子供が習い事を辞めたいと言ったら?
せっかく始めた習い事を子供が「辞めたい」と言い出した時、一体どう対応すればいいのか迷う方は多いでしょう。
親としてはせっかく始めた習い事は、ある程度成果が感じられるようになるまで続けて欲しいというのが本音です。しかし、無理強いさせてもどうにもならないという気持ちもあります。みなさんならどう対応しますか?
まずは「辞めたい理由」を聞く
なぜその習い事を辞めたいのか、子供の理由を聞かずに親が勝手に判断してしまうのは1番良くありません。「先生のことが嫌いなんだ」「なかなか上達しないのが悔しいからに違いない」などというのは、親の勝手な思い込みというパターンも多いです。
親は聞き役に徹しよう
はじめから「辞めさせません!」という空気を出されると、子供が本当のことを言いづらくなります。あくまでも子供の意見を聞くことに徹して、まずは共感してあげましょう。話しやすい雰囲気を作るのは親の務めです。
「なんとなく」の裏側にあるものを探ろう
また、子供は自分でも理由がわからないけれど「なんとなく行きたくない」と思うこともあります。それを問い詰めるようなことはせず、理由をハッキリさせられるように、親子でよく話し合うべきです。
親の押し付けではないかどうかを再確認する
自分自身が昔打ち込んでいたことを子供にもやらせたい!自分が叶えられなかった夢を子供に託す!という親は多いです。もちろん子供自身も同じようなモチベーションでそれに打ち込んでいるなら構いませんが、「辞めたい」と言った時の反応には注意が必要です。
押し付けの習い事は、子供を苦しめる
親に「これを習いなさい」と言われたら逆らえない子供もいます。そこまではっきりと親が意思表示しなくても、「お母さんはこれを習って欲しいんだろうな」と必要以上に空気を読んでしまう子供もいます。
その結果、大きなストレスを抱えたり、人格形成に影響を与える可能性もあります。思春期になるとその不満が爆発して反抗期がひどくなる原因にもなりかねません。
「内気でおとなしい子供だから活発にさせたい」という思いで武道などの習い事を始めさせても、本人にやる気がなければ上達するどころか逆効果になる可能性もあります。
「子供のために」と思ってやっていた親の行動が、実は子供本人を苦しめて、親子の関係に溝ができてしまうというのは辛い話です。習い事は決して押し付けないようにしましょう。
親だからこそ適正を見抜けることも確かにある
一方で、毎日接している親だからこそわかる性格や適性というものも存在します。可能性のひとつとして、子供に選択肢を提示するのは悪いことではありません。
大切なのはあくまでバランス。親が勧めた習い事の場合、「もし向いてなかったら辞めてもいい」など、事前に子供が本音を言いやすい雰囲気を作っておき、「辞めたい」と言われた場合は素直に受け入れた方がよいでしょう。
辞めたい本気度を確認する
子供が習い事を「辞めたい」という気持ちは意外にコロコロ変わる場合があります。
また辞めたい理由が習い事そのものではなく「嫌いな子がいる」「友達とケンカをした」など、人間関係という可能性も考えられます。
第一段階:消極的な拒否
本音を隠しているわけでもなく、習い事に「なんとなく行きたくない」「気が進まない」というのは、よく起こりえることです。しかし、その感情の裏には、いくら頑張っても勝てない悔しさや、ちっとも上達しないという投げやりな気分が入り混じっていることもあります。また、純粋に疲れが溜まっている可能性もあります。
ふとしたきっかけから急にやりたくなったり、少しお休みしてリフレッシュできると、「また行きたい」と思える可能性は高いので、結論は急がない方が良いでしょう。
第二段階:積極的な拒否
「習い事に行きたくない!」とはっきりと意思表示し、「先生が厳しすぎる」「おもしろくない」など次々に習い事や教室の不平不満を口にするケースです。
わがままが過ぎるとイライラして、「高いお月謝を払っているんだから行きなさい!」と言っても逆効果です。そうした不平不満が本音とは限らず、問題の本質はもっと別のところ、上手くなりたいのに全然上達しないジレンマや人間関係のストレスが爆発している可能性も考えられます。
子供が興奮気味なときほど、親は冷静になりましょう。「行きたくない」という気持ちを一旦受け止め、子供がクールダウンする期間を設けた方がよいでしょう。
最終段階:精神的に辛い
習い事に行く前に泣き出したり、体調を崩したりするようなら休んで様子を見るべきです。その時は何も言わず、子供が平常心に戻ってから優しく問いかけて、子供が本音を言える場を作ってあげてください。
たとえ文句でも口に出せるうちは安心ですが、親に言えないことほど子供にとって辛いことはありません。辞めたい理由を上手く表現できなかったとしても、親の方から「しばらくお休みしようか」と歩み寄ってあげましょう。
友達関係のトラブルはないか慎重に様子を伺う
団体競技の場合はチームメイトとの関係がギクシャクして「辞めたい」と言い出すこともあります。子供が大勢集まればトラブルの一つや二つ起きても不思議ではありません。
子供自身に解決させたり、コーチに任せたりする方法もありますが、やはり「辞めたい」とまで言い出すからには辛い思いをしているに違いないので、無理に行かせるよりは子供が楽しく過ごせる場を別に提供してあげた方が賢明です。
「辞めたい」と言い出した子供に深刻な気配を感じたら、無理強いは禁物。
そのまま辞める決断をしたとしても、子供自身もそのような辞め方をして自分を責めているかもしれないので、「途中で投げ出した」「負けた」など、責めるようなことを言うのは控えましょう。
子供が習い事を辞めたいと言った時の対処法
子供が習い事を「辞めたい」と言い出した時は具体的にどうすれば良いのか?
いくつかパターンがあるので、それぞれの子供に合った対処法を選びましょう。
クールダウンする期間を設ける
子供はその時の気分で「辞めたい」という場合も十分に考えられます。頭ごなしに「だめ!」と反対する、すんなり「いいよ」と賛成するのではなく、一旦お休みの期間を設けて、気持ちの変化があるかどうかを見るのも親として出来る対処法です。
とりあえず「一時的な衝動で辞めてしまうのはもったいない」ということを助言し、子供のその後の反応を見守ります。
クールダウンして、「やっぱり行きたい」と言い出した場合は再度始めれば良いですし、何の反応もない場合はそのまま辞めることを決断させましょう。
他の大人の意見を聞かせる
子供がまず初めに習い事を「辞めたい」と言う相手は大抵お母さんになりますが、まずは自分の意見を言ってみて「お父さんにも相談してみたら?」と違う視点からの意見を聞かせるように促しましょう。
普段はあまり習い事の話などしないお父さんからの意見を聞くことで、視野が広がる可能性もありますし、「もう少し頑張ってみようかな」と思えるかもしれません。お父さん以外にも、祖父母や親戚など、子供にとって身近な大人から話を聞き、多様な価値観を学べる良いチャンスでもあります。
ただし、「やる気がないなら、辞めろ!」などと頭ごなしに意見を押し付けるタイプの人は避けた方が賢明です。
スポーツ系の習い事の場合は、信頼できるコーチや先輩などに相談をするのも、親子間では聞けないアドバイスをもらえる場合があります。しかし「辞めたい」理由がそのコーチである場合は元も子もないので、辞めたい理由を確認してからにしましょう。
他にやりたいことがあるのか確認
「〇〇がやりたいから〇〇を辞めたい!」と子供から言い出すケースがあります。「○○がやりたい!」というのは、別の習い事に限らず、もっと友達と遊びたい、絵が描きたいなど、放課後や休日の過ごし方に及ぶものです。
仮に「別の習い事がしたい」という場合は、「なぜその習い事がしたいのか」「今まで続けてきた習い事に対してどう思っているか?」聞いてみましょう。明確に答えられない場合は、じっくりと話し合って、お互いに納得してからでも遅くはありません。
一方で、「サッカーをするよりも、絵を描いている時間が楽しいから」など、習い事に限らず子供が自分の好きなことに時間を費やしたいという明確な意思があるようなら、尊重して辞めさせてあげた方が良いでしょう。
習い事の種類によっても対処法は変わる
子供が習い事を辞めたいと言ってきたからと言って、その習い事自体を嫌いになったかどうかがネックになります。習い事の種類によって、子供の気持ちを汲んであげたほうがいいもの、教室を変えてみるなど、ケースによって対処法が変わります。
スポーツ系の習い事を辞めたいとき
スポーツ系の習い事は、体調面と精神面の両方を見て判断する必要があります。
体力的にその子への負荷が大きすぎる場合は、コーチと相談したり、クラブなどを変更するのも一つの方法です。
精神的な理由の場合は、無理に続けるとさらに子供を追い詰めることがあるので、無理強いだけはやめましょう。
もともとインドア系の遊びが好きな子供にとって、スポーツ系の習い事は苦痛でしかない場合もあります。「辞めたい」と思っているところにさらに「頑張れ!」「負けるな!」と言った精神論を押し付けると、大きなストレスを抱え込む結果となります。
どちらにせよしばらく休んでから判断するのがおすすめですが、結果的に辞めることになっても子供が敗北感を感じるようなことを言わないように気を付けましょう。
芸術系の習い事を辞めたいとき
ピアノや絵画などの芸術系の習い事をさせたいという親は非常に多いです。しかし習い事の中でも一番適性が関係するのが芸術系の習い事です。
生まれながらに誰が見ても才能があるという「天才肌」の場合は、その才能を最大限に伸ばせる環境を作ってあげるのも親の役割かもしれませんが、そうでない場合は「辞める」「続ける」は本人の意志に任せた方が得策です。
ただし、辞める前には、ピアノの技術は将来保育士や教師になる場合に役立つという情報を与えたり、他の習い事も自分の個性を表現するために役立つことを助言してあげましょう。
学習系の習い事を辞めたいとき
学習系の習い事の場合は、受験などのことを考えればすぐに辞めさせるという選択ができない場合もあります。
最近の塾には、集団授業の他にも個別指導など様々なタイプがあります。教科数を減らす、塾の教室を変える、家庭教師や通信教育を始めるなど、辞める場合は代替え案として別の勉強の仕方を提案しておくのがおすすめです。
子供にとって先のことを考えることは非常に難しいので、勉強に関しては人生の先輩である親がある程度アドバイスをして、勉強嫌いにならないように上手に導いてあげる必要があるでしょう。
辞めるとしても、「目標を達成する大切さ」は教えておく
頑張って目標を達成した時の爽快感や、それが間違いなく自分の自信に繋がるということは、経験してみないとわかりません。「辞めたい」と言っていたサッカーの試合で点を取ったら、それ以降は全く辞めたい素振りも見せなくなったという話は「習い事あるある」です。
しかし、中には指導者と人間的に相性が悪かったり、その習い事が向いておらず面白さをまったく実感できないこともあります。「目標を達成する」という経験は習い事以外でも体験できるので、「辞める=投げ出す、挫折」と考える必要はありません。
親としては、「目標を達成する大切さを知ってほしい」という気持ちは最低限示しつつ、ここが頑張り時なのか、辞め時なのか、よく相談したうえで判断しましょう。
「習い事を辞めたい」と言ったときは話し合うチャンス!
子供が習い事を「辞めたい」と言うときは、ただ単に飽きてしまったという理由から、精神的に深刻な理由まで様々あるので、よく見極める必要があります。話し合うことで、子供の知らなかった一面を知ったり、子供との関係がより深まるチャンスでもあります。
親のエゴで反対したり、理由も聞かずに決断したりするのではなく、まずはフラットな気持ちで話を聞いてあげましょう。