半育休は仕事復帰への切札
半育休って何?育児休業を取得する前に正しく知っておこう
半育休っていったい何?育休をとる前に正しく知っておきたい育児休業や育児休暇との違いは?半育休は家計も助かりお母さんの育休明けの復帰の不安の軽減にもなりますが、半育休のかたちをとるには重要な注意点があります。育児をメインとしながら、半育休のかたちを上手く利用する方法を考えましょう。
半育休って何だろう
仕事を持つパパやママにとって、育児休暇、育児休業は良く耳にする言葉ですが、半育休はまだまだなじみが薄く、ぜひとも違いを知っておきたい言葉です。1人目の時に知らずに退職してしまった、1人目の時にこの半育休の取り方を知っていればという声がありますので、半育休を正しく知って今後の育休取得に役立ててください。
- 育児休業とは?
育児休業は、子供を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業です。子供が1歳になるまで(やむを得ない事情がある場合は2年まで延長可能)利用することができます。
- 育児休暇とは?
育児休暇は、育休と同じような意味で使われていますが、法で定められた制度ではなく、会社が独自に決めている育児の為の休暇のことです。
- 半育休とは?
半育休とは、労使がお互いに認めれば、育児休業内で月に10日まで、もしくは月に80時間以内で仕事をすることができます。
- 短時間勤務とは?
短時間勤務は、子供が3歳になるまでの期間、労働者が申し出ることで、原則として1日6時間の短時間で勤務することができます。
半育休や育休は誰でも取得できる
半育休や育休は、正社員ではないと取得することができないと思っている人が多く、妊娠を機に会社を辞めてしまう事例も多いのですが、雇用形態に関係なく(パート、アルバイト、契約社員、派遣社員)勤続1年以上(雇用保険加入)で、育休後も継続して仕事をする人であれば取得することができます。半育休を考えている人は、会社に聞いてみるといいでしょう。
半育休を取得するには条件がある
半育休なら育休中に一定期間働くことができるといっても、条件を満たさなければ取得することはできません。半育休はあくまでも育児休業内での臨時、一時的な就労とされていますので、突発的に対応しなければならないことが育休中の人しか対応できないケースや、大きな災害が発生して育休中の人にも仕事を手伝ってもらわなければならないような事態になった時に認められるものと、厚生労働省が定義しています。半育休は10日以内なら、80時間以下なら必ず働けるという性格のものではありませんので、条件に該当するかどうか労使でちゃんと話し合ってから取得するようにしてください。
半育休を利用するメリット
半育休を利用するメリットを考えてみましょう。
- 職場に出ることで、仕事の感覚を取り戻せる
- 職場の雰囲気を知れる
- 育児との両立の練習になる
- 家から出て仕事をすることで気分転換になる
- 収入を得ることができる
働いた分の給料をもらうことができる
育休中に半育休を取得して仕事をすると、育休取得でもらえる育児休業給付金はそのままもらえるうえに、働いた分の給与ももらうことができます。育児休業給付金は会社が支払いをするのではなく、民間企業は雇用保険から、公務員は共済から支給されますから、自営業の人は支給がありません。
家計が助かる
半育休は仕事をする為、育児休業給付金とは別に働いた分の給与を得ることができます。完全に育児休業をとってしまうと、ほとんどの会社で給料が払われませんが、半育休にすることで少しでも収入を得ることができるので家計が助かります。
お母さんの気分転換になる
半育休の状態をとって働くことで、お母さんが子供との1対1の状態から抜け出し、気分転換をすることができます。子供と1対1で過ごす時間はかけがえのないものですが、今まで外で働いていた人が突然子供と1対1の関係になってしまっては、息苦しくてストレスが溜まってしまいます。また、月に数時間でも仕事ができれば、お母さんの仕事へのモチベーションも維持でき、自信にもつながります。
半育休は育休明けの不安が軽減する
半育休にすることで、育休明けはスムーズに仕事ができるだろうかといった不安が軽減します。1年、2年と育休を取ると、職場の雰囲気はどうだろうか、知っている人はまだいるのだろうか、育児との両立はできるのだろうかと職場に復帰することが不安になります。半育休を取得して少しでも仕事をすると、職場の雰囲気が分かり、育児との両立の感覚もつかめ練習にもなります。半育休が終わり、完全に職場に復帰したときにスムーズに仕事へ戻れるのが半育休のいいところです。
半育休を利用するデメリット
半育休のつもりが、仕事を多く抱えてしまい、80時間を超える就労になり、そのまま職場に復帰してしまったという例があります。半育休を取得するデメリットを考えてみましょう。
- 仕事をする時間が短いので思うように仕事ができない
- 無理をして体調を崩す
- 子供との時間が減ってしまう
- 自分だけ出勤が少なく早く帰宅するので周りの目が気になる
半育休は育児がメインとなる働き方なので、思うように仕事ができないのがデメリットです。半育休はあくまでも育児休業中に臨時や一時的に仕事をすることですので、補助的な役目として仕事につくことが多く、育休前のように自分の思うように仕事を進めることはできません。復帰へ向けたウォーミングアップと思い、今できる仕事を頑張ることが大切となります。
半育休を取得する時に注意すること
半育休のかたちをとる時に注意すべき点は何でしょうか。せっかく育児給付金を受給しているのに、間違えた認識で支給が停止されるのは残念なことです。正しい状態で半育休の形がとれるように注意すべき点を頭にいれておきましょう。
- 半休を取得する時は会社と十分に話し合うこと(社労士に相談等)
- 月10日または80時間以上働かないこと
- あくまで臨時、一時的な就労であること
- 育児がメインであること
- 育休後仕事へ復帰することが前提であること
半育休は、あくまで臨時で仕事をする、一時的に仕事をするという制度であることを頭に入れておいてください。臨時で仕事をするので育児休業給付金を取得しながら給料を得ることができますが、仕事に復帰していると見なされれば、育児休業給付金の支給が停止されてしまうかも知れません。半育休は、育児をするための休業中に少しだけ働くのだという事を忘れないようにしてください。
半育休を取得する時は会社とよく相談しよう
半育休の状態をとりたい場合は、会社としっかり相談をしておくことが大切です。半育休は会社にとって前例がない場合が多いので、時間に余裕を持って話し合いをする必要があります。半育休を取得できるかどうかは会社が決めることですから、うまく取得できるようにしっかり話し合ってください。
半育休は認知度が低いのでこちらから詳しく説明をする
半育休という言葉は造語で、育児休暇とは別に半育休という制度があるわけではありません。育児休業の中で少し就労できるという点を半育休と言う言葉で示しているにすぎません。そのため、半育休という言葉を知らない人が多く、ほとんどの人が育休をとる時や働き方の選択肢の一つとして認識していません。会社が後からそんな方法があるなら知っておきたかったとならないように、半育休の知識を身につけて、しっかりと説明できるようにしてください。
会社が半育休を知っていても前例がない職場が多い
半育休は、会社がそういう育休の取得の仕方があることを知っていても前例がない場合が多く、申し出があっても認めてもいいものかどうか迷うことが予想されます。人手が足りないから少ない時間でも来てくれれば助かるとされるのか、交通費もかかるし、少ない時間だけ来てもらっても困るとされるのかは勤めている会社次第です。半育休の取得を希望する時は、会社と深く話し合い、自分に合う形で利用するようにしましょう。
半育休をとるなら無理のない程度にする
半育休を検討しているのであれば、無理のない程度で仕事をすることを希望しましょう。育児休業の間は、産後の身体をしっかり休め快復させること、育児に専念し育児に慣れることが大切です。半育休で仕事に復帰して、仕事を頑張りすぎて体調を壊すことのないようにしてください。半育休は育児がメインですから、仕事にセーブをかけながら、体調を優先して行っていくようにしましょう。
半育休を取得するとお父さんが育児に参戦できる
半育休や育休を取得すると、お父さんが育児に参戦できるので、お母さんの負担が軽減されます。出産後、子供を育てていく中で上手くいかないことや、こんな時に誰か居てくれればと手が足りない場面はたくさんあります。日本の男性は、まだまだ子育てに積極的ではありませんので、もっともっと育児に参加して欲しいです。
筆者は長女を出産してから下の子供と合わせると10年以上保育園へ通っていますが、お父さんが育休を取得しているというのを目にしたことが少なく、お母さんの育休が終わり、お父さんが育休を取っている家庭を見たのは1度だけです。お父さんが保育所へ子供を送迎している姿は、周りから見ても微笑ましいものでした。男性が育休を取得するということは、今でもそれだけ珍しいことなのでしょう。
お母さんが半育休を取得すると、必然的にお父さんが育児に参加しなければならない環境になります。日本でももっとそのような光景を当たり前に見ることができるようになって欲しいと願います。
お父さんが半育休を取得するとお父さんが成長できる
お父さんが半育休や育休を取得することで、お父さんと子供との時間が増え、父親として成長することができます。日本には子供は母親が育てるものという考えはまだまだ根強く残っていますが、お父さんが育児に参加することでお母さんが抱える子育ての大変さを理解することができ、親としての、お父さんとしてのスキルも身につきます。育児休業は、制度があっても利用しなければ意味のないものです。育児休業を取得できる環境にいるお父さんは積極的に育休を取得し、育児を経験できるように促してみましょう。
半育休は子供が保育園に入れなかった時の選択肢になる
半育休は、保育園に入れず待機児童の状態になった時にも役立ちます。本来育児休暇を取ることができる期間に仕事の復帰を企計画していたのに子供を保育園に預けることができなくて仕事復帰できない時、両親や一時保育や夫の休日を利用して子供を預け、半育休の状態にして仕事に出るということが可能なのです。仕事の都合上、経済的な面でも早く仕事復帰をしたいのに待機児童の為に仕事復帰ができない人も多くいますので、そんな時に働き方の選択肢の一つとして半育休を検討してみるのも良いでしょう。
半育休を利用して待機児童問題をポジティブに乗り切ろう
お母さんは、子供が待機児童になった時、仕事が始まるのに保育園へ子供を預けられない、子供を保育園へ預けることができないと仕事ができない、どうしたらいいんだろうと絶望を感じがちです。両親に頼ったり、一時保育を利用することもできますが、いつまでも続けるには無理があります。育児をしながら、待機児童の期間が終わるまで、半育休という形をとったり、短時間労働で仕事をしたり、無理のない働き方を考える必要があります。
筆者は、待機児童の期間を2年間経験しました。子供の可愛い時期を逃すことなく見ることができた面ではとても幸せな時間でしたが、2年あったらどんなことができるかと考えました。赤ちゃんだった子供が言葉を話し走り回るように、仕事においても2年の差は大きいものがあると思います。
待機児童になってしまっても半育休のように少しでも仕事に出ることができれば、待機児童になってしまったお母さんの気持ちもポジティブに保つことができますし、育休中のブランクを少しでも埋めることができるでしょう。
待機児童とは?
保育園へ申し込みしているにも関わらず、定員オーバー等により保育園へ入所することができず、入所を待っている状態の子供を待機児童と言います。
周りから「育休のしわ寄せがきた」と言われないようにしよう
育休のしわ寄せという言葉を知っていますか。育児休業は正当な権利ですが、残された人が育児休業で抜けた人がやっていた仕事を埋めるために残業が続いたり、過度な仕事をさせられるというケースがあり、これが育休のしわ寄せと呼ばれています。本来、会社が新しい人員を入れ、このようなことがないように穴を埋めるべきですが、現実には難しく、育休のしわ寄せという問題がおきるのです。育休や半育休をとるのは正当な権利だから当たり前と思わずに、育児休業を取る場合はしっかりと引き継ぎをすることや、周りに感謝を伝えるようにしてください。
半育休の仕組みを知り働くお母さんの対策や切札にしよう
半育休の仕組みや育児休業、育児休暇、短時間勤務等の内容を知っておくと、2人目、3人目の育休の時に役立ったり、助けになることがあります。育休後の待機児童問題などで、働くお母さんが仕事へスムーズに復帰できない問題も多いため、その時の対策の一つとして半育休は有効です。まだまだ女性が働きにくい世の中ですが、想像していた形とは違っても上手く育児や仕事復帰ができるようにベストな状態を探していきましょう。