子供にもプログラミングが必修に!本当に必要?
データ処理もセキュリティ対策もすべての分野においてIT化が進んでいます。現在はもちろん、さらにIT化が進む世の中において、WebエンジニアなどのIT系の人材を育成することは重要なことです。
大人になってからプログラミングを覚えるのではなく、子供のあいだにプログラミングの素養を育てておくことが重要になるということで、2016年4月19日、文部科学省は2020年から小学校で必修科目としてプログラミングの授業を導入していく方針であることを発表しました。
もちろん、小学校においてだけプログラミングの授業を行うのではありません。中学校の技術・家庭科の授業の中では、アニメーション作りなどの応用が求められる内容を含めることを計画しています。また、高校では、現在選択科目としてプログラミングの授業を実施していますが、2020年以降は必修科目としてプログラミングの授業を実施していくことも計画しているのです。
ITなくして成り立たない世界の中で
もちろん、プログラミングに興味を持てる子供にとってはこの改革は喜ばしいことと言えますが、まったく興味を持てない子供やコンピュータの作業を苦手だと感じる子供にとっては苦痛になる可能性もあります。ですが、世の中がコンピュータなくしては進まなくなってしまったのと同様、人間がそのような世の中に順応していくことは避けられないのも事実なのです。
昔は職業によって学ぶ内容が異なりました。商人でもないのになぜ算術を学ぶ必要があるのか、また、学問すること自体意味があるのかと言われていた時代も長くありました。ですが、文字や算術を学ぶことで人間としての可能性が広がり、幅広い視野を身につけることができたのも動かし難い現実です。
ITが必要なのは事実!慣れていくことも時代の流れ
今、私たちが考えるのは、プログラミングの授業が必要かどうかということではありません。プログラミングの授業を受けることは決してこれからの人生においてマイナスにはなりませんので、できるだけプログラミングに対する抵抗感をなくし、できれば好きに、あるいは得意になることを目指していくことが大切だと言えるのではないでしょうか。
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子供のためのプログラミング教室が大盛況!
プログラミングが必修となるということは、国語や算数のように、学校の授業をサポートしたり、授業より一段深い内容を教えたりするプログラミング専用の学習塾や教室が増えてくるということでもあります。プログラミングがまだ必修となっていない現時点では、どのようなプログラミング専門の教室が出来ているのでしょうか。
小中高一貫プログラミング教室
小学生・中学生・高校生の各レベルに合わせたプログラミングの授業を行う教室も増えてきています。もちろん進度が速い子供は、小学生であっても高校生レベルのプログラミングを学ぶことができます。このように対象年齢の幅が広い教室は、長いスパンで習うことを前提としていますので、プログラム言語をただ単に習うのではなく、ホームページ作成やアプリ作成などの実際に使える技術を習得できることを特徴としていることが多いです。
授業料は、経営母体や教師と生徒の人数比などによっても変わって来ますが、1回1時間、1か月に4回で8,000円から20,000円くらいのことが多いです。別途、入会金やパソコン利用料が必要になることもあります。
短期集中型プログラミング教室
夏休みや冬休みといった長期休暇を利用して、2日から5日程度の短期集中型のプログラミング教室を実施しているところもあります。1日に1時間ほどだけプログラミングを習っていると、子供によっては先週までに習ったことを全部忘れてしまって知識の積み重ねができないこともありますが、短期集中型なら忘れる間もなく次のステップに進みますので、目に見える形で進歩することができます。
授業料は2日間コースで18,000円から30,000円。3日間コースで20,000円から50,000円が相場です。1回ごとに生徒を募集しますので、入会金は不要になっていることが多いです。また、パソコンを持ち込むことができる教室が多いですので、使い慣れたパソコンで授業を受けることができます。
個別プログラミング教室
何人もの生徒がいると、委縮してしまって分からないことを先生に尋ねることができない子供もいますよね。そのような子供や自分のペースで習いたい子供に適しているのが、個別プログラミング教室です。個別ですので授業時間を無駄なく使うことができますし、分からないことも気軽に聞くことができるというメリットもあります。
1回に45分から1時間、週に4回で、授業料は18,000円から24,000円が相場です。個別プログラミング教室によりチケット制もあり、1回当たり1500円から5000円のチケットで精算することもあります。入会金やパソコン利用料が必要になることもあります。
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プログラミングが得意な子供になるために実践できること
プログラミングが得意な子供になるためには、プログラミング教室に通わせる以外に何をすれば良いでしょうか。
数字や英文字に抵抗感を覚えさせない
数字やアルファベットが並んでいるだけで、「もう、訳が分からない!」と投げ出したくなる人がいます。プログラミングを学ぶということは、数字やアルファベットの羅列に抵抗感を持たないことでもありますので、これらの文字に対して親しみを覚えることが大切になります。
小さなころから英語や数字が身の回りにある環境にすることもプログラミングが得意になる第一歩だと言えます。
タッチパネルだけでなくキーボードに触れさせる
親のスマートフォンを器用に扱ってゲームやお絵かきをする子供は多いですが、パソコンのキーボードを器用に扱う子供はそこまで多くはありません。コンピュータプログラミングにはキーボードの操作が必須となりますので、タッチパネルに慣れさせるだけではなく、キーボードにも慣れさせるようにしましょう。
完成品よりも完成する過程に興味を覚えさせる
コンピュータプログラミングは、アプリやホームページ、ゲームなどを1から作っていく作業でもあります。すでにできてしまったアプリやゲームに興味を持つことも大切なことですが、それらのアプリやゲームがどのような仕組みになっているのかを分析することも重要なことと言えます。
例えば、アプリの中で同じページを開く場合でも、幾通りものルートがあることを発見し、どのルートで行くことが最短なのか探っていくだけでも、プログラミングに対する興味を向上させることになるかもしれません。
普段から原因を訴求する姿勢を身につける
完成品よりも完成する過程に興味を持つことは、コンピュータ関連においてのみ重要なのではありません。普段からどんなことに対しても、現象と現象に至る原因を追求する姿勢を身に着けさせることがコンピュータプログラミングを含む理科系全体の能力を伸ばすために必要なことなのです。
例えば、とても風の強い日には上空の雲はどのように流れているのか、また、形はどのようになっていることが多いのか、風が強いかどうかをどのように知ることができるのか、木のしなり具合や葉っぱが立てる音の違いなど、1つの現象を示す複数の現象に目を向けることの面白さを、幼児のうちから気付かせることができます。
弊害はある?幼児期からのプログラミング教育
何でも覚えさせたり慣れさせたりするのは早い方が良いと考えがちですが、幼児期からのプログラミング教育には弊害と呼べるものもいくつかあります。幼児期からのプログラミング学習を決意するにしろ、学ばせないことを決意するにしろ、どのような弊害があるかについては知っておく方が良いでしょう。
強い光が目と脳に刺激を与える問題
生まれたばかりの赤ちゃんは視力が非常に弱く、長い時間を掛けて視野が広がり、見える力も増していき、6歳ごろにようやく本来持つ視力が発揮されるようになります。まだ視力が完成していない状態で強い光を連続して浴びると、本来持つ視力が発揮されなくなってしまったり、良くなるはずの視力が徐々に悪くなっていったりすることもあります。
また、強い光は脳にも強い衝撃を与えます。家の中の風景やお父さん・お母さんの顔などの実生活から得られる刺激と比べると、強い光を放つパソコンの世界は子供にとって大きな印象となって記憶に残るようになります。パソコンの世界に夢中になるばかりに日常生活に実感が得られなくなることも、感性の豊かな幼児期なら有り得るといえるでしょう。
教育用に使用されるScratchの問題
子供向けのプログラミング教室では、マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボで開発された子供用のプログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」が用いられることが多いです。プログラム言語とは何かということすら知らない子供たちでもScratchならば容易に扱うことができるだけでなく、キーボードそのものを上手に扱えない子供でもScratchならばゲームを作成したりすることが可能になるのです。
パソコンやプログラミングに慣れるという観点では、非常に優れた手段であるScratchですが、Scratchをいくら極めたとしても現実のプログラマーになれないだけでなく、プログラマーに必要なスキルすら習得できないという問題点があるのです。つまり、Scratchの延長上に現在一般的に社会で用いられているJavaなどのコンピュータ言語がないということが最大の問題点と言えるのかもしれません。
Scratchはコンピュータ言語の幼児語?
例えて言うならば幼児語を教えることと似ています。ご飯ではなく『まんま』、犬ではなく『わんわん』と言葉を覚えたばかりの子供に教える人もいますが、いつまでも『まんま』や『わんわん』と言っているのは変ですので、幼稚園に上がる前までには『ご飯』や『犬』といった通常の言葉を覚えなくてはなりません。
と言うことは、子供は短期間に幼児語と通常語の両方を覚えなくてはならなくなりますので、労力も二倍になってしまいます。子供が言葉を覚え始めたときから『ご飯』や『犬』といった通常語を教えていれば、子供も少ない労力で言葉を習得することができるのと同様、コンピュータ言語も最初からC++やJavaなどを教えていれば、少ない労力で仕事に役立つ言語を習得できるのではないでしょうか。
運動不足になる可能性の問題
子供は興味を持つとそればかりに熱中してしまうことがありますよね。テレビアニメのキャラクターに夢中になり、グッズを大量に集めたがったり、同じストーリーを何度も見たいとせがんだりします。
プログラミングを習わせることでコンピュータやプログラミングに興味を持つことは良いことなのですが、興味を持ちすぎてしまい、そればかりしたいと思うようになってしまうと、外で元気に遊ぶことやスイミングやリトミックなどのお稽古ごとへの興味を失ってしまう恐れがあります。
もちろん親が強いて外で運動させたり、運動系のお稽古ごとをさせたりすることもできます。ですが、プログラミングスキルが急激に上昇しているのを見るなら、「興味を持っているうちに才能を伸ばしてあげたい!」と考えたり、「もしかしたらとんでもない才能を持っているのかもしれないから、できるだけプログラミングに集中させてあげたい」と考えたりして、運動不足になるのはいけないと分かっていながらも、プログラミング以外のことをさせない可能性もないとは言えません。
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無理に教えるのではなく好奇心、探究心を育てよう!
これからの世の中を生きていく子供たちにとって、コンピュータやプログラミングは私たち親の世代が考える以上に重要なことであることは事実です。ですが、子供たちがコンピュータやプログラミングに興味を持てる環境を準備することも重要ですが、体を動かして様々な体験をしたり、本を読んだり、自然に触れたり、音楽を聞いたりすることも、すべて子供を感性豊かな人間に育てていくためには重要なことなのです。
子供に無理にプログラミングを教えたり、唯一の選択肢としてプログラミングを提示するのではなく、芸術や文学、数、図形、生物などの数多くの興味を持つ分野の1つとして、プログラミングに好奇心を持てるように育てていくことが大切なのではないでしょうか。