大きくなってからでもお箸の持ち方は矯正できる!今からでも遅くない箸の教え方
お箸を正しく扱うことは、親が子供に習得させるべき食事マナー。とはいえ、箸の扱いは手が小さく器用に動かせない子供にとってはちょっと複雑ゆえに、正しいお箸の持ち方や扱い方を小さな子供に教えるのは簡単ではありません。
食事中にお箸の持ち方を教えたけれど、なかなか身につかず小学生中学生になってしまった…という人も。
ですが、小さなころに身につかなかったとしても、お箸の持ち方は矯正できます。子供が大人になったときに、「正しい箸の持ち方を教えてもらっていないから、ちゃんと正しく持つことができない」と開き直るようなことがないように、気づいた時点で正しい持ち方を習得させたいですね。
大人まで?間違った箸の持ち方あるある
正しい箸の持ち方を教える際には、まずどのような持ち方が間違っているのかを理解しておきましょう。
1.握り箸
2本の箸をグーの手で握って食べる方法です。握り箸は2本の箸をまとめて持ちますので、小さなものを掴むことができず、お茶碗からスプーンでかきこむように食べてしまいます。
握り箸は、お箸を持ち始めた小さな子供がついついやってしまう持ち方。これを小学生や大人がやってしまっていてはちょっと恥ずかしいですね。また、昔は食事中の握り箸は、同じテーブルを囲む人を攻撃(握りしめた箸で相手を刺す)する意味があると忌み嫌われ、現在も『嫌い箸』の代表です。
2.クロス箸
箸を持った部分で箸がクロスしてしまう持ち方をクロス箸、または交差箸と言います。箸を使っていないときにも先端が交差していて、見た目が非常に悪いお箸の持ち方です。
これもやはりお箸を持ち慣れない小さな子供~小学生くらいの子供に多く見られる、ちょっと幼稚な持ち方。大きくなってもクロス箸…なんてことがないようにしたいものですね。
3.箸を短く持つ
箸は上(太い部分)から3分の1ほどのところを持つのがキレイな持ち方。ですが、特に手の小さなうちはお箸を上手に扱えず、どうしても中心から下を持ってしまう傾向があります。
お箸をもつ位置は比較的直しやすくもありますので、正しい持ち方に導くためにも子供が小さいうちからお箸をもつ位置を教えましょう。
やはり、大きくなっても、中央部分を持ったりそれ以上に短く持ったりするなら、食事をする相手に幼稚な印象を与えます。
4.ペン箸
ペンを持つように薬指を使わないお箸の持ち方。これも箸の先端が上手に動かない持ち方となりますので、掴んで食べるのではなくかきこんで食べてしまうようになります。
5.並行箸
箸と箸の間に中指を深く入れるために、2本の箸が並行になってしまうお箸の持ち方を並行箸と言います。先端部分が重ならないので細かいものを掴むことができず、握り箸と同じく食事をかきこんでしまうと言うこともあります。
箸の持ち方を無理なく修正!正しい持ち方と使い方を身に付ける!
それではさっそく箸の正しい持ち方と正しい持ち方を身につける方法、正しく箸を持つためのコツについて見ていきましょう。
箸の持ち方の矯正は、『正しく持った状態で箸を使える』を意識しなくても出来るようになってはじめて完成しますので、持ち方、トレーニングの仕方、習慣化するコツの順に見ていくこととしましょう!
食事のお作法!正しいお箸の持ち方
まず、正しい箸の持ち方をきっちりと覚えておく必要がありますね!
正しくお箸を持つためのお箸セット手順を順番に説明していきます。
1.親指と人差し指の間に箸を1本しっかり挟む
手に箸を持ったところを横からみたとき、2本の箸はそれぞれ下部の動かさない箸は『固定箸』、自在に動かす上部の箸は『作用箸』といいます。
まずは、『固定箸』を親指と人差し指の付け根にはさんで固定しましょう。
2.薬指で固定箸を支える
固定箸を親指と人差し指で挟んだだけでは、箸はぐらついてしまいます。薬指を軽く曲げて、曲げた部分の上に固定箸を乗せ、固定箸がぐらつかないようにしましょう。
3.親指と人差し指、中指で作用箸を挟む
親指の腹と人差し指の第3関節、中指の第1関節で作用箸をしっかりと挟みます。
作用箸は人差し指の第3関節に乗せて、下からは中指で支え上からは親指で支えると、動かしやすくなります。
お箸の持つときのちょっとしたポイント
正しい箸の持ち方を実践してもうまく持てないときがあります。ちょっとしたポイントをおさえると、上手に持つことができます。
【小指の位置】
親指・人差し指・中指・薬指にはそれぞれ決まった位置がありますが、小指は特に指示されることもないので、ときとしてお箸の持ち方を矯正中の子供の小指が異様な存在感をみせてしまうことも。小指はどこにセットすれば見た目良くかつ自在に箸を動かせるようになるでしょうか?
小指の位置に正解はとくにありませんが、薬指の下で薬指に沿わせるようにセットするなら、ぐらつきがちな薬指が固定できますし、箸を持った手の形もほっそりと見えますので、スタイリッシュで機能的ですね。
【箸を持つ位置】
お箸を持つ位置も綺麗な持ち方に必要不可欠な条件です。子供は箸を短く盛ってしまいがちですが、箸を短く持つと食べ物を掴みにくくなってしまいます。最初の固定箸をセットするときに、親指と人差し指の付け根に箸の上(太い方の先端)から3cmくらいの部分がくるようにしましょう。
正しい位置(親指の付け根から箸の上部が3cmほど出ており、箸の3分の1のところを持っている印象がある持ち方)に慣れるのも、箸使いになる第一歩です。
キレイに持ったまま食べる練習をしよう
箸がきれいに正しく持てるようになったら、次は正しい持ち方のまま『使う』練習、食べる練習に進みましょう。
正しく持てても食べている間に握り箸やクロス箸、並行箸などの間違った持ち方になってしまう人も少なくありませんので、正しい持ち方のまま食べるという練習が必要になります。
箸をきちんと使うトレーニング
箸を正しく持てても、上手に使えなければ意味がありません。食べているときではなく、別に時間を設けて箸を使う練習をしましょう。
【箸を持ってから直すのではなく持つ前に直す】
箸を持ってから正しい持ち方に直すと、正しい持ち方のハードルを上げてしまい、箸を上手に動かせなくなってしまいます。
箸の持ち方を直すときは、2本の箸を持ってから直すのではなく、持つ前に1本ずつ箸を手にセットする(親指の付け根に1本の箸を固定してから、人差し指と中指で動かす箸をセットする)ように直していきましょう。
【豆つかみトレーニング】
食事のときに箸の持ち方を直していると、いつまで経っても食事が進みませんし、子供もイライラしてしまいます。それで結局、つい、いつもの間違った持ち方で食べてしまうことに…。
お箸の持ち方の矯正トレーニングは、食事中に箸の持ち方を直そうとするのではなく、持ち方を矯正する機会を別途設けてあげましょう。
箸の持ち方のトレーニングとしては豆をつかむトレーニング法が一般的です。
細かいものを掴むというのは、箸の使い方の中でも複雑かつ高度ですから、正しい箸の持ち方を習得すると豆が上手につかめるようになります。初めはやわらかく持ちやすい煮豆で練習し、慣れてきたら上級編として乾燥した豆で練習させてあげましょう。
食事のときは箸の持ち方を意識する
食事の最中、箸の持ち方ばかりをガミガミ言っては食事が楽しくないばかりかおいしくありません。あくまでも意識させることが重要で、練習は食事以外で行いましょう。
【箸を持つ度に、正しい持ち方をチェックする】
箸を持つ・持ち直すのは、食事の初めだけではありません。お椀を持つときやお茶を飲むときなど、食事のときには何度も箸を箸置きに置いたり、持ち直したりしますので、その度ごとに正しい持ち方で箸を持つ必要があるのです。面倒に思わずに、箸を持つ度に正しい持ち方をしているかチェックする習慣をつけましょう。
【正しく持つ時間を延ばしていく】
正しい持ち方で箸を持ったら、次は、正しい持ち方で持っている時間を長くする訓練が必要になります。食事の途中何度も、今この瞬間で箸を正しく持てているかをチェックし、正しい持ち方で持ったまま食事が出来ているか確認してください。
正しい箸の持ち方を習慣化するコツ
お箸の持ち方はその場でなおすことはすぐにできても、これを習慣づけるには1日や1週間、1ヶ月といった短い期間ではなかなか生活の中に固定しないものです。正しい箸の持ち方を身につけるためには時間がかかるということを理解し、長期戦で習得していきましょう。
手が痛くなったら無理をせずに妥協案を
箸の矯正の壁は筋力不足にもあり、正しく箸を持つことで普段使っていなかった筋肉をつかったり、普段箸を挟んでいなかった部位で箸を挟むために、手が痛くなってしまうこともあります。
正しい箸の持ち方で手が痛くなってしまったのなら、初めからきちんと正しく持とうとするのではなく、徐々に正しい持ち方ができるようにプランを立てていきましょう。
例えば、普段、握り箸で食事をしていた子は、薬指や小指を使っていないために正しい箸の持ち方をすることで薬指や小指が吊るような痛みを覚えることがあります。そんな様子が見られるのなら、いきなりキレイな持ち方に直すのではなく、最初は薬指を添える形で、徐々に薬指に小指を添える形に矯正していきましょう。
食事をおいしくいただく気持ちも大切です!
「箸の持ち方が気になって、食事を味わうことができない・・・」のでは、食事を作ってくれた人や食材を作ってくれた人に対しても失礼です。初めは箸を持つタイミングでだけ正しく持てているかを意識するようにし、食事を味わうことも忘れないようにしましょう。
子供がきちんと箸を持てないのには理由がある!使いやすい箸を選んであげよう
たった2本の箸。きれいに持てる人にとっては、いい大人がなぜきちんとお箸を持てないのか不思議に思ってしまうものです。
箸の持ち方が正しくないと、見た目に美しくないだけでなく、食べ方が汚くなってしまったり、姿勢が悪くなってしまったりすることもありますが、手の小さな子供にとって箸の扱いのハードルは非常に高く、自分の使いやすい自己流の持ち方に持ち変えてしまうことは本当によくあるのです。
箸をきちんと持てない理由
箸はとても軽いので、重いから持てないということはまずありません。ですが、2本の箸で食べ物をつかんだり、すくったり、切り分けたり、畳んだりしますので、手先の器用さが求められるのは事実です。でも、逆に器用に箸を動かすためにも、正しい持ち方の習得は必須!
親がお箸の持ち方を上手く教えられないままでは、子供は間違った持ち方をそのまま癖にして自分の箸の持ち方に違和感を感じることなく成長していきます。
なかなかお箸の持ち方が身につかないのは、もしかしたら子供にとってちょっとハードルの高い教え方をしてしまっているのかもしれませんね。「どうして子供はきちんとお箸を持てないのか?」というところを観察してみましょう。
なぜ、きちんと持って器用に動かすことがこんなにも難しいのでしょうか?
指の筋力不足
正しく箸を持つためには、片方の箸を固定したまま、上にくるもう片方の箸を、親指を添えた状態で人差し指と中指をつかって上下に動かさなくてはなりません。つまり、それぞれの指に相当の筋力がなければ、箸はなかなか美しく持てません。細かい作業も行い慣れず、重い荷物を持ったりすることも少ない子供は、指の筋力が不足から箸を正しく持ちにくいのです。
正しい持ち方を教えてもらっていないから
いきなり2本の箸を渡されて、正しくきれいに持つことができる子はいません。箸の持ち方は親など大人から教えてもらうことが一般的で、万が一教えてもらわなかったとしても、周りの人の箸の持ち方を見て覚えていくこともできますが、大抵はお箸の持ち方は意識しない小さい子供に一か八かでそれを求めるのはちょっと不条理。
キレイに箸が持てないのは、お箸の持ち方をちゃんと教えてもらえなかった、親や周りからお箸の持ち方を習得できなかったためと考えられます。
お箸の長さが子供の手のサイズにあっていない
子供も大人と同じ長さの箸を使っている、または幼児の頃のまま短い箸を使っているのなら、お作法以前の問題があります。そのような使いにくい箸を持たされていたのでは、正しいお箸の持ち方はより一層身につきにくくなってしまいます。
子どもの手に使いやすいお箸を選んであげよう
正しい箸の持ち方をするためには、各自の手の大きさや指の長さに合った箸を選ぶことが大切です。子どもの箸を選ぶときの注意点を説明します。
箸の長さ
親指と人差し指の間を直角にしたときの親指の先端と人差し指の先端の間の距離を『一咫(ひとあた)』と呼び、一咫半の長さが箸にはちょうどいいとされています。もちろん人によって使いやすい長さは異なりますが、おおよその基準として一咫半を目安にするのも良いでしょう。
成人の場合は、女性用は21cm、男性用は23cm前後になっていることが多いです。また、2歳~3歳の子どもは14cm、4歳~5歳は16cm、6歳~7歳は18cmの小ぶりなサイズが良いでしょう。
箸の断面の形
箸の断面が丸以外の方がすべらずに持ちやすいと感じる子どもは多くいます。鉛筆のように六角形のものや、一般的な四角のものなど、丸以外の箸の方が、正しい持ち方を習得していない子どもには適していると言えるでしょう。
箸の先端部
箸の先端があまりにも丸まっていると細かいものを掴みにくく、イライラして握り箸やペン箸に持ち替え、グサッとお料理を突き刺す『刺し箸』を招いてしまいます。子どもの年齢や器用さにもよって、箸の先端部はあまりにもとがっていると食べるときに喉を突く恐れもあり危険となることもありますが、できれば適度な細さを持つ箸を選んであげると子供自身が使いやすいと思いますよ。
矯正箸・しつけ箸
矯正箸やしつけ箸といった正しい箸の持ち方を覚えるため箸は、箸に指をひっかける台やリングがついているものが多いため、手や指のサイズにぴったりと合っていないとかえって使いづらくなってしまうかも。購入する前には一度手に持たせて見て、子どもの手に合っているか確認するようにしてください。
箸をちゃんと持ってマナーアップ
正しい箸の持ち方を子どもに教えることは、子どもに親が与えてあげることができる財産の1つ。箸をきちんと持つことは、きれいな食べ方やきれいな姿勢を保つため、そして毎日の食事を楽しむために必要かつ重要なポイントとなります。
一旦自己流の持ち方を覚えてしまったなら、正しく箸を持って食事をすることは大変でそれ相当の時間がかかりますが、子供の将来を思えばきれいな食事のお作法は必要不可欠。地道に、手間をいとわずお箸の持ち方の矯正してあげましょう。