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置き勉のメリット・デメリット

置き勉とは?小学生が重い教科書を学校に置いて帰るメリットとデメリット

置き勉とは、教科書を学校に置いたまま帰宅することで、小学校ではランドセルが重すぎるという理由から、文部科学省が置き勉の自由化を発表しました。そこで、これまで置き勉が禁止だった理由と、置き勉のメリットとデメリットをまとめました。親子のルール作りの参考にしてください。

置き勉とは

置き勉とは、文字通り教科書やノートを学校に置いたまま帰宅することです。近年、子供たちのランドセルが重すぎて首の痛みや腰痛を発症する子供もいたことから、文科省が置き勉の自由化を発表しました。

賛否両論ありますが、持ち物の重さを心配していた多くの親は、学校からのお知らせで置き勉OKになるのは賛成できるものでしたし、我が家でも置き勉ができるようになったと聞いて、ホッとしたものです。しかし、置き勉にはメリットばかりではなくデメリットもあります。

置き勉が自由化になるということは、子供の意志や家庭の考え方で、置き勉するかどうか選択できるようになるということです。置き勉のメリットとデメリット、家庭でのルール作りを考えてみましょう。

学校や文部科学省が置き勉を禁止していた理由

子供たちがこれまで背負っていたランドセルは、教科書やノートを入れると平均5kg前後で、確かに小さな子供たちには可哀想な重さでした。これに加えて、体操服・鍵盤ハーモニカ・図工や習字の道具に夏場は水筒と、歩くのも精一杯という子供たちはたくさんいました。それでも、学校が置き勉を禁止にしていたのには、それなりの理由があります。まずは、学校がなぜ置き勉を禁止していたのか見てみましょう。

教科書を学校に置いておくと家庭学習ができないから

学校での勉強を効率的に進めるためには、家庭で行う予習と復習がとても大切です。授業の前日に、サラッと教科書を読んでおくだけでも、翌日の勉強は頭に入りやすくなりますし、勉強した当日に復習すると、その日の勉強は確実に身につきます。教科書を学校に置いていると、予習復習はできないので、その日の授業を最大限に活かすことができません。そのため、学校や文科省はそれらを不安に思い置き勉を禁止していました。

教科書を学校に置いておくと紛失する危険があるから

学校に教科書を置いたままにしていると、紛失や盗難の危険があります。これも、学校や文科省が置き勉を禁止していた理由です。教科書がなくなった生徒は、他のクラスの生徒に教科書を借りるようになり、貸し借りが慢性化してくるとさらに紛失につながりやすくなります。

教科書がなくなるのは、保護者の金銭的な問題だけではなく、人間関係のトラブルにも発展する危険があります。「俺は盗ってない」「お前に貸した」といったトラブルになると、学校に行きたくなる子が出てくる可能性もあります。学校は、こうしたトラブルが考えられることから置き勉を禁止していました。

国が置き勉を禁止していた理由を見てみると、確かに置き勉はいけないように思えてきます。しかし、少しの工夫で改善できることなので、この理由で置き勉は絶対にダメというには少々無理があります。

置き勉のメリット・デメリット

置き勉が自由化になり、学校でも置き勉OKになっているところが増えています。我が家の子供たちが通う小学校でも、置き勉は各自考えて置いておきたければOKになりました。ただ、OKになったからといって子供に任せっきりにしてしまうとトラブルになる恐れが出てきます。

置き勉をどうすべきか、親も考える必要がありますし、親子でルールを決めておくことも大切です。そこで、置き勉のメリットとデメリットをまとめたので、今後の置き勉ルール作りに活かしてください。デメリットは少しの工夫で回避できるので、その点もチェックしてください。

置き勉のメリット

まずは、子供が学校に教科書やノートを置いて帰宅するメリットを見てみましょう。ひとつひとつ見ていくと、一見小さなことのようですが、毎日のこととなると子供にとっては大きなものになります。

ランドセルが軽くなり子供の体への負担が減る

置き勉をすることの一番のメリットは、ランドセルが軽くなり登下校が楽になるという点です。朝から重そうにランドセルを背負っている姿を見てきたママたちは、置き勉OKに安心したのではないでしょうか。

我が家では、娘が一度ランドセルを背負ったものの、後に転倒し尻もちをついたことがありました。あれっと思いそれを持ってみると、大人の私でもずっしり重く感じ、計ったところ7kgありました。可哀想だとおもいましたが、当時は置き勉が禁止されていたので、娘には頑張れと伝え送り出すしかありませんでした。

こんなに重い荷物を抱えて私たちが毎日通勤すると考えたら、とても大きなストレスになります。例えば、毎日10kgのお米を背負って会社に行くことを想像してください。暑い日も雨の日も、それを毎日繰り返すと思うとゾッとします。子供たちは、毎日黙ってそれを繰り返しています。そう考えると、置き勉は必要だと思えてきます。

重いランドセルを背負うことから解放されて疲れやストレスが減り勉強に集中できる

学校から遠い場所に住んでいる子供は、朝から何キロもある重いランドセルを背負って、中には20分以上歩くことがあります。そんな子供たちは、学校に行くだけでも体力を使うので、帰宅後は、勉強しようという意欲を失うほど疲れてしまいます。

重いランドセルを背負うことで無駄に体力を使うより、勉強やスポーツに体力や集中力を使う方が子供のためになります。置き勉できるようになることで、子供たちは他のことに体力を使えるようになる点もメリットと言えます。

以前、息子の同級生で当時小学2年生の男の子が、トボトボと帰宅している現場に遭遇しました。その子は体が小さく、後ろからみると荷物が歩いているように見えるほどで、表情もグッタリと疲れていました。

荷物を持とうかと言いましたが、自宅が目の前だったこともあり、小さく「大丈夫」と言って帰っていきました。その疲れた姿を見ると、帰宅して宿題する気力はないだろうと想像できました。子供には、大きくて重いランドセルは相当な負担になっているはずです。

体の成長に対する悪影響が軽減される

体力に見合わない重いものを持つことは、成長期の子供の体に悪影響を及ぼすことがあります。首を傷める、腰痛やひざ痛を発症するというのが、重すぎるランドセルを毎日背負っているのが原因になっているケースが少なくありません。

重い荷物を背負って毎日登校することは、子供の姿勢に悪影響を与えます。稀に、重たいものを持つと体力向上になると言う人がいますが、これは体力に見合った重さで、正しい姿勢で行った場合に限ります。持ち物が多い子供たちは、どうしても姿勢が悪くなるので、体の痛みにつながりやすくなります。

教科書などの忘れ物が減る

次の日に使う教科書を学校に置いて帰れるのであれば、単純に忘れ物が減ります。置いてきた教科書を把握していれば、翌日の持ち物の数が減るので、持っていく教科書や教材の忘れ物も必然的に減ります。忘れ物が減ると、友人間の貸し借りも減るので、教科書や教材の紛失も減ります。

これは置き勉の大きなメリットのひとつです。忘れ物をすると、学校で居心地が悪くなり、勉強に集中できなくなりますが、忘れ物が減ることで授業への集中力もアップするので、その点でもメリットと言えます。

隠れて置き勉する罪悪感から解放される

子供たちの中には、重たいランドセルを背負うのが嫌でやむを得ず教科書などを置いて帰る子供がいました。教科書を隠したりして、先生に見つからないように置き勉していた子供もいたので、そうした子供たちは罪悪感から解放されます。

置き勉が自由化され、反抗心から置き勉をしていた子供たちも、公認になるのでコソコソと教科書を隠す必要がなくなります。場合によっては反抗心から、置き勉しなくなるかもしれません。

置き勉の自由化は、他にも目に見えないメリットがたくさんあります。重いランドセルを背負うというのは、毎日のこととなると慣れていてもストレスになるものです。そのストレスから解放されれば、子供たちはもっと学校が好きになるでしょう。

転倒や事故による危険を防止できる

小さな子供が重いランドセルを背負って移動するのは、危険なことがいっぱいです。子供同士でふざけながら歩いていると、重さで転倒する可能性があるので道路などではとても危ないです。また、急に車や自転車が接近してきた際や、不審者に遭遇した際にも、早く動けないのはマイナスです。

近年、大きな地震が多いので、災害時の行動が心配になりますが、ひとたび地震などが起きれば、重いランドセルは迅速な行動の邪魔になります。子供はとても素直なので、その場にランドセルを置いて逃げるということもできず、逃げ遅れる可能性があります。

考えすぎかもしれませんが、災害の多い日本では事前の対策をしていて損はありません。できるだけ子供の持ち物が軽くなれば、回避できる危険があるのです。

置き勉のデメリット

こうして考えてみると置き勉はメリットばかりのようですが、学校が禁止していただけあってデメリットもあります。対処法と一緒に見てみましょう。

教科書やノートを紛失するリスクが高まる

学校に教科書を置きっぱなしにすると、紛失するリスクが高まります。子供は管理が曖昧になることが多いので、学校に置いているのか自宅にあるのか分からなくなり、結局紛失するということも出てくるのです。

置き勉する際には、学校に置いておく教科書をあらかじめ決めておくなどのルールがあれば紛失は少なくなります。毎日使う国語や算数は持ち帰り、図工や保健体育などイレギュラーで使う教科書は置き勉するなど、子供と一緒にルール作りをしてください。それぞれ最適な方法があるので、色々試しながら決めるといいでしょう。

また、ルールという訳ではありませんが、我が家では置き勉は自己責任と考えているので、紛失した場合は問答無用ですぐ購入するようにしています。幸い今のところ紛失はありませんが、自己責任という意味を親はしっかり理解しておくことが大切だと考えています。

教科書にいたずらしたりトラブルになったりする危険がある

あまり考えたくないことですが、学校に教科書を置いておくと、いたずらや盗難にあうリスクもあります。これらのリスクを避けるには、名前の記入が必須です。置き勉をするなら、教科書やノートにはしっかり名前を書いておきましょう。

また、教科書を収納している場所を汚くしていると、いたずらを誘発します。割れ窓理論といって、例えば窓が割れた車をそのまま置いておくと、人は車にいたずらすることや車から何かを盗むことに罪悪感を持ちにくくなり、やがて車がボロボロになるというものです。同じ理由で、引き出しやロッカーが汚いと、いたずらのリスクを高める可能性が高くなります。

子供にはこうした理由を話し、置き勉するならキレイに整頓するように伝えましょう。しっかり置き勉が管理されていると、いたずらしにくくなるので無用なリスクを軽減できます。

教科書をずっと学校に置きっぱなしになると傷む

教科書や教材を学校に置きっぱなしにすると、扱いが雑になるので傷みが激しくなる可能性が高まります。机の引き出しに乱暴に押し込んで収納していたり、文房具などと一緒に押し込んだりしていると、最悪の場合1年持たないこともあります。

こちらも子供としっかり話し合い、管理ができなければ置き勉は禁止にした方がいいでしょう。また、週に一度はすべての教科書を持ち帰る、というルールを作るのも傷み具合をチェックするのに効果があります。子供の性格に合わせて置き勉ルールを作りましょう。

家庭で予習復習をしなくなる

家庭学習をするかしないかは置き勉が原因ではないケースが多いので、一概にデメリットとはいえませんが、教科書を学校に置き忘れることで、計画していた勉強ができないというケースもあるので、デメリットとして紹介しました。

家庭学習は置き勉に関係なく、する子はしますし、しない子はしません。しかし、教科書を学校に忘れてしまうと、宿題や音読ができず家庭学習に影響してしまうので、その点は注意しなくてはいけません。

学校が置き勉を管理する負担が増える可能性がある

学校側のデメリットになりますが、教科書や教材を置いて帰ると、学校で管理しなくてはいけなくなります。置き勉は自己責任とはいえ、やはり学校に文句を言ってしまう保護者も少なくありません。こうなると、学校と親の関係が悪化し置き勉がデメリットになります。

本来であれば教科書の管理は家庭でしていたのですが、先生が「教科書はきれいに整頓しなさい」などと、指導しなくてはいけなくなるケースが出てきます。親としては、できるだけ子供に良い環境で勉強させるためにも、学校に頼りすぎないように気を付けましょう。

置き勉のデメリットは、それぞれ対処法を考えておくとそれほど大きな影響にはなりません。子供に任せっきりにせず、親もたまにはチェックして置き勉でのトラブルが起きないようにサポートしてあげましょう。

置き勉は親子で話し合ってルール作りを!

ランドセルが軽くなるのは、子供にとってストレスが軽減しますし、親としても安心です。しかし、ルールを決めずに置きっぱなしにしていると、トラブルが多くなり結局置き勉が禁止になることが考えられます。

置き勉をトラブルなく継続するためにも、親子でルールをしっかり決めて、管理はあくまでも子供や親が行うようにしましょう。子供にとって自己管理の練習にもなるので、教科書をキレイに保管するコツなどを教えてあげるのもいいでしょう。