高校生の子供が勉強しないのはなぜ?理由を探ってみよう
高校生の子供が勉強しないとき、親は不安になりますよね。このままで進学できるのだろうか、また、将来は何になろうと考えているのか、話し合うことが難しい子供も少なくありませんので、親の不安は募るばかりです。
そのようなときは、ただ単に「勉強しなさい」と口うるさく言うのではなく、高校生の子供が勉強しないのはなぜなのか、理由を探っていくことが大切ですよ。
まずは子供としっかり向き合って対話してみよう
勉強しないから勉強しなさいと命令する・・・親がこんな風に接しているなら、子供は自発的に勉強することもありませんし、例え勉強したとしても、希望する大学に入るなどの『目的』を達成してしまうと、次は何をして良いか分からないと『燃え尽き症候群』になってしまう可能性があります。
あくまでも、子供の意思で勉強をしていくために、なぜ勉強をしないのか、子供としっかりと向き合って対話をすることから始めましょう。
頭ごなしに叱らない
対話をすると言っても「勉強しなきゃだめでしょ。なんで勉強しないのか、理由を言ってごらん」と、頭ごなしに『勉強しない』=『間違っている』と決め付けた口調で話してしまうと、子供は親に心を開くことはできません。
勉強をしていない状況には敢えて触れずに「学校、楽しい?」「困っていることがあったら、いつでも教えてね」「お母さん(お父さん)に出来ることあるかな?」と子供が今置かれている状況を知りたい一緒に問題を解決したいという気持ちを前面に押し出して声をかけましょう。
不安な時期にいることを理解する
また、高校生の時期は、誰しも多かれ少なかれ不安を抱えて生きているものです。将来のことや友人のこと、異性のことなど、具体的な悩みと言うよりは、漠然とした悩み・不安を持つ子供が少なくありません。
親も自分が高校生だったときのことを振り返って見ましょう。他人のちょっとした行動や言葉に傷つき、漠然とした不安に押しつぶされそうになったのではないでしょうか。そんな時期に「不安を感じている暇があったら勉強しなさい」という言葉を何度かけても、心に響くことはありません。
解決できる問題と解決できない問題
子供が具体的な事柄に対して悩んでいるとき、親はなるべく一緒に考えて、解決していくように手助けしたいものです。
学校問題とのかかわり方
子供が抱える問題の中で「学校の授業が分かりにくい」とか「授業の進み方が早すぎて、いつも理解できないまま単元を終えてしまう」などの学校のカリキュラムや先生の教え方に関する問題は、親が対処することは難しい問題の1つです。
面談の中でそれとなく伝えることもできますが、学校には多くの生徒が通っており、生徒一人の要望でカリキュラムや教え方を変更することはできませんので、根本的な解決はまず不可能だと考えておきましょう。
そのように授業に子供が不安を抱いている場合は、家庭学習や塾で克服することができます。子供に合う塾を探したり、教科書が分かりやすく解説されている参考書や実践的な問題集を見つけたりすることで子供に合った学習法を見つけていきましょう。
進路指導が充分にできているか
学校によっては進路指導が充分でないと感じることもあるかもしれません。子供の希望よりも偏差値を重視した指導を行ったり、行きたい大学よりも落ちない大学に志望校を変更するようにアドバイスしたりすることもあるでしょう。
子供の希望と学校の指導が折り合わないときは、子供が納得できるまで、学校に3者面談の機会を設けてくれるように頼むことができます。
学校側は毎年何百人もの生徒の進路指導を行っていますので、親に比べればエキスパートと呼べる存在ですが、それでも子供の将来を考え、子供の将来を見守るのは親の方がエキスパートなのです。学校側の話も充分理解した上で子供の希望を叶えるための最善策を模索していきましょう。
高校生の子供が抱える悩み
高校生が何かの悩みを抱えているために、勉強に手が付かないということもあります。一般的に、高校生はどのようなことに悩むのでしょうか。
勉強のことやこれからの進路のこと
親も子供の進路に不安になる時期ですが、子供自身も自分の進路に不安を感じています。このままで本当に目指す大学に受かるのか、志望校を変更した方が良いのか、自宅から通うことが困難な大学に受かったとしても、ちゃんと一人暮らしができるのだろうか等毎日進路に対する不安と闘いながら生きているのです。
また、勉強したいのにどうしても集中することができないと悩んでいたり、勉強しても成績に反映されないことに行き詰りを感じていたりすることがあります。高校生でも「勉強の仕方が分からない」と悩んでいる子供も少なくありません。
友人関係や異性の悩み
子供の行動範囲が増えるに従い、友人関係も増えていきます。学校のクラスの友だちや部活動の仲間、塾の友だちや中学時代の友人など、子供の周りには親が把握しきれない繋がりが存在しているのです。もちろんこれらの友人から良い影響を受けることもありますが、親にとっては好ましくない影響を受けることもあるでしょう。
どうしても友人を作ることができない子供や異性との関係に悩む子供もいますので、悩みは人によって大きく異なっていくのです。
親や先生など大人との関係
親との関係に悩む子供も少なくありません。どうして親は私を放っておいてくれないのかと束縛に悩むこともありますが、反対に、親は私に関心がないのだろうかと極端な放置主義を悲しむこともあるでしょう。
また、高校生の時期は子供と大人の過渡期とも言える位置にいますので、大人として扱われることを望む気持ちと大人として扱われることに不快さを感じる気持ちが混ぜ合わさり、親戚や教師などの周囲の大人とうまく折り合えないことが多くなります。
自分に対する悩み
「もっと勉強ができれば良いのに」「もっとかわいい顔していたら良かったのに」「もっとスタイルが良かったら良いのに」「もっとお金持ちなら良いのに」等々、他人と比較して「もっと○○なら良いのに」と思う自分への葛藤が高校生の頃は強くなります。
また、自分が、自分の理想とするような存在ではないということやその他のもやもやとした感情から、極端に消極的になったり、ひきこもるようになったり、家庭内で暴力的になることもあるでしょう。
勉強の大切さを子供に話す
高校生は悩みの多い年頃ですが、この時期に勉強をしっかりと行うことが、人生において大切なことは確かです。どのように勉強の大切さを伝えることができるでしょうか。
将来の選択肢を広げるため
良い学校に行くことだけが、より良い人生のために必要なことではありません。ですが、良い学校に行くことで、子供の将来の可能性の選択肢が広がることも事実です。
いくら子供個人に輝くような才能があったとしても、その才能に見合った進路を取っていないなら、才能を活かす職に就くことが難しくなりますよ。
選択できる会社が増える
以前、大学名を変えて会社説明会に申し込んだ学生が、いわゆる超有名大学の名前で申し込んだところ、説明会に受けつけてもらうことが出来、偏差値ランクが下の大学で申し込んだところ、説明会にすらお断りされてしまったということが話題になりました。
これは、会社側としては特別な出来事ではありません。何千人もの学生が会社説明会に来るなら、会社としてもそのために多くの人員を配置しなくてはならないことになり、会社本来の業務に支障が生じてしまいます。
そのため学校名である程度学生を絞り込んでおくのも仕方ないことと言えます。
もちろん、会社に入ってからは、大学名よりもその人個人の能力によって評価されることが多いです。ですが、会社に入るまでは、学校名がその学生の属性の1つである限り、学校名で評価されることも免れ得ないのです。
興味が変わることもある
東京大学では、1~2年の教養課程は理科1~3類と文科1~3類の6つにしか分かれていません。2年の後期になってから希望する学部を決定し、1~2年の評価点によって専門課程に進んで行きます。
例えば理科2類は主に農学部と理学部、薬学部に進学する学生が多いですが、経済学部や医学部医学科にも進学することができ、大学に入ってから希望が変わった学生にも対応しています。
このように大学1~2年の間にじっくりと自分に合う学部を決めたいという人は、教養課程と専門課程が分かれている大学に進学することができます。高校時代にしっかりと勉強することが自分の選択肢を広げる例と言えるでしょう。
能力を開発するため
勉強をして、自分の能力を最大限に発揮することは、そのとき賢くなる以上のメリットがあります。あるパズルの解き方が分かったとします。解き方が分かれば、同じパズルを見たときに早く解くことができますよね。
また、自力でパズルの解き方を解明していたなら、似たようなパズルも簡単に解くことができるでしょう。つまり「自力で解法を見つけること」>「解法を知ること」>「解法を知らないこと」と言えるのです。
これはどんなことにも当てはまります。勉強以外の困難に直面したときも、解決に役立つのは経験です。過去に類似の問題に直面したときに誰かに適切なアドバイスをもらっていたら、そのアドバイスを思い起こして新しい困難に立ち向かって行くことができるでしょう。
過去に自分で類似の問題を解決した経験があるなら自分の経験を活かして現在の状況を打破することができるでしょう。
「自力で解法を見つけること」>「解法を知ること」>「解法を知らないこと」の不等式がなり立ち、自分で悩み苦しんだ経験が、その後の人生の問題解決にも役立ちますよ。
ひらめきや柔軟なモノの考え方が高まる高校時代
このように、年齢を重ねれば重ねるほど経験値は高まり、世の中の問題に対して如才なく対応していくことができるようになります。ですが、ひらめきや集中力、柔軟なモノの考え方は、経験があればあるほど、その経験が邪魔になって生まれなくなるのです。
思考力の柔軟さが必要とされる数学の分野では、偉大な数学家による定理や法則の発見は彼らが20代、遅くとも30代の時期に集中しています。
せっかくの若い時代、たくさん考えなくてはもったいないのです。たくさん考えることで分かることが増えてくると、もっとたくさんのことが考えられるようになり、分かることももっと増えていきます。
しかも、ほとんどの高校生には、勉強に割くことができる時間が豊富にあります。社会人になると、また、親になると、自分の勉強に毎日数時間を割くことは難しくなります。勉強したいけれど時間がない、勉強したいけれど仕事や家事をしなくてはならないと嘆く大人は少なくありません。
いくらでも勉強ができる今、勉強に打ち込むことが素晴らしいということを大人が手本として子供に示さなくてはならないのです。
親の背中を見て子供は育つ
高校生になってから「勉強しなさい」と子供に言うことや、勉強の大切さを子供に教え込むことは難しいかもしれません。できれば、子供の物心が付くか付かないかの頃から親が楽しんで勉強する姿を見せるようにしたいものです。
いつも時間があればスマホをいじっているなら、子供は「なぜ自分だけ、したいことができないの?」と矛盾を感じるかもしれません。うるさく言わなくても進んで勉強する子供に育てたいなら、空いた時間には本を読んだり、資格の勉強をしたりすることができるでしょう。
子供が大人に成長していく時期だからこそ!丁寧なケアが大切
高校生になると、体は親よりも大きくなる子供も多く、言うことも大人とほとんど変わらないかもしれません。ですが、その中身は、まだこの世に生を受けて15~18年しか経っていない子供なのです。まだまだ守り教えていかなくてはならない存在です。
例え一時的に反抗的な態度をとったり勉強をまったくしなかったりしても、子供をいつも見守る態度、良い状態に導いていきたいと願う親の心が、子供の人生を豊かにしていきますよ。