小学生のお小遣い事情と金銭感覚を育てるお小遣いの渡し方
「小学生になったし、そろそろお小遣いを渡したほうがいいかな?」と思うけれど、お小遣いのことは各家庭によって価値観も違うこともあり、なんとなくママ友には「いくら渡してる?」だなんて聞きにくかったりしますよね?
ここでは小学生のお小遣い事情と、金銭感覚を育てるお小遣いの渡し方についてみていきましょう。
いくらあげる?小学生のお小遣いの金額の相場
皆さんが小学生の頃はお小遣いをいくらもらっていましたか?
筆者自身の子供のころは、『学年×100円』と設定されていました。1年生では100円、6年生になると600円といった感じです。実際に世間の相場はいくらぐらいなのでしょうか?
小学校低学年のお小遣いの相場
小学1~2年生はまだ1人で買い物ができない子供も多く、もらったお小遣いは親と一緒のときにお菓子を買うなどして使うことが多いです。
100~300円
近所のスーパーやコンビニで駄菓子などを買うために与え、文房具や漫画、ゲームなどは必要だと感じたときに親が買ってあげているようです。
小学校中学年のお小遣いの相場
小学3~4年生になると友達と一緒に駄菓子屋に行くなど、親がいない場面で自分のほしいものを買うようになります。一度に使い切ってしまわないよう、このころからお金の使い方をしっかりと教える必要があります。
300~500円
主にお菓子や漫画などを自分で買うためのお小遣いで、低学年のとき同様に文房具は必要なときに親が買ってあげますが、お小遣いでは手が出しにくいゲームソフトや本などは本人が欲しいときに親と相談をする、という家庭は多いようです。
小学校高学年のお小遣いの相場
小学5~6年生になると高額なお小遣いをもらう子供もチラホラ出てきます。おごったりおごられたりということがないよう、注意が必要です。
800円前後
お菓子だけでなく、文房具、漫画なども計画的に買ってOKという家庭は増えていき、ゲームソフトなどは自分でコツコツ貯めて買う子も多く見られます。
欲しいものがある、特別に必要なときは親にプレゼンをするという家庭も。
ちなみに小学生のお年玉の相場
渡す子供との関係や、会う回数にもよりますが、一般的なお年玉の相場は…
- 小学校1~4年生…約3000円
- 小学校5~6年生…約3000円~5000円
小学生のお小遣い制度、お金はいつどうやって渡す?
小学生へのお小遣いの渡し方は、月々決まって与える定額制とお手伝いをしたときにあらかじめ決めた対価を支払う報酬制、必要なときにその都度渡す方法の3通りが目立ちます。それぞれの支払い制度について詳しく見ていきましょう。
金額や学年により、定額制と報酬制、定額制と必要なときに渡す方法、報酬制と必要なときに渡す方法の複合型バリエーションも見受けられます。
1.ご褒美としての報酬制
小学生へのお小遣い制度で最もメジャーな渡し方ともいえる『報酬制』は手伝いなどの『労働』に対価としてお小遣いがもらえる制度です。
報酬制のメリットは、働くの意味や喜びを子供時代から体感できること
簡単な手伝いをしたがるようになると、家庭の中で『報酬』を支払うお小遣い制度は、今後社会に出たときに「労働すれば報酬がもらえる」というルールを体で覚えるにはうってつけ。
また、「お手伝いをする」ということは、お手伝いを通して家事などの生活術を覚えるだけでなく、「自分は家族のために役に立っている」という喜びや意義を知るためにも重要なのです。
報酬制のデメリットは、お金がもらえるかどうかでお手伝いへのやる気が左右されること
しかし、報酬制にはデメリットもあります。それは見返りを助長するようなお金の渡し方になってしまうと、「お手伝いをしたくないからお金はいらない」や「お金のもらえないお手伝いはやらない」という考えが出てくることです。
頭の中で行動をお金に置き換えてしまうようなときには、気分が乗らないときにも仕事はするものだということを身につけるために、必要なもの(学校で必要な文房具など)は報酬で得たお小遣いで購入するという取り決めをしておくといいでしょう。
小学生のお小遣いに『報酬制』を採用するときに気をつけるポイント
報酬で得たお小遣いで必要なもの(学校で必要な文房具など)を購入するというのは、子供に対して世知辛くもあり、長期的に学校生活に影響するようではそのまま継続しにくい点はありますが、そこまでしなくても根本的に『考え方』さえしっかりしていれば、子供のやる気を育てることにも繋がります。
報酬制のときに忘れてはいけないのは、「お金が欲しい」というよりも「親からの感謝の気持ちが嬉しい」と思わせることです。
手伝いをしてお金を渡すときには、言葉と態度で感謝の気持ちをしっかりと伝えるようにしましょう。お金を渡すだけでなく、言葉をちゃんとかけて、気持ちの交流をおろそかにしないことが大切なのです。
2.毎月決まった額の定額制
定額制は報酬制と並ぶメジャーな渡し方定期的に決まった日にお小遣いを与える方法です。学年が上がる、中学高校に上がると報酬制よりも定額制でお小遣いを渡される子は増えていくようです。
毎回決まった金額がもらえるため、親が子供のお金の管理がしやすいメリットがあります。しかし、報酬制のようにお手伝いに対しての対価ではなく、何もしなくてもお小遣いがもらえるため、「もらえて当然」という考えになってしまいがちです。
ひたすら定額制で渡すなら、労働に対する意識がつかないという可能性もあります。
3.必要なときにその都度渡す
もう一つ、管理のしやすい渡し方として必要なときに必要な分だけお金を渡す、という方法があります。しかし、子供の要求のままお金を与えてしまわないように、何にいくら必要なのかプレゼンを受けることは大切です。
また、デメリットとして子供の要求のままお金を与えていては、結果的に限度額を超えやすく、「足りなくなったらいつでももらえる」と思わせることに。この方法では子供に計画性を持たせる訓練はしにくい面があります。
お金の有難み、どう教える?お小遣いを通して「お金の使い方」を教えるには
特に小学校低学年から中学年の子供にお金のありがたみを教えるのは難しいものですが、やはり「簡単に手に入るもの」と思われたくはないですよね。
実際に自分でお金を使う前に、小学校低学年の小さいうちにまずはママやパパが一緒に買い物に連れていき、実際のお金を持たせて支払いをさせることがお金の使い方を教える第一歩。ですが、お金の価値というのは単純ではなく、それだけで子供がすぐに理解できるものではありません。ゆっくりと段階を踏んで、親が一緒になって丁寧に教えていくようにしましょう。
支払いをしたり、おつりをもらったりというやり取りが出来るようになったら、お小遣いを渡してみてもいいかもしれません。ここでは小学生にお小遣いを渡すメリットや無駄遣いの教え方を紹介していきます。
小学生にお小遣いをあげるメリット
小学生になると、子どもにお小遣いを渡しているという家庭も多いと思います。お小遣いを渡すメリットを紹介します。
品物の価値を認識するようになる
今までは必要なもの、欲しいものは親に買ってもらっていて、金額も知らなかった子供も自分のお小遣いで「足りないから買えない」「安いからもう一つ買える」など考えていくうちに、自発的な我慢で自分の物欲をコントロールするようになります。
また、物欲コントロールの結果の「欲しかったものゲット!」という経験を通して、親が買ってくれる状況下では育ちにくい『物の価値』を認識するようにもなります。
お金の使い方が身に着き、計画性が育つ
お小遣いの範囲内でという規制は、自発的な物欲コントロールを促し、その結果子供の自主性や計画性を育てていきます。
「今これを買うと欲しいものが買えなくなる」「今月は使わず貯金しないと欲しいものが買えない」ということを身をもって体験し、目標立てと計画行動と成果を繰り返すことで、先を見通す力も備わってきます。与えられたお金の中で我慢しながら目的のものを買うために、いつの間にかしっかり貯金もしている子も少なくありません。
お金のやりくりを学べる
自分のお金を管理するうちに、やりくりができるようになります。大人になっていきなりお金を管理することはできません。大人になってもお金がいくらあるかわからず、あるだけ使ってしまう人もいます。将来の金銭管理能力にも繋がるのです。
お金の大切さを知る
お金は無制限にあるわけではない実感を身をもって覚えていきます。
自分でお金を管理するようになると、今まで「あれも欲しい、これも欲しい」と言っていた子供もお金を大切に扱うようになるでしょう。
小学生のお小遣いは使い方に「ルール」を設けよう
お金の話は、学校で習うことは多いとは言えないので、家庭での教育が重要になってきます。子供の頃に歩いていど家庭でお金について学んでいないと、大人になってお金で苦労することも多いようです。
子供にお金を使わせることにより、単純に『欲しい何かと引き換える』という基礎は学べますが、実際のお金の使い方は非常に複雑で、そこはお小遣いを渡すだけではわからないでしょう。お金をひたすら食欲、物欲などその時々の我欲に無計画に投じる、というのは理想の使い方とは言えませんよね。
小学生のうちはある程度お小遣いの使い方にルールを定め、目的を達成するツールとしての『理想のお金の使い方』を学べる基礎を親が作ってあげるようにしましょう。
『使い道』のルールを決める
どこからどこまでが子供が自由にお小遣いで買うべき範囲なのか、予めルールを決めておきましょう。
というのも、お小遣いを渡しているのに親が色々買ってしまっては、子供は困ることがなく金銭感覚が身につかないから。
例えば、学校や塾に必要な文房具は親、ゲームや本、どうしても欲しい可愛い鉛筆はお小遣い、友達と一緒に買い食いするお菓子はお小遣い、家庭学習で使うドリルや家で食べるお菓子は親というように、しっかりと使い道のルールを決めておきましょう。
お小遣い帳をつける・親がお金の支出を把握できるようにする
お小遣いを渡しても、渡したその日に全部使ってしまう子もいれば、全く使わず貯金する子、などお金に対しての価値観や使いみちも様々。ですがせっかくお金を渡すのであれば、お金の管理も学んでもらいたいですよね。
小学生のうちは子供にお小遣い帳をつけさせることをおすすめします。お小遣い帳をつけるように言っても、なかなか自分でつけないという子も多いので、習慣になるよう親がフォローしていくことも大切です。「お小遣いをもらうときにはお小遣い帳をつける」「お金の増減があったら親に見せる」といったルールを作ると親がお金の状況を把握できていいでしょう。
ただし、親が子供の金銭状態を把握することはあくまでトラブル防止のため。お金の使い道について口を出すのは控えましょう。
お小遣い帳は、「欲しいものがあるけれど、お金を溜めないと買えない」というときにも、目標額と今現在の達成額を把握するためにも活用できます。
欲しいものをリストアップし、物欲との付き合い方を教える
お小遣いをもらっても、欲しいものがありすぎて「全然お小遣いが足りない」という物欲王、物欲女王たちには「欲しいものをリストアップさせる」ことをおすすめします。それぞれに優先順位をつけ欲しい物の金額も書かせましょう。
簡単には欲しい物が買えなくても、いくら貯めれば買えるようになるということが明確にわかります。
それによってお金を貯めて買うのか、我慢するのかという選択をする力や一時的な流行に左右されずに物の価値を判断する力が身についてきます。
小学生に『無駄』をどう教える?無駄遣いという価値観の教え方
好きなものを買うためにお小遣いを渡している体でいても、「こんなもの必要ないのに…」「もっと安い物があったのに」と親としては色々言いたくなりますよね。
しかし、お小遣いはあくまでも「子供が無駄に使うため」という姿勢で渡す方が子供にとってはいいのです。最初から完璧にお小遣いを使える子供はいません。大人が「無駄遣い」と感じるものでも、子供は自由に買えることで自分の欲求を満たしながら、「使いすぎたな…」「要らないものを買ってしまった」という失敗をしながら、金銭感覚を身に付けお金と物の価値を学んでいくのです。
小学生ってお小遣いを何に使う?子供のお小遣いの使い道
小学生が、お小遣いを何に使っているのか気になりますよね。
どのような使い道が多いかというと…
1位…お菓子などの食べ物
2位…貯金
3位…本・雑誌
4位…おもちゃ
2位の貯金というのは、意外な結果だなぁと筆者自身驚きました。小学生から、お金を大切に扱う姿勢を持っていると少しうれしくなりますね。貯金して欲しいものを買うという感覚を身に付けていきたいですよね。
むやみにお小遣いの使い道に口を出さないで!
先程も記述した通り、子供は無駄遣いをするものです。親が「これは要らないでしょ」「これは高いからこっちにしなさい」などとむやみに口を出してしまうと、失敗はしないかもしれませんが自分で考えてお金を使う力が身につきません。
子供が自分で「無駄だった」と気付き失敗を成功に繋げることが金銭感覚を身につける上で重要なのです。家庭のお小遣いのルール内で買ったもの、子供が欲しいと思って買ったものに対して、大人の感覚で判断し、頭ごなしに否定することはやめましょう。
子供の「それが欲しかったから買った」という意志と行動を認め、「失敗だと思ったら、次はよく考えて買おうね」と教えてあげましょう。
小学生のお小遣いのNGな渡し方
小学生の子供に対してお小遣いの渡し方には、理想のお金の使い方を学びにくい良くない渡し方もあります。家庭それぞれのルールがあると思いますが、適切な金銭管理を身につけられるように見直していきましょう。
前借りや兄弟間の貸し借り
高額なものを欲しがったときに、今もらっているお小遣いの金額では足りないからといって前借を許してはいけません。
これは「我慢して貯めて買うこと」を覚える絶好のチャンス、いくら欲しいものがそのときを逃すと買えないとしても、次のお小遣いまでは渡さないことです。『今回欲しいものが買えなかったのは、今まで我慢しなかったから』という事実を子供に理解させることが必要です。
年功序列がときには不公平に
「学年が上がったから○円アップ」というように、学年や年齢に応じて毎月お小遣いがもらえるという制度で金額を決定している家庭は多くあります。
確かに、年齢に応じて行動範囲は広がりますし、それによりお小遣い金額も左右されていくでしょう。また、低学年のうちから、余るほどのお金を渡すというのも好ましくありません。
そういう面から考えると年齢に応じてもらえることが悪いとは思いませんが、兄弟がいる場合などは渡し方によっては、単純な年功序列が不公平になることもありえます。『年上だから』という条件でお金はもらえる!と子供が思ってしまわないためには、同時に報酬制も取り入れるなど、お金を渡すときにはしっかりとお金の大切さも教えていかなければなりません。
また、苦労せずに手に入れたお金は、後先考えずにすぐ使い切る…ということにもなりかねませんしね。
お金を与えすぎる
お小遣いの金額を決める際には、お金を与えすぎないように気を付けましょう。
お小遣いの額が多すぎることが一番「お金も欲しいものもは苦労しなくても手に入るもの」という意識につながりやすく、将来的に金銭感覚が狂い、いつまでも親に頼ってしまう人間になってしまいかねません。
親だけでなく、無条件にお金を与えがちな祖父母にも要注意です。おじいちゃんやおばあちゃんは、孫がかわいくてついあれもこれも買ってやりたくなります。それが義親だったりすると、親としては言いにくい面もありますが、あまり頻繁にならないように誕生日など特別なときだけにしてもらいましょう。
お小遣い通して、小学生のうちから正しい金銭感覚を身に付けていきましょう
子供にお小遣いをもたせる時期は、子供がお金に興味を持ったときが、金銭教育を始めるよいタイミングです。子供の頃の小さな失敗の繰り返しがお金を使いこなす『金銭感覚』を育んでいくのです。
将来は自分でお金の管理をしなくてはなりません。お金は、人生をより豊かにするための『道具』です。その『道具』をうまく使いこなす『金銭感覚』を身につけることは、大切な生きる力の一つといえるのです。
まだ小学生のうちは、親の思った通りにお小遣いを使ってくれなかったり、欲望のまま無計画に使ってすっからかんになってしまったり…と見ていてイライラすることもあると思います。しかし、子供の金銭感覚を身につけるチャンスだと思って、広い心で見守っていきましょう。失敗を重ねて子供は色々学んでくれますよ。