子供の自立心の育て方~本当の意味での自立と親のサポート
自立とは「人の助けや支配なしで、自力で物事を行っていくこと」です。親が子供の自立を願うとき、身支度や片付けなどを自分でできるようになることを望みがちです。
しかし子供に教えるべきことは、自発的にしたいことや、やるべきことを考えて行動できる、本当の意味での自立です。
親が言うように服を自分で着て、学校の準備をして、親が求めるように片付けができても、親が指示しないと何もできない子は、自立できているとは言えません。子供に自立して欲しいと望むママは、本当の意味で子供が自立できる育て方をチェックしておきましょう。
子供の自立心を上手く育ててあげる方法
子供の自立心を上手く育てるには、親が自立を促す行動をしなくてはいけません。自立を子供任せにしたり、間違った自立心の育て方をしてしまうと、健全な自立ができない子供になる可能性があります。
自分の身支度や片付けができるようになるのではなく、自分の意思をしっかり持ち、自分で行動して希望や計画を叶えていくような、本当の意味で自立できる子供の育て方をご紹介します。
子供に指示ではなく質問をして自分で考えるようにする
「早くご飯食べなさい」「この服にしたら?」「準備は前の日にしてね」など、親はどうしても子供に、このような指示を出してしまいます。
しかし、本当に必要なのは子供に考えさせることです。早くご飯を食べなくてはいけない理由や、前の日に準備が必要な理由を、自身で考えて必要性を理解しなくてはいけません。そこで、これからは指示ではなく、質問をして子供に考える機会を与えてみてください。
子供がダラダラとご飯を食べることを例にしてみましょう。「早く食べて」と指示するより「ご飯の後、公園に行きたい?」などと質問してみましょう。子供が行きたいと答えたら「じゃあ、ご飯はゆっくり食べた方がいいかな?早く食べた方がいいかな?」と質問し子供に考えさせます。
子供は「早く食べた方が、好きなことがたくさんできる」ということに気が付き、自分のしたいことを叶えるために、ご飯を早く食べるという答えを導き出します。この繰り返しが、自分で考えられる=自立につながっていきます。
小さな一歩になる目標を決めさせて達成させる
自立心を育てるには、達成可能な小さな目標を子供に決めさせ、それを達成する経験をさせてあげましょう。大きな目標ではなく、小さく達成できそうな目標にすることが大切です。この成功体験は、今後子供が自発的に何かを決めて行動するのをサポートしてくれます。
- 保育園に行くときに自分の荷物は自分で持つ
- ご飯は全部食べる
- 今月は保育園や幼稚園、学校を休まないようにする
- 1日ひとつお手伝いをする
このような、小さな目標でいいのです。子供が達成できたら、結果を褒めることは当然ですが、頑張った過程もしっかり褒めてあげてください。目標を見つけられないときは、ママも一緒に考えてあげましょう。
スケジュールを子供に自分で組ませる
遊びに行くときや学校に行くときに、自分で時間管理をさせると子供は準備を自発的にするようになります。親から言われたスケジュールでは言うことを聞かなかった子供も、自分で決めたことは達成させようとするものです。
ある程度の予定を伝えて、起きる時間や準備する時間を逆算して考えさせ、その日の予定を進めていきます。最初は一緒に計画を立てる練習をすれば、早い子では小学校低学年くらいから、自分でスケジューリングできるようになります。小学校高学年なら積極的にスケジュール管理をさせましょう。
子供が計画したことに関して、親はそっとサポートしてあげましょう。指示はせず、子供が決めたスケジュールを実行できるよう、最低限のお手伝いをして達成させてあげてください。この練習で、子供は自分のすべきことを、自ら考えられるようになります。
小さいことでも子供にどんどん決めさせる
その日着る服や食べるおやつ、宿題を何時にするのか、お風呂に入る時間、このような小さなことでも、子供にどんどん決めさせてください。
服を自分で考えさせたら、コーディネートが微妙なときもあるでしょう。また、宿題が間に合わないのではと思うこともあるでしょう。しかし、子供が決めたことは尊重し黙って見守ってあげてください。
自分で決断する練習を、日常生活の中で練習することで、子供の自立心は徐々に成長していきます。決断が失敗したときは、親も一緒に何がいけなかったのか考え、解決できるような声掛けをしてください。
自分のことは自分でさせて親は極力手伝わない
親が子供の準備を甲斐甲斐しくやってあげた子ほど、忘れ物が多くなります。子供は、自分の準備は親がやってくれるものだと認識すると、先生からの指示も上の空になってしまいます。
3歳頃から徐々に自分の支度をすることができるようになるので、まだ小さいからと考えずにどんどん挑戦させてみてください。小学生の場合、あえて親が学校の準備の手助けをしない方が、自分でしなくてはいけないという意識が出やすくなります。
小学1年生になったら、自分で時間割を見て準備をさせましょう。親はそれをサポートする程度にして、忘れ物や洗濯の出し忘れなどは自分で責任を取らせます。そうすると、自分で準備をすることが当たり前になり、人の話を聞き、準備や計画の立てられる子供になります。
自分でできたことをたくさん褒めてあげる
自分でしたいと言って取り組み、それを成し遂げたときは、大げさなほど褒めてあげましょう。自分でしたいと言って始めたピアノの発表会から逆上がりまで、何でもいいのです。大小はありません。
達成したことに対して、親がしっかり認めて褒めてあげれば、子供は自分で決めることに自信が持てるようになり、次の決断につながって自立心は成長します。
親は、こちらが指示したことをやってくれた方が褒めたくなるものです。しかし、遊びでもゲームでもいいので、自分から言い出したことを成し遂げたことに対して褒めましょう。幼い時期は、目標や願望の内容はあまり気にする必要はありません。「決断→行動→達成」の練習をしていると思って、サポートしてあげてください。
我慢する経験を積み重ねて精神的な成長を促す
物質的な豊かさが原因で自制心が育っておらず、我慢する経験ができない子供が増えています。我慢する経験をしないまま成長すると、物事を決めるときの基準が良し悪しではなく、好き嫌いで判断するようになります。
掃除をするのは気持ちよく過ごすために必要なことだと思えば、自然と自発的に掃除をするようになります。しかし、我慢や忍耐の経験が少ないと、楽な方を選び必要なことかどうかまで考えが及ばなくなってしまうのです。
どんなに甘えても、おやつの時間まで待たせる、静かにすべき場所では、ちゃんと落ち着いて座っておく練習をさせるなど、短時間からでいいので繰り返し経験させてあげましょう。
子供の自立心を育てるには、親の忍耐が必要です。やってあげたい気持ちや、やってあげた方が早く済むという気持ちを、グッと我慢しなくてはいけません。子供はそんな愛情深い親の元で、しっかり成長し自立していきます。
子供に自立して欲しい親がやってはいけないNG行動
子供が自立しようとするのを妨げてしまうNG行動も抑えておきましょう。どれも子供を愛するがゆえに、親がついやってしまうようなことばかりです。子供に自立して欲しいと思うなら、ここでご紹介するNG行動は控えるようにしましょう。
親が先回りして子供の障害になることを排除する
親は子供を心配するあまり、つい先回りして子供が苦労するようなことを取り除いてしてしまいがちです。雨が降りそうなら、頼まれていないのにお迎えに行ったり、忘れ物をしたら時間を割いて届けてあげるなどです。このような行為は愛情から出るものですが、子供の自立には悪影響です。
子供には、障害を乗り切る力はじゅうぶん備わっています。雨が降ったらどうやって帰るかを考え、工夫してきたくすることも、忘れ物をした時の乗り切り方も、経験して学ぶことはたくさんあります。
事故や病気につながらないことなら、子供の行先にある障害はそのままにして、子供に乗り越えさせましょう。親が先回りして、障害を乗り越えて学ぶ機会を奪わないようにしてください。
親がコロコロと意見を変えて一貫性がない
あるときは「ゲームばかりしてダメじゃない」と言ったと思えば、お客さんが来ていると「ゲームしてなさい」と言ったりしていませんか?また、一度ダメと言ったことを子供がグズったからと言って「じゃあ、今日までよ」などと許したり。
親の都合で矛盾したことを言ったり、意見がすぐにブレてしまうことは、子供が自立するのを妨げることがあります。自分で決めたことも、すぐに意見を変えたり諦めたり、親がやっているようなことを子供もやるようになってしまうのです。
親の立場ではかなり難しいことですが、できる限り常に意見は一貫させて、子供の前でブレないように注意してください。
子供ができなかったことを責めすぎる
自立とは自分の身支度などをできるようになることではありません。「どうして次の日の準備ができないの!」「自分のお皿は片付けなさい!」と、できないことを、何度も言いすぎないでください。
親が子供のできないことばかりにフォーカスを当てて叱りすぎると、子供の中に「自分はできない人間だ」という意識が根付いてしまう可能性があります。
できないことを最低限手伝ってあげることは、自立を阻害する行為ではありません。「できない子」というレッテルを貼らないようにしてあげることが大切です。
子供が興味を持ったことを否定する
子供がしたいと言ったことや興味を持ったことに対し、「それは無理」「まだできない」「あなたにできるはずがない」と否定しないようにしましょう。自発的に考えたことを親に否定され、それが何度も続くと子供はしたいことを言えず、行動できない子供になります。
私たちも職場で上司に、職場の希望を伝えたら「それは無理だ」と否定される。これが何度か続くと、自分の意見を言うのを止めてしまうという経験が一度はあり、子供も同じです。
子供がしたいと言ったことには「それいいね!」「やってみたら」「面白そうだね」と、子供の興味を伸ばす声掛けをしてあげてください。
子供に過度な期待をかけすぎる
子供に過度な期待をかけすぎると、それができなかったとき、子供は期待に応えられなかった自分を責めてしまいます。自分を「ダメなやつ」だと思うようになると、子供の自立は遅れてしまうので注意しましょう。
子供に期待するのは、どんな親でもやってしまうことです。自分の子供が特別な存在なのは当たり前ですが、過度に期待するのは、子供にとってストレスです。伸び伸びと行動できるよう、親が子供に期待しすぎないようにしてあげるか、期待を子供に見せないようにしましょう。
子供の言葉を遮ったり代わりに答える
子供は自分の伝えたいことが上手く言葉にできないことがあります。親からするともどかしい時間ですが、途中で言葉をさえぎらず、最後までしっかり聞いてあげましょう。
また、他人から子供への質問を「〇〇なのよね」と、ママが答えてしまうこともよくあります。時間がかかっても、できるだけ子供が答える時間を待ってあげましょう。
子供「ママあのね、今日小学校でね、あのね、体操服がね…」
ママ「忘れたの!?どうして!」
子供「忘れたんじゃなくてね、あのね」
ママ「何?汚れたの?だったら洗濯機のとこに出しておかなくちゃ」
子供「あのね、汚れたんじゃなくて…」
このように親が子供の言葉を遮ると、子供が自分で言葉を発することが苦手になります。その結果、自分の希望や夢も語らない子供になりがちです。また、親に意見をゆだねる子供になることもあります。自立には、自分の希望や夢が必要です。それを発信しない子供になれば自立は遅くなってしまいます。
一見突き放すような行動に見えるかもしれませんが、過保護になるほど自立が遅れるというのは、ママ達も理解しているでしょう。手伝ってあげないことは、放置や突き放しではなく、大きな愛情で見守るということなのです。
子供の自立を促して指示を待つ子から考える子へ!
子供の自立を促すには、親のほんの少しの我慢と上手なサポートが必要です。できるだけ小さいころから自分のことは自分で決めさせ、決断に対する結果を経験させることで、自立心がどんどん育ちます。
親としては少々手間や時間のかかることですが、子供が失敗しても責めず、何度もチャレンジさせてあげてください。そして、一緒に成長を喜び自立の手助けをしてあげましょう。
子供部屋がない場合、自分の部屋を与えられることで自立心が育つ手助けになります。子供部屋はいつから必要?与えるタイミングと注意点を参考に、自ら部屋の片付けや宿題をするような環境作りをしてみましょう。