意地悪な子がそのまま大人になるとどうなるの?
意地悪な子と言うのは、どこへ行っても必ず数名見かけるものではないでしょうか?
幼稚園・小学校ではそれがただの意地悪で終わる場合も多いですが、中高生になるとエスカレートする傾向にあり、社会人になってまで周りに意地悪をしていると、周囲の人に受け入れられなくなることも多いはずです。
一生意地悪な人で居ないために、子育ての途中段階で何か改善出来る手立てはあるのでしょうか?意地悪な子の特徴や原因、意地悪な子にならないための子育てについて紹介します。
子供が意地悪をしてしまう心理・原因
では、どうして他人に対し意地悪なことをしてしまうのでしょうか?それは大きく分けて、以下の2点が考えられます。
自分の立場・ステータスを守るため
例えば、子供と仲良くしていた友人が急に他の子供と仲良くし始めたり、転校生がやってきて自分よりも勉強やスポーツが出来る子だったりしたなら…『自分を安全な場所においておきたい』という心理が働きます。集団の中の自分の位置付けに敏感な子供は、自分の立場が落ちてしまうことをとても嫌うため意地悪をします。
よく『意地悪な子は実は自分に自信がない』と言います。これは一理ありで、優位であった自分の立場を守るために、意地悪をして誰かの立場を下に扱います。
意地悪という方法でしか、自分を確立できない
『相手が嫌がることをしない』というのは、2~3歳頃から親や周りの大人より教えられてきたことですが、それでも意地悪をしてしまう理由の大きな要素として『自分を安全な場所においておきたい』という心理が働いています。
端的にいうと、相手に意地悪をして自分が優位な気分に浸る方法でしか『自分が認められたような気になれない』のです。さらに、自分の立場を確保したい心理は理性より優先され『相手が嫌がっている、人を悲しませている』感覚は感じ難くなります。
『自分の立場を守りたい』心理の背景と同じになりますが、それまでの人生で自分の存在の認められ方に問題があったなど、親との関係に何らかの問題のあった子供は、然るべきときに叱られてこなかった経緯により『誰かの立場を犠牲にする曲がった解決法』でしか自尊心を保つ方法を知らないのです。
意地悪をするのは子供だけに限ったことではない
これは、意地悪をする子供だけではありません。強いものに巻かれ、他人の悪口を言ってしまう大人も『逆の立場(意地悪される側)』=『自分は認められていない』という立ち位置が怖く、誰かを否定批判するというやり方でしか自分を確立できないがゆえに、問題行動をとってしまうと考えられます。
子供は親のしていることを真似る傾向にある
子供は親の背中を見て育ちます。親が何気なくしている動作を見て、それはやっても良いことだと感じ実践するのです。そのため親が人付き合いを苦手としており、人の陰口を多く言っていた場合には、子供はそれが正しいことだと認知するため同様に育つ可能性が高くなります。
それとは逆に、親が間違っていること・正しくないことをきちっと子供に指導する対応をしていた場合には、子供はしっかり説明すること・話し合いをすることの大切さを理解するようになるのです。
兄弟や友達にされた『意地悪』を自分より弱い立場の子供に試す
次にやられたらやりかえすという、思考パターンが考えられます。誰かに虐められた際に非常に悔しい気持ちを感じて、仕返ししてやろうと考えてしまうのです。普通に考えて自分より強い者に虐められることになりますが、同じ相手にやり返して喧嘩することはせずに、他の自分より弱い人間に対象が向いて仕返しする形になります。
親は知らない?意地悪な子は表向きにはいい子を演じる子供の『はけ口』
例えば、お子さんの仲良くしている友人が急に他の友人と仲良くし始めたり、転校生がやってきて自分よりも勉強やスポーツが出来るお子さんだったりする場合を、考えてみましょう。
子供は自分の位置付けを大切にしており、集団の中で自分のランクが落ちることをとても嫌います。その結果それが変わらないように友人に意地悪をして、解決しようとすることも増えてしまうのです。
子供の意地悪は「子供同士の争いごと」では済まされない
意地悪をする子は子供同士の関係において要求が似ているので争いごとになりやすく、大人のように客観的に見る能力もないためトラブルを引き起こしやすい傾向にあります。
意見が対立したときに起こりうる現象には、喧嘩と意地悪があり、喧嘩のような周囲にも分かるように露わに争うことを陽性と呼んでいます。これに対して、内緒話・悪口といったようにパッと見分からないような状態を陰性と呼んでいて、いわゆる、陰でこそこそ心理的ダメージを加えている状態を示します。
意地悪な子の場合は人の欠点を見つけるのが上手なので、気に入らないことを見付けると他人を巻き込んでまで、対象となる相手を仲間はずれにする場合もあります。
男の子・女の子共通?子供の意地悪の傾向
子供の意地悪の傾向は、一人の子供に対して集団で無視したり、陰でこそこそ内緒話や悪口を言ったり疎外感を感じさせるものが多数を占めます。
男の子については、好きな相手に対して構って欲しいという一心で無意識に意地悪をしてしまう場合も多いです。
女の子については、裏で陰口をたたくといった表に見えない形で、陰湿に意地悪する傾向になる場合が多いです。
無視をする
無視をするということはそもそもまともに取り合って貰えないということなので、きちんと話をする…というコミュニケーション能力が問われてきます。
避けていても解決しない問題であって、受け手も無視し続けていたら何が問題であるのかが分かりません。何が気に入らないのかをはっきり言葉にして表現する必要があることを認識する必要があるでしょう。
内緒話や悪口
内緒話をするのは女の子に多い傾向があり、こっそりと特定の人に伝えることになるため、仲間はずれに繋がる可能性があります。
内容も公に出来ないような悪口であることが多く、特定の子供が気に入らないということを周りに伝え、他人を巻き込んでまで意地悪をするということに繋がってしまいます。
意地悪をする子供側にも心理的ダメージがある
無視をする・内緒話・悪口といった行為については、特定のお子さんの存在意義の否定にも繋がるため精神的ダメージが強いとされています。そして、言葉を発した悪口については特に、脳が主語を認識できない性質があるため、相手に言ったら自分に返ってくるという結果に繋がります。
すなわち自らが悪口・その他不快なことを言われた…ことと同じ状態になるとされています。このように、仲間はずれにされられる側だけでなく、する側が傷つくこともある点を認識しておく必要があるでしょう。
意地悪な子がこのまま育っていくと…
子供の頃に意地悪をしていたとしても、大半の子供は自分で意地悪はいけないということに気づいて、周囲の人間関係にも揉まれ改善していくことが多いです。しかしながらそれに気付かず、もしくは置かれた状況により意地悪をし続けて大人になってしまった場合、以下のような弊害が生まれることが考えられます。
意地悪は大人社会では受け入れられない
社会では周囲の方と人間関係を構築することにより1つの仕事をしていきます。いつまでも意地悪を続けていると人間関係を構築することが出来ず、結果的に周囲に受け入れられなくなってしまいます。人間関係はどこへ行っても生じてくる問題ですので、仕事に限らずさまざまな分野で障害となります。
コミュニケーションスキルの問題は離婚にも発展
他人と上手くコミュニケーションを取れないことは、夫婦間の問題にも影響する場合があります。結婚して共同生活を始めると、当然すれ違いも生じてくるでしょう。そういった時に適切なコミュニケーションを重ねることにより深い信頼関係を築いていきます。
しかしコミュニケーションスキルが低い場合は適切な対応が出来ずに、最終的には離婚に発展してしまう可能性も高いと言えます。
子供の頃からの友人関係は保ちにくい
子供の頃に意地悪をしていた過去があった場合は、今いくら改善されたからといっても相手は鮮明に覚えているものです。そのため子供の頃の仲間たちと友人関係を保つのは難しいでしょう。
しかしながらお互い心は大人になっているのも事実なので現在は周りの社会に揉まれて改善しているという場合も考えられます。もし同窓会などで会う機会があるなら素直に自分の気持ちを伝えてみると良いのではないでしょうか。
子供が意地悪をしているときの対処法
では、実際に自分のお子さんが他人に意地悪をしていた場合には、どのように対応したら良いのでしょうか?意地悪をするのには何かしらの理由があるため、ただやみくもに叱りつけるのは逆効果だと言えます。
まずはなぜ意地悪をしているのかの原因を考える必要があり、その原因を取り除いてあげる必要があります。
なぜ意地悪をしてはいけないのかをしっかり説明する
仮に子供を叱る場合でも、何なぜ地悪をしたらいけないのか?どのように対応するのが正しいのか?を子供の目線に立って、説明してあげる必要があります。「なぜ友達に意地悪するの?」と子供を問い詰めてしまうのは逆効果です。
大切なのは子供にも納得できるように、分かりやすい言葉で説明してあげることだと言えます。まずは意地悪をしてしまうことではなく、子供に何か辛い・悲しい・寂しい…と感じていることはないのかを探り、原因をはっきりさせることが小さな一歩になります。
良いことをした時はしっかり褒めてあげる
子供に限らず、人に褒めて貰うことは大切です。この褒め方について一番大切な点は、他人と比較しないで褒めてあげることです。テストの点数1つ見ても「前のテストより上がったね」とその子供の飛躍を評価してあげるようにし、例えばそれが他人と比べて悪い点数だとしてもそこには触れないようにします。
そして「今回はここまで点数が上がったから、次はあと10点上がるように頑張ろうね」と子供の中の目標を明確に提示してあげるのです。
他にも日常生活のちょっとしたことでも構いません。「●●してくれてありがとう」と小さなことでも良いので褒めてあげましょう。褒めてもらうことで、自分の自信に繋がると共に、気持ちが明るくなる・晴れる効果へと繋がるのです。
子供に愛情深く、優しく接してあげる
子供は小学生・中学生…と徐々に親の手を離れていくように見えますが、親に甘えたい気持ちがあるのは事実です。そのため、あまり露骨に表現するという意味ではなく、一人の人として認めてあげて、愛情を持って接してあげるように心がけましょう。
子供の話を聞いてあげたり、困っていたら助けてあげたり、最低限して欲しいと表現してきたことに対して対応するだけでも良いのです。
特に子供が話してきたことに対して興味を示してあげることは大切で、忙しくて手が離せない場合でも時間を置いて、耳を傾けてあげるようにすると良いでしょう。
子供が意地悪されたときの対処法
では逆に子供が意地悪をされていた場合は、親としてどのように対応してあげるのが適切なのでしょうか?対処法を紹介します。
親は絶対に味方でいること
友達に意地悪をされている場合、自分の存在意義を否定されていると感じている傾向が強いため、親は味方でいる…ということを子供にしっかりと伝えてあげることが大切です。「相手は正しい、自分が改善するように…」このような子供に改善を促すような発言は避けた方が良いでしょう。
自分は同じことをせず強い気持ちを持たせる
相手に意地悪した場合は自分に返ってくる、自分がされて嫌なことは相手にしない…ということをしっかりと分かりやすく説明してあげることが大切です。子供の年齢だとやられたらやりかえす、という発想にもなりかねない為、約束事のように強い信念が持てるよう、語り掛ける必要があります。
意地悪な子からどう守る
意地悪な子から我が子を守りたいと感じ、すぐに行動してしまう親も多いですが、まずは学校の先生のような第三者にその事実を伝えて相談することが大切です。
なぜならば、意地悪をしている子供の家に直接話にいった場合に、相手の親が認識をしていない場合も考えられ、余計こじれてしまい意地悪が酷くなってしまうことも考えられるからです。
まずは先生に子供が訴えてきた事実を相談し、今後の対応を一緒に考えていくと良いでしょう。
子供の意地悪はしてしまう原因を突き止めることが大切
「意地悪はいけないこと」と捉えるのではなく、その根底にある心の叫びに耳を傾けて出来る限りの対応をしてあげるのが最善です。
何もしないで諦めるよりかは、何か考えられることをして助けてあげることは、子供に対する愛情に繋がります。