幼稚園に行きたくない子供への対応
幼稚園に行きたくない!元保育士が伝授する上手な対応方法
幼稚園に行きたくない!と子供が言う時の対応とは?年少、年中、年長とクラスによって幼稚園に行きたがらない原因や対処法は異なります。突然行きたくない言い出した時には?泣いて嫌がる時には休ませる?友達や先生との関係が原因で行きたがらないという様子が見られる時の対応も含めて解説します。
幼稚園に行きたくない!と子供が言っている時はどうする?
幼稚園に行きたくないと言い出す子供は少なくありません。幼稚園という初めての集団生活の中で、子供は人との関わり方や社会性を身に着けていきます。しかし、親元を離れて過ごす時間の中では我慢しなくてはいけないこともありますし、まだまだ甘えたい時期の子供にとって負担になることは少なくありません。
様々な原因が重なると「幼稚園に行きたくない!」という登園拒否が起きることもあります。
10年間の保育士経験を持つ筆者が経験を踏まえつつ、子供が「幼稚園に行きたくない」と言った時に親としてできる対応方法をご紹介します。
年少クラス(3歳児)にありがちな「幼稚園に行きたくない!」
年少クラスは1番登園拒否を起こしやすい年代です。突然、自分を守ってくれる親から離れる環境に不安を覚えるのは当然です。入園当初の4月やゴールデンウィーク明け、夏休み明けの9月は特に幼稚園に行きたくないと言う子供が多く、「ママと一緒にいたい」とバス乗り場や幼稚園の門の前で泣いている子供がたくさんいます。
元保育園児でも登園拒否は起こります!
幼稚園入園前まで保育園で過ごし、集団生活に慣れているはずの子供でも、登園拒否は多く見られます。今までと違う環境での生活が始まったということもありますが、保育園と幼稚園との環境の違いも原因の1つです。
年少クラスでは1クラスを主担任と副担任の2人で担当することが多いので、他の学年よりは目が行き届きやすい状態です。それでも、保育園の2歳児に比べると1クラスの人数は多いですし、先生と1対1で関わる時間はほとんどありません。そんな違いに寂しさを覚えて「保育園の方が良かった」と口にする子供もいます。
対応方法1:親が幼稚園を信頼する・好きになる
まずは、親が幼稚園のことを好きになりましょう。子供は親の気持ちをすぐに読み取ります。親が幼稚園に不信感を持っていると、子供にとっても幼稚園がいつまでたっても安心できる場所になりません。
幼稚園に行きたくないと言ったら担任の先生に相談してOK
幼稚園教諭は、年少クラスの子供が泣いて幼稚園を嫌がっても、あまり重く受け止めてはいません。毎年、泣いていても徐々に慣れていく子供達を見ているからです。
しかし、親にとっては毎日子供に泣かれると悩んでしまいます。そんな時には遠慮せず、担任に相談しましょう。連絡帳でも構いませんし、電話や直接話す機会を設けてもらうことも可能です。
幼稚園でしか見せない子供の顔がある
親と離れる時には泣いていても、意外にも遊び始めるとすぐに泣き止んでいることもあります。幼稚園内での生活は見られませんし、子供に話を聞いてもまだ要領を得ないので、担任に直接様子を聞くことが安心に繋がります。
対応方法2:笑顔で送り出し帰宅後は思い切り甘えさせる
子供が幼稚園に行きたくないと泣いて嫌がっている時に親が同調してしまうと、子供の泣きは更にエスカレートしてしまいます。バス担当の幼稚園教諭や担任が子供を迎えてくれる時には、笑顔で送り出しましょう。心配でいつまでも子供の様子を見ていると逆効果です。
子供が幼稚園から帰って来たら思い切り甘えさせてあげてください。入園当初は今までよりも甘える姿が多くなるかもしれませんが、それが普通です。
大好きなお母さんと思い切り触れ合うことで子供の気持ちは安定し、翌日の活力に繋がります。親がどっしりと構えていると子供は早く新しい環境に慣れることができます。
年中クラス(4歳児)が幼稚園に行きたくないと言い出したら
年少クラスでやっと幼稚園に慣れて泣かずに登園できるようになった子供でも、年中クラスになるとまた「幼稚園に行きたくない」と登園拒否を起こすことがあります。
年中さんの登園拒否の原因とは?
幼稚園にクラス替えがある場合は、1年間慣れ親しんだ先生や友達と離れ、新たに人間関係を築かなければいけないという状況を負担に感じる子供もいます。一緒に遊ぶ友達がいない、先生に自分の思いを伝えることができないという環境が、登園拒否に繋がるのです。
また、年少クラスが2人担任制の幼稚園の場合には、年中クラスに上がることによって先生との関りが減って寂しさを覚えたり、今まで以上に自分のことを自分でしなければいけないという環境に疲れてしまう子供もいます。
対応方法1:子供からじっくり話を聞きましょう
まずは子供の思いをじっくりと聞いてみましょう。年中クラス(4歳以上)になると、嫌だと思っていることや理由を言葉でだいぶ伝えられる様になります。先生との関係や仲の良い友達と離れてしまった寂しさなど、自分の気持ちを親に聞いてもらうことで子供の気持ちは落ち着きます。
幼稚園側も重く受け止めてくれるので対処しやすい
連絡帳で幼稚園を嫌がっているということ、幼稚園でも様子を見てもらいたい旨を伝えましょう。年中クラスでの登園拒否は、年少クラスに比べて幼稚園側としても重く受け止めてくれることが多いです。クラス内で担任に気にして見てもらえるようになることで、担任との関係作りの第一歩となります。
対応方法2:親同士の繋がりが子供の繋がりに発展する
「幼稚園に行きたくない」と言う状況を問い詰めるのではなく、あくまでも子供の思いを丁寧に聞いてあげて下さい。友達との関係で悩んでいる時には、親が積極的にお迎え時などに同じクラスのお母さん達に話しかけて、関係作りの手伝いをしてあげることも可能です。
親同士の関係は子供同士の関係にも繋がります。ただし、あくまでもきっかけ作りをするだけです。それ以上の友達との関係作りは子供に任せましょう。
年長クラス(5歳児)の登園拒否への向き合い方
今までは楽しそうに幼稚園に行っていたのに年長クラスで突然「幼稚園に行きたくない」と言うこともあります。
年長クラスの登園拒否の原因
年中クラスは幼稚園での生活そのものには慣れていますが、プレッシャーを感じる場面や5歳児以上となることで、人間関係が複雑化しやすい時期です。
年長はプレッシャーがある!
年長クラスになると、幼稚園内では見本になるお兄さん、お姉さんという扱いになります。最後の思い出という思いから、特に行事前は担任も熱が入り、子供にとっては厳しいと感じる指導になってしまうこともあります。
そのような経験も含めて子供の成長に繋がりますが、プレッシャーを感じやすい子供には大きすぎる負担となることもあります。
仲良しグループが生まれる
もう1つの原因としては、友達関係です。年長クラスになると、仲の良い友達同士のグループができあがりますが、その中に自分から入って行けない子供もでてきます。自分だけが仲間に入れないという疎外感から「クラスにいたくない」と悩んでしまうのでしょう。
勉強の準備が始まる
小学校への準備として平仮名の読み書きなどの勉強の時間も始まりますので、その内容が分からないと幼稚園を嫌がる理由にもなります。
対応方法1:幼稚園から気持ちを離してあげる
年長になったある日、突然行くのを嫌がった場合、何が嫌なのか話せる年齢でもありますので、やさしく聞いてあげましょう。子供は子供なりにストレスを抱えているものです。
幼稚園から気持ちを離してリフレッシュ
年長児クラスに進級したことや行事前にプレッシャーを感じている様子が見られたら、気分をリフレッシュさせてあげましょう。家族で子供が喜ぶ場所にでかけたり、好きな遊びを親子で思い切り楽しみましょう。
自宅でも行事の練習をしたり、アドバイスをすることは、子供をますます追い詰めてしまいます。幼稚園から気持ちを離してあげることで、プレッシャーから解放できる時間を作ってあげます。子供が自分から幼稚園での話をしてくれるようになったら、子供の頑張りを認めて自信をつけてあげてください。
勉強は安心できる環境で学ばせてあげよう
勉強について行けないという時には、幼稚園で習っている内容を聞いて、自宅で一緒に復習してみてください。厳しく指導する必要はありません。
本来なら、無理に幼稚園前に習得する必要性もないのですが、幼稚園での勉強の時間が苦痛になったり、入学前に「自分はできない」と劣等感を抱くような事態は避けた方が良いでしょう。自宅の安心できる環境で、学ぶことの楽しさを改めて教えてあげましょう。
対応方法2:友達関係は先生が仲立ちしてOK
友達関係については、自分から積極的に話しかけられないことで、悩む子供が多いです。まずは、笑顔で「おはよう」と挨拶することからアドバイスしてあげてください。
また、年中クラスと同じように、親同士の関係が子供にも影響します。お母さん、お父さんが積極的に他の保護者の方との関係作りをして、子供にきっかけを作ってあげても良いでしょう。
それでも関係作りが上手くいかないという時には、担任にさりげなく仲立ちをしてもらえるように頼んでも大丈夫です。まだまだ人間関係の作り方を学んでいる途中です。まずは友達と遊ぶことが楽しいと思えるような手助けをしてあげましょう。
どうする?幼稚園に行きたくない原因が深刻だった
「幼稚園に行きたくない」という理由は様々ですが、子供から話を聞いていると、少し深刻な理由がでてくることもあります。親としてどのように対応すればいいのでしょうか。
幼稚園に意地悪な子がいる
「幼稚園に行きたくない」と子供が言う原因として、1番多いといっても過言ではないのが人間関係によるものです。お友達との関わりができ始める年少クラスの後半から、年中クラス、年長クラスと悩む子は少なくありません。
意地悪されている子だけでなく見ている子も登園拒否に…
クラス内に意地悪をする子がいる場合には、意地悪されている本人はもちろんのこと、直接されていなくてもその様子を見ていることが嫌で登園拒否が起こるケースもあります。
ただし、意地悪をしている園児本人は「嫌がることをしている」という意識を持っていない場合があります。
友達関係についてはデリケートな問題ですので、子供が詳しく話したがらない場合もあります。そんな時には、担任に子供達の様子を見てもらえるように話をしましょう。
まだ小さな子供達ですので担任から指導や仲立ちをしてもらい、クラス内で友達の嫌がることをしないように話をしてもらいましょう。
幼稚園の先生が嫌い・怖い
先生との関わりが原因で登園拒否になってしまう子もいます。残念ながら、自分の感情で叱ったり、子供によって態度を変えるという先生も存在するのです。
先生に非があるケースもある
子供から「先生が怖い」「僕ばかり怒られる」などの言葉があったら、「先生はそんなことしないよ」と否定するのではなく、まずは話を聞いてあげてください。
担任の先生に事情を聞き、「ハサミを使う制作のときにふざけたので叱った」など正当な理由があったり、「行儀前だったので、つい力が入りすぎてしまった」など非を認め、対応を改めてくれる先生なら関係の修復は可能です。
しかし、感情的に叱るような先生の場合、簡単に変わることはできません。本人に直接相談をしても、その時は改善されるかもしれませんが、しばらくすると元に戻ってしまいます。
主任や園長などに相談
子供が先生を怖がったり、親としても先生の態度に不信感がある場合、園長や主任に相談をしましょう。クラス内での保育について詳しく伝えてもらい、幼稚園としての対応策を考えてもらいます。
全く対応してくれない、謝られてその後の対策は示してくれないという場合には、幼稚園そのものの体制に原因があります。子供の心をこれ以上傷つけないためにも、あまりにひどい場合には、転園も検討しましょう。
幼稚園に行きたくないと泣いて嫌がるタイミング別対処法
「幼稚園に行きたくない」と、子供が言い出すタイミングは様々です。前日の夜から「行きたくない」と言い始める子供もいれば、幼稚園の準備をする段階ではいつもと変わらない様子なのに、いざ幼稚園に着くと嫌がるという子供もいます。
前日から行きたくないと泣く子供の場合
泣いて嫌がるからと言って「明日は幼稚園はお休みしよう」という提案はしないでください。泣いたら幼稚園が休めると誤解してしまいます。
幼稚園のことから意識を離してあげましょう。幼稚園以外の楽しい会話をしたり、好きな遊びを提案したりと、子供の意識が幼稚園に向かないようにします。
子供が楽しい気持ちで眠り、ゆっくりと身体を休められるようにしてあげてください。朝になれば、そこまで嫌がらずに行ける子もいます。
幼稚園の準備を始めると泣き出す子供の場合
朝の準備を始めると幼稚園に行きたくないと言い出す場合、準備は極力前日に済ませて、朝は子供とゆっくりと過ごす時間を多く持てるようにしましょう。朝の忙しい雰囲気によって泣き出す子供もいます。
大好きなお母さん、お父さんと朝からじっくりと関わることで、子供は安心感を持って幼稚園に向かえるのです。
制服への着替えや身支度は、「どっちが早いかな」と親と競争したりと、ゲーム感覚で楽しむのもおすすめです。
幼稚園に着くと泣き出す子供の場合
家を出たときは大丈夫だったのに、いざバスに乗る時、幼稚園に着いて門に入る時などに泣き出す子供もたくさんいます。この時の泣き声は、前日や準備中の泣き声とは比べものにならないほど激しく、親としても辛い時間です。
しかし、子供に同調することなく笑顔で送り出してあげて下さい。「頑張ってね」という言葉を掛けたくなりますが、あえて「楽しんできてね」という言葉の方が良いでしょう。幼稚園は楽しい場所であると親が思っていることは子供にも伝わります。
泣いていても意外と子供は親の様子を見ていますので、笑顔でポジティブな声掛けをすることがポイントです。
幼稚園を休ませる目安は?
「幼稚園に行きたくない」と子供が言っていると、1日くらい休ませても…という気持ちも芽生えますが、1日休ませることでさらに慣れるまでに時間が掛かります。
ストレスが体調に出ているなら休ませるべき
「行きたくない」という子供に幼稚園を休ませる目安は1つだけ、ストレスが体調に出てしまっている時です。体調不良を引き起こしている状態の時には、休ませて様子を見て下さい。幼稚園を休むことで体調不良が改善される子供もいます。
しかし、改善されない時には、必ず受診をしてください。体調不良を繰り返す時には、医師の診断を元に幼稚園に相談をします。
親が幼稚園で一緒に過ごす時間を設けることで、子供が安心できる状態になる場合もあります。子供のストレスを軽減することを1番に考えて、幼稚園と親とが連携をとる必要があります。
突然幼稚園に行きたくないと言い出した
昨日までは楽しそうに幼稚園に行っていたのに、突然「行きたくない!」と言い始めるケースも存在します。どんな時に突然行きたがらなくなるのか、その兆候についても見ていきましょう。
幼稚園に行きたくないと言い始める兆候
朝はいつも通り登園したのに、帰って来てから元気がない。食欲が落ちている。好きな遊びに興味を示さないという時には、幼稚園で何か嫌なことや悩みを抱えて帰ってきている可能性があります。また、幼稚園でのイライラを親にぶつけて攻撃的になることもあります。
そのような様子が見られたらいつも以上に触れ合って、子供の気持ちを安定させてあげましょう。幼稚園での出来事について、子供が話したそうな様子を見せたらじっくりと話を聞いてあげて下さい。原因が分かったら、次の日の連絡帳などで担任に知らせて、様子を見てもらえるように頼みます。
翌朝は、嫌な気持ちを引きずっているかもしれませんが、担任の先生が気を付けて見てくれることで、嫌な気持ちを長引かせないことが可能です。
幼稚園に喜んで行っていた時との環境の変化
行事の練習が始まった、クラス内の席が変わったなど、小さなことでも幼稚園での活動内容が変わることで、幼稚園に行きたくないと言い出すこともあります。新しい環境に慣れるまでは、なんとなく行きたくないと感じるかもしれませんが、必ず慣れます。新しい活動も慣れてくれば楽しさが分かるようになります。
活動や環境の変化で突然「幼稚園に行きたくない」という状態になった時には、「お家に帰ってきたらこんな楽しい遊びをしようね」「こんなおやつを食べようね」など、幼稚園が終わった後に楽しみを作ってあげましょう。帰宅後に楽しみがあると、新しい活動や環境の中でも頑張る力につながります。
幼稚園に行きたくないという子供が安心して行けるようになるために!
「幼稚園に行きたくない」と子供が言っていると、幼稚園での様子を聞きたいと思ってしまいます。
しかし、「幼稚園で嫌なことがあるの?」「仲良しのお友達はいるの?」など問い詰めるような聞き方をしてしまうと逆効果です。登園拒否をしている子供にとって、幼稚園は楽しい場所ではありません。
家は子供にとって1番安心できる場所ですので、家でまで幼稚園のことを思い出して、説明するのは心の負担になります。家では子供が楽しいと思える会話や遊びを心掛けましょう。
その会話や遊びの中で、「幼稚園にはどんなおもちゃがあるの?」など軽い話題から幼稚園のことを聞いてみましょう。子供が答えたくない様子だったらそれ以上は聞きません。
反対に子供から幼稚園の事について話してくれた時には、じっくりと聞いてあげて下さい。親が自分の言葉を信じて聞いてくれるということは子供にとって安心材料となります。
安心して幼稚園に行ける様になるために!
子供が経験する集団生活の第一歩である幼稚園では、まだ友達との関わり方や自分の気持ちを落ち着ける方法を学んでいる最中です。
「幼稚園に行きたくない」という子供に親ができることは、
- 帰って来た時に安心できる場所を作ってあげること。
- 子供の話をじっくりと聞いて、寄り添った対応をしてあげること
この2つです。
泣いて嫌がる子供の姿を見ていると胸が痛くなりますが、親と幼稚園とが連携をとることで子供が泣かずに通える日は来ます。子供を信じて対応してあげましょう!