健康・心の問題

小学校に行きたくない子への対応

小学校に行きたくないと言われたら…本音の聞き出し方と親の対応

小学校に行きたくないと子供に言われたとき、「学校に行きなさい!」と強制してしまうのはどうでしょう?小学校ともなると子供には子供の悩みがあるのかもしれません。どうして小学校に行きたくないのか、その原因を探る本音の聞き出し方や学校側へのアクションのとりかたなど親の最適な対応とは?

子供が小学校に行きたくないと言うとき・・・何が出来るか

子供にも子供の世界があって、いつまでも幼いと思っていた子供が、いつの間にか親にはうかがい知れない気持ちを持つようになり、思いもしないような言葉を口にするようになるものです。

小学生の子供が学校に行きたくないと言うとき、親はドキッとしてしまいますが、子供は子供なりの悩みや気持ちがもととなって親にそれを伝えています。子供は一体どのような状態にあって、親は子供のために何をすることができるのでしょうか?

登校拒否?それとも・・・子供が小学校に行きたくない理由

子供が小学校に行きたくないと言ったからといって、即、「登校拒否!」と判断するのではなく、子供の気持ちを理解したうえで適切に対応をしていきたいですよね。子供が学校に行きたがらない理由はいくつか考えられるのです。

親と離れるのが不安だから

小学校1年生の子には、親と長時間離れることが不安で学校に行きたがらないというケースが見られます。保育園出身の子なら、親と長時間離れることに慣れっこで特に抵抗がないことも多いのですが、幼稚園出身の子供や幼稚園に行っていない、もしくはごく短期間しか行っていない子や、性格的に人見知りや不安を感じやすい子は小学校という環境に慣れるまでの間、不安なあまり「学校に行きたくない」と感じるようになります。

子供がこのような理由で小学校に行きたがらないときは、時間の経過とともに問題は自然に消滅します。ゴールデンウィーク明けや夏休み明けなどの長期休みの後には、また「学校に行きたくない」と一時的に親に訴えるかもしれませんが、それでも1週間ほど学校に行けばいつもの調子を取り戻し、友だちと仲良く遊ぶ生活に没頭するようになるでしょう。

先生に近付き難いから

子供が低学年のうちはお父さんやお母さんに接するような感覚で、担任の先生に頼ってくる子は少なくありませんが、小学校の先生はそれまでの園の保育士さんとは違った距離感があり、得に先生があからさまに邪険に子供を扱ったり、子供との接触を嫌ったりするタイプの人でなくても、子供が先生に近付きづらいと感じるなら、学校生活自体が子供にとってつまらないものとなってしまいます。

これも、子供が園と小学校の違いを身体で覚えていくにしたがって解消していきますが、小学校で感じ取ってくる緊張を家で解消できるなら、子供の環境適応にも一役買えるかもしれません。

また、子供が高学年になればなるほど、先生の中にある小さなえこひいき(子供の誤解であることも多い)を敏感に察知するようになります。
「先生は、あの子には笑顔で答えているけれど、私にはにらむような目つきで答える」などと、先生が自分に対して好意を持って接していないと感じると、やはり学校に行くこと自体が嫌になってしまうものです。この場合も家での対応次第で子供を精神的な成長をサポートできるでしょう。

皆と同じようにできないから

授業が始まるまでに教科書とノートを机の上に出す、体育が始まるまでに体操服に着替える、また、給食時間内に給食を食べられずいつも昼休みまでかかってしまうなど、勉強以外のところでの集団行動がうまくできない子は、周りと同じようにできないことに負い目を感じてしまいやすい状況にあります。

子供自身が自分自身の行動の遅さに気付いたときはもちろん、周りの子供たちや先生に指摘されたときも学校生活自体が苦痛になってしまうことでしょう。
個性の範疇で行動がゆっくりなら、発達とともにある程度は子供がつらく感じてしまう状況も減少していきますが、発達に軽度の問題があるために、元来行動を計画的に組み立てることが苦手なケースもあります。こういった場合には、むやみに急かすのではあまり効果がないと言えるでしょう。

集団の輪に入ることが苦手だから

集団生活が苦手な子や、子供たちが集まっている中に入っていくことができない子もいます。
一人で過ごすことに苦痛に感じないなら特に問題にはなりませんが、みんなと遊びたいという気持ちがあるにも関わらず自ら溶け込んで行けない子供の場合は、「小学校に行きたくない…」と思う理由になるでしょう。

人の中に入っていくことだけが苦手なら、単純ですが早めに登校して自分が迎える立場になることで自然に人の輪に溶け込み克服していけます。また、担任の先生と協力してグループ活動を増やすことができたら、子供が積極的に友だち作りをしなくても良い状況も作れます。

勉強が苦痛だから

小学校の高学年になると、徐々に自分の頭で考える問題が増えていき、子供にとっては突然学習内容が難しくなったように感じてしまうこともあります。このようなとき、子供は授業中に当てられるのが本当にイヤだったり、テストの点数がとれないで親や教師、他の生徒から指摘されるたくないという思いから学校に行きたくないと言うようになってしまうでしょう。

ですが、小学校の範囲であれば、家庭でのフォローは十分に可能です。子供が学校の授業について行けていないことに気付いたら、なるべく早めに予習・復習を一緒に行ったりテスト勉強を手伝ったりしてあげることで遅れが深刻にならないうちに手が打てます

「学校の勉強なんだから、学校で理解するまで教えてもらうべき」と考える人もいますが、実際は30人から40人の子供の授業を教師一人で担当し、進捗のスケジュールも決まっている学校ではすべての子供を完全にフォローすることはなかなか難しいと言えます。

また、子供が勉強の遅れを苦痛に感じるようになるのも、ある日突然始まるのではありません。きっかけは子供自身がわからないところをわからないまま放置してしまったことによるもの。
親が積極的に子供に対して「何がわからないのか?」を聞きながら、どこがわからなかったのかをたどることで、子供自身も「わからないこと」を放置したらいけないんだとわかるはずです。

人間関係がこじれているから

学校での人間関係のイザコザは、子供にとって最大の悩みとなります。学年が進むに連れ、人間関係の問題は深刻化していきますが、低学年だからイザコザがないとはいえません。学校で集団生活を送る以上、残念ながら人間関係のイザコザ問題は切っても切り離せず、「うちの子に限って」ということはありません。我が子もやる側にもやられる側にも同級生がイザコザに巻き込まれている様子を見て見ぬふりをする側にもなり得ることは、しっかりと念頭に置きましょう。

小学校高学年になると友人同士のイザコザが発覚しにくくなる

小学校で人間関係のイザコザに遭っているために、「学校に行きたくない」と子供が言い出すこともあります。このような場合は、なかなか子供が行きたくない理由を言ってくれないことが多く、学校で友人ともめていることに気付きづらいケースも多くあります。また、高学年になるに従い先生の前では仲良く過ごしたり子供同士で口裏を合わせたりと、イザコザを表面化しにくく隠蔽したり、学校側も人間関係の揉め事で問題があることを認めなかったりと、スムーズに解決できない可能性も高まっていきます。

早く本当のことを知りたいと、親はつい焦って子供を追求してしまいがちですが、親の追求が子供をさらに追い詰めることにもなりかねません。子供の様子がおかしいことに気付いたら「無理して学校に行かなくても良いよ」、「いつでも話を聞くから話したいときに話してね」という姿勢を示し続けることが大切です。

人間関係の問題発覚後に子供を守るためにできること

人間関係の悪化を子供から確認したあとも、慎重な行動が求められます。
子供の辛そうな様子にいてもたってもいられないからと学校に出向いて騒ぎ立ててしまうなら、逆に問題をこじらせてしまうことになりかねません。やられている子供が恥ずかしく感じたり、余計いたたまれなく感じたりする可能性も十分にありますし、これをきっかけに人間関係がなお一層陰湿化・深刻化してしまう可能性もあります。

人間関係の悪化が発覚したあとは子供の意思を尊重し、最善の結果を生みだすことができるよう、毅然とした態度をもち慎重に行動に移していくようにしましょう。子供が安心して再び学校に通えるようにするためには、騒ぎ立てるのではなく、絶対にこの度の人間関係の揉め事をなあなあにさせないことが大切です。
子供の負った精神的負担を文書化し、「対応ができないときは必要な措置をします」と、あくまでも冷静に学校とお相手の家族に一筆いただくつもりの強い気持ちで接していってください。

家族関係に不安を抱えているから

親との関係における問題や両親の不和、きょうだいとの確執、きょうだい間の差別、新しいきょうだいの誕生など、子供が家族関係に何らかの不安を抱えているときも、「学校に行きたくない」と言うようになることがあります。

「学校に行きたくない」と子供が訴えると、親はつい小学校で何が起こっているかという部分に目を向けてしまいますが、身近に問題はないか、子供に不安を与えるような家庭生活ではないか?についても振り返ってみましょう。

子供が問い詰められていると感じることがないように配慮しながら、子供と正面から向き合う時間を作る中でそれとなく聞いていけると良いですね。

登下校がしんどいから

家と学校の距離があるなら通学のための登下校が負担となります。
ランドセルやサブバッグ、その他の持ち物が多いなら荷物の重さも負担となって学校に行くことが辛くなるでしょう。

学校の許可を得て子供の登下校のサポートを行って負担を減らしてあげられますが、なかなかその時間が取れないときは学校との距離が近い場所にマンションやアパートを借りる、家から学校に転校したりすることもあるそうです。

また、家と学校が遠い子と近い子では通学にかかる時間にも差がありますので、朝起きる時間、家を出る時間帯も大きく違ってきます。帰宅も家が近い子よりも遅くなりますので親も気が抜けませんね。

単なるサボりなのか、それとも・・・小学校に行きたくないと言われたときの登校判断基準

もちろん「小学校に行きたくない」という全ての訴えが、子供のSOSを意味しているわけではありません。
親の反応を見るために「小学校に行きたくない」と試しに言ってみているだけのこともありますし、甘えん坊気質の子供なら、朝、ちょっと眠いから今日は行きたくない・・・と思っているだけのこともあります。また、今日の行事やテストが嫌で「小学校に行きたくない」と言っている可能性もあるでしょう。

どのように、大きな問題を抱えている「行きたくない」と登校させるべき「行きたくない」を判断すればよいのでしょうか?子供が「小学校に行きたくない」と言うときの接し方をステップ別に見ていきましょう。

なぜ行きたくないのか理由を子供に聞いてみよう

まずは、子供に行きたくない理由について聞いて見るようにしましょう。
問い詰めるような口ぶりや強い口調で尋ねるなら、子供は本当の理由について教えてくれないこともあるので、「どうしたの?なんで行きたくないのかな?」と深刻な素振りを見せずに子供に尋ねてみましょう

その結果、子供なりの悩みがある、特に深刻な状況にあることが分かったのなら、学校に休ませる旨を連絡し、ひとまず子供を落ち着かせましょう
ただ単に「給食を食べたくない」「テストがあるからイヤ」な場合や子供が学校に行きたくない本当の理由を言わない場合は、次のステップに進みます。

学校に行くように子供を励まし提案してみる

子供に深刻な雰囲気が見られず、甘えや気まぐれで学校を休みたいと考えている可能性が高いときは、とりあえず今日のところは学校に行ってみるように子供を励ましてあげましょう。

「行ってみたら面白いかもしれないよ」「今日の給食は○○ちゃんの好きな唐揚げじゃなかったかしら?」などと子供の目先を変えるようなことを明るい口調で提案してみます。
それでも行きたくないと言うときや自分の部屋に閉じこもってしまうような場合は、無理に学校に行くように勧めず、「どうしても行けないなら、学校に連絡するね」と子供に伝え、学校に休む旨を連絡します。

学校に行きたくない本当の理由を言わない場合は親も困ってしまいます。ですが、提案をしてみたとき、行きたくない気持ちが多少でも切り替えられているのなら、気まぐれと見ることができても、依然目線を上げないなど重い空気を背負っているようなら何か深刻な悩みがある可能性も高いですので、子供の様子を見て登校を止める気持ちでいましょう

不登校が2~3日続いたら学校とコンタクトを取ろう

子供がどうしても学校に行きたくないと2~3日言い続けるようなときは、担任教師に子供が行きたくないと言っていることを伝える方が良いでしょう。不登校が続くと、子供にとってもだんだん再登校しづらくなってしまいますので、あまり長引かないうちに対策を打つ必要があるのです。

もちろん、長期間学校に行きたくないと言ったからと言って、即「意地悪されている」と判断するのは誤りです。ですが、子供が学校に復帰しやすくなるためにも、担任の教師に現状を理解してもらい、学校での子供の様子や周囲の子供の反応を教えてもらうことが必要になるのです。

強制は禁物!子供との接し方

子供が学校に行きたくないと言った場合、親は「そんなこと言わずに学校に行ってみようよ」と励まし登校を促すまでは良いことですが、「学校は行くものに決まっているでしょ!くだらないことを行っていないで早く学校に行きなさい!」と強制的に学校に行かせるような対応はあまり賢明とは言えません。子供が親に「学校に行きたくない」という本心をせっかく打ち明けてくれたにも関わらず、「くだらないこと」と断じてしまうなら、今後、本心を見せてくれなくなってしまうかもしれないからです。

「学校に行きたくない」という本心を教えてくれたのですから、まずはその気持ちを受け止めた上で、「行ってみたら?」とか「どうして行きたくないのかなあ?」と親としての意見や疑問を子供に提示してみるべき。
なかなか学校に行きたくない理由を打ち明けてくれないときも、子供の気持ちを気に掛け、親の気持ちを表現することで、時間はかかっても子供が学校に行きたくない本当の理由を聞き出すことができるはずです。

子供に聞いてから学校側とコンタクトを取る

また、子供が低学年であったとしても親の独断で物事を推し進めていくのではなく、子供に伝え、ときには了解を得てから学校側とコンタクトを取るスタンスでいましょう。学校に行きたくないと子供が言ったらすぐに学校に休む旨を連絡するのではなく、「お休みするなら学校に伝えるよ」と子供に尋ねてから学校に電話やファックスをします。

不登校が長期間になる場合も同様です。親の勝手な判断で変に取り繕ったりしないようにしましょう。「学校をお休みするなら理由を訊かれるから、学校に行きたくなくて休みますと先生に伝えるよ。良い?」と子供に尋ねてから連絡することで、問題の当事者である子供自身の認識も欠けさせずに済みます

決して勝手に病名をでっちあげて学校に伝えるようなことはしてはいけません。子供が人間関係に悩み、先生や親などの大人の介入による解決を望んでいる場合には、学校に行きたくないという事実を先生に知ってほしいと望むこともあるからです。

不登校が長引かないためにも子供とよく話し合おう

学校を休む期間が長引けば長引くほど、再登校が心理的に難しいものになってしまいます。不登校の状態が長引き、子供にとって再登校を壁にしてしまわないように、早い段階で子供が学校に行きたくない理由を解明し、子供の問題を解決できるように親は行動すべきと言えるのです。

とは言っても、焦った無思慮な行動は逆効果。「子供が明るく「行ってきます!」と言える日を一日でも早く確保する」ということを目あてに、決して急かさず無理強いすることなく、子供に変なプレッシャーをかけないように接していくように親は努めるようにしましょう。