フィンランドの教育がすごい
フィンランドの教育がすごい!活発で賢い子が育つ世界一の教育法
フィンランドの教育は国を挙げて教育に力を入れた成果から国の学力は国際的な学力調査でも常にトップクラスにランクイン!フィンランドの教育のあり方から親子の学びの姿勢を考え直すことで意欲を下げてしまうプレッシャーやストレスが見えてきます。これを応用すれば勉強嫌いなうちの子も?!
フィンランドの教育はここが特徴的!注目すべき5つのポイント
経済協力開発機構(OECD)が3年おきに実施している15歳の学力到達度を測る調査(PISA)では、2000年の調査開始以来、フィンランドが常に上位に位置しています。PISAにて読解力と数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野における到達度を調査していますが、フィンランドはいずれの分野においても高いスコアをたたき出しているのです。
このようなフィンランドの学習到達度の高さには、もちろん理由があります。フィンランドは有効に活用できる国土が少なく、また、天然資源にも恵まれていないという背景があり、人的資源に力を入れるという国家的な戦略の下、1970年ごろから、就学前教育から大学までの無償化などの数々の教育改革が実施されてきたのです。
全ての子供に平等に教育を施せる土壌となったうえで行われた、優秀な人材を多く育成する国家的戦略とはどのような特徴があるのでしょうか?
就学前教育の充実
日本では就学前教育と言うと、幼稚園などにおける社会性の獲得や個人的に幼児教室などに通わせることによる学習等を指しています。つまり、小学校就学前に勉強させる公的手段は皆無に等しいものがあります。
個人的に小学校就学前に勉強させたい場合は、親自身が子どもに教えるか幼児教室や幼児専門の家庭教師などを利用することが必要になり、もちろん、経済的・時間的な負担は親が持つことになります。
ですが、フィンランドでは小学校入学前の1年間は、就学前教育として、プリスクールで無償で読み書きや数字、道徳などを学びます。
就学前教育ですので参加するのもしないのも任意ではあるものの、無償であることが親の教育に対する認識を後押しし、小学校に入ってから子どもが学習で苦労しないためにも、ほとんどの親がプリスクールに出席させています。
年齢よりも学力習得度を重視
学習のスピードには個人差があります。幼いときは何でもどんどん覚えることができた子どもが、長じるにつれて理解に時間がかかるようになっていったり、反対に幼児のときは理解するペースが明らかに他の子どもよりも遅くても、中学・高校と進学するにつれて非常に早くかつ正確な理解を見せるようになったりすることもあります。
日本では義務教育では理解できなくても『進級』させる
日本を含む一般的な教育システムでは、年齢に合わせたカリキュラムが提供されますので、「まだ、この学年で理解しておかねばならないことを全ては理解していないなあ」と教師が感じたとしても、義務教育のうちは(学校によっては高校や大学といった高等教育においても)そのまま進級・進学させてしまいます。
そのように無理やり進級・進学した人は、分からない部分や理解が充分ではない部分がどんどん蓄積してしまい、いつの間にか「勉強全てが分からない」「学習が苦手だ」と感じるようになってしまうことが多いのです。
フィンランドでは年齢が進級を決める要素にしない
ですが、フィンランドでは年齢よりも学力習得度を重視します。
たとえプリスクールの時点でも、目標とされる点まで理解度が及んでいないときや学習に時間をかけた方が良いと判断されるときは、そのまま進学・進級させるのではなく、日本式で言うと『留年』させて、1年余分に勉強させます。同じ年齢で皆が進級するよりも同じ理解度で皆が進級することを重視しているとも言えますね。
この制度は、プリスクールから小学校に進学するときだけに行われるのではありません。フィンランドでは小学校と中学校は一貫教育を実施しますので、中学3年生は『9年生』と呼ばれることになりますが、9年生までに希望する高校へ進学するために必要とされる学力を身につけていない場合は、『10年生』に進級し、1年間必要学力をつけるための勉強を行うのです。
脱落者を出さないために徹底したフォロー
もちろん、ただ1年余分に勉強させるというわけではありません。全ての子どもが必要な学力を身につけることができるように、担当の教師が個人個人に適した徹底的なバックアップを行いますので、勉強が分からないまま放置されてしまうことや、勉強が分からないために勉強に対する興味をなくしてしまうことはありません。
高校受験がない
小学校・中学校の9年間の成績によって、希望する高校への合否が決定されます。
高校受験はない中で進学先をどう決めていくかというと―――――
子どもたちは希望する高校を5つ選ぶことができますので、もっとも希望する高校に入学するための基準点に満たないからといって、高校へ進学できないということや浪人してしまうということにはなりません。
もちろん、小学校・中学校の成績には、単に学力だけでなく学習への取り組みや学習以外の成果も含まれます。9年間を最大限一生懸命に過ごすことが希望する高校へ進学する方法となりますので、どのような活動もおろそかにはできないようになっているのです。
また、高校受験がありませんので、当然ながら受験のための勉強もしません。受験に合格するためのテクニック的なものなど必要なく、ただ純粋に小中学校の9年間はその時期に必要な学習だけを行うことに専念させる体制が整っていると言えます。
自主性を重んじる教育内容
学力を重視して必要な学習を進めていくスタイルと、何かに追われるように詰め込み式の学習をするスタイルはまったく異なります。フィンランドの教育では時期に見合った学力の習得を非常に重視しますが、学び方や学ぶペースはそれぞれの生徒の自主性に任されています。単に問題を解くことよりも、どのように解くか、どのような工夫をしたかも評価されるのです。
フィンランドの小中学校でも学習習得度を見るためにペーパーテストは実施されますが、全国一斉の統一テストや出版社などが作成したプリントを使用するのではなく、教師が子どもたちをよく観察し、子どもたちに合うように独自に作成したテストが多く使用されます(教師は管理や資料作成が大変ですね!)。生徒だけでなく教師にも自主性が求められているのがフィンランド式の教育とも言えるでしょう。
- 勉強のやる気とはどうやってだすもの?子供が勉強を意欲的に取り組めない理由とは?「やらなきゃいけない」から手に付かない、勉強する気にならない…そんなとき試したい勉強のやる気をアップする方法。
質の高い教師陣
フィンランドでは、教師になるためには最低でも大学院で修士取得が必須とされています。
ただし、学制が日本と少し異なり、大学で学士を習得するのに3年、修士課程は2年、博士課程は4年となっていますので、修士取得までには最低5年勉強する必要があります。
しっかりと学んだ人材でないと教師にはなれないフィンランドでは、教師と言う職業は信頼され、尊敬される対象でもあります。
フィンランドの教育法を取り入れていきたい!ポイントをまとめました!
我が子に優秀に育ってほしいと願う気持ちは、どこの国の親にも共通する願いでしょう。
優秀の2文字とまとめると親のエゴに見えますが、この二文字には『自分の意志を持って生き生きと夢に向かっていってほしい』といった気持ちが集約されています。
年齢で全員進学するシステム下で成績が付けられていく日本の義務教育において、フィンランドの教育制度そのものを取り入れることはできませんが、フィンランドの教育方針を個人的に取り入れることは可能です。子供のため、親はどんなことをしてあげられるでしょうか?
時間をかけて理解を深める
フィンランド式教育では、「今は分からなくても、いつかは分かるようになる」という考え方はありません。今、分からない問題は今解決して、解決してから次のステップに進むので、わからないからといって放置したり、根拠なく「いつか分かるようになるから・・・」と楽観的に子どもを見守ったりすることはありません。
子どもがある部分を理解していないことに気付いたら、時間をかけて子どもが分かるまで説明をし、子どもが自分で問題解決ができるようになるまで導くのがフィンランドにおける教育のスタンスです。
まず、この姿勢が日本でも見習うべきポイントの一つと言えるでしょう。
学校で習ったことの復習に取り入れる
- 小学生の子供が勉強しないとき、親としてはどのような態度を取ることが望ましいでしょうか。また、反抗期を迎えて言うことを聞かなくなったとき、どのようにモチベーションを高めることができるのか説明します。
時間をかけて理解を深めるという勉強の取り組み方は、家庭でも比較的簡単に取り入れることができますよ!できれば、子供が就学前や低学年のうちから取り組み方をクセづけましょう。
手順としては、学校で習ってきたことを子どもに尋ね、教科書や問題集にある例題をヒントやアドバイスなしに子どもに解かせてみます。子どもがスムーズに解けない場合は、その問題を子どもが自分の力だけで解けるようになるまで、家で何度でも説明と例題回答を繰り返すのみ。
このように家庭で学校の復習を行うことで、子どもの学力が確かなものになっていきますし、子どもも学びを深めていくコツをつかむことができるでしょう。
もちろん、親は多くの時間を子どもの学習のために使わなくてはならなくなりますが、時間を掛けて子どもの学習に向き合うことで、義務だから仕方なく勉強と向き合っていくだけでは得られない『人生における学びの価値観』は必ず備わっていくはずです。
解らないことを解らないまま蓄積していくのを放置しない姿勢でいるなら、子供は自身の発達に合わせて考える力を鍛えられ、周りについていけないことで無条件に勉強嫌いにさせてしまわずに済むのではないでしょうか?
知識の詰め込みを行わない
その学年に見合った学習を習得しない場合、フィンランドでは進級や進学を1年遅らせます。
ですが、これは落ちこぼれを判断するものではありません。知識を詰め込んだ結果ではなく、どれだけ自分の力として習得したかを重視しますので、1年遅れてしまっても、今必要な学力をしっかりと身につけることが大事なのだと考えるためのシステムです。
覚えているかよりも理解しているかをチェックする
このフィンランド式の教育も、家庭での復習に役立てることができます。
とはいっても、日本ではもちろん家庭の判断で子供の進学進級を遅らせるようなことはできません。
子どもが学校から帰ってきたら、習ってきたことに対してどの程度覚えているかではなく、どの程度理解しているかを見ていく復習を行いましょう。重視するポイントは、子どもが自分自身で考え解答を導き出す力を身につけているか?です。
例えば、日本の理科5年の教科書では、川の流れが蛇行しているとき、カーブの内側には『川原』が、カーブの外側には『崖』ができると記載されています。この部分を習ったとき、親は「カーブの外側には何ができるの?」と尋ねるのではなく、「カーブの外側に崖ができるのはどうして?」と尋ねるなら、知識の詰込みではない『理解』を得られる学習となるでしょう。
なぜその答えになるかを考えることで、子どもは自分で考える力と応用力と身につけることができます。自分で考える力と応用力を習得するためにも、単語を尋ねるのではなく、理由を尋ねる習慣を親は身につけていきましょう。
遊ぶときは遊ぶ
PISAの調査では常に世界トップクラスの教育がうかがえるフィンランド。さぞかし学習時間が長いのでは・・・と思うかもしれませんが、実は、フィンランドの学校における年間授業日数は約190日。日本は約200日ですので、日本よりも10日も短いのです!
実は、フィンランドの年間授業日数はPISAに参加している国々の中でももっとも少なく、学習時間は他の国よりも短いのです。
これもフィンランドならではの教育スタイルが反映されている結果です。
参照元:文部科学省による小中学校の授業数・日数データ
www.mext.go.jp
勉強は区切りをつけて!
子どもの成績が良くないときや子どもが学校での勉強を理解していないとき、親はつい学習塾に入れたり、休みの日も勉強するように指導したりしてしまいがちです。ですが、だらだら長時間勉強しても、子供にはストレスでしかなく、集中力なんて持ちません。つまり、長時間の勉強は子どもの学力向上にはあまり効果は発揮しないことがいえます。
勉強するときは勉強する、遊ぶときは遊ぶと、勉強をだらだらと続けるのではなく区切りをはっきりとつける!これらの取り組みで、遊びにも勉強にもお稽古ごとにも何事にも、意欲を持って打ち込むことができる大人へと成長していくと、フィンランドの教育スタイルが証明しているのではないでしょうか?
もちろん遊ぶ時間ばかり充実してしまうのでは、学習習熟度を向上させることはできません。勉強するときは勉強に専念する姿勢を親が率先して示すことで、時間を無駄なく使うことができるのです。
時間=成果ではないことは頭では理解していても、日本の教育システムでは勉強時間が短いとどうしても不安になります。ですが、フィンランドの教育スタイルは潜在意識に潜む根拠のない不安を埋める学習の姿勢を捨て、「短時間で集中してやる」大切さを見つめ直すべき、としらしめているようですね。
『勉強』だけが学びではない!効率を身につける教育
フィンランドでは会社においても『効率性』が重視されます。
仕事時間をむやみに増やすのではなく、できるだけ短時間に効率よく仕事を終わらせることに重きを置きます。
子どものときに勉強を通して効率の良い時間の使い方を身につけているなら、大人になっても仕事に置いて効率の良い時間の使い方ができるようになり、オンとオフをしっかりと区別して人生を思いっきり楽しむことができるようになるでしょう。
フィンランドの教育は日本でも有効か?問題点を探る
優れた成果を出しているフィンランド式教育。優れた成果を出していると言うことは、学ばねばならない点が多くあると言うことでもあります。ですが、どんなことにもメリットとデメリットがあるように、フィンランド式の教育にもいくつかの問題点があるのです。
個々の才能を伸ばすには適さない
フィンランドの教育では学習到達度を重視しています。つまり、クラス全体の学力の底上げをすることには適していますが、優れた能力を発揮する子の才能を伸ばすことにはあまり適した方法とは言い難いという問題はあります。
とは言うものの、基本的に勉強の時間が短めで遊びもしっかり!といったスタイルでは、子供が好きなことに独自に取り組む時間は日本よりはある、と言えるでしょう。
金銭的・時間的負担が大きい
国を挙げて教育環境を整えているフィンランドでは、日本に比べると教師1人当たりの生徒数は少なく、手厚い教育を実践しやすい環境であるといえます。日本では予算面や人材面の問題もあり、現時点でも小中のクラス担任の作業はとても多いことが知られています。
現在の日本の教育制度においては、子供に対して手厚い教育を実施しようとなると、親が時間をかけて子どもに教えるか、家庭教師を雇って子どもに見合った学習を行うかしなくてはなりません。
共働き世帯が増える中では金銭的・時間的負担があまりにも多く、実現するには解決すべき問題は山積みと言えそうです。
勉強勉強!と子供にストレスを与えない大切さ
- 「勉強は楽しいですか?」と聞かれれば、大体の子供は首を横に振るのではないでしょうか?何故勉強はつまらないものになってしまったのでしょう?たのしく勉強をすすめるために、必要なことを解説します。
フィンランドの教育は優秀な子供を育てる世界トップレベルのシステムであることには違いないでしょう。しかし、日本の教育でも学びの楽しさを知り優秀に育つ人材はたくさんいます。
日本でも親が「勉強しなさい!」と口だけで強要するなら子供は勉強を嫌いになってしまう…とはよく聞きますが、まず、取り入れるべきは、『親世代の子供の学習に対する認識』なのではないでしょうか?
勉強しなさい!と威圧するのは楽ですが、一緒に学ぶ姿勢が最も子供と学びの距離を近づけるはずです。