子供が奇声をあげるのはなぜ?原因と対処法
子供の奇声に悩んでいる親は、自分の子供がなぜ大声を出すのかわからず困っているのではないでしょうか?
買い物をしているときや電車やバスで移動しているときに子供が「キィィー」「キャー!」と大声で奇声をあげると、周囲からの冷たい視線や怒っても治まらないうるさい声にストレスは増すばかり。
子供の奇声の原因と対処法を知って、我が子が何を訴えているのか見極めましょう。
子供が奇声をあげる原因は?
子供の奇声は、親のしつけや障害のせいと言われることもあり、親としては本当に辛いものです。しかし、子供が大声を出すことはよくあること。まずはなぜ子供が奇声をあげるのか、その原因を見つけましょう。
空腹や眠気を伝えている
子供は自分の感情を言葉にするのが苦手です。特に乳児~1歳くらいでは、言葉で自己表現できないので、大声を出して親に自分の意思を主張します。それが奇声を発する原因になっているのです。
2~4才の子供でも、自分が感じている欲求(空腹・眠気)をどう伝えていいのか分からない、また自分では対処できないもどかしさを奇声で表現する場合もあります。
かまってほしい
赤ちゃんから3~4才までの子供は、親にかまってほしくて奇声を上げることがあります。子供が奇声を発したときに、親が何をしていたか思い返してみましょう。
親が友達と話し込んでいるときや、スマホに夢中になっているとき、テレビを熱心に見ているときであれば「かまって!」という子供の意思表示である可能性が高いでしょう。
興奮している
電車やバスといった大きな乗り物に乗ると、子供は興奮して奇声をあげることがあります。これは単純に興奮している・楽しいという感情表現でしょう。
しかし、このような密室空間では人気の少ない場所に移動することもできません。乗り物に乗っているときに奇声をあげられると、どうすればいいかわからない人も多いでしょう。
興奮して奇声を発するのは乗り物の他に、いつも行かないレストラン、広くて明るいスーパーやショッピングモール、公園などが考えられます。子供がテンションをあげる場所を把握して対策を練っておくことが大切です。
周囲の反応を学んでいる
子供にとっては何をしているときも勉強中です。大声を出すことや、周囲の反応を見るのも経験のうちなのです。子供は奇声を上げることで親や周りの人の反応を学習しているのです。
奇声に対して親がオロオロして焦る様子を楽しむ子供もいますが、悪意があるわけではありません。大人の感覚で受け取って怒っても、恐怖心を植えつけるだけで根本的な解決にはなりません。
不安や不快感を訴えている
子供は不安を感じると奇声を発して精神の安定を図ろうとすることがあります。知らない場所や知らない人ばかりの空間は、大人でも不安になります。小さな子供なら尚更です。
子供は暑い寒いという不快感を奇声で表現することがあります。「静かにして!」「うるさい」と頭ごなしに叱らないようにしましょう。
発達に問題がある可能性
子供が奇声をあげるのは発達に問題があるせいではないか?と不安を抱えている方もいるのではないでしょうか?
たいていの場合、子供は成長とともに自然と奇声をあげなくなります。言葉で自分の気持ちを伝えられるようになり、社会のルールもわかり始めるからです。大声を出すと周囲に注目されて恥ずかしいという気持ちも出てきます。
5歳を過ぎても頻繁に奇声をあげる、一向に奇声が治まらないといった場合は5歳児健診の際に発達相談を受けてみるといいでしょう。
5歳児健診の目的の一つに、親が発達の遅れに気づくことがあげられます。3歳児健診では発達上の問題が見つからなかったものの、5歳児発達相談で初めてその疑いがあると診断されるケースもあります。(注1)
子供の奇声の原因まとめ
- 空腹や眠気を伝えている
- 親や周囲にかまって欲しい
- 興奮してテンションが上がっている状態
- 周囲の大人の反応を楽しんでいる・学んでいる
- 知らない場所や人への不安を表している
- 暑さ寒さなどの不快感を表している
- 発達の遅れの可能性
子供の奇声は自己主張のひとつです。どの理由であっても、親を困らせたくてやっている訳ではないと理解してあげましょう。
子供が奇声をあげるときの対処法
子供の気持ちを理解してあげたいと考えていても、子供の奇声は実際に親の悩みの種となります。子供がうるさい声を上げているとき、親としてどうすればいいのか、対処法を見ていきましょう。
ご近所対策はしっかりと
子供が自宅で奇声をあげる場合、ご近所への対処は必須です。特にアパートやマンションに住んでいると、隣や上下階の住人へ配慮しなくてはご近所トラブルに発展することもあります。
苦情が来る前に、こちらから「いつもうるさくしてすいません。ご迷惑おかけしていませんか?」と聞いて先手を打つと、周囲の住人のストレスは軽減します。積極的にコミュニケーションをとることで周囲の協力は得られやすくなります。
親の精神的な負担が大きくなりすぎたら、引っ越しも検討してみてください。気が楽になり家族みんなが落ち着き、子供の気持ちも安定する場合があります。
一貫した態度 を崩さない
子供の奇声に対しては、一貫した態度を崩さないことが肝心です。友達との会話に夢中になっているときは叱らない、スマホを触っているときは怒らないなど、親の態度にムラがあると子供は混乱し、不安が強くなってしまいます。
ご褒美を与えない
子供が奇声を発したときは「静かにしたら〇〇を買ってあげる」というように、ご褒美を与えてはいけません。「奇声を発するとご褒美がもらえる」と子供が勘違いすることがあるからです。
優しく抱きしめて話を聞いてあげる
子供が奇声を発したら、すぐにギュッと抱きしめて「何が嫌だったの?」「どうしたの?」と子供の言葉に耳を傾けてあげてください。頭ごなしに「静かにしなさい!」「うるさい!」と怒るよりずっと効果的です。
子供が奇声をあげるには何かの理由があります。奇声を上げる子供を強く叱ってやめさせようとしても、しっかりと理由を聞いて改善しなくては根本的な解決にはなりません。
公共の場に行くときは事前に話し合う
子供が奇声をあげそうな場所に出かけるときは、出発前にきちんと子供と向き合って、話し合いをしておきましょう。「これから行く所では大声を出しちゃいけないよ」ときちんと伝えてあげてください。
なぜ大声を出してはいけないのか、その理由をしっかり伝えることが大切です。例えば「周りの人を嫌な気持ちにさせる」「赤ちゃんがビックリして怖がる」という理由を伝えてあげると、奇声はかなり減ります。
公の場で放置しない
公共の場での周囲の冷たい視線は、奇声を上げている子供本人ではなく、うるさい子供を黙って放置したり、気の入らない怒り方をしている親に向けられていることが多いです。
耳をつんざくような子供の奇声は周囲の人を驚かせ、怒らせることもありますが、多くの場合は子供と向き合わない親の対応に苛立っています。
公の場で子供が奇声を発したらその場を離れるか、「ここで大きな声を出してはいけないよ」と子供の目を見てしっかりと伝えましょう。
必要以上に気にしすぎない
親が子供の奇声に敏感になりすぎると、子供は窮屈に感じてストレスが増してしまいます。それが余計に奇声をひどくする可能性もあるので、親が必要以上に心配しすぎないようにしましょう。
どんなこともドンと構えて受け入れるという姿勢を子供に見せてあげましょう。奇声をあげても落ち着いて対処します。オロオロしたり焦って怒鳴ったりするのはNGです。
運動や遊びでストレスを発散させる
子供の奇声の原因がストレスや欲求不満の場合、外で思いっきり遊ばせることで奇声が減ることがあります。体を心地よく疲れさせて帰宅すれば、満足して不要な大声を出さなくなります。
ママやパパと思いっきり遊んだ満足感もそれを手伝ってくれるでしょう。雨で外に行けないときに利用できる室内の施設も、事前にチェックしておくと便利です。自宅でも工作や手遊びで一緒に遊んであげると、満足して奇声が減るケースもあります。
専門家に相談してみる
さまざまな対処法を試しても改善しない場合は、小児科など専門家に相談してみましょう。住んでいる地域で相談できる施設を探して、一度遊びに行ってみるのもいいでしょう。必要な知識を身に付けて冷静に対応することが大事です。
子供の奇声・年齢別の対処法
子供の奇声対策をするなら、年齢によって接し方を変えていくことが大事です。乳児が奇声をあげることはよくありますが、1歳からの子供が奇声をあげたときはどのように対処していけばいいのでしょうか?年齢別に対策していきましょう。
1歳
1歳ころの子供は、怒鳴ったり言葉だけで「いけない」と言ってもほとんど意味が伝わりません。言葉だけではなく、態度やジェスチャーを織り交ぜて根気強く伝えていく必要があります。
奇声を上げたらすぐに「しー」と言いながら、口元に人差し指をあててみせるなど、真剣な態度で注意することが重要です。まだ小さいから仕方ないと放置せず、しっかりと子供の奇声対策をしていきましょう。
2歳
イヤイヤ期が始まる2歳ころに奇声をあげることが増えたという方はたくさんいます。自我が芽生えてくるイヤイヤ期の子供は、奇声をあげることで自己主張をしている状態。
ママに「うるさい!静かにして!」と命令されると余計に反発心を抱いてしまいます。少しずつ感情のコントロールができるように、子どもをサポートしていくことが大切です。
- うるさくしてはいけない理由を伝える
- 人や物にぶつからないよう安全に配慮する
- 慌てず騒がず、毅然とした態度で接する
- 命令口調ではなく「静かにしようね」と提案する
- 静かにできたら褒めてあげる
- 日中たくさん遊んで運動させる
3歳~5歳
3歳~5歳くらいの子供でもお腹が空いた、うまくいかない、眠いなどストレスを感じたときに奇声をあげることはあります。
3歳以降の子供が奇声をあげた場合は「どうして大きな声を出したの?」と聞いたり、子供の気持ちに共感して安心させることが大事です。
3歳を過ぎると言葉で意思の疎通ができるようになり、奇声をあげる回数は減っていきます。本人も騒いではいけないと自覚している場合が多いので、頭ごなしに怒らずしっかり理由を聞きてあげましょう。
子供の奇声には冷静な対処が必要
子供の奇声は大抵4~5歳でおさまりますが、頻繁に奇声をあげたり癇癪をおこす子供がいると、親としてはつらいものです。
しかし、親が焦って黙らせようと怒鳴るのは逆効果。冷静に毅然とした態度で対処したほうが子供の気持ちを落ち着かせることができます。
言うことを聞かない子どもにもそれなりの理由があると考え、子供が納得できる説得の仕方をシュミレーションしておくことも大事です。奇声をあげるのも成長のうちと考え、神経質になりすぎず子供の成長を見守りましょう。
参考文献
- 注1:厚生労働省 第三章 健診・発達相談等の実際