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モンテッソーリ教育の教育法

モンテッソーリ教育とは?子供の本当の力を引き出す教育

モンテッソーリ教育とはどんなものか知っていますか?モンテッソーリ教育の教育方法は、幼稚園の縦割り教育などで取り入れられています。幼稚園や幼児教室などでモンテッソーリ教育を受けることができますので、興味があるママは探してみてはいかがでしょうか。自宅でも実践することができます。

モンテッソーリ教育とはどんな教育法なのか

モンテッソーリ教育とは、イタリアの女性医学博士マリア・モンテッソーリにより開発された教育法です。「子供は生まれながらにして自分でできる力を持っている」という考えを基本とし、子供の本当の力を引き出すことを目的とされ、もともと知能に問題がある子供の教育法として開発されたものです。

マリアは障害のある子供のみではなく健常児にも用いることができると考え、貧困層の健常児のための施設である「子供の家」で取り入れ、現在の教育法として完成したのです。その後、世界的にモンテッソーリ教育法が認められるようになり、日本では1960年代から取り入れられています。

モンテッソーリ教育の開発者「マリア・モンテッソーリ」

1970年にイタリア生まれ、ローマ大学で最初の女性医学博士になった人物です。貧しい人々に向けたアパート保育施設の監督と指導を任されたのをきっかけに、それまで障害のある子供に用いていた教育法を健常児にも用いるようになりました。

このときの保育施設が、のちのモンテッソーリ教育の実践教育施設でもある「子供の家」です。その後はこの教育法の普及に努め、晩年には子供の命の大切さを訴える運動にも取り組みノーベル平和賞の候補にあげられるほどになりました。

モンテッソーリ教育は子供の本当の力を引き出す教育法

モンテッソーリ教育は基本的に「子供の自立を助ける教育法」です。子供は生まれながらにして、自分自身を成長させることができる力をちゃんと持っていて、その力を引き出すために周りの大人が子供をサポートします。

その時の子供の成長に必要なものを、子供が自分で選んで取れるよう、環境を整えてあげるようにするのです。それらを通して自立だけでなく、責任感と思いやりを持ちながら成長できるようにしてあげるのです。

意外と身近で行われている!モンテッソーリ教育の特徴5つ

モンテッソーリ教育は具体的には大きく次のような特徴があります。子供が通っている保育園、幼稚園、小学校で、「縦割り班」教育を取り入れているところも多く、身近なものではないでしょうか。

  • 個別活動を基本とする
  • 自発性を大切にする
  • 縦割りの集団生活
  • 整えられた環境を用意する
  • 敏感期を大事にする

1.個別活動を基本とする

子供は一人一人興味を持っていることが違います。また、その子にとってその時に必要なこともほかの子とは違っているものです。子供一人一人の要求にこたえるために、子供たちは集団で同じことをするのではなく、自由に個別の活動を行います。

その子にとって必要なことを、子供自身が選んで好きなだけ繰り返して活用できるようにしています。

2.自発性を大切にする

大人に与えられて物事をするのではなく、子供自身が自発的に「これがしたい」と好奇心が現れるようにします。人はあくまで、そのための環境を整え子供が自分で活動できるようにするのです。

3.縦割りの集団生活

モンテッソーリ教育を取り入れている幼稚園や保育園では、縦割りのクラスを作り、違う年齢の子供が一緒に生活できるようにしています。

違う年齢の子供が一つのクラスで生活することによって、上の子供が下の子供のお世話をしたり、下の子供は上の子供をまねたりし、その中で社会性や協調性を学ぶようにしています。

4.整えられた環境を用意する

モンテッソーリ教育は子供が自発的に自由に活動することを大事にしていて、大人には環境を整えることを求めています。モンテッソーリ教育での整えられた環境とは具体的に次のような環境のことをいいます。

  • 子供が自由に好きな教具を選べる
  • やってみたいと思える面白そうな教具がある
  • 年齢縦断型のクラス編成で社会性や協調性を学べる
  • 一人一人の発達段階に応じた環境を整備し、子供の成長を助ける先生がいる

子供の家

子供の家とはモンテッソーリ教育を取り入れている教示教育施設のことで、「整えられた環境」です。子供の家では教具を使った活動を一般的な遊びの時間と区別して「お仕事」と呼び、このお仕事の活動の時間が1~3時間ほどあります。

また、年間行事が控えめなことも特徴です。モンテッソーリ教育では日常の生活を大切にするため、発表などの練習の時間をあまりとらないようにしているためです。

5.敏感期を大事にする

敏感期とは、子供がそれぞれの発達に応じた運動や言葉などの能力を付けるための、最適な時期のことです。モンテッソーリ教育では、子供の自発性を大事にすることで成長にとって大切な「敏感期」に適切に出会えるようにしています。

敏感期は子供一人一人によってその時期が異なるので、それぞれの子供に合わせたペースで能力を付けることができるようにしています。

敏感期

  • 話し言葉が身につく「言語の敏感期」
  • こだわりをもつ「秩序の敏感期」
  • 五感を磨く「感覚の敏感期」
  • 動作や動きを身に付ける「運動の敏感期」
  • 数や数量を覚える「数の敏感期」
  • 興味や関心をもつ「文化の敏感期」

モンテッソーリ教育は子供の能力が磨かれる!受けるメリット

モンテッソーリ教育で自発的に活動することを通して、子供は様々な能力を磨いていきます。モンテッソーリ教育を受けるメリットには次のようなことがあります。

  • 自発性を持つことができる
  • 順序立てて物事を考えられる
  • 自分で決めたことを最後までやり遂げられる
  • 人の長所を見つけるのがうまい
  • 個性を伸ばすことができる
  • 自主性や協調性を付けることができる
  • 集中力をつけることができる
  • やりたいことが満たされ情緒が安定している

モンテッソーリ教育にはデメリットってあるの?

どんなことにもデメリットがあるように、モンテッソーリ教育を取り入れることによるデメリットもあります。デメリットには次のようなことがあります。

  • 協調性に欠けてしまう
  • 集団行動が苦手になる
  • 大人びでいて子供らしくない
  • 屋外活動が少ないため活発な子には向かない

自立を促し、個人行動を基本とするため周りと合わすことが苦手になることがあります。ですが、施設の教育ではデメリットを補う工夫もされています。

優れた点もたくさんありますので、メリット、デメリットどちらかだけを見るのではなく、どんなメリット、デメリットがあるのかをママやパパがきちんと把握して、どのように取り入れるのかを考えることが大事なのです。

モンテッソーリ教育の内容は5つの分野に分かれている

モンテッソーリ教育は5つの分野に分かれていて、それぞれの分野に応じて適した教育やその子供の成長に沿った教具を一人一人に合わせて選び、活動ができるようにしています。教育の5つの分野とそれぞれの教育で使う教具は次の通りです。

1.日常生活の行動の練習

大人が行う様々な動作を真似ることで、日常生活の行動の練習をします。洗濯や掃除、洗いものなど、日常の練習をすることによって、生活をする上での必要な動きを身に付け、体の動かし方を学び、自分の思った通りに体を動かすことができ子供自身でできることを増やしていくのです。また、その中で自立心や独立心を育てていきます。

使用する教具

日常で使うものと同じものを子供サイズにした教具を使います。割れてしまうガラス製のものや陶器製のものもあり慎重に大切に扱うことを学ぶことができます。

2.感覚教育

視覚や聴覚などの感覚が発達する3~6歳頃を成長するうえで重要な時期と考え、感覚を洗練させるための教育を行います。

感覚を向上させる中でいろいろなものを比較できるようになり、自分とほかの人の違いを分かり始め、徐々に同じものと違うものなど仲間分けもできるようになります。また、物の考え方の基本を学ぶこともできます。

使用する教具

触覚を促すための荒い面や滑らかな面のある板や、高低差のある音の鳴るベルで聴覚の発達を促すなど、五感を刺激する教具を使用します。

3.言語教育

人は読む、書く、話すなどの動作を繰り返す中で、徐々に名詞などの言葉の種類を覚え、語彙も増やしていき、文法などを学んでいきます。

モンテッソーリ教育では、言語の習得のために、ものには名前があることを認識したり、性質を表す言葉があることに気づくことでものごとをつなげて考えられるようになると考え、早い時期から言語を学ぶようにしています。

使用する教具

ひらがなが1文字ずつパズルになったもので50音を学び、絵カードや文字カードを使って語彙や文法、文章構成を学んでいます。

4.算数教育

抽象的、理論的な考えを身に付けるために、数の概念や簡単な計算などを学びます。数量や数字などから覚え始め、徐々に十進法や計算などもできるようになります。

難しい計算もできるようにはなりますが、あくまでそれは結果であって、モンテッソーリ教育では、計算ができるようになる途中の考え方を身に付けることを大切にしています。

使用する教具

十進法の書かれたビーズや銀行遊び・切手遊びなどを通して学んでいきます。

5.文化教育

歴史や地理などを身近なものに触れることで学んでいきます。動物や植物に触れ、音楽を聴くなどしながら、子供が自分から文化を学んでいくことを大切にしているのです。そこからさらに、道徳観念や表現力などの能力を身に付けていきます。

使用する教具

地図のパズルや動物や植物が書かれた絵カードなどを通して学んでいきます。

モンテッソーリ教育を受けられる場所

モンテッソーリ教育を子供に受けさせたい場合は、教育法を取り入れている幼児教室や幼稚園、保育園、学校に通うことが必要になります。

近年、この教育法を取り入れている施設は増えており、保育園や幼稚園は近隣などで見つけられることが多くなってきています。

取り入れている小学校はまだ少ない

幼稚園などに比べると、小学校ではまだ取り入れているところが少なく、アフタースクールや習い事として取り入れている教室もありますので小学校はないとあきらめず、学校以外にも注目して見つけてみましょう。

幼児教室で受ける

モンテッソーリ教育を取り入れている幼児教室があります。年齢によってコースが分かれていて、ベビークラスではママと一緒に、未就園児コースでは五感を刺激する学習をします。幼稚園児コースでは小学校で必要になる指先運動や言葉や算数教育など、子供の年齢に合わせた教育が行われます。

多くの幼児教室は見学OKですので、事前に連絡をし、子供に合った雰囲気の教室を選ぶようにしましょう。
幼児教室のモンテッソーリ教育を見て、自分でもできそうだと思ったら、家庭で取り組んでみましょう。

モンテッソーリ教育を家庭で教えることはできるの?

教育法を取り入れている施設が近くにないなどでも、家庭でもモンテッソーリ教育を取り入れることができます。家庭でこの教育法を教える場合のコツは次のようなことがありますので参考にしてみてください。

  • 子供をよく観察すること
  • 環境を整えてあげること
  • 手を出し過ぎないこと
  • ゆっくり教えてあげる

子供をよく観察すること

まずは子供の様子をよく観察することが大事です。子供の成長を見定めて必要なサポートをするためには、子供の成長に気付くことが必要です。子供の行動の中に成長のヒントが隠れているものです。

今、子供は何にこだわっているのか、何が気に入っているのか、日常の中の子供の行動を見て子供の気持ちに沿うことで、成長のタイミングが分かり子供の能力を伸ばす方法が見えてくるのです。

環境を整えてあげること

モンテッソーリ教育で大事なことは子供が自分でできるような環境を整えてあげることです。子供が読みたいと思った時に本が自分でとれること、絵が描きたいときに自分でクレヨンを用意できるなど、やりたいと思ったとき自分の力で活動できる部屋を作ってあげましょう。

手を出し過ぎないこと

モンテッソーリ教育では子供の自発性や自立心を大事にしているため、大人はあくまで子供のサポートをするだけで、見守る立場であることが大事になります。次のことに注意して手を出し過ぎないようにしましょう。

  • 選択の機会を与えて親が選ぶのではなく子供自身が選ぶ
  • すぐに教えないようにする

子供が自分で選んで、試行錯誤する機会をパパやママが奪わないようにしましょう。また、子供が何かわからずに困っているときにすぐに答えを教えるのではなく、子供が教えてほしいサインを出すまでは、もどかしいでしょうがじっと待ってあげるようにしてください。

ゆっくりと教えてあげる

子供から教えてほしいサインが出たときは、しっかり子供に教えてあげましょう。このとき教え方はゆっくりはっきりが大事です。子供にとって大人の動きは早すぎるのです。

また、動作を見せながら説明するのも、子供にとっては見ることと聞くことを同時に処理するのはまだ難しく理解しにくいものです。説明と動作を見せることは別々にすることで子供もわかりやすくなります。

家庭でモンテッソーリ教育を教えるのに教具は必要?

家庭でモンテッソーリ教育を取り入れるときに、教育施設で使うような教具が必要なのでは?と思割れるのではないでしょうか。必ずしも教具が必要なわけではありません。家庭にある日常で使うものが教具の代わりとなります。家庭で教具の代わりとなるものは以下になります。

おもちゃやハサミなど日常で使うものがパパやママのちょっとした工夫次第で教具になりますので、まずは気楽に始めてみましょう。また、教具を使いたい場合はネットなどで購入することもできますので、気になるものを少しずつ試してみるのもおすすめです。

教具を買ったからといって「せっかく買ったのだから使って」と子供に無理に使わすことがないようにしましょう。子供が使いたいときに使ってもらうようにすることが大事です。

モンテッソーリ教育で子供の能力を伸ばそう

モンテッソーリ教育は子供のやりたい気持ちを大切にし、子供自身でいろいろなことができるようにサポートすることで子供の能力を伸ばしていきます。自分の子供に教えたいと思っているママは、メリット・デメリットをしっかり理解し、無理に子供に教えるのではなく、子供が自分から学びたいと思えるようにサポートしてあげましょう。

モンテッソーリ教育を取り入れている幼稚園を選びたい場合、幼稚園の選び方~幼活でチェックすべき10のポイントを参考に、教育方針以外でどんなところに注目して選べばいいのか要チェックです。