子どもに嫌われる親の行動

子どもに嫌われる親にならないために・気をつけたいこんな行動

子どもに嫌われる親は何がいけないの?本来、親が大好きであるはずの子どもが親のことを嫌いになってしまう原因と親を嫌う理由、親がやってしまいがちなNG行動を例に解説します。近年増加中の「毒親」にならないために自分の子育てと子供に対する行動を振り返ってみましょう。

子どもに嫌われる親にならないために・気をつけたいこんな行動

子どもが親を嫌いになるとき

子どもはもともと親のことが大好きです。やんちゃで叱ってばかりの男の子だって、夜になると「ママー」と甘えてくることもよくあり、普段はガミガミ叱ってばっかりで自分はいい親ではないと思っているところに、子どもがやさしい言葉をかけてくれたりすると、思わずほろっとしてしまいますよね。

ですが、そんな可愛い時期もつかの間、子どもが成長していわゆる思春期といわれる第二次反抗期を迎えると、子どもは親に反抗的な態度をとるようになり、実際に親のことを「ウザい」「嫌い」と言ったり性悪な態度をとったりすることもあります。

いわゆる第二次反抗期と呼ばれる時期ですが、この行動は子どもが親離れの段階にいる子どもが無意識に親を遠ざけようとしているから。まだ半分は子供ですので、親のことを避けながらも、心の奥ではかまってほしかったり心配してほしい気持ちもあるものです。ちなみに思春期の親に対する嫌悪感は、ほとんどは一時的なもので成長とともに落ち着いていくので、心配ありません。

ところが、この時期に親が対応を誤ると、子どもが心から親を嫌うようになりかねず、のちのちの親子関係にまで影響およぼすこともあるのです。ここでは、おもに中学生から高校生の子どもが親を嫌いになる原因について焦点を当ててみていきましょう。

子どもに嫌われるNG行動6例

望遠鏡で遠くを見る小学生

毎日怒らずにニコニコしていたいのは山々でも、子育てでは子どもを叱らなければいけない場面もたくさんあります。「子どもに嫌われる…」という視点をもって子育てをしていたり子どもに接したりする親はほとんどいないでしょう。
ですが、子どもも簡単に親を嫌いになることも少なく、叱られた理由や状況にしっかり納得させられてきたのなら愛情だって感じているはずです。

しかし、親が頭ごなしに否定してくるなど、叱る理由がわからない、親が自分を認めてくれていないと思うと、子どもの承認欲求が満たされず常に否定されているように感じますよね。その結果、親に対する信頼感がなくなり、親に対して嫌悪感を持つようになります。
子どもに嫌われる行動には、以下のようなタイプがあります。

頭ごなしに叱る・感情的に怒鳴り散らす親

子育てで最も難しいことのひとつが、子どもの叱り方ですよね。
危険なことや周りに迷惑をかけるようなことをした場合にきちんと叱るのは親の務めですが、一回言ってわかるような達観した子どももいないもので、親は言うことを聞かない子どもを何度も何度も叱るのですが…。

「何万回も言ってるのに…!」「全然何も考えていないんだから…!」と思うと、子ども相手とは言え流石に腹が立つのが大人。ですが、子どもはいきなり頭ごなしに怒鳴りつけられても、何が悪かったのか意味が分からず、ただただ萎縮して自信をなくすだけです。
特に中学生・高校生になっても親からみればまだ子どもなので、子どもの間違いを正そうと一方的に叱りがちですが、本人たちはもう自分は大人だと思っています。子どもの言い分も聞かずに頭ごなしに言われたり怒鳴られたりすると、個を否定され深く傷つきプライドはズタズタ、自信も持てるはずがなくとことん卑屈になってしまいます。

褒めてくれない親

褒めてもらいたくてタンポポで遊ぶ小学生

自分の行動や言動を褒められるのは、大人でもうれしいもの。褒められることで、子どもは親がちゃんと自分のことを見てくれていると安心すると同時に、親への信頼にもつながります。また、自分が認められたと思えることで自己肯定感を持つことができます。それがさらなる自信となり、心身ともに健康な大人へと成長していけるのです。

ところが、いくらがんばっても親が褒めてくれないと、自分は親に気にかけられていないと思うようになり、どうせ何をやっても褒めてもらえないと意欲も低下してしまいます。そして自分の存在を認めてくれない親に対して嫌悪感を持つようになってしまうのです。

また、親が叱る理由ほめる理由に一貫性がなく、そのときの気分で褒めたりほめなかったり、叱ったり叱らなかったりしていて「叱る」と「褒める」の基準が分かりにくい場合も、親への信頼が揺らぐことにつながります。

宿題の進行状況について口を出す親

「もう宿題はやったの?」「早く勉強しなさい」・・・ついつい言ってしまいがちな言葉ですよね。小学校低学年ならある程度指示を出したり、宿題や学校の準備を一緒に管理してあげることは必要ですが、小学校高学年以降なら、自分で考えて行動できる年齢です。
子どもからすると、今まさにやろうとしていたところに「早く宿題をやりなさい」と言われれば、一気にやる気をなくしてしまいます。

ある程度は子どもの行動を見て、信頼してほしいという欲求も生まれる時期に、無神経にただひたすら自分の行動を指図されているばかりでは、親に対して腹を立ててしまっても無理はないのかもしれません。
もちろん、宿題やテスト勉強はちゃんとやってほしいもの。「終わったら見せてね」と誘導し、ただチェックするのではなく、字がきれい、作文がおもしろい、などプラスの感想を伝えると、子どもの意欲につながります。自分から率先して宿題を終わらせた日には、「早く宿題を終わらせてえらいね」と努力を認めてあげることにより、本人のやる気を引き出すようにするのがいいでしょう。

兄弟姉妹や周りの友達と比べる親

サルと戯れる小学生とパパ

子どもを他の子と比較することも、子どもとの関係が悪化する原因として挙げられます。兄弟や周りの友達など他の子どもと比べられると、自分を肯定できなくなり、自信をなくして引きこもったり非行に走る例も。ありのままの自分として認めてくれない親に対して、「お姉ちゃんのことは大切なのに私のことはどうでもいいんだ」と愛情を疑うようになります

注意すべきなのは、あからさまに比較していなくても、子どもは比べられていると考えてしまう場合があること。例えば、何気ない会話の中で「○○くんはスポーツの県大会で優勝したんだってね」と言うのでも、言い方やタイミングを誤ると、子どもは親が自分と友達を比べて、自分が劣っていると言いたいのかと、疑心暗鬼に陥ってしまう可能性もあります。

子どもが同じスポーツをしていて補欠にも選ばれなかった状態…など、言わないけど実は気にしていることがあるときは、表情がムスッとしますので、無神経に口走ってしまったのならフォローをいれたいところ。

子どものSNSを監視する親

近年の子育ては、SNSの登場により一層難しくなっていると感じる方が多いのではないでしょうか?フェイスブックやラインなど、中高生の多くも利用しているSNSツールは便利ですが、さまざまなトラブルの危険性も潜んでいます。親とすれば子どもを心配するあまり、つい子どものスマホやパソコンをのぞいてしまいたくなりますよね。

しかし子どもには子どもの世界があります。SNSの中の自分は友達との交友関係の中で見せている自分であり、普段親に見せない面を見られるのは嫌だと思うのが普通でしょう。子どもにとっては、親に自部のSNSをチェックされるのは監視されているようで気分が悪いことであり、親は自分を信頼してくれていないとも思うかもしれません。

ただし子どものSNS利用に関しては、事前にきちんと親子で話し合い、やっていいこととやってはいけないことの明確なルールを決めた上で、危険な利用をしていないかどうか、親は子どもの様子を注視して見守りましょう。

子どもの友人関係に口を出す親

子どもの友人関係に口を出すパパ

子どもが成長して交友関係が広がるに従い、友人関係も気になってきますよね。できれば、うちの子にいい影響があるように、勉強もスポーツもよくできて、性格もよく何事にも積極的な子とお友達になってほしいと思うことでしょう。

しかし友達を選ぶのは親ではなく子どもです。「あの子とはあまり仲良くしないほうがいいんじゃない」「○○くんは勉強が苦手みたいだから、他の子と付き合ったら」などと言われたら、子どもは反発します。子どもにしてみれば、その子と気が合うから一緒にいるわけで、そんなことにまで口を出される筋合いはないと思うでしょう。

もちろん、人間関係のトラブルにあっていないかなど、子どもの交友関係を気にしておくことは必要ですが、子どもの様子におかしなところがなければ、子どもが自分の意志で作っている人間関係に口を出すのはやめたほうがいいでしょう。

近年増加中!?「毒親」の危険性をチェック

親の対応や行動に対して子どもが反発して親を嫌うのは、思春期にはよくあることで、そのほとんどは一時的な症状であることが多いといえます。しかし最近、思春期を過ぎて大人になっても、親のことが嫌い、さらに自分の親は「毒親」だと思い悩む人が増えているといいます。
その結果、親と音信不通になったり、自分の結婚式に親を招待しないなど、その後の親子関係が決定的に破綻してしまうことも。

「毒親」とよばれる親たちは、DV、育児放棄、過度の放任主義などにより子どもたちを傷つけ、そんな環境で育った子どもたちはトラウマを抱え、嫌うどころか親を憎みながら生きていくケースも少なくありません。また、逆に子どもが成人しているのに親がいつまでも子離れできず、子どもをうんざりさせてしまう毒親もいます。

将来「毒親」にならないように、絶対にしてはいけないこととはどのようなことでしょうか?

✓親の価値観を子どもに押し付けてはいませんか?

サッカーが大好きな小学生

子どもはまだ経験が浅いため、親から見れば間違っていることや効率の悪いプロセスを選択しようとします。ですが、失敗しないやり方や効率の良さは自分自信の経験で見つけていく部分も持ちます。

子どもにとって失敗をしない、合理的に進めることが良いことではありません。やり方を否定され、こうしなさい」「親の言うことに間違いはない」と自分の意見を一方的に押し付けられたら、子どもは自尊心を傷つけられ、親の高圧的な態度にいらだちを覚え幻滅するでしょう。

確かに、子どもの思う通りにやらせたら、失敗するかもしれません。でも子どもは何度も失敗し、挫折することを通して学び、成長していくものです。子どもが自分の意志で決定したことに対しては口を出さず、意見を尊重しましょう。

✓子どもに命令・禁止ばかりしてしまってはいませんか?

先の項目にも通じる物がありますが、親が「○○しなさい」と子どもに命令することが多いと、子どもは親に行動を支配されていると感じます。
さらにいつも命令されて育つと、大人になっても自分の頭で考えることができず、指示がないと何もできない『指示待ち人間』になってしまう可能性も。いつもいつも親が決めたとおりに行動させることで、学校や社会でトラブルになったり人間関係がうまくいかなくなったときに、親のせいだ、と思ってしまうこともあります。

命令するということは、子どもが自分で考えて結論を出して行動に移すという、自立する上では欠かせない訓練がされないことになります。
「○○してはダメ」という禁止文句は、子どもの可能性をつぶし、意欲を奪います。禁止ばかりしていると、物事を否定的にとらえるようになり、大人になっても決断が下せず、臆病な大人になってしまいます。

✓愛情表現をしていますか?

子どもに愛情をたっぷり注ぐママパパ

子育てにおいて、子どもに「大好きだよ」「大切に思っているよ」という気持ちを伝えることは正しい躾に肩を並べる大切さ。子どもは、何があっても親は自分のことを愛してくれるという絶対的な自信を持てることにより、自分の存在を肯定でき、学校など外の世界でも積極的に行動することができます。

逆にその愛情が与えられないと、親のことが信頼できず、自分にも自信が持てなくなります。中には愛情表現をするのが苦手、という人もいると思いますが、子どもには意識して十分に愛情を伝えてあげましょう。

✓暴力・言葉の暴力に気をつけて!

DV(ドメスティック・バイオレンス)はもちろん犯罪であり、許されることではありません。DVを受けて育った子どもは親に対して強烈な憎しみの感情を持つようになります。

肉体的な暴力でなくても言葉の暴力も子どもを深く傷つけます。子どもは親からの何気ないひとことをよく覚えています。昔、親から言われた言葉がトラウマとなり、大人になってもその記憶に苦しめられるというケースも多くみられます。

子供に絶対に言ってはいけない言葉

ママの言葉に傷ついた中学生

「あんたなんか生まれてこなければよかったのに」

子どもの存在自体を否定する、絶対に言ってはいけない言葉です。子どもは自分の存在意義を見つけられずに自信をなくし、自分を存在させた(産んだ)親のことも憎むようになります。

「あんたが男の子(女の子)だったらよかった」

不可能なことを言われても子どもはどうしていいかわからず、親の期待に応えられないことに悲しくなるだけ。そしてそんな理不尽なことを言う親のことは信頼できないと思うようになります。

「どうせあんたは○○だから」

子どものことをけなすような言葉は子どもの自尊心を傷つけます。「あんたはダメねぇ」「こんなこともできないの」など、子どもの人格を否定するような叱り方は絶対にしてはいけません。

「遊んでいないで勉強しなさい」

遊ぶことは子どもの仕事。子どもは遊びを通して、さまざまなことを経験し、学ぶことができます。また、楽しむことによりそれらがより一層身につくものなのに、それを否定するのは「楽しむこと=悪いこと」と教えているようなもの。親の価値観を押し付けず、子どもには子どものやり方で学ばせてあげましょう。

「言うことを聞きなさい」

これも親が絶対に正しいと決めつけて親の価値観を押し付け、子どもが自分で考えるチャンスを奪う言葉です。子どもが自分の意志で決定することを許さず、そんな環境で育った子どもは将来、自分の頭で考えることができないようになります。

「泣くな!」

子どもに泣くことを禁じるということは、感情を表現してはいけないと言っているようなもの。子どもは親に嫌われまいと泣くことを我慢するようになりますが、そのうちに感情を表に出さない、あるいは出せないようになってしまいます。

✓子離れできない親になっていませんか?

最近は、親と子どもの仲がよく友達のような関係であることも多いようですが、中には、子どもが成人しても子離れできない親が増えているといいます。その傾向は、特に母と娘でよくみられるようです。「娘は自分の一番の理解者であり、いつまでも自分のもの」という意識がある母親は、娘が大人になっても自分の支配下におきたがり、娘の結婚後の家庭や子育てにまで口を出すようになることも。

いつまでも自分は必要とされていると思いたい親側の承認欲求を満たすための行動と考えられますが、娘はそんな親の存在が負担になり、嫌悪感を持つようになることも多いようです。

子どもに嫌われないためには認めること

子どもが親を嫌う一番の要因は、突き詰めれば「自分を認めてくれない」というところにあるようです。親が自分のことを認めてくれていない、または大事にしてくれていないと思うと、承認欲求が満たされず、親への信頼感をなくします。また、自分の存在が否定されたと感じて、親への憎悪へとつながります。

赤ちゃんのときから育ててきた自分の子どもですがもちろん親の所有物ではありません。ひとりの人間としての子どもを認め意思を尊重し良好な関係を保ちたいものですね。