小学校のクラス替え
クラス替えという言葉にどのようなイメージを持っていますか?恐らくクラス替えが楽しみだったと答える方は少数で、大半は、クラス替えは不安だったと答えるのではないでしょうか。
小学生にとっても、クラス替えがドキドキするものであることは間違いないでしょう。ただ、その大半が、不安で胸が押しつぶされそうなドキドキではないでしょうか。
学年が上がるにつれて、子供同士の人間関係は複雑になります。また、クラス替えには、保護者同士の相性というものも無関係ではありません。
こうした、様々な人間関係と問題を含むクラス替えは、どのようにして決まっていくのかを、見ていきましょう。
クラス替えはどのように決まるのか
一般的にクラス替えの基準となるのは学力です。前年度の成績順に一人一人の名前をカード化し、順番に各クラスへと割り振っていきます。
成績の次に、子供たちの人間関係、保護者の人間関係、また、運動会などの行事に支障が出ないように身体能力、クラスを引っ張っていけるリーダーシップを持った子供、人間関係を形成するのが上手な子供、それらが均等に偏り無く配置されるように熟考した上で、クラス割が決まっていくのです。
子供同士でトラブルがあった場合
子供同士で過去にトラブルがあった場合は、クラス替えに反映されます。また、それは保護者同士でも、同様のことが言えます。
もちろん100%ではありませんが、保護者間でトラブルが起きた場合にも、その子供たちは別のクラスにされる可能性があります。
担任の先生の経験度
新任の先生が受け持つクラスとベテランの先生が受け持つクラスでは、子供達の顔ぶれも違ってきます。新任の先生が担当するクラスはおとなしめの子が集まっていたり、いわゆる問題児とされる子供が少ない傾向にあります。
逆にベテランの先生が担当するクラスには、いわゆる問題児と言われるような子どもが多かったり、クラスを統率するのは一見して難しい、といえるクラス割になっていることがあります。
クラス替えで子供が抱える悩み
子供達にとってクラス替えは、今後2年間、あるいは1年間の学校生活が大きく左右される一大イベントです。
気になるのは仲良しの友達と一緒のクラスになれるか、苦手な子ばかりのクラスにならないか、といったところでしょう。
子供ながらに人間関係や勢力図も出来てくる年頃で、高学年になるほどその傾向は顕著です。
クラス替えによる不公平感
クラス替えで必ず問題になるのが、自分だけ仲良しの子と同じクラスになれなかった、という不公平感です。
例えば、仲良し4人グループのうち、3人は同じクラスだったのに、1人だけ違うクラスになってしまった。あるいは、違うグループの友達3人は同じクラスになのに、自分たちのグループはバラバラになってしまった、というものです。
子供が不安感を抱いている場合、最初は見守ってあげましょう。小学生のころは、意外と新しい級友に、すぐ溶け込むことができます。そうではない場合、保護者のフォローが必要です。
クラス替えに挑む時の心構え
過去にクラス替えで嫌な思いをしてしまうと、クラス替えそのものが憂鬱になってしまう、そんな子供も多いです。
そんな子供達に対して、どんな言葉をかけてあげたらいいのか、クラス替えが思うような結果にならなかった時に、どう励ましてあげたらいいのでしょうか。
悲観的に考えない
一番なのは、悲観的に考えないことです。クラス替えによるデメリットばかり見ず、新しい担任の先生はどんな人だろう、どんなクラスになるのだろうと楽しい想像を膨らませてみましょう。
子供からクラス替えが憂鬱だと言われたら、まずは話を聞いてあげて、その次に不安を取り除く為のアドバイスをしてみましょう。
皆ドキドキしている
クラス替えに不安を抱いているのは、1人だけではありません。クラス替えは一斉に行うものですから、誰もが不安や期待を抱いています。
クラス替えが初めてではないという子供の場合には、今は違うクラスになってしまったお友達が必ずいます。もしかしたら、そのお友達とまた同じクラスになれる可能性もあります。そう考えれば不安も和らぐので、楽しみに変えるよう、アドバイスしましょう。
親ができること
クラス替えに不安を抱いている子供に対して、よく話に耳を傾けてあげましょう。話を聞いてもらうだけで少し気分が軽くなる場合もあります。
また、クラス替えの結果が思うようなものでなかったとしても、安易に先生や学校を非難するのではなく、「残念だったけどまた新しいお友達ができるかもしれない」という励ましの言葉をかけてあげましょう。
学校や先生を非難しても、クラス替えの結果が変わるわけではありません。現状を受け入れ、前向きに捉えていくことに力を注いであげるべきです。
子供の心身に不調が出た場合
クラス替えをきっかけに、下記の症状が出てしまった場合には、担任の先生やスクールカウンセラーに相談することも考えましょう。
- 学校へ行くのが嫌になってしまった
- 学校へ行くたびに頭やお腹が痛くなる
- 学校の話を全くしなくなった
- 部屋にこもって出てこない
もし、特定のお友達との人間関係が原因だとしても、直接相手や相手の保護者に言わず、一度学校を挟んだ方が賢明と言えます。
学校が嫌になってしまった場合、必要に応じて学校を休ませたり、無理に話を聞き出すことはしないなど、まずは、ストレスを家庭で取り除いてあげることが大切です。
無理やり学校に行かせようとすると、子供の居場所がなくなってしまいます。
保護者の人間関係
クラス替えで影響を受けるのは、子供だけではありません。必然的に、保護者の人間関係も変わることになります。
保護者同士でトラブルがあったり、個人的にこの人はちょっと…という人がいても、学校は子供が学ぶ場所だということを忘れないようにしましょう。
保護者同士の人間関係も大切ですが、親の社交場ではありません。
保護者同士の付き合いは妥協も必要
保護者同士の人間関係も大事ですが、小学校は子供の学びの場であるという大前提を忘れてはいけません。保護者同士の関わり合いはありますが、子供とは違い、保護者同士で毎日顔を合わせるわけではありません。
同じクラスになったからといって、必要以上に仲良くすることもありませんし、無理に付き合う必要もありません。
クラス替えの主体となるのはあくまでも子供の学習環境、生活環境であり、そこに大人の事情を挟むのは、なるべくなら避けたいものです。
保護者同士の付き合い方
保護者同士、例え苦手な人で付き合いづらいと感じる人でも、同じ子を持つ親ということには変わりありません。できることなら、あまり苦手意識を持たずに、分け隔てなくお付き合いしたいものです。
苦手な人に対して、初めから嫌悪感をむき出しにしていては、良い人間関係が形成されるはずもありませんし、その感情は相手にも伝わってしまいます。同じクラスの保護者として、必要な時に協力し合える関係性が保てていれば、それで良いのです。
親が良い人間関係を築く手本を示すことが出来れば、それは子どもたちの人間関係にも反映されます。親は子の手本であるということも頭に入れて、保護者同士のお付き合いをしていきましょう。
どうしても避けたいクラスメイトがいる場合
どうしてもこの子だけは一緒のクラスになりたくない、という場合には、その旨を前もって先生に伝えるという方法もないことではありません。ただし、その希望が必ずしも通るとは限りません。なぜなら、学校は一人だけのものではないからです。
皆が平等に学習し生活を共にしていく場なのですから、個人の意見が通るとは限りません。そのことを念頭に置き、どうしてもの場合には先生に申し出でもいいでしょう。しかし、要望が叶わなかったからといって先生や学校を相手取って、文句を言いに行ったり、非難するのはやめましょう。
子供が不登校になるほど特定の生徒との人間関係が悪い場合、学校側はクラス替えの際、配慮してくれます。ただ相性が悪い、あまり好きなクラスメイトではないという理由では要望は通りません。
クラス替えのメリット
クラス替えというストレスは、子供たちの成長を促すというメリットがあります。仲良しグループの中での居心地がいいからといって同じ友達とばかり付き合っていては、人間関係を築く上での成長がありません。だからこそのクラス替えです。
新しい友達、新しい担任の先生と共に、新たに人間関係を築こうと努力することによって、社交性、協調性、思いやりの心などが育まれていくのです。
クラス替えが行われ、担任が変わり、戸惑いを覚えながらも、1年、2年と歳月を経ることによって、担任を中心としてクラスにまとまりが生まれます。
やがて「このクラスでよかった」「新しい友達ができてよかった」と思える日が来るでしょう。
クラス替えの不安をこうしてフォロー!体験談6つ
子供が、クラス替えが気になって夜も眠れない…と不安を抱える毎日を過ごしていたというママ6人に、どうやってフォローしたか聞いてみました。
不安いっぱいの春休み
めくく(34歳)
去年の小学一年生の春休みに、初めてのクラス替えでかなり不安になっていたのを覚えています。
2年に一度のクラス替えだと思っていたら、保護者会で今年度から毎年クラス替えをすることを知らされ、子供もびっくりしていました。
急の出来事だったので、先生やクラスの仲の良いお友達とも離れてしまうのではないかという不安で押しつぶされそうになっていて、春休みの夜、寝る前は、ずっと誰ちゃんと一緒になれるかなぁ。とかつぶやきながら眠りについていました。
子供なりにとても心配している姿をみて、気晴らしに、同じクラスだった仲の良いお友達を誘い、お花見をすることになりました。お友達と遊んでいるときは不安や悩みもふっとんでいるかのように大はしゃぎで遊んでいる様子を見て安心しました。
春休みが終わり、クラス替え発表も終えて家に帰ってきた娘は、仲良しのお友達と離れてしまったようで残念そうでしたが、1週間くらいでいつもの感じに戻り、楽しそうに学校に行くようになりました。
この時期は緊張して日々成長していくんだなと実感しました。
友達がいないと不安
あや(20代後半)
娘が小学校2年生になり、初めてのクラス替えが発表されたときに、クラスには友達がいないということで、凄く不安に思ってしまったようです。
まだ小学校に入ってすぐのことでしたし、友達がいなくても仕方ないと思っていたのですが、本人はかなり「学校には行きたくない」と言って泣いていたので、相当嫌なんだろうなと見ていて思っていました。
私も子供に似ていて、子供のころはクラス替えが嫌いで、友達もあまり多くない方だったので凄く気持ちが分かりました。
一応、担任の先生が持ち上がりだったので、密に連絡を取り、連絡帳を持たせて「学校に行きたくない」と言っている旨記載し、何かあれば教えていただけるようにお願いしました。
家ではしっかりと話を聞いてあげること。そして友達がなかなかできないことで悩んでいたので、親の私が同級生の親御さんたちと会うようにして、子供同士の付き合いも広がるようにと工夫しておりました。
そうすることで子供同士も仲良くなりましたし、最初からそうしてあげればよかったなと後悔しました。
不安な1年間を楽しみな1年間に
ポムポム(26歳)
クラス替えを不安に思っている息子への人生の先輩、私からの提案をしました。地元のスポーツクラブに入ろうよ!と。結果、ダンスチームと水泳をやり始めました。
1年生から2年生へ上がる息子。マンモス校で沢山の同じ歳の子がいる中で、せっかく仲良くなれた子達と離れる可能性のあるクラス替えで不安を募らせていました。
先生に配慮してもらうという考えは一切ありませんでした。マンモス校ですが人間関係でもめることもありませんし、特に配慮してもらう理由がありませんでした。
クラス替えの後もクラブチームに入っていたおかげで、クラスに1人か2人ぐらいは仲のいい子が居たみたいで安心していました。
学校帰り、外で遊ぶ事を許可したところ、違うクラスの子達も集まるほど大人数で遊ぶようになりました。年上のお兄さんたちもいたようです。
次は3年生へ上がりますが、今はもう不安など一切ないような感じです。
色々な友達と仲良くなってほしい
なお(30代前半)
娘が小学2年生から3年生になる時にクラス替えの経験をしました。元のクラスには苦手な女の子がいたらしく、クラス替えを喜んでいた半分、仲良くなったお友達と離れるのが寂しいと言っていました。なので、私は、娘にみんな同じ気持ちだということを伝え、必ずまたすぐ友達ができることを伝えました。
担任の先生には、苦手な子がいることは伝えました。配慮までするようには促していません。
クラス替え後、娘は苦手な子と別れることができ、仲良しのお友達とまた同じクラスになれ、とても喜んでいました。私は、新しいクラスでもっとたくさんのお友達と仲良くするように伝えました。
転校生もきたそうで、その子とも友達になれそうだと言っていました。私自身も土地柄が全く異なる転校生の子と仲良くなり、今でもその人とは月1会うくらいの仲良しです。そのことを娘にも伝えており、色々な人がいる中でたくさんの友達と交流してほしいことをいつも伝えています。
出逢いに感謝のクラス替え
あこ(30代後半)
娘の通う小学校は毎年クラス替えがあります。1年生の時の先生はベテランの学年主任を務める女の先生です。
最初の保護者会で「不安な事がある時はいつでも学校に来てお子さんの様子を見て下さい。」言って下さり、初めての学校生活で娘以上に私が不安や心配が多い時に、とても心強い言葉をかけてもらっていました。
実際娘のクラスでは朝から下校の時刻まで保護者の方が見に行く事も頻繁にあっていました。クラスの雰囲気もメリハリがあり良かったです。
大人しくて自分からあまりお友達に声をかける事ができない娘だったので、2年生に進級する前に担任の先生に「先生がもし2年生の担任を持つ時はもう一度担任をお願いしたい」「今のクラスで仲良しの女の子を1人で良いので一緒にして欲しい事」をお願いしました。
先生からは「担任を持つかは分からないけど娘さんが、安心して登校できるようにできる限り配慮します」と言っていただき、実際クラス替えでは同じマンションで仲良しの女の子と一緒のクラスになり、元気に楽しく登校できています。
クラス替えの寂しさは成長の過程
仲良しの友達と離れ離れになってしまうと、悲しさや寂しさが先に立ってしまうでしょう。しかし、それを乗り越えていくことで人間的に成長し、またひとつ大きくなっていくのです。そして、子供が成長の階段を一歩一歩着実に登って行けるよう、陰ながら支え、励まし続けるのが親の務めなのではないでしょうか。
小学校という義務教育の学びの場に子供を預けている以上、学校と先生、友達と自分の子供を信頼し、ある程度、流れに委ねる勇気を持つことも必要です。
もし子供が学校に行きたくないと言い出したら、小学校に行きたくないと言われたら…本音の聞き出し方と親の対応を参考にし、子供が思い悩むことを過剰に心配するのではなく、大きな心で受け止め、困難を乗り越えて行けるようにサポートしてあげましょう。