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子供に怒鳴ってしまう心理と対策

子供に怒鳴ってしまう親の心理や対策・子供の心に影響は?

子供に怒鳴ってしまうのはなぜ?疲れていたりイライラしているとつい怒鳴ってしまったり、子供に怒鳴るたびに自己嫌悪に陥ってしまうもの。子供に怒鳴ってしまうと子供の心身にどのような影響を与えるのか、感情的に怒鳴ってしまいそうになったとき自分をコントロールするアンガーマネジメントをご紹介。

子供に怒鳴ってしまうのはなぜ?つい怒鳴ってしまう親の心理

子供に対して冷静に接することが大事だと頭では分かっていても、つい苛立ち、大声で怒鳴りつけてしまうことがあります。どうして私たち親は子供に対して怒鳴ってしまうのでしょうか?

忙しいから、疲れているから…言い訳はたくさん思いつきますが、忙しかったり疲れているなら怒鳴っても許される、子供の心に影響がないわけではありません。子供にはまっすぐいい子に幸せに育ってほしいなら、つい怒鳴ってしまう親の心理を分析し、改善する方法を探って今日から取り組んでいきましょう。

子供に怒鳴ってしまう理由

とはいっても、まずは子供につい声を荒げてしまう親の言い分を聞いておかなければなりません。
自分自身がどのような状況に置かれて、怒鳴り散らしているのか、客観的に分析することは解決の糸口を見つけ出すために重要です。

静かな物言いでは子供が聞かないから

子供は何かに夢中になってしまうと、ちょっとやそっとのことには反応してくれません。
楽しみにしているテレビ番組なら反応しますが、それも録画をしているとなると自分がいま集中していることを優先するでしょう。子供にとって親は子供のペースに合わせられる録画機能とある意味一緒。静かで優しい話しかけでは、子供の注意を喚起することができません。

絵本を読んでいる子供に「そろそろご飯だから、おもちゃを片づけてね」と声を掛けても、おもちゃを片づけるどころか返事すらしません。
子供が返事をして行動してくれない限り親は何度も子供に声を掛けなくてはならなくなりますよね。果てしなく続くと、つい、声を荒げて「何度言ったら返事するの!早くおもちゃを片付けなさい!」と言わざるを得ません。

何度も同じ状況になってしまうから

たとえば、食事のときには肘をテーブルにつかないようにしましょうね、と、毎日食事の度に子供に言っていても、それでも肘をついて食事をするのが子供。普段は冷静さを保って穏やかに対応できていても、腹の虫の居所が悪いなら「何度言えば分かるの?食事のときには肘をつかないで!」と、ついついオトナ気なく睨み利かせつつキツイ口調で指摘をしてしまうこともあるでしょう。

何度か注意したことはちゃんと聞いてずっと守ってくれれば良いのですが、子供は何十回何百回注意されても同じことを繰り返します。これに対しすっかり大人の視点で接する親は「さっきも注意したのに、どうして気をつけないの!!」「忘れてしまうの?脳みそはどうなっているのよ?!」「わたしの話を真面目に聞いていないんでしょう!」とイライラ。これって子育てあるあるですよね?

子供の将来に対しての焦燥感

あまりにも行儀が悪かったり、何度言ってもマナーが守れなかったり、「このままでこの子は大丈夫なのだろうか?」「まともな大人になれるのだろうか?」と子供の将来が不安に思うこともありますが、こういった焦燥感が原因でつい怒鳴ってしまうこともあります。

もうすぐ入園や入学なのにもかかわらず、服の着替えがきちんとできない、小学生になってもハンカチやティッシュ、連絡袋などの必需品をランドセルに入れたかどうかチェックできていなかったり、丁寧にモノを扱ったり丁寧な字をかけなかったりするような子供の未熟な行動のひとつひとつが親にとっての不安材料になります。

特に基礎的なことや他の子と比較できることに対して焦燥感を抱きやすくなりイライラします。また、幼稚園や小学校、中学校の受験など、子供の人生にとって大きな節目が迫っていると、親に気持ちの余裕がなくなり、思わず普段よりも強めに注意してしまう傾向があります。

怒られ慣れた子供に受け流される

基本的に親は子供のために注意をします。ですが、いつもいつも口うるさい親ならば、子供は子供なりに自分の親が怒ったときにうまくやり過ごすべく耐性を付けていることがあります。さらに思春期に差し掛かるころになると、それまでの子供っぽさ一色だったころとは違い大人びた面も出てきますよね。

子供の将来を少しでも良いものにしたくて注意をしているのに、子供が返事すらしなかったり、適当に「はいはい」などと受け流されると相手は子供とは言え思わず「カッチーーーーーンッ(怒)」ときてしまいます。
「ちゃんと聞いているの?」「いい加減な態度取って誰のために言ってると思うの!」と、どんどん怒りがエスカレートし、ついには怒鳴ってしまうことに

徐々に怒りがエスカレートしているから

感情的な怒りはさらに感情的な怒りを呼びます。それは怒鳴ることで一瞬でもスッキリするから。
子供に注意をしているうちに、怒りレベルがどんどん上がり、怒鳴り散らしているうちに起こっている本人も何に注意をしているのかすら分からなくなることがあれば要注意!
癖のように怒鳴っていては怒りの悪循環にどんどんハマるだけですし、第一子供のためになることはひとつもありません。

「反論すると親はさらに自分を否定し喚き散らす」と思っていると、子供は一刻も早く事態の収束を図るべく怒鳴り散らす親を前に思考を停止させ反論も意見もしなくなります。と、同時に問題の焦点は既に「親が怒鳴り散らしている原因」にはないといえます。つまり、親が怒鳴り散らしているとき、子供にはかなりの高確率で何も伝わっていません。

親は怒り狂って怒鳴り散らして子供には何も伝わらない、これの着地点は一体どこにあるのでしょうか?

「怒らないで子育てするなんて無理。しつけは必要!」と思っているママに知ってもらいたい怒らない子育て。しつけをしない叱らない子育てとの違いを解説し、イライラしない怒らない子育ての方法を紹介します。

徐々に怒りがあらぬ方向へ

さらに、最初とは異なることにも怒りが及ぶと収拾がつきません。
「下着はズボンにちゃんと入れてって言ったでしょ?」という話から、「トイレに行ってちゃんと手は洗ったの?」「そういえば、昨日も下着を出したまま学校から帰って来ていたよね?」「学校ではきちんとトイレで手を洗っているの?」「いつのハンカチ使っているの!」「いつもだらしない不潔な子って思われてしまうのよ!」と次から次へと湧いてくる怒りをぶつけても、子供にとっては当然「(ずっと文句ばっかり言って)うるさいな!」と思われてしまいます。

疲れている

確かに、疲れは問題です。
普段何気なく子供と話したり、子供の話を聞くだけでも実は相当頭を使っているもので、単純に疲れていると子供のエネルギーについていくことすら難しく、子供の話を理解しようとする余裕はなくなります。

子供は親に理解してもらおうと筋道立てて話すことはしません。親に伝えたい!という気持ちだけで幼稚園や学校で起きたことをお話ししてきます。小学生になり、友達関係で悩みがあって自分は間違っていないという確信を探しているのなら、ちょっと話を曲げて伝えてくることもあるかもしれません。
こういった子供の話を整理し聞き理解するエネルギーも不足するようなときに、子供が言いつけを聞いてくれないのなら頭ごなしに叱ってしまうこともありますよね。

子供に怒鳴っても何も解決しない!怒鳴ることのデメリット

親には子供に怒鳴って叱ってしまうたくさんの言い訳があります。ですが、子供に怒鳴ってしまうことで、少なからず子供の心に影響が及ぶと考えられます。怒鳴ることで生じる弊害にはどのようなものがあるのでしょうか?

怒鳴っても無駄!子供に恐怖心を与えるだけ

怒鳴ると、子供は注意されている内容よりも怒鳴られているという恐怖や嫌な印象に気持ちが集中してしまいます。そのため、親の叱責が終わったあとも「叱られないように、きちんとお片づけしよう!」と思うのではなく「お母さんが怖かった・・・」という印象や記憶しか残りません。こうなると、親の叱責や注意はすべて無駄になってしまうのです。

本当に子供に伝えたいメッセージは、子供に威圧感や恐怖心を与えないような穏やかな調子で言って聞かせる必要があります。

親が怒鳴ると子供は顔色をうかがう人間になる

怒鳴られている間、子供は「怖い・・・」「嫌だなぁ」「早く終わらないかな」としか考えていません。
結果的に子供の思考は「怒られないように、次はきちんとお片づけしよう」と考えるのではなく「怒られないように意見を言うのをやめよう」という方向性に傾き、普段から自分がしたいことにチャレンジするのではなく、親の顔色や周囲の顔色をうかがって行動を決める子供になってしまいます。

その場をしのぐ嘘をつくようになる可能性も大いにあります。
正直に「手を洗っていない」と言えば親が怒るなら、手を洗っていなくても「ちゃんと洗ったよ!」と、親から叱られないように嘘をついて我が身を守るようになってしまうでしょう。

子供に「逆らえない」と思わせてしまうと子供の思考を奪ってしまう

子供にとって親は、自分よりも何回りも体が大きく、そして自分の生活をすべて預けている人でもあり、また子供は基本的に親が大好きです。つまり、子供にとって親は絶対に見放されたくない大切な存在です。
そんなに大きな存在である親が怖い顔をして怒鳴ってきたとき、逆らえないと思うと、子供は委縮し思考を停止させてしまいます

親が怒鳴っていないときも、子供から恐怖心がなかなか離れず、びくびくして生活してしまったり、大人になってからも自分の意見を言うことが出来ない人間になる可能性もあります。
また、親は怒鳴っている間、一方的に自分の考えを述べることになりますから、話しあう土壌が育たず、子供はいつも受身の状態になってしまうのです。

子どもに恐怖心を植え付けてしまったときは、愛情と信頼を上塗りしていく地道な努力が必要です。

子供に怒鳴ってしまいそうになったときは

怒鳴っているときは自分の気持ちを抑えることなく発散したはずでも、感情の気風が落ち着き冷静さを取り戻したとき、自己嫌悪に陥ってしまいますよね。親も子も怒鳴り怒鳴られたことで落ち込んでいますので、家の中全体もなんだか暗く湿ってしまいます。怒鳴ることで誰も幸せにはなれないということは明白なのです。

とはいえ、急に怒鳴るのをやめようとしてもうまくはいかないもの。
どうしても怒鳴りそうになったらときのために、怒りのコントロール方法を習得しましょう。最初からうまくはいかなくても、「子供のため!」と感情に打ち勝ってくださいね!

怒鳴ることは暴力だと認識して!

子供に身体的な暴力をするならそれは虐待であることは、ほとんどの親は理解していますが、怒鳴ったり人格を否定するような発言を繰り返すことによる精神的な暴力も虐待になることは、多くの親が理解していません。

大人でも、毎日人間性を否定されるような発言を受けていると、精神的に多大なダメージを受けてしまいますよね。子供も同じです。それどころか、子供は精神が大人のように鍛えられていない分、絶対的味方であってほしい親の否定によるダメージは大人よりも深刻です。毎日親から怒鳴られると、言葉の暴力によって精神的に多大なダメージを受け、心や体にたくさんの傷を作ってしまいます。

海外では怒鳴る行為は暴力であるいう認識が広く、暴力と同じく逮捕に至ることもあります。なんだか大声を出すことや怖い表情を作ることが矮小なことに思えてきますよね。
「怒鳴ることは暴力と同等の野蛮な行為」であることを頭の片隅においておくなら、怒りがこみ上げたときに気持ちを少しでも抑えることができるのではないでしょうか?

アンガーマネジメントをはじめよう

怒鳴ることは暴力と認識したとしても、怒りで感情が高ぶってしまっているときは、感情をただ押さえ込むのはなかなか難しいことです。怒りがこみ上げてどうにもならないときのために、アンガーマネジメント(怒りの管理・制御)の方法をいくつか覚えておくと役に立つでしょう。

感情が高ぶったときには言葉を発しない

アンガーマネジメントでよく使われる言葉に、『6秒ルール』というものがあります。
アンガーマネジメントの6秒ルールは、「怒りの感情が湧いてから6秒以内に出る言葉は感情的で相手を傷つける発言しか生まれてこないため、ネガティブな感情を抱いても6秒間は言動を起こさず我慢する!」いうもの。

「売り言葉に買い言葉」とも言われるように、感情のまま相手に言葉をぶつけていると、どんどん怒りの感情がエスカレートするきっかけにもなります。
これから抜け出さない限りは良い結果を生みだすこともないので、どんなに腹が立ってもまずは6秒我慢して、それから適切な言葉を発するようにしたいものですね。

深呼吸をする

『6秒ルール』と同じく、腹が立った瞬間の気持ちを落ち着ける方法をもうひとつ。
腹が立ち怒り心頭になると呼吸が浅くなる傾向があります。頭に酸素が回らない状態では、ろくなことはありません。気持ちを落ち着けつつ、不足する酸素を補給するつもりで2度、3度、ゆっくりと深呼吸をして言葉を発するように心がけてみましょう。

腹は立っているままであったとしても、少しは冷静になれるはずです。冷静を取り戻すことに慣れてきたら、怒りの無限ループから解放されたと言っても過言ではありません。

怒りの感情を認識する

6秒ルールや深呼吸をするついででも、次のステップでもどちらでも構いませんので、怒りの感情をそのまま受け入れましょう。

「わたしは怒っている」「怒鳴りそうになるくらい感情的に怒りがこみあげている」
たったこれだけのことですが、「また感情的に怒って私はダメな親ね…」と思うのではなく、怒りに震えるありのままの自分を認識するだけでかなり冷静さを取り戻すことができます。おためしあれ!

子供の顔をよく見る

怒鳴っているときは感情任せに怒鳴ることに夢中になってしまい、目の前の子供の表情や気持ちの変化になかなか気付くことができません。
あなたが怒鳴っているとき、子供はどのような顔をしているでしょうか?悲しい顔をしているのではないでしょうか?子供のことを本当に思って注意をしている(つもりがエスカレートして怒鳴っている)のなら、子供から笑顔を奪うような行為は本末転倒と言えるのではないでしょうか?

鏡で自分の顔を見る

他の家族や友人には怒鳴ることなどないような人が、子供に対しては怒鳴ってしまうのなら、子供は絶対に自分に対して言い返したり嫌いになったりしないという甘えから出ているのかもしれません。

子供に対する甘えから感情をストレートにぶつけてしまっているとうことは、顔にもとりつくろわない素の表情が出ているはず…!自分でも見たことがないほど恐ろしい顔になっていることもあるかもしれません・
子供に対して怒りがふつふつと沸いてきたら、怒鳴り散らす前に一度鏡で自分の顔を見てみましょう。子供どころか自分自身もおびえてしまうような顔をしているかもしれませんよ。

言葉を言い換える

冷静さを取り戻したら、子供に伝えたい内容を子供に伝わる言葉に置き換えましょう。

例えば、青いスカートではなく黄色いスカートをはくように子供に勧めるときも、「青色は似合わないでしょ。いつもの黄色の方にしなさい」と親が言ったなら、子供は親の言うことを素直に聞いたとしても、嬉しい気持ちは湧きにくいもの。これを「青色もステキね。どっちも似合うけど、黄色の方が元気な感じでイイかもね」など、同じ内容でもプラスの言葉に置き換えるだけで子供は嬉しく感じますし、子供を褒める言葉を挟むなら自分自身に自信すら持つものです。

叱るときも同じです。「あなたは本当にバカね!」と怒鳴って伝えるのでは子供の心はグサグサに傷ついてしまいます。「これを直してほしい」ということを伝えるためには、子供をののしるような言葉は何の役にも立たないので、言い換えが必要です。
「どうしていつも靴をそろえないの!何度も言っているのにもうバカ!」ではなく、「靴をそろえるとキレイよね。いつもちゃんとそろえてくれるなら嬉しいわ!」と子供の耳に入る言葉を選んで話せば、子供だって親の言葉に耳を傾けられるものです。

つい言ってしまいがちな子供に言ってはいけない言葉があります。ですが、きつい言葉を言っている割に効力がない場合も。子供の心の成長のために避けるべきワード、効果的に叱ったり注意するための言い換えのヒント!

子供を怒鳴りそうになったらその場からすぐ逃げる

どうしてもその場で怒りを抑えることができないとき、6秒おいても言葉を言い換えるどころか聞くに堪えない暴言が出てきそうなときは、一旦この場は逃げる!という方法もあります。

子供が目の前にいると怒鳴ってしまいそうだと感じたときは、子供がなぜそのような行動をしたのか、どのように注意すれば効果的なのかを、ひとりになれるスペースでじっくりと見つめてみるようにするのも良いですよ

言うことを聞かない子どもにイライラ!何度言っても注意や約束を守らず予想通りの失敗をして「だから言ったのに!」と発狂寸前!子供が親の言うことを聞かない理由と親はどう接していくべきかを探りましょう!

怒りを持つのは正常なこと!でも、気持ちは怒鳴らないで伝えよう

子供の将来を思い、きちんとした人にしたいと思って注意をするわけですが、なにせ子供は親の予測の斜め上行く突飛な行動をとりがちですし、なかなか思い通りに伝わらなくて、つい怒鳴りそうになってしまうことは日常茶飯事。

ですが、注意喚起の方法としてだとしても、怒鳴る行為は百害あって一利なしの方策。つい子供に怒鳴ってしまうなら、ご自身に改善の余地があると言えます。
親には子供にしつけをする義務があります。ですが、怒鳴らずにしつけをするために、親も子供と同じように成長していけると良いですね