毎週試合で大変なの」「旅行にもいけない」という声が多く聞かれますが、ほとんどの場合、子供の成長を間近で見られる喜びを感じているのが分かります。野球は親の負担が大きいスポーツのひとつですが、その反面、子供とたくさんの思い出作りができます。
親が堂々と子供のサポートができるのは、ほんの数年です。長くても高校までなので、それまでと割り切り、子供と一緒に青春を謳歌するのもいいのではないでしょうか。ただし、ママやパパが無理をすると意味がありません。ベストな環境を見つけて、親子で野球を楽しんでください。