我慢できない子供を我慢強い子に育てる方法と対処法
我慢できない子供は幼児のころからある程度の「我慢」を教えてあげなければ、幼稚園や学校での人間関係に大きく影響してしまいます。
「わたしはこうしたいのに!」「僕はまだ〇〇するの!」こうした主張ができるのは、その子がしっかり自分の意思を持ち、主張できている証拠です。しかし、その主張を全て受け入れていると、主張ばかりして我慢できないわがままな子になる危険があります。
自分の子供を我慢のできる子に育てるために、親がどう子供と接すればいいのか、我慢できない子供にしないための育児方法を見てみましょう。また、我慢して欲しいときに我慢できない子供に、上手く対処する方法を覚えておくことも必要です。
我慢できない子供にしない!今すぐできる子育て法
我慢できない子供にしないために、親ができることをまとめました。我慢を教えるには、親が我慢しなくてはいけないことも増えます。しかし、子供と共に成長する気持ちで、心を鬼にして接しましょう。
少しずつ練習をしたり、日頃の接し方を変えるだけで、忘れた頃に「あれ、ちゃんと我慢できてる!」と子供の成長を感じられるでしょう。できそうなことがあれば、育児に取りいれてください。
3歳くらいから小さい我慢で練習をさせましょう
子供が3歳くらいになれば、親の言っていることを理解し始めます。この時期に、小さなことでいいので我慢させることを練習させましょう。例えば、ご飯の準備ができて、みんなが食卓に座るまでは、食事を我慢するといったことからスタートです。
待たせ過ぎると、我慢の練習が失敗してします。最初のうちは、子供が必ずクリアできる我慢を準備してあげてください。我慢できたら「えらいね」「凄いね!」と褒めてあげましょう。
一度子供にダメと言ったことは妥協せずに曲げない
子供と一緒に買い物に行き、お菓子を欲しがる子供に対し、「ダメ」と言ったにもかかわらず、しつこく欲しがる子供を黙らせるために、「じゃあひとつだけ」という展開はありませんか?これは我慢できない子供にしてしまう第一歩です。
よくあることですし、何度かこのような状況になったからといって、すぐに我慢できない子になるわけではありません。しかし同じようなことが、他の場面でも何度となく繰り返されていれば、子供は親への要求を我慢できなくなります。一度ダメと言ったことは、何があっても曲げないようにしましょう。
子供のわがままと甘えを見極めて対応する
甘えを拒否すると、子供は徐々に親に甘えなくなり、一見「お利口さん」になったように感じます。しかしそれは、子供がしてはいけない我慢をしているからです。今、子供が要求していることが、甘えかわがままかを判断し、甘えならある程度受け入れ、わがままなら我慢させなくてはいけません。
とても境界が難しいのですが、甘えは子供の心に「不安」「恐怖」「怒り」などの感情が隠れています。一方わがままは「怠慢」「欲」などを秘めています。
「お母さん抱っこして」という子供は、どの状況に不安などを感じていることがあるので、甘えであることがほとんどです。「片付けはママがして」というのは、楽をしたいという気持ちからくるので、わがままであることが大半です。
すぐに見極められなくていいので、これは甘えかわがままか、と一呼吸置いて考え、子供に対処してみましょう。甘えは受け入れ、わがままは我慢させるようにすれば、子供の心はしっかり満たされて我慢できる子になっていきます。
子供がすべき我慢とすべきでない我慢を区別する
子供は本来、わがままで自由でなくてはいけません。色んなことをやってみて、善悪や好き嫌いを理解していきます。そんな学びの時期で、何もかも我慢をさせると、子供は無気力になってしまい、やりたいこともしなくなり、何事にも意欲が持てなくなります。
親は我慢すべきことと、我慢すべきでないことを区別し、自由さや好奇心は育ててあげなくてはいけません。例えば、以下のことを判断の基準にしてみてください。
必要な我慢
- 買い物で欲しいお菓子を買わずに我慢する
- 保育園や学校の規則を守る
- 周囲に流されてある物を買ったり、習い事をするのは受け入れない
- 行列に割り込むのをやめさせる
- 時間になったらどんなに楽しくても帰る
- 危険な物で遊ぶ(火遊びや刃物など)
必要ない我慢
- 子供が遊んでいたおもちゃをお友達に渡すように言う
- 妹がうるさいのでお姉ちゃんにしたいことを我慢させて相手をさせる
- 家事の途中で話しかける子供に後からと待たせる
- 子供がしてみたいということを親の都合(金銭面以外)でさせない
- 忙しい時間にトイレに行きたいという子供を叱る
もちろん前後の状況次第で、上記の通りでない場合もあります。子供に我慢させるシーンでは「これは子供のための我慢か、親のための我慢か」と考えると、答えが出やすくなります。
親が楽をするため、親が良い顔を作るため、親の理想通りの子供に育てるための我慢は、子供にとって必要な我慢ではありません。これらを無理に我慢させ続けると、キレやすかったり無気力、我慢できない子供になってしまうことがあるので注意しましょう。
わがままに対して我慢強く子供に言い聞かせる
親が我慢強さを子供に見せると、子供は親に不要なわがままを言わなくなります。子供としっかり向き合い、何時間かかっても子供が納得するまで話し合いをします。子供は、自分と向き合ってくれる親に対して、いい意味での「降参」をするのです。
子供のわがままに対して、なぜそれがダメなことなのか、なぜできないのかなどを、理解できるまで話します。この時、頭から子供を否定しないよう、子供にも思っていることを聞きましょう。最後まで要求を聞き、それでも親の目線で見てダメなことは、分かるまでしっかり伝えます。
子供に愛情をしっかり伝えて突き放さない
子供が親に対して愛情不足を感じると、愛情の確認や親の気を引くためにわがままを言うことがあります。例えば、ママが忙しく家事をしていたり、誰かと電話しているときに限って「抱っこ」や「〇〇をして」とせがんでくるのは、このような心理が背景に隠れていることがあります。
若かりし頃、ママにもこんな経験があるのではないでしょうか。恋愛に慣れていないとき、彼に対して「今すぐ会いたい」とわがままを言ってみたり、気を引きたくて困らせたりしたことです。
これらの行為は、彼を本当に困らせたいわけでも、自分の欲求を満たしたいわけでもなかったでしょう。全ては愛して欲しい、自分を見て欲しいという感情の現れです。
子供が親に対してわがままを言うとき、これと似た心理だと思うと、ママも子供の気持ちを理解しやすくなり、上手な対処法も見えてきます。子供のわがままに対して突き放すようなことをすれば、子供はもっとわがままになります。
子供がわがままを言うときこそ、抱きしめて愛情を伝えてあげてください。子供は安心して、わがままを言わなくなっていきます。
とにかく何でも我慢させれば、辛抱強い子に育つというのは間違いです。必要な我慢をさせ、不要な我慢をさせない工夫と、子供の気持ちに寄り添うことが必要です。
我慢が必要なときに我慢できない子供への対処法6つ
あれが欲しい、この場所はいや、じっとしたくない、あっちに行きたいなどなど、ママは子供に振り回されることばかりです。子供の興味があることや、不快に感じていることを解消してあげるのも、育児です。
しかし、どうしても子供が我慢しなくてはいけないとき、全く言うことを聞いてくれなかったら、どのように接するといいでしょうか。子供に我慢して欲しいときの対処法を見てみましょう。この対処法は、そのまま我慢できる子の育て方につながります!
1.我慢できない理由や原因を聞いて理解してあげる
子供のしたいことや欲しいものについて、どんな気持ちなのか話を聞いてあげましょう。「今はダメでしょ!」「我慢して!」と一方的に言うだけでは、子供はなかなか我慢してくれません。忙しい日常生活で、こうして子供に話を聞くことは、ママにとって大きな負担です。
「それが理想なのはわかるけど」と思うかもしれません。しかし、親側も何度かこれをしてみると、コツが分かってきます。例えば公園に遊びに来て「まだ帰りたくない」という子供に対して「じゃあママ帰るからね!」と置いていく素振りを見せても、子供の自制心は育ちません。
「どうして帰りたくないの?」と聞き「まだ遊びたいもん」という子供に、どうして帰らなくてはいけないのか、理由を説明してあげましょう。「楽しいから帰らない!」「そうか、楽しかったんだね。ママも楽しかったな」と共感し、子供の言葉をしっかり受け止めます。
子供は共感してくれたことに満足し、意地にならず素直にママの言葉を聞き入れるようになります。すぐに納得してくれない子でも、何度か優しく理由を話せば、聞き入れてくれるようになります。
2.我慢できないときは他のことに上手く気持ちを逸らす
1960年代後半から1970年代前半にかけて、スタンフォード大学で「マシュマロ実験」が実施されました。この実験では、4歳の子供を対象に以下のようなことが行われました。
- 机と椅子以外何もない部屋で実施
- 机の上のさらにマシュマロがひとつ置かれている
- 実験者が15分間席を立つことを子供に話す
- 離れるとき、15分我慢できたらマシュマロをもうひとつあげると伝える
- 我慢できずに食べた場合、もうマシュマロはもらえないことも伝える
この実験で、マシュマロを我慢できたのは全体の1/3程でした。この我慢できた1/3の子供は、我慢する際、マシュマロはできるだけ見ないよう、後ろや他の場所を見て気を逸らす行動をしていました。
反対に我慢できなかった子は、マシュマロを触ったり、お皿を眺めたりしているうちに「パクリ」と食べてしまったのです。この実験から、我慢する対象から気を上手に逸らせることができれば、上手く我慢できるようになることが分かります。
子供が我慢できないとき、思いつく限りの気を逸らす方法を試してみましょう。ちなみに、この実験では18年後追跡調査をしています。この調査では、4歳の自制心の傾向がその後も続いていることと、我慢できた子の学校での成績が良かったことが分かっています。
3.周囲の人を使うのは時と場合によってはOK!
風潮として、周囲の人を使って子供に我慢をさせるのはいけないと言われることがあります。例えば「怖いおじちゃんから怒られるよ」といった言葉です。しかし、まだ周囲のことまで気配りできない子供には、周りの空気を教える意味で使うのは有効です。
例えば、以下のような言葉は場合によって子供に伝えていいでしょう。
- ここは病院でしょ。バタバタされると痛い人もいるんだよ
- 騒いでたら偉い人が怒って「出て行きなさい」って言われるよ
- 人が座るイスに立ったら、みんな嫌な気持ちになるよ
- 周りの人に迷惑かけると、お出かけが楽しくなくなるよ
周囲の空気をこうして子供に伝えると、子供の意識が周囲の人に向きます。子供であっても「気まずさ」は感じるので、しばらくの間は我慢しようと思うようになります。
4.我慢できない子供には声を荒げず冷静に話す
「静かにしなさい!」と大声で怒鳴れば、子供もテンションが上がり、余計泣いたり暴れたりします。ママはできるだけ低いトーンで、子供の肩がすくんでしまうような声で話してみましょう。膝の上にのせ「今は我慢する時でしょ?どうしてできないの?」と優しく話します。
子供は、静かなトーンで話をされると、つい同じようなトーンで話してしまうものです。まずは気持ちを落ち着かせ、ゆっくり話をしてみましょう。
5.我慢できた子供にご褒美をあげるのは場合によっては有効!
我慢をさせるのに、ご褒美を与えるのはどうなの?そう考える人もいますが、子供に我慢を教えるときには、ご褒美も上手く使える方法です。電車で遊びにいくとき、ここで静かにしていれば楽しい場所に着くと教えておくと、子供は自主的に静かに乗っていようと我慢できます。
また、病院などで静かにできれば早く終わる、早く帰ることができるとアイスを買う時間ができると話しておくと、子供はスムーズに病院を終わらせようと協力します。ここぞという時には、ご褒美を使って子供に我慢を教えてみてください。
注意点ですが、我慢できなかったらご褒美は絶対にあげてはいけません。そこは、ママが心を鬼にして子供と接しましょう。
6.事前に子供と我慢すべきことをしっかり話し合いしておく
子供にこれから我慢をしてもらわなくてはいけない状況のとき、事前に約束してみましょう。買い物に行く前「今日は〇〇を買いに行くだけだから、おかしは買えないよ。我慢できる?」と聞いてみます。我慢できないと答えた場合は、買い物自体をやめたり、パパに預けて行きましょう。
子供が我慢できると言った場合は、一緒に行き我慢できたら褒めてあげましょう。買い物のときも、できるだけ気を逸らせるよう工夫して、子供の我慢が楽にできるようサポートしてあげてください。
本来、自由で好奇心旺盛な子供に何かを我慢させるのは難しいことです。ママは子供に耐えさせるのを教えるより、気を紛らせる方法を教えてあげると、我慢がもっと楽になります。
我慢できない子供にしないためには親の我慢も必要
子供のわがままは、忙しいママにとって聞いてあげた方が正直楽な場面は多々あります。お菓子を買ってあげる方が楽ですし、少々騒がしいのも見ないふりをした方が楽です。しかし、我慢できない子供にしたくなければ、親が根気よく我慢を教えなくてはいけません。
子供に我慢を教えるのは、親子の我慢くらべのようなものです。お互いがストレスを感じない程度で、この我慢くらべを楽しんでみてください。
我慢できない子供につながるわがままと甘えの違いがよくわからないママは、わがままな子にしない育て方・甘えとわがままの違い&接し方を参考に、我慢できない子供にしない育児をしましょう。