そもそも幼稚園とは?
幼稚園とは就学前の幼児の教育を行う場所のことで、学校教育法では幼稚園も学校の一つとされています。ただし、学校といっても、小学校の算数や国語のような勉強が目的ではなく、成長のために適当な環境を与えて、心身の発達を助長することが最大の目的とされています。
幼稚園の基本情報
- 対象年齢…3歳~小学校入学前まで
- 保育時間…9:00~14:00くらい
- 先生の条件…幼稚園教諭免許状を持つこと
- 管轄…文部科学省
- 根拠法令…学校教育法
幼稚園と保育園の違い
幼稚園と保育園との大きな違いは、施設の目的と預ける理由が親の事情で保育できない状態かどうかです。幼稚園は、義務教育への基礎作りや教育自体を目的としている「教育施設」であるのに対して、保育園は教育そのものが目的ではなく「保育できない」親の代わりに、子供を保育する「児童福祉施設」になります。
希望に合った幼稚園の選び方
親にとっても子供にとっても、自分に合った幼稚園選びは大変重要になります。入園後に後悔しないためにも、次のような方法を幼稚園選びの参考にしてください。
1.幼稚園に求める条件をリストにする
幼稚園を選ぶためには、何を基準に選ぶのかを家族で話し合うことが大事です。闇雲に情報を集めても、「あの園もいい」「この園のここがいい」と目移りばかりしてしまいます。
そのため、親が「こんな幼稚園に通わせたい」と考える条件をリストアップしていきます。条件はいくつでも構いませんが、少なすぎても多すぎても後で絞り込むのが難しくなってしまいます。
条件を決めるための基準としては、主に次のようなものがあります。
- 家庭での教育方針
- 幼稚園に通わせる目的
- 子供の性格や特性
- 親のライフスタイル
- 支払いが可能な予算
- 通園の手段
2.条件に優先順位をつける
幼稚園選びの条件が揃ったら、次に優先順位をつけていきます。ここで優先順位をある程度、明確にしておくと、候補が複数上がった場合に絞り込みやすくなります。
「通いやすい」「英語に力を入れている」「自然に囲まれている」「のびのび系」などの条件を、重視している順に並び替えてみましょう。
3.絶対に譲れない条件を決める
優先順位が出揃ったら次に決めておきたいのが、これだけは絶対に譲れないという条件です。幼稚園選びの最終決断に必要となる重要なポイントのため、慎重に選びましょう。
毎日通う幼稚園なので、教育方針や子供の性格・特性などを考慮して、「これを満足していないと無理!」と感じた条件を選ぶ必要があります。
4.幼稚園の情報を収集する
公立の幼稚園の場合、区役所や市役所などの担当窓口で情報を集めることができます。また、そのほかの情報収集の方法としては、ネットや先輩ママの口コミがあります。
ただし、ホームページでは詳細が分からない場合があるため、できるだけ幼稚園の見学に参加して、より詳しい情報が集めましょう。その際は、確認すべきことをメモにまとめておくと安心です。
5.条件にマッチしているか幼稚園ごとにチェックする
情報収取をして候補となる幼稚園の知りたい情報が集まったら、優先順位を付けたリストに照らし合わせて、条件に合った幼稚園をピックアップしていきます。
もしも、似たような条件の幼稚園が被った場合は、「譲れない条件」をいくつ満足しているかカウントし、より希望に近い幼稚園を候補として残します。
どうしても決められないという時は
本当にこの幼稚園でいいのか不安に感じる場合は、プレ幼稚園を利用してみるという方法があります。プレ幼稚園とは、未就園児が入園前に幼稚園を体験する取り組みで、中にはプレ幼稚園を利用すると入園が優先される幼稚園もあります。
情報収集でチェックすべきポイント7
幼稚園選びの基本は情報収集にあります。必要な情報を漏れなく集めるためには、次のようなポイントは要チェックです。
1-幼稚園の教育方針や特色
幼稚園によって教育方針は様々で、勉強に重点を置いている「お勉強系」や外遊びが多い「のびのび系」のほか、キリスト教や仏教などの宗教団体が母体になっている幼稚園もあります。
さらに、モンテッソーリ教育などの教育方法を取り入れている園や、小学校のお受験を推進している園などさまざまな特徴があるため、家庭の教育方針とズレがないか確認が必要です。
2-立地条件や通園方法
幼稚園は毎日通う場所なので、幼稚園は歩いて通える距離なのか、送迎が必要な距離なのかは重要なポイントです。通園しにくいようでは、子供にとっても大きな負担になります。
通園バスがあるのか?車での送迎になる場合は、駐車場の有無や道路状況はチェックします。また、徒歩や自転車になる場合は、幼稚園までの通園路の安全性や雨天の際の通園方法を確認しましょう。
3-園内の安全対策
幼稚園は大事な子供を長時間預ける場所のため、子供を安心して預けられる環境がどうか、幼稚園が行っている安全対策は気になるところです。
不審者に対する対策はもちろん、子供が勝手に園の外に出られないようになっているか?避難訓練は行っているか?アレルギー対策は万全か?など、しっかり確認する必要があります。
4-費用はどれくらいかかるのか
幼稚園へ通うためには、費用がかかります。保育費は公立か私立かどうかだけでなく、各自治体や園によっても違います。幼稚園によって異なりますが、費用の目安は次のとおりです。
入園費用
- 公立幼稚園:5千円~1万円
- 私立幼稚園:5万~10万
授業料(年間平均)
公立幼稚園:74,428円
私立幼稚園:236,536円
参考:文部科学省「平成24年度子供の学習費調査」
入園時は、制服代や教材費・お道具費用などがかかるほか、バス通園の代金、教材費、行事費用、給食費などのさまざまな費用がかかるため、事前に確認することをおすすめします。
5-ママにはどんな負担があるのか?
保育園と違って、幼稚園に通わせるにあたって気がかりなのは、保護者への負担が大きくなる点です。具体的にどのようサポートが必要なのか、次のようなこと確認しておきましょう。
お弁当の準備の有無
昼食がお弁当なのか給食なのかは、幼稚園によって異なります。特に、共働きで幼稚園に通わせる場合は、毎日のお弁当作りがママの大きな負担になる場合があります。
どちらがいいか迷う場合は、子供の希望も確認してみましょう。「ママのお弁当がいい」という子もいますので、子供の希望とママの負担を考慮してどちらがいいのか選んでみてください。
イベントへの参加の頻度
バザーや季節のイベントへの保護者の参加が求められる幼稚園があるため、特に、仕事をしているママや人付き合いが苦手なママにとっては、大きな負担になるでしょう。
さらに、PTA役員になると幼稚園のイベントのお手伝いのほか、PTA主催の行事の運営やPTAの組織の活動など、さまざまな仕事に携わる必要があるため、事前に確認しておくことが大切です。
ママ友との付き合い
保育園にはあまり見られませんが、幼稚園ママの悩みの種になりやすいのが、ママ友との付き合いです。ランチやお茶などに誘われると、なかなか断れないというママも少なくありません。
ただし、こればかりは実際に経験した人にしか分からないので、その幼稚園に通う子供を持つ先輩ママに直接聞くなど、抜かりなく情報収集する必要があります。
6-園とのコミュニケーションはスムーズか?
子供の幼稚園での様子や仲のいい友達について聞いたり、子供のことを相談したりしやすい環境なのかどうかは、子供を預ける上でとても重要になります。
園長先生や先生と気軽に話せる雰囲気なのか、園便りのほかに連絡帳のようなコミュニケーションツールがあるか、保護者面談会が定期的にあるかなど、コミュニケーションについて確認しましょう。
7-子供が行きたいと感じているか?
幼稚園選びでは親の希望も大事ですが、子供の気持ちを汲み取ることも大切です。仲良しの友達はどの幼稚園に入るのか、子供が楽しく通えるかどうかをきちんと確認しておくことが大切です。
ただし、親のライフスタイルの考慮も忘れてはいけません。ママが専業主婦の場合はママの再就職や次の子供の予定、共働きの場合は職場からの距離や延長保育について考えておく必要があります。
幼稚園の見学でチェックすべきポイント3
幼稚園の基本的な情報が集まったところで、次に幼稚園の見学が必要になります。特に、次のような3つのポイントはしっかりチェックしておきましょう。
1-園長先生やほかの先生の様子
幼稚園に入園したら先生たちとは、長く付き合うことになります。子供たちへの接し方を観察しておくほかに、積極的に話しかけてみて対応の仕方をチェックしましょう。
特に、幼稚園は園長先生の考えが大きく影響する場所のため、園長先生とお話しする機会があれば、直接話をして人柄や考えを確認してみましょう。
2-園内の雰囲気
園内の様子は、実際に幼稚園に行ってみないと分からないため、子供たちが笑顔で楽しそうにしているか、どのような様子で勉強しているか確認しておく必要があります。
また、教室やトイレの掃除が行き届いているか、備品や子供の荷物はきちんと片づけられているかを見ることでも、園のスタッフの仕事に対する姿勢が分かる場合があります。
3-建物や設備の安全性
子供を安心して通園させるためには、幼稚園の安全性は大変重要になります。建物の耐震は十分か?園内の遊具の安全性は保たれているか?など、チェックしましょう。
さらに、幼稚園の周囲の環境に気を配ることも必要です。交通量は多くないか?騒音は気にならないか?近くに危険な施設はないか?など、実際に行ってみないと分からないことがあります。
幼稚園選びによくある質問FAQ
いざ、幼稚園を選ぼうという時、幼稚園について何も知らないと、余裕を持って幼稚園を選ぶこともできません。子供に合った幼稚園を選ぶためにも、いろいろなことを知っておくことは大事です。
Q1.幼稚園にはどんな種類があるの?
幼稚園は大きく次の3つに分類される幼稚園は、それぞれ次のような特徴があります。
1.私立幼稚園
幼稚園の中で最も多いのが私立幼稚園です。運営は社会法人や学校法人・宗教法人などがあり、お受験のある有名私立幼稚園や地域に根付いた幼稚園など、園の方針や特色もそれぞれです。
私立の場合、多くの園が通園バスを配備していて、スイミング教室や音楽教室などを開いている幼稚園もあるため、降園後にわざわざ習い事に通う必要がありません。
一ヶ月にかかる費用が、平均して公立幼稚園の2倍近くかかってしまいますが、自治体によっては私立幼稚園に通う園児の保護者を対象とした補助金制度の利用が可能です。
2.公立幼稚園
公立幼稚園とは、市や区などの自治体が運営している幼稚園のことで、幼稚園で働く先生はすべて公務員です。私立や国立に比べて園児の定員が少なく、多くの場合は保育期間が2年です。
文部科学省の指導要領を元に、教育方針が決められているので、幼稚園ごとに教育方針の違いはありませんが、時間外のクラス活動がないため、降園後に習い事をしている子供も少なくありません。
また、地域によっては、公立の幼稚園自体がない自治体もあります。私立幼稚園しか選択肢がない可能性があるため、幼稚園選びを始める際は、きちんと確認しておくことが大切です。
国立幼稚園
国立幼稚園は、主に国立大学に付属している国が運営している幼稚園です。幼稚園にほかに、小学校や中学校、高校を併設している大学が多く、中には同じ系列の小学校を受験する子もいます。
費用はそれほど高額ではない一方で、教育カリキュラムが豊富で先進的な教育が受けられるのが特徴です。特に、大学のキャンパスに設置されている園は、敷地が広くのびのび過ごすことができます。
国立幼稚園は3つの中で最も少なく、その数は全国で50にも満たないため、国立幼稚園がないという地域も多くあります。国立幼稚園に通わせるために、わざわざ転居する方もいます。
Q2.幼稚園ではどんなことをするの?
幼稚園によってその特色は様々ですが、幼稚園での一日の過ごし方は基本的には大きな差異はありません。
幼稚園の大まかな一日の流れは次のようになります。
8:00~ |
登園・トイレ・自由遊び |
---|---|
10:00~ |
クラス活動 |
12:00~ |
昼食・自由遊び |
13:00~ |
クラス活動 |
14:00~ |
帰り支度・降園 |
Q3.幼稚園に通わせるメリットは?
幼稚園は「教育」、保育園は「保育」という位置づけから、やはり幼稚園のメリットといえば教育面の充実だといえます。幼稚園指導要領で決められた教育を行われることで、小学校教育への移行が円滑になります。
特に、クラス活動では一定時間、椅子に座って先生の話を聞いたり、課題に取り組んだりすることで、小学校の入学後に授業にスムーズに対応することができます。
英語やリトミックを取り入れている保育園もあるため、幼稚園と保育園では一概に学力の差があるとはいえませんが、中には、教育面を心配して、小学校の入学に備えて保育園から幼稚園に転園させるママもいます。
Q4.幼稚園見学のタイミングは?
幼稚園選びには、事前の園の情報収集や見学が欠かせません。10月頃から入学願書の受付が始まるので、9月までには見学を済ませておくのがのぞましいでしょう。
見学会自体が、入園の半年前くらいから開始されることが多いので、見学を期に幼稚園選びを始める人や、早い人では、一年以上前から準備を始めている場合もあるようです。
Q4.幼活はいつから?
幼稚園が決まったら、いよいよ幼稚園入園のためにする活動する「幼活」のスタートです。効率的に活動するために、スケジュールをチェックしておきましょう。
幼稚園入園までの一般的なスケジュールは次のとおりです。
- 説明会・願書配布…9~10月
- 入園願書受付…10~11月
- 入園先行・結果…10~11月
- 入園手続き・制服採寸…10~11月
- 入園説明会・制服・教材受け渡し…12~2月
- 体験入園…2~3月
- 入園式…4月
入園準備は説明会の後でも間に合います
幼稚園が決まったら入園に向けての準備が必要になりますが、焦って行う必要はありません。園によって必要なものが異なりますので、まずは、入園説明会などで必要なものを確認しましょう。
幼稚園の選び方は人それぞれ
幼稚園を選ぶ際、どんな子供になって欲しいのか?どんな教育を受けさせたいのか?ということも大切ですが、何よりママと子供が毎日楽しく通えることが重要になります。
幼稚園は、就学前の成長の基礎を作る子供にとって大事な期間を過ごす場所です。2~3年の長い時間子供を通わせるため、納得のいく選び方をして充実した幼稚園ライフを送りたいものです。
幼稚園選びをいつからはじめたらいいか分からないというママは、「入園のための準備を始める時期」をお読みください。