正しい箸の持ち方
箸の持ち方を子供に教えよう!正しく動かすにはどうする?
子どもに正しい箸の持ち方を教えましょう。何歳から教えるなど教え初めに決まりはありません。悪いくせがつく前に、きれいで美しい箸の使い方マナーを教えるのは親の務めです。和食を上手に食べられるように親が正しい箸の持ち方を教えてあげましょう。
意外と簡単!正しい箸の持ち方を子どもに教えよう
大人でも、「わたしの箸の持ち方は完璧!」と自信が持てない人が多くいます。箸の持ち方が正しくないと、「常識がない」「食べ方がきたない」と周囲に思われます。
せっかく箸を使って食事をいただく日本に生まれたのですから、正しい箸使いで食事をいただける大人になれるように、子どもの頃から正しい箸の持ち方をしつけていきましょう。
正しい箸の持ち方とは
正しい箸の持ち方はどのようなものでしょうか。子どもはもちろん、大人も自分はきちんと持てているか確認してみましょう。
正しい箸の持ち方
- 箸を1本持ち、箸の太い先端から3分の1のところを親指の付け根でしっかりと挟み、箸の太い先端が自分の方を向くようにする。
- もう1本の箸を持っている箸の上に重ね、箸と箸の間に中指を第一関節まではさみ、人差し指を上の箸に添える。
- 下の箸の下に、薬指の爪の横側を添える。
- 下の箸は、固定したまま動かさない。
- 中指と人差し指ではさんだ上の箸を、上下に動かす。
箸の動かし方を訓練しよう
正しく箸を持っても、正しく箸を動かすことができなければ、箸で食べ物をつかむことができません。箸を正しく箸を動かす練習をしましょう。上手にできたら、お子さんをほめてあげてください。
上の箸を上下に動かす
箸には上の箸(親指と人差し指、中指で固定する箸)と下の箸(親指の付け根と薬指で固定する箸)がありますが、下の箸は動かさずに固定し、上の箸の動きだけで食べ物をつかみます。上手に食べ物をつかめるようになるには、まずは上の箸を自由自在に動かす訓練が必要です。
上の箸の持ち方は、鉛筆の持ち方とほぼ同じです。鉛筆は先のとがった先端部分から約3cmのところを持ちますが、箸は先の太い部分から約7cm(箸の長さの3分の1くらいの部分)のところを持ちます。
まず、1本だけ親指と人差し指でしっかりと箸を固定し、中指のつめの横側で箸をサイドから支えたら、まずは縦に1の数字を書いて見ましょう。何度も上から下への動きを練習することで、箸をしっかりと持てるようになるだけでなく、器用に動かせるようになります。
上の箸で円を描く
実際に食事をするときに箸で円を描くことは行儀の良いことではありませんが、箸をしっかりと指で固定するためにも、箸の練習として円を描くことには意義があります。
親指と人差し指でしっかりと箸を固定し、中指のつめの付け根部分のサイドで箸を支えたら、小さな円を描くように箸を回してみましょう。中指の腹のサイドでしっかりと箸を支えていないと、手から箸が落ちてしまいますよ。
両方の箸を持つ
上の箸を自由自在に動かせるようになったら、次は2本の箸を持って見ましょう。下の箸を親指の付け根にしっかりと挟み込んで薬指で下から支えたら、上の箸を親指と人差し指で挟み込み、中指を添えるように固定します。
下の箸を決して動かさないようにして、上の箸で数字の1を書くように上下に動かしてみてください。1を何度かいても箸が手から離れることがなくなったら、箸の持ち方をキープしたまま食事をすることができるはずです。
スプーンの時代から箸の持ち方を教える
初めて自分で食事をするようになったときは、握るようにスプーンを持ったとしても、子どもが食べやすければ特に問題はありません。ですが、3歳に近付き、そろそろ幼稚園に行く頃になったら、スプーンの持ち方を鉛筆持ち(親指と人差し指、中指の3本で、スプーンの根元を持つ方法)にするように指導してみましょう。スプーンからお箸への移行が簡単になるだけでなく、鉛筆なども上手に持てるようになります。
箸の持ち方を正しく矯正すると、こんなイイことも!
正しい箸の持ち方を練習して箸を正しく持てるようになると、どのようないいことがあるでしょうか。ここでは、箸の持ち方を正しく矯正すると身につくことをご紹介します。
食べ方がキレイになる
箸の正しい持ち方を習得すると、当然ですが食べ方がキレイになります。箸を器用に動かすことができない子どもは、食事の最初から最後まで正しい箸の持ち方をキープすることができません。正しい箸の持ち方で食べると言うことは、箸を器用に動かすということでもあります。
箸を正しく動かすことができると、骨のある魚を食べるときも、茶碗にくっつきやすいご飯粒を食べるときも、きれいに食べることができるようになります。
姿勢が良くなる
箸の持ち方を意識すると、自然に軽く顎を引き、背筋が伸びた美しい姿勢になります。また、正しい箸の持ち方で食事をするには、軽く腕を開く必要がありますので、体の重心が下にさがり、腰で上半身を支える理想的な姿勢を保ちやすくなります。
食べ過ぎを防ぐことができる
箸を正しく持つと、食べ方を意識するようになります。一口分ずつつまんで口に運ぶようになりますので、食事のペースがゆっくりになり、結果として食べ過ぎや掻き込むような食べ方を防ぐことができます。また、背筋を伸ばして食事をしますので、背中を丸めて食事をするときに比べて満腹感を感じやすくなります。
覚えよう!箸を持つ時のマナー
箸をきれいに正しく持つことができるようになったら、次は箸を使う時のマナーを覚えましょう。ここでは、周りの人に美しい所作だと認めてもらえる注意すべきポイントをご紹介します。
箸は箸置きに置く
最近は、食事の時に箸を箸置きに置く家庭が少なくなりました。しかし、食事をする時は。箸を箸置きに置きながら食事をするのが本来のマナーです。せっかく箸の使い方マナーを勉強するなら、ぜひ、箸置きを使うことを習慣としてみて下さい。
箸置きに乗せるのは、食べ物をつかむ細い方です。細い方から3cmくらい箸を箸置きの外に出すと見た目が美しくなります。
箸を正しく取りあげる
箸を箸置きから持ちあげる動作には、正しい作法があります。右利きの人はまず右手で箸を右から3分の1(箸の右側が太い方のとき)の部分を上からつまみ、持ちあげます。そして、箸の左から3分の1のところを下から支えるように左手を添え、右手をずらして箸の下に回して正しい箸の持ち方(一本の箸を親指の付け根に挟み、もう一本の箸を親指・人差し指・中指で固定する)で持ちます。
箸で濡らして良いのは先端3cm
汁物やどんぶりものを食べるときにも、箸を先端部分しか使わないということに気をつけましょう。理想的は、箸の先端1.5cm、どうしても無理なら箸の先端から3cm以上は濡らさないようにすることです。
割り箸は膝の上で割る
割り箸を使う時にもマナーがあります。割るときに木くずや竹くずが出る可能性がありますので、お皿やテーブルの上で割るのではなく、かならず膝の上で割るようにしてください。また、割るときも箸を縦にして左右に割るのではなく、上下に割る(割り箸を横にして、上下に箸を広げるように割る)ようにしてください。
椀物やご飯をいただくときは椀が先
椀物やご飯は茶碗を手に持って食べます。このようなときは、先に茶碗やお椀を手に取ってから、箸に手を伸ばします。両手では箸を取りあげることができないので、この場合は片手で箸を取りあげることになります。箸を持ち替えるときは、お椀を持った手の人差し指と中指を使うと、上手に持ち替えることができます。
箸で掴むのは一口分だけ
箸で掴んだものはすべて一口分でなくてはいけません。たくさん掴みすぎて二口で分けて食べたり、少なすぎて食事がなかなか進まなかったりするのは、どちらも行儀の良いこととは言えません。また、箸先は3cm以上濡らすこともマナー的には問題ですので、自然と一口のサイズが決まって来ます。
気をつけよう!箸の持ち方作法における17のマナー違反
食事の基本ツールであるお箸。美しく和食を食べるためには、絶対にしてはいけないと言われている食べ方がたくさんあります。ここでは、代表的な17のマナー違反をご紹介します。子どもには少し難しいかも知れませんが、幼いころからしつけることが大事です。
持ち方違反1.もぎ箸
箸についた食べ物をもぎ取るように食べることを「もぎ箸」と言い、マナー違反とされています。ご飯などのくっつきやすいものがどうしても取れないときは、次にご飯を箸で取ったときに一緒に食べるか、懐紙などで拭きとるようにしましょう。
持ち方違反2.握り箸
箸をグーのように握って持つことを「握り箸」と言います。大人でも握り箸の人はいますが、箸を握って持つと、どうしても食べ物を掴むのではなく掻き込むようになってしまいます。見た目にも良くないですので絶対に直すようにしましょう。
小学校に入らない子どもでも、握り箸は褒められた所作ではありません。「こんなに小さいのにもうお箸が持てるの!」と周囲が褒めると、なかなか箸の持ち方を直す機会が来ません。小さいときから握って持たないように指導するべきです。
持ち方違反3.持ち箸
お箸を持った同じ手でお椀を持つことを「持ち箸」と呼びます。お椀とお箸を両方持つときは、お椀を先に取りますから、通常はこのような持ち方になることはありません。ですが、箸を持ちかえるのを面倒に思って、箸を箸置きに置かないまま椀物やご飯に進むと「持ち箸」になってしまいますので、注意してください。
持ち方違反4.押し込み箸
箸先は3cm以上濡れないようにするべきですので、本来、食べ物を口に運ぶときも箸が口の奥深くまで入るという状況にはなりにくいはずです。しかし、箸で口の中に食べ物を押しこむようにして食べると、周りから見て食べ物を口の中に突っ込んでいるように見えます。
このような食べ方を「押し込み箸」といい、マナー違反であるだけでなく下品な食べ方として嫌がられます。箸先は、軽く口の中に入るように心がけてください。
持ち方違反5.横箸
箸と箸を横にぴったりと合わせて、箸をスプーンのようにすくう道具として使うことを「横箸」と言います。箸はあくまでも食べ物をつかむ道具ですので、食べ物をすくいたい時は、スプーンでするようにしましょう。
持ち方違反6.噛み箸
箸先を噛むくせのある人がいます。また、食べ物が乗っていない箸を口にくわえることも、周りからは噛んでいるように見えますので避けてくださし。このような「噛み箸」をすると、箸先がすぐに傷んでしまうこともデメリットです。
持ち方違反7.ねぶり箸
箸先をなめるくせを「ねぶり箸」と言います。食事をする前に箸をなめてから食べ物を取ることも、マナー違反ですのでやめましょう。
持ち方違反8.涙箸
汁気の多い食べ物をとったときに、箸からぽたぽたと水分が滴り落ちることを「涙箸」と言います。汁気の多いものを食べるときは、お椀を手に取るかスプーンなどを使うようにしましょう。
持ち方違反9.刺し箸
食べ物を箸で突き刺すことを「刺し箸」と言います。箸はあくまでもつかむための道具です。食べ物に箸を刺して口に運ぶことは行儀の良いことではありません。刺し箸は、握り箸の人によく見られるので、注意が必要です。
持ち方違反10.渡し箸
箸を箸置きに置かず、お椀に橋をかけるように置くことを「渡し箸」と言います。食事中に箸を休める時は、箸置きをこまめに使うようにしましょう。
持ち方違反11.寄せ箸
箸でお椀を手繰り寄せることを「寄せ箸」と言います。見た目が悪いだけでなく、お椀が倒れて中の食べ物がテーブルにこぼれてしまうことがありますので、絶対に避けましょう。
持ち方違反12.探り箸
箸で器の中の食べ物を探すようなしぐさをすることを「探り箸」と言います。大皿に乗った食べ物などを皿に取るときは、上から順に取るようにしてください。
持ち方違反13.迷い箸
器の上に箸を何度も行き来させ、どれを食べようか迷っているしぐさをすることを「迷い箸」と言います。どれを取るか決めてから箸を動かすと、迷い箸を避けることができます。
持ち方違反14.移り箸
器に箸を入れたにも関わらず食べ物を取らないで、別の器の食べ物を取ることを「移り箸」と言います。周りの人に不快感を与えるだけでなく、食事を作ってくれた人にも失礼です。
持ち方違反15.移し箸
箸で箸の上の食べ物を取ることを「移し箸」と言います。食べ物をもらうときはお椀ごともらうか、銘々皿に乗せてもらうようにしましょう。
持ち方違反16.空箸
一度、箸でつかんだ食べ物をお皿に返すことを「空箸」と言います。食べないものは箸でつかまないことで空箸を避けることができます。
持ち方違反17.立て箸
ご飯の上に箸をつきたてることを「立て箸」と言います。仏前にご飯を供えるときに同様の箸の使い方をしますので、「仏箸」と呼ぶこともあります。箸置きをこまめに使うことで、このような無作法な動作を避けることができます。
子どもに箸の持ち方を教えるのは親としての務めです!
2013年12月、和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的にも和食に対する関心が高まってきました。和食を食べるためには、箸をきれいにそして正しく使うことが必要です。
外国の人に箸の使い方について尋ねられても慌てることなく手本を見せることができるよう、幼いうちから箸の使い方について教えることは、親として当然の務めと言えます。
美味しい和食を美しいマナーでいただけるように、普段から正しい箸の持ち方を子どもに伝えていきましょう。