2歳の癇癪はなぜ起こる?癇癪が続く期間とは
「魔の2歳児」や「イヤイヤ期」など、何かと大変なことが多い2歳児。さらに、この時期のママが頭を悩ますのが「癇癪」です。突然、地面にひっくり返って手足をバタバタしたり、物を投げたり…2歳になって癇癪が始まったら、ママは一体どうすればいいのでしょう。
ここでは、なぜ2歳になると癇癪を起すのか、また、いつまで癇癪が続くかについてご紹介。さらに、成長における癇癪の必要性についても解説していきます。
癇癪とはどのような状態なのか
癇癪(かんしゃく)とは、感情を抑えることができずに、激しく怒ったり、怒りによる行動を制御できない状態のことをいいます。
2歳になると、次のような癇癪がみられるようになります。
- 大声で叫ぶ
- 泣きわめく
- 地団駄を踏む
- 頭を床やテーブルに打ちつける
- 自分を叩く
- 床に転がる
- 物に当たる・物を投げる
- 周囲の人を叩く・噛みつく
子供が癇癪を起すと、それまで楽しそうに遊んでいたにもかかわらず、火のついたように暴れ出すことがあります。子供の癇癪は時と場所を選ばないため、周囲の人から怪訝な顔をされたり、「しつけが悪い」と心ない言葉をかけられたというママも少なくありません。
2歳になると癇癪がひどくなる理由
2歳なると二語文が話せるようになり、ボキャブラリーを増やしながら、徐々に言葉で自己表現ができるようになることにより、癇癪が起こりやすくなります。
この頃の子供はまだ未発達なため、感情を制御したり、衝動的な欲求を我慢するのが難しい状態です。そのため、「自分の気持ちを言葉で表現できない」「やりたいことが上手くできない」という状況に直面すると、気持ちの持って行き場がなくなり癇癪を起こしてしまいます。
生理的欲求や環境の変化が原因になることも
子供の癇癪は、何も体の成長が要因だけではありません。「疲れて眠い」「お腹が空いた」などの生理的な欲求が引き金となって癇癪が起こることがあります。
さらに、妹や弟が生まれたことによる赤ちゃん返りも癇癪の原因になります。「ママに守ってもらいたい」という寂しさから、わがままを言ってママを困らせたり、泣いてママの気を引いたりすることがあります。
2歳の癇癪の重要性
癇癪は子供の自己主張の始まりです。ただし、まだまだ上手にはできないため、時には「癇癪」という形になってイライラを吐き出すこともあります。そのため、子供の癇癪を無理に止めさせようとすると、逆に子供の成長の機会を奪いかねないのです。
ママにとっては辛い時期ではありますが、このような状態は長くは続きません。成長とともに、自己主張が上手にできるようになれば、癇癪を起す必要もなくなります。
癇癪は子供の成長を知らせる重要なサインと割り切って、できる限りそばにいて見守ってあげることが大切です。
2歳の癇癪はいつまで続くの?
2歳前後で始まった癇癪は、早い子では半年から1年ほどで治まるのですが、中には、4歳くらいまで続く子もいます。
4歳くらいになるとおしゃべりが格段と上手になって、自己主張もきちんとできるようになるだけでなく、相手の気持ちを理解してあげられるようになるため、イライラして癇癪を起すこともほとんどなくなります。
2歳の癇癪を悪化させないための3つのポイント
子供の癇癪は起こってしまったら、抑えることは難しいかもしれません。しかし、癇癪が激しくならないようにすることは可能です。
次の3つのポイントに注意することで、癇癪の悪化を防ぐことができます。
Point1 感情的にならずに冷静に接する
子供が癇癪を起すと、ついイライラして大きな声を出したり、叱りつけたりしてしまうものですが、子供によっては、ママが感情的になることによって、癇癪が余計ひどくなる場合があります。そのため、子供の癇癪が始まったら努めて冷静に振る舞うことが大切です。
自分が癇癪を起しても、ママの顔色一つ変わらないと分かったら、子供はあきらめて癇癪を起さなくなります。
Point2 子供に選択肢を与える
子供が思い通りにいかない時や、自分の言いたいことがうまく言えない時に癇癪を起したら、「一体どうしたいの?!」と詰め寄らず、ママが選択肢を与えるようにしましょう。子供が自分で選ぶことによって満足感が得られるため、気持ちが落ち着きます。
例えば、自分で靴を履きたいけれど、上手く履けなくて癇癪を起したら、「ママがお手伝いしたいんだけど、右と左どっちがいい?」と聞いてみましょう。
Point3 予定を伝えておく
事前に予定が決まっている場合は、あらかじめ「いつ」「どこで」「何をする」ということを子供に伝えて、理解させておきます。やらなければならないことがあるのに、子供にやりたくないと癇癪を起されるとママはイライラするものです。
そうならないためにも、「明日はお出かけするので公園には行けない」とか「○時になったらお家に帰ろうね」と言って心の準備をさせることで、スムーズに次の行動に移すことができます。
2歳児が癇癪を起した時の対処法
子供は癇癪を起すと、感情や行動を抑えることが難しくなります。さらに、ママが感情的になることで、余計癇癪が激しくなることもあるため、次のような手順を踏んで対処することが大切です。
1-深呼吸して子供と向き合う準備をしましょう
子供の癇癪が始まったら、まずはママ自身が落ち着くことが大切です。大きく息を吸って、これから始まる癇癪との戦いに備えましょう。
さらに、人が大勢いる公共の場で癇癪を起した場合は、人の迷惑にならない場所に移動することが大切です。また、道路などの車が通る場所では、子供が興奮して飛び出さないように安全を確保する必要があります。
2-子供の気持ちを落ち着かせましょう
子供の癇癪が起こると、ついイライラして声を荒げてしまうかもしれませんが、癇癪を起しているとママの声が耳に入らないことがあるため、子供が落ち着くのを待ちましょう。
子供を抱きしめたり、手を握ったりしてあげると気持ちが落ち着きます。そのほかに、子供が好きなキャラクターのおもちゃや絵本があれば、気を逸らすことができるので、この時期の外出の際はバッグに入れておくと役立ちます。
3-子供の気持ちに共感を見せましょう
癇癪を起こすには子供なりにその理由があります。しかし、それをうまく伝えることができないようなら、ママが手助けしてあげてください。
「○○したかったんだね」「○○なんだよね」と癇癪を起こしている理由について、子供の気持ちを肯定的に代弁してあげるようにしてください。子供が「気持ちを理解してもらえている」と感じることで癇癪が治まります。
4-癇癪を起してはいけない理由を説明しましょう
癇癪を起している子供は、もちろん癇癪が悪いことだとは思っていないため、子供が癇癪を起した時に闇雲に叱るのは、あまり効果的ではありません。
単に「だめよ」と叱るのではなく、「○○ちゃんがお話聞いてくれないとママは悲しい」とか「急に大きい声を出すと周りの人がビックリする」など、「なぜだめなのか」という理由を諭すことを意識しましょう。
5-癇癪が治まったら褒めてあげましょう
子供が癇癪を抑えることができたら、「上手に泣き止めたね」と褒めてあげます。ママに褒めてもらえることが分かると、次も頑張ろうという気持ちになるのです。
褒める時に注意が必要なのが、「○○できたから偉い」という褒め方です。子供が「○○できないと悪い子」と誤った認識を持つ恐れがあるため、「○○できてうれしい」とか「○○できた良かったね」とママの気持ちを伝えることが大切です。
やってはいけない2歳の癇癪への対処
子供の癇癪を抑えたいあまりにママが誤った態度を取ることで、結果的に子供を傷つけてしまったり、癇癪が悪化してしまったりすることがあります。特に、次のような行動には注意が必要です。
頭ごなしに叱る
スーパーなどで暴れられると、周囲の目が気になって、とりあえず子供を叱りつけてしまうことがあるかもしれません。しかし、ママに大声で怒鳴られることによって、子供が怯えてしまったり、自分が否定されたと感じてしまいます。
ただし、子供がいけないことをした時は、きちんと叱ることも必要です。声の大きさや強い口調で威圧するのではなく、子供と同じ目線に下りてママの思いを真剣に伝えることを心がけましょう。
子供を放置する
何を言ってもダメだからといって、そのまま子供を放置してしまうのは良くありません。ますます癇癪がひどくなったり、子供がママに見捨てられたと感じることで、この時期に必要な愛着形成や情緒の安定に悪影響を与える恐れがあるのです。
特に、子供はママとしっかりと愛着形成されることで、ママ以外の人と上手に人間関係を築くことができるようになるため、抱きしめるなどのスキンシップを積極的にとることが重要です。
なだめるために物で釣る
癇癪があまりにひどくて手に負えない、周囲の目が気になるという場合、その場しのぎのために安易に欲しがったものを与えると、「癇癪を起こせばママが言うことを聞いてくれる」という誤った考えを持つようになります。
必要に応じて親子でルールと決め、一度決めたルールは守らせましょう。「ダメなものはダメ」ということを徹底すれば、子供も「泣きわめいてもムダ」ということを理解します。
2歳の癇癪は一人で抱え込まずに相談しましょう
2歳の子供の癇癪は子供の成長の表れであって、決して親の接し方や子育てに問題があるというわけではありません。そのため、責任を感じたり、一人で抱え込んだりしないことが大切です。
子供の癇癪がひどいけれど、病院に相談することに抵抗を感じるという場合は、地域の子育て支援センターや児童相談所などを相談してみましょう。
2歳にみられる癇癪は、子供の成長とともにいつかは終わります。今は大変な時期ですが、「今だけのこと」と割り切って子供と向き合ってあげてください。