縦割り保育の良いところ

縦割り保育にはメリットが沢山!子どもに与える影響は?

縦割り保育を行う幼稚園や保育園が増えてきました。違う年齢の子供同士の交流で、お互いに良い影響を与えるのが目的です。具体的にはどんな効果があるのか、デメリットはないのか、縦割り保育ではどんな保育内容なのか、気になるポイントを解説しますので、幼稚園、保育園選びの参考にしてください。

縦割り保育にはメリットが沢山!子どもに与える影響は?

縦割り保育って何?ねらいは?

縦割り保育とは「異年齢保育」とも呼ばれますが、年齢の異なる子供で活動するグループやクラスを作り、同じ教育を受ける保育の方法です。現在の社会問題である少子化の影響もあり、最近では縦割り保育を行う幼稚園や保育園が増えてきました。

縦割り保育のねらいは、子供達の社会性や協調性を身に付けたり、思いやりの気持ちを育むことにあります。同年齢ではなく、違う年齢の子供達と接することで年齢という枠にとらわれずに、一緒に成長していくことができます。

社会に出れば同学年の人とばかり接するわけではありません。年齢の異なる人が周りにいる環境で生きていくためにも、幼稚園や保育園の縦割り保育で経験することが役に立つようになります。

すべての幼稚園や保育園で縦割り保育を実施しているわけではありません。これから入園先を探すママは縦割り保育を実施している幼稚園か、すでに入園させているママは、縦割り保育では何が行われているのか、参考にしてください。

一般的な幼稚園や保育園と縦割り保育の違い

幼稚園で園児が並んでお昼の食事をとっている

幼稚園や保育園の場合、年少・年中・年長と年齢別にクラスが別れているのが一般的な保育です。それぞれの年齢に合ったことを楽しみ、日々の保育でも異年齢の子供達とは、あまり交流がありません。

しかし縦割り保育の場合は、年下の子供が年上の子供に色々なことを教えてもらったり、逆に自分が年上の立場になった時は、同じように年下の子に様々なことを教えてあげながら成長していきます。

自分とは違う年齢の子供と接することから受けた刺激を十分に吸収することが、子供の成長につながります。

縦割り保育のメリットはどんなところ?

違う年齢の子供達と同じ保育を受けることで、発育の差があまり目立たなくなります。親としてはどうしても自分の子供の発育が遅れていないかどうか心配になるので、成長の証が目に見えるようになれば安心材料になるというのが大きなメリットになります。

個々の成長の差が出にくい

縦割り保育の場合は、成長段階が近い子供達と一緒に過ごす環境なので、成長の差が出にくいというメリットがあります。早生まれの子供は下の学年の子供達と一緒に保育されることで、生まれた時期によって生じる不便さを感じる機会が減ります。

縦割り保育を実施していない場合、年齢によってクラス分けされ、それぞれ違う環境で違うことを学ぶ保育の場合は、月齢の違いで発育の差が出やすい傾向があります。

例えば3月生まれの子供は4月2日以降生まれの子供と約1年も差があるので、出来ないことも多いでしょう。それによってコンプレックスを感じたり拗ねてしまうこともあります。逆に4月2日以降生まれの子供が物足りなさを感じる場合もあります。

縦割り保育で人を思いやる気持ちが育つ

年下の子と一緒に遊ぶ年長の子供

子供にとって、何でもできる大人から一方的に教わるより、自分達より少し上の子供から教わる方が素直に聞くことができます。そんな姿を見て育つと自分が最年長になった時に、自分がお兄さんやお姉さんからしてもらったように、優しく一生懸命お世話することが当然だと思えるようになります。

お世話される側からする側に変化していくことで、年齢を重ねると自分の役割に変化が生じる現実を学ぶことができます。また「思いやり」は言葉で教わるよりも態度で教わる方が身に付くので、自然と自分よりも弱い立場の人に優しくすることを覚えます。

例えば5歳の子は自分ひとりで折り紙を楽しむことができても、3歳では少々難しいです。そんな時縦割り保育では先生と同じく5歳の子が折り紙のやり方を三歳児に教え、5歳なりに一生懸命教え、3歳なりに一生懸命聞きます。

一人っ子の場合も安心

一人っ子の割合も昔に比べて増えていますが、縦割り保育は兄弟がいない環境で育った子供に与えるメリットも多いです。年上から沢山のことを教わることで、お兄ちゃんやお姉ちゃんみたいに頼ることができますし、年下に教えることで責任感も養われます。

年上の子供から悪い影響を受けるのではないか…と心配される方もいるようですが、どんな環境でも子供が成長する過程で必ず通る道なので、縦割り保育に限ったことではありません。縦割り保育の場合、それよりも広い世界を知ることができるメリットの方が大きいと言えます。

同い年の友達との絆が深まる

同い年の子供同士

縦割り保育であっても、運動会や発表会など年齢によって実力に差が出ることに関しては、年齢ごとのクラスに分かれる場合が多いです。

子供ながらに同い年の子に対しては特別な親近感を持っていますが、縦割り保育によって違う年齢の子供と接する時間と、同年齢の子供と接する時間を分けることでより親近感が増します。

いつも一緒にいるわけではないので、一緒になった時は一致団結して「頑張るぞ!」という一体感が生まれやすくなります。また、普段から関わりの深い違う年齢の子供達に対して、敵対心ではなく本当の意味でのライバル心を抱くこともできるでしょう。

縦割り保育における年長のメリット

縦割り保育の中で年長児の役割は、自分のできることを年下の子供に教えたり、年下の子供を危険から守ってあげたりすることです。やり方を説明したり、なぜ危ないかを教えてあげることで社会性が身に付き、同時に年長としての責任感も芽生えます。

年下の子供に説明をする時には、簡単な言葉を選んでわかりやすく話す必要があり、毎日それを繰り返していれば、自分の意見や気持ちをしっかりと言葉で伝えることができるようになります。これはどんな子供にでもできることではないので、自然に身に付いてくれたら親としては嬉しい限りです。

年下の子供のお世話をしていることを大人達から褒められる機会も多くなります。それによって達成感や満足感を得る機会が増えて、自分に自信が持てるようになります。自尊心が低い子供は精神的に弱くなりがちなので、縦割り保育は心の成長に良い影響を与えてくれると言えます。

縦割り保育における年少のメリット

年少の幼児の傍に座る年上の子供

幼児期の子供の成長は早いので、年少の子供にとって2歳上の年長の子供達はなんでもできる憧れの存在となります。年長の子供達がやっていることを観察して、自分でも挑戦してみたい!というチャレンジ精神が生まれ、好奇心も旺盛になります。

憧れの先輩たちが自分達に優しく接してくれた経験から、自分も年下の子供達に同じような接し方をしなければいけないという自覚も芽生えるので、特に教わらなくても自然に上手くお世話できるようになります。

縦割り保育の親へのメリット

縦割り保育は子供だけではなく、親にもメリットがあります。幼稚園や保育園という社会では子供達の関係だけではなく、ママ友との関係も気になるところですが、子供の年齢が違った方が変なライバル心を抱くこともなく、上手く付き合えると言えます。

縦割り保育では子供の成長過程がわかる

同じ環境で育つので「年長さんになれば我が子もあんなふうになるのかな」と成長した時の様子がなんとなく想像できるようになります。子供が幼稚園や保育園に通うようになると、ママ同士の交流も始まり、園の生活でわからないことを年長さんのママから聞くことができます。

よくあるママ友問題のほとんどが、同い年の子供達のママ同士が、子供の出来の良し悪しで競うことが原因です。面倒なママ友問題に巻き込まれたくない場合は、年上の子供の親と交流を持つようにしましょう。

年長さんのママに悩みを相談することができる

子供をはさんで育児の話題で話すお母さん

親同士の年齢はどうであれ、子供の年齢が大きい方が子育ての先輩になります。子育てをしているとその年齢ごとに悩みも違いますが、経験者にしかわからないこともあるので、年長さんのママに悩み事を相談することもできるでしょう。

また、進路について、同年齢の子供同士の関係についてなど、同い年の子供を持つママ友同士だとなんとなくしにくい相談も、気軽にできるので助かります。

縦割り保育のデメリットはどんなところ?

縦割り保育にはメリットもたくさんありますが、中にはデメリットもあります。幼稚園や保育園を決める時は、子供にあった保育を選択するためにも覚えておきましょう。

子供のストレスになることもある

縦割り保育は違う年齢の子供同士が関わりを持つので、時に衝突することもあります。年上の子供におもちゃを取られたり、意地悪をされたりして、年下の子供が嫌な思いをすることがあります。逆に年上の子供は年下の子供に同じようなことをされても、我慢をしなければいけないと思い溜め込んでしまうこともあります。

このような異年齢の子供同士の関係は、縦割り保育のメリットでもありますが、これまで違う年齢の子供と接したことがない子や性格的に繊細な子にとっては、ストレスになりかねません。

親のフォローが必要な場面もある

子供を保育園に預けていく母親

ストレスを感じた子どもは幼稚園・保育園に行きたくないと言い出す場合もあります。しかし親としては子供が望む通りにするわけにはいかず、泣きわめく子供を毎朝なだめて連れて行く切なさは親にしかわかりません。

子供に理由を聞いて対処をする必要がありますが、まだ小さい子供に完璧な説明ができるとは限らないので、本当の理由がわからない時もありますので、子供が嫌だと言い出した時点で保育園や幼稚園に相談する必要があります。

また、行きたくないと言ったら迷惑がかかると、子供ながらに遠慮をするタイプもいます。親にも言えず保育士さんや先生にも言えず、ひとりで抱え込んでしまうと精神的に良くありません。

子供が毎日嫌がらずに通っていても実はストレスを抱えているかもしれないので、親は日頃から子供の様子に注意を払う必要があります。

保育の安全性の確保面への不安

年齢の違う子供同士が遊ぶ場合は、同学年保育に比べて危険が伴う可能性があります。特に外で遊具を使って遊ぶ場合は、できる子とできない子が一緒に遊ぶことで両方の安全が確保されていないと親としては心配です。

保育園ではまだ歩けない子供もいますが、年上の子が抱っこをしようとして手を滑らせてしまったり、お世話をしようとして失敗するケースもあります。

保育士さんや幼稚園教諭の数が十分に足りているかどうか、先生たちがどのように子供達の世話をしているかどうかを確認するためにも、入園前に見学することをおすすめします。

縦割り保育の遊びはこんなことをする

縦割り保育の場合は違う年齢の子供達が一緒に楽しめる遊びが行われています。一般の幼稚園や保育園とは少々違い、競い合う遊びよりも、ほのぼのとした遊びが主流になります。

遊びの中で自然に自分の役割分担を学ぶことができるので、年下は年上を頼り、年上は年下を助けるということが当たり前になります。

ふれあいながら遊ぶ

縦割り保育では、遊具やおもちゃが無くても皆で楽しめる遊びが多いです。「あぶくたった」「はないちもんめ」「かごめかごめ」などは、年上の子がリードしやすいですし、年下の子供もすぐに理解することができるので皆で楽しむことができます。

昔から伝わる遊びは違う年齢の子供が触れ合いながら遊ぶことができ、距離感が近くなるきっかけになります。

身体を動かす遊び

1歳違いと言っても幼児期は身体の大きさや体力にも差があるので、外遊びはなかなか難しいです。しかし「鬼ごっこ」「色オニ」「影踏み」などの簡単なルールの遊びなら、年長と年少がペアになって楽しむことができます。

手を繋いで行動しますが、どこに逃げるか、誰を狙うか、などと相談しながら協力し合って遊ぶことで、連帯感が生まれます。

室内ゲームをする

ルールが簡単な室内ゲームは縦割り保育に取り入れやすい遊びです。新しい年度が始まって間もない時に子供同士が仲良くなるきっかけになりやすい遊びが多いです。

例えば昔から子供の室内遊びの定番である「ハンカチ落とし」は、年少の子供には少々難しいので始めは年長の子供とペアになって行う場合が多いです。子供に口でルールを説明するのは難しくても、手を引いて一緒に走ったりすることでお世話をしながら楽しくルールを説明することができます。

一緒に物づくりをする共同製作遊び

粘土で共同作業する子供達

年齢が違う子供同士で一緒に何かを作り上げることで、一体感が強まります。年齢によっては出来ることと出来ないことがありますが、年上の子供がフォローすることで関係性が深まります。

例えば大きな画用紙に一緒に絵を描いてひとつの作品を完成させることで、役割分担や協調性を学ぶことができます。また、お店屋さんごっこなどで使う物を一緒に製作する場合もありますが、その後も共同製作をしたおもちゃで遊ぶことができるので、思い出を共有することができます。

縦割り保育で子供の社会性を伸ばす

6歳までの子供の成長過程は、その後の人生に大きく影響しますので、子供に合った保育を受けさせたいと思うのが親心です。昔の保育では見られなかった縦割り保育ですが、子供は違う年齢の子供と接することで、社会性や協調性を身に付けることができます。

これからお子さんを幼稚園や保育園に通わせる皆さんは、どこの幼稚園や保育園に通わせるのか迷うことでしょう。幼稚園選びの6つのポイント~現役ママが語る成功点と失敗点を参考にしつつ、縦割り保育も選択肢の1つに入れてみてはいかがでしょうか。