子供の人見知りは克服できる?人見知りの子どもの親ができること
人見知りを克服させようと、子供に人前で話すことを無理強いしてはいけません。ほとんどの赤ちゃんには人見知りをする時期があり、生後6ヶ月ごろから、早い赤ちゃんでは生後5ヶ月ごろから、知らない人が近づいたり抱っこしたりすると、大きな声で泣いたり動きが固まってしまったりするようになります。
通常は1歳前後、遅くとも3歳ごろまでには徐々に人見知り行動がおさまっていくのですが、幼稚園に入園する頃になっても、小学校に入学する頃になっても、初対面や馴染みの少ない人が近づくだけで親の後ろに隠れてしまうなら、「この子の人見知りはなんとか直さないといけないわ」「このままでは学校でお友だちができなくなってしまう!」と心配になってしまうでしょう。
特に幼稚園入試や小学校入試などのお受験が控えている場合は、あまりにひどい人見知りがあるなら受験のときまでには人見知りを直しておかないと、受験に影響してしまいかねないと、親も焦ってしまうことでしょう。
ですが、子供の人見知りを克服するのに、親が焦りや不安を感じるのでは逆効果になることがあります。では、人見知りを少しでも克服するために、親はどのように子どもと関わっていけばよいのでしょうか。
子供の人見知りを克服したいなら子どもが人見知りであることを意識しない
人見知りというものは、周りが意識すればするほど、そして人見知りをする本人が意識すればするほど、程度がひどくなってしまうものなので、まず、親が意識しないことから人見知り克服を始めましょう。
例えば、人と会うたびに、「ほらほら、後ろに隠れていないでちゃんと挨拶して!」と言っていたら、子どもは人と会うたびに「挨拶しなくちゃ!」と余計に緊張してしまうようになります。また、お母さんやお父さんが、子供に聞こえるところで、他の人に「うちの子は人見知りでしょう。本当に困っちゃうの」と話すなら、子どもは「私は人見知りなんだ。そのせいでお母さんが困っているんだ」と、人見知りである自分は非常に悪い資質の子(かといって子供ゆえに強い意志で太刀打ちもできない)と捉えてしまうようになるでしょう。
子供の人見知りは子供自身、壁と感じてしまっていることは少なくありません。
まずは、子どもの人見知りを親自身が意識しないこと、そして親自身も悩まないことが、子どもの人見知り克服の第一歩なのです。
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親自身が人見知りをしないで気軽に誰とでも話すお手本を見せる
子どもはいつも親の行動を見ています。そして、知らず知らずに親の行動に似た行動をとるようになります。子どもの人見知りを気にする前に、親自身も人見知りをしていないか考えてみましょう。
隣に住む人に会ったとき、進んで「おはようございます。今日も良い天気ですね!」「いってらっしゃい!」と声を掛けていますか?見ているのに見ていないようなふりをしたりしているなら、子供も同じように人とは目を合わせず声をかけない人になる可能性もあります。
同じく、公園など子供が多い場所で、自然に他の子供や親に声をかけているでしょうか。こういった環境で自分から挨拶をすることなく、親子だけの殻に閉じこもっているなら、子供もわざわざ殻を破って、外の子供たちと関わろうとしなくなります。
子供に「お友だちにご挨拶は?」と声をかけるのではなく、お母さんやお父さんが進んでお手本を見せる方が何倍も効果があるのです。
子どもの不安にとことん向き合う
子どもが不安を感じているとき、親と離れたくないとき……無理に子どもを離すのではなく、子どもの不安な気持ちに寄り添って、子どもが納得できるまで一緒にいてあげるようにしましょう。
このような経験を重ねていくと、徐々に、「いつでもお母さんとお父さんは一緒にいてくれる」「どんなときもお父さんとお母さんが自分の味方だ」と実感できるようになり、子供は不安に打ち勝って外の世界に飛び出ていくことができるようになるのです。
もちろん、子供の性格によっては、一般的に人見知りが激しい子供が多いとされる1~2歳の時期でも人見知りしないで誰とも仲良くできる子もいますが、それと同様にいつでも親が子どもに寄り添って抱きしめていても、いつまでも不安を感じて親から離れて行けない子供もいるのです。
不安を感じやすい子に対しては、子供の性格をねじ伏せるように人見知りを克服させようとするのではなく、不安は受け止めながらどうすればよいか時間をかけて教えてあげましょう。
我が子が初対面の人や見慣れない人に対してどの程度不安を感じるのか、どのくらいまで不安を感じ続けるのかは、個人差の問題です。何度も何度も人見知りを繰り返しても「いつも子供を大切にしているのに、いつまで経っても人見知りがマシにならない!」と苛立ってしまうのではなく、とことん最後まで子どもに向き合って子どもの不安を解消してあげましょう。
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思春期の子供の人見知りを克服する親のアドバイス
親の接し方で、子供の人見知りをある程度やわらげてあげることはできるでしょう。ですが、人見知りはすぐに解消されるものではなく、本当に少しずつ改善されていくものです。子供によってはちょっと他人と話せるようになったと思ったら、また話せなくなってしまったりと一進一退を繰り返すこともあります。
また、人見知りの克服方法とはいってもあくまでも「これをするだけで人見知りが完璧に直る!」という特効薬的な方法ではなく、不安に陥りやすい子供の心に合わせて人と会うハードルを下げていく方法と言えます。つまり、我が子の人見知りをなんとかしたいと思うなら、焦らずじっくりと子どもに関わっていくしか道はないのです。
とは言うものの、すぐにでも、少しでも人見知りを克服させたいときにはどうしたら良いのでしょうか?中学校・高校の面接試験が迫っている場合、就職面接が迫っている場合など、子供が人生の岐路に立っているときはなおさら早く何とかしてあげたいと思うことでしょう。
そのようなときは、地道な努力では制限時間内に人見知りは克服できません。子どもに具体的なアドバイスを与え、普段の地道な努力との相乗効果を期待しましょう。いくつかのアドバイス例を紹介します。
「みんなもあなたが大好きだよ!」
小学生の高学年ごろから中学生にかけて、自意識が強くなり、他人から見た自分が過剰に気になる『思春期』が訪れます。特に根拠がないけれど自分に自信が持てないようになり、その結果自分がどうしたいかどう感じているかよりも、他人がどうしたいのかどう感じているかを優先して考えたりしてしまったりなどといった言動が見られ、意思の弱さや判断の甘さが目立つ時期で親にとってはヤキモキさせられることも多いでしょう。
特に、他人が自分をどう思っているかを強く意識しすぎた結果、「みんな、本当は私が嫌いなんじゃ」「悪く思われているのかも・・・」と人の視線にあらぬ不安や恐怖を感じ、人見知りのような行動をしてしまう子も少なくありません。
思春期は子が親を突き放すような態度を取る時期でもありますが、まだまだ子供です。親は常に子どもに愛情表現を示し、子供が親に愛されていると実感できるようにしてあげたいものです。また、ちょっとひねくれてしまう頃でもありますので、「わたしがあなたを大好きなのは当然だけど、こんなに素晴らしい子なんだから、みんなもあなたのことが大好きなんだよ!」ということを言葉でも態度でも表現し続けてあげましょう。思春期の不安定な時期にあっても、必要なときには親がいる安心感があるなら、子供が感じる得体の知れない自身のなさなどを解消していき、人見知りを乗り越えられる可能性が高くなります。
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「それって普通だよ!」
親にとっては自分の子どもは特別の存在ですから、子供にはいつも言葉と態度で「あなたは特別な存在なのよ」と伝えましょう。ですが、子どもの悩みに対しては「それについて悩むのは、あなたは変なんかじゃないわ、普通のことよ」と伝えるべきです。
子供と言う存在は特別だけど、子供の抱える悩みは「変」ではない普通のことです。これを他人の目が気になってしまう思春期にある子供が理解すれば、自分がくよくよと悩むことや、人目を気にすること、人と接することに恐怖を感じることを、「普通のこと」と感じられるようになり、極度に人見知り行動を取らないようになるでしょう。
日本人のほとんどは人見知りかもしれない
外国人に比べると、日本人は人見知りが多い印象がありませんか?通常のコミュニケーションも身振りや手ぶりが大きくてもなんら違和感のない国民性を持つ国の人と比べると、日本人はそういった自己アピール力がちょっと弱く、人を押しのけてまで自分の主張をする人は少ないように感じます。
また、西洋では、国や民族にもよりますが、特に知らない人でも目が合ったらとりあえずほほ笑むのが常識となっている国が多いようですが、日本人の多くは全く知らない人と目が合ったときに微笑みかけるようなことはあまりなく、どちらかというと目線を逸らしてしまうのではないでしょうか?
目線を逸らすというのは、人見知りの人の特徴的な行動のひとつです。また、日本のマナー教室などではあまりに人の目をがっちり見て話すと相手に威圧感を与えるので、若干視線を落として口元や襟元を見て話す方が礼儀にかなっていると教えることもあります。そのような日本的な行動や日本で常識とされている行動を考えると、日本人の行動ベースがそもそも親しみやすさを抑えられていると推測できます。
海外諸国にはどんな親しみやすさがあるでしょうか?
「How are you?」に該当する表現がない
学校では、「How are you?」を「お元気ですか?」または「ご機嫌いかがですか?」と習ったことでしょう。ですが、「お元気ですか?」とか「ご機嫌いかがですか?」の表現というものは、日本では知人や親せきなどのすでに知っている人に使う表現です。ここですでに文化の違いを違和感として感じたことがある人もいるのではないでしょうか。
アメリカ(How are you doing?)やイギリス(How are you?)では、これらの表現は知人や親せきなどのすでに知っている人だけでなく、ちょっと目があっただけの人や単なる顔見知りにも使うことがあります。つまり、日本語の「お元気ですか?」よりは「こんにちは」に近い表現とも言えますが、How are you?は「こんにちは(Hello!)よりはもう少しフォーマルなもしくは丁寧さを込めた表現でもあるのです。
ちょっと目が合っただけの人にも笑顔で接する国民ならではの表現が「How are you?」とも言えるのです。日本では挨拶する前に目を逸らしてしまいますので、これに代わるちょうどぴったりの表現はないのかもしれません。
パーティーが苦手
日本人だってホームパーティー程度のカジュアルなパーティーなら、時々は参加するという方も少なくないですが、日本では一般的にパーティーはフォーマルな場。気軽にパーティーに参加するという文化はまだ根づいていません。
「パーティーに参加するのが大好き!」「毎週パーティーに行っている!」という人もいるかもしれませんが、参加するだけでなく、自分でパーティーを主催することが得意な人や、頻繁にパーティーを開催する人はまだまだ日本人には少ないと言えるでしょう。
ですが、欧米ではパーティーに行く機会が多く、慣れた様子でドレスアップし、気軽に参加します。また、パリやニューヨークの都市部では、夕方から夜に切り替わる時間帯に街の至る所に花を売る人が現れますが、これは花をプレゼントとしてパーティーに行く人が多いからでもあります。
こういったパーティーは、知人を増やしたり、大勢の人に会うのが目的であることも多いために、人見知りが多い民族にとって、ちょっとハードルが高い文化です。
「個性的」という言葉を褒め言葉と思えない
日本でも、最近は「個性的」や「ちょっと変わっている」を褒め言葉として使うことも増えてきましたが、まだまだ「個性的だねえ」「ちょっと独特だよね」といった言葉は褒め言葉としてはあまり多く使われないのではないでしょうか?個性というものがあまり重視されてこなかった文化や教育にも関係があるのでしょう。
ですが、アメリカやフランスでは、「個性的だ」というのは最上にも近い褒め言葉。その人しか持てない個性というものを上手に表現していると感じたとき、「素晴らしい」を超えた褒め言葉として「個性的だ」「独特だ」「変わっている」と賛美するのです。
子供の人見知りは個性の1つ!克服するのをあせる必要はなし
親は自分の子どもが他の子どもたちと溶け込めず一人ぼっちでいるのを見ると、また、誰かが来る度に子どもが陰に隠れてしまうことに気付くと、「どうしよう、人見知りがすぎるのかしら」と不安に感じてしまうことがあります。ですが、人見知りは本当に良くない兆候と言えるのでしょうか?
『人見知り』というとネガティブなイメージを持ってしまいますが、これを『慎重さ』や『思慮深さ』と言い換えてみましょう。何にも臆せずどんどん突き進むことも優れた特質の1つですが、行く方が良いのか行かない方が良いのかと突き進む前にちょっと考えることは、何事にも臆せずどんどん突き進む子には見られない優れた特質の1つでもあります。
子供が極端な人見知りを子どもが示す場合も、それを即座に否定し矯正しようとするのではなく、子どもにたっぷりの愛情を与え、温かい目で子どもの個性を見守っていくことが大切なのではないでしょうか?
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