学童とは?利用できる条件や時間

学童とはどんな場所?利用時間と子供たちの過ごし方

学童とはどんな場所?利用できる条件、申し込みの時期や方法、平日の預かり時間はもちろん、土曜日や夏休みなどの長期休業中の利用など、学童の基礎知識をまとめました。勉強や遊び、行事など、学童の過ごし方も紹介しますので、子供がどんな時間を過ごすのか確認してみましょう。

学童とはどんな場所?利用時間と子供たちの過ごし方

学童とはどんな場所?利用できる条件や申し込み方法とは?

学童とは、共働きなどで放課後の自宅に保護者がいない小学校児童が集団で過ごすための施設です。遊びや勉強を行う生活の場として、子供の安心、安全を守るという役割と共に、子供の健全な育成を目的としています。

子供の学童での様子を把握して、家庭へ伝える。保護者との連携を密にとることも学童の役割の1つです。

学童の正式名称は「放課後児童健全育成事業」で管轄は保育園と同じく厚生労働省。自治体によって「学童クラブ」や「学童保育」など様々な名称で呼ばれています。

学童保育施設の種類

仲良く本を読んでいる女の子達

学童の種類は大きく分けて3つに分類されます。

  • 公立公営型…自治体が直接運営
  • 公立民営型…自治体から民間(地域団体やNPO、企業)に運営を委託
  • 民立民営型…社会福祉法人やNPO法人、企業などが独自に運営

公立と公立民営型が8割

平成28年度の厚生労働省の調べによると、「公立公営」の学童は全体の37パーセント。「公立民営」は全体の44.8パーセント。「民立民営」が18.2パーセントと、公立公営と公立民営の施設が全体の80パーセント以上にのぼります(注1)。

平成28年度の学童保育施設の設置数割合を示したグラフ

しかし、共働き世帯が増えている中、学童クラブの登録や利用ができないという状況も多いことから、民立民営の施設も増えてきています。

民営型ならではのメリット

公立・公立民営型は、費用が安く、学校施設の中や近隣にあることが多いのがメリットです。一方で、民営型は、自治体運営の学童に比べると費用は高めな傾向にあります。

しかし、民営型には、早朝や夜遅くなど保護者の勤務状況に応じて預かり時間を変更してくれたり、勉強を教えられる先生がいることも多いです。また、夕食つきの学童も存在します。

学童の設置場所

放課後に利用する学童保育ですが、子供が通っている小学校やその周辺に、必ず学童の施設があるとは限りません。放課後、子供だけですぐに学童に行ける距離にあるかどうか、事前にチェックが必要です。

小学校の敷地内や近隣の児童館などが一般的

公立型・公立民営型の学童の設置場所は、小学校の空いている教室や小学校敷地内の施設が50パーセント以上を占めています。小学校からすぐに向かうことができるので、安全面のメリットは大きいでしょう。

小学校に併設されていない場合は、児童館や公的施設などに設けるのが一般的です。
民立民営の学童に関しては、この限りではありません。

「遊び場」と「学び場」を分けているケースも多い

利用人数が多い学童では、施設内で「学びの場」と「遊びの場」が分けられている場合が多いです。学年などによって活動時間を変えることで、スムーズな集団生活が送れるように配慮されています。

利用人数が少ない学童では、学びの時間、遊びの時間と同じ室内で時間を区切って活動する場合もあります。小学校内の学童では特に、校庭を利用して戸外での活動も取り入れられています。

学童の申し込みはいつから?

児童館の教室内に置かれた水筒とカバン

学童の申し込みは、「公立型」「公立民営型」なら学童施設と自治体の両方で利用申し込みを行っている施設が大半です。ただし、「民立民営型」は、学童施設のみでの受付になりますので、注意してください。

各自治体によっては、市町村のみ、学童のみで受付を行っている場所もあります。利用を希望する学童に、事前に問い合わせることをおすすめします。

申込み時期は年長の11月以降が一般的

学童の申し込みは、入学を控えた年長の11月頃から開始されます。年明け1月から開始する自治体も少なくありません。一方で、人気の高い民営型の学童、学童保育施設が少ない地域では早めに第一募集が開始されるケースもあります。

基本的に、保育園の場合は、園側から案内が来たり、保護者同士の話題にもあがるはずです。しかし、幼稚園や認定こども園に通園中のご家庭や入学を機に共働きを考えているご家庭は注意しましょう。

公立型・公立民営型の学童においては、1~2月頃に行われる小学校の入学説明会で学童保育の説明がなされたうえで、資料が配られることもよくあります。

しかし、絶対そうだという訳ではありませんから、事前の確認を怠らないようにしましょう。

学童を利用できる条件とは?

小学生だからといって、誰でも学童を利用できるわけではなく、条件に合っていて、尚且つ申し込みが必要になります。

公立公営・公立民営型は、認可保育園とほぼ同じ条件

公立公営の学童では、共働き家庭などで保護者が昼間家にいられないという条件が必要となります。申し込み時に勤務証明などの家にいられない証明を提出する必要があります。

認可保育所と同じように、保護者の勤務状況などによって点数が加算され、より点数の高い児童が利用することができます。

民立民営型は、特別な制限がない

民間企業などが独自運営している民立民営の学童は、民営の施設ですので特に条件はなく、就労証明なども不要なケースが大半です。時間内に習い事ができるなどの特色を打ち出している施設も多くあり、保護者が自宅にいる状態でも利用する家庭もあります。

学童を利用できる子供の年齢

学童は、小学校1年生~6年生までが利用できる施設です。利用者の多くは中学年までが多く、高学年になると自宅の鍵を持たされることも多く、利用が少ない傾向です。

問題視されていた「小4の壁」

平成27年4月1日以前は、児童福祉法での学童保育の対象が「おおむね10歳未満」と記されていたため、学童施設での預かりは、小学校1年生から3年生が中心でした。そのため、小4以上の子供は家で留守番させるしかなく、子供を安心して預けられる場所がない『小4の壁』と問題視されていました。

ペンを鼻と口ではさんで退屈そうにしている女の子

その後、平成27年4月に児童福祉法一部改正により、学童保育の利用対象は「小学生」と変更されました。実質的に小3までの利用が多かった学童保育の利用を拡大し、『小4の壁』を取り払うのが目的です。

すべての自治体・学童が対応できている訳ではない

ただし、指導員の確保や人数制限などにより、低学年の受け入れを優先させないといけないのはどの学童施設も同じ。自治体や学童施設によっては、実質的に小4以上の受け入れが難しいケースも存在します。

学童での過ごし方

学童は集団生活ですので、遊びの時間、学びの時間、おやつの時間と活動時間が決まっている施設が多いです。ただ、明確なスケジュールは決まっていないので、学童を利用する子供の様子や人数によって、施設の職員が活動内容について定めます。

手洗いうがいや自分の持ち物の整理整頓、身支度を整えるなどの生活習慣を身に着けられるような援助も学童の大事な役割です。また、当番活動や清掃活動など集団生活をする上で必要なことを協力して行えるような工夫もされています。それぞれの活動について、見ていきましょう。

学童では勉強するのが当たり前?

教室で勉強している男の子

宿題や自主学習など、自主的に勉強をする時間が設けられている学童がほとんどです。ただし、あくまでも、自主的に勉強をする時間ですので、職員は指導を行いません。学習の時間になると、宿題の声掛けをするなどの援助は行います。

子供によっては学校の宿題だけではなく、習い事の宿題や自主学習のワークなどを持参している子供もいます。職員は見守りなので、帰宅後に保護者が確認をする必要があり、民間で運営している民立民営の学童では、学習の指導を行っている施設もあります。

学童での遊びの内容は?

学童では、基本的に危険なことでなければ子供達は好きな遊びをして構いません。学童にはさまざまな遊び道具がそろっていますが、テレビゲームはありません。

室内遊びの例

室内遊びとしては、折り紙や塗り絵、工作など1人でじっくりと楽しめる遊びから、ボードゲームやトランプ、オセロなど友達と一緒に楽しめる遊びなどがあります。中には、昔ながらのこまや竹トンボが用意してあり職員が使い方を教えてくれたりと、昔の遊びが楽しめる環境を作っている学童もあります。

また、室内での集団遊びとして、時間を決めて椅子取りゲームやフルーツバスケットなどの大勢で楽しめる時間を設定することもあります。

屋外遊びの例

小学校の庭で縄跳びをしている子供達

戸外では、フラフープや縄跳びなど1人で遊べる遊びもありますが、ドッヂボールや鬼ごっこなどの集団で楽しめる遊びで身体を動かして遊ぶ時間が多く設定されています。学童によっては、一輪車や竹馬などの遊具が使用可能な場合もあります。

どの学童でも、子供がじっくりと遊べる環境と友達と一緒に遊べる環境の両方をバランスよく設定することで、充実した時間となるような工夫がされています。

学童には行事があるの?

学童には意外とたくさんの行事があります。夏祭りやクリスマス会など季節の行事、遠足やキャンプなどの学童の外に出て行う行事。おやつ作りや餅つき大会など食育としても役立つ行事など、その種類は様々です。

学童によって行事の内容は違いますし、行事が多い学童も少ない学童もあります。親子参加で土日に行事を行う場合もあれば、平日に子供と職員のみで行う行事もあります。

どの行事も強制参加ではないので、親子参加が難しい場合などは欠席することは可能です。ただ、友達が参加していることで子供自身が参加を希望したり、保護者同士の繋がりもあり、参加する家庭が多いようです。

子供が学童を利用している保護者が集まって行う保護者会が開催される学童も多く、保護者の意見交換の場となっています。

学童でのおやつとお弁当

学童は無料で利用することはできません。学童保育料の他にかかる費用もあり、給食のない日や授業のない日はお昼のお弁当を持参する必要があります。

おやつ・おやつ代は必須

小学校が終わって、そのまま子供達は学童に来ますので、ほとんどの学童ではおやつが提供されます。厚生労働省の調べによると、約90パーセントの学童がおやつを提供しています(注2)。そのため、学童保育料とともに、月額のおやつ代を支払う必要があります。

おやつの内容は市販菓子の場合が多いですが、食育も兼ねて子供と手作りをする場合もあります。

長期休みはお弁当持参

お弁当は小学校の授業が午後まである日には給食が提供されますので、基本的には不要です。
小学校が午前授業のとき、土曜日や夏休みなどの休みのときには自宅から持参する必要があります。

学童が利用可能な時間や曜日

学童の開所時間は、厚生労働省が定めた「放課後児童クラブ運営指針」により、小学校の授業のある日は3時間以上、授業のない日は8時間以上とされています(注3)。

18時~19時終了の学童が一般的

平成28年度の厚生労働省の調べによると、学童施設の閉所時刻は18:31から19:00が最も多く、全学童の約45パーセント、次いで18:01から18:30が約24パーセントとなっています(注4)

18時以降も利用できる学童が多いことは保護者の就労時間に配慮した設定とも言えます。しかし、認可保育園のほとんどが19時までは開園していることを考えると、必要な時間を全て満たしているとは言えません。

土曜日も9割以上の学童が開所

利用可能な曜日は小学校の授業のある平日(月曜日から金曜日)は全ての学童で利用可能です。学校の授業のない土曜日も全学童の約94パーセントとほとんどの学童で開所しています(注5)。

日曜日や祝日はほとんどの学童が休みですが、民間(民立民営)の学童の中には、利用可能な施設もあります。

夏休みなどの長期休みは利用できる?

プールで遊んでいる子供達

夏休みなどの長期休みは、全学童の約98パーセントとほぼすべての学童が開所しています(注6)。夏休みならではの行事があったり、プールでの活動があったりと長い夏休みを楽しめる工夫も見られます。

夏休みの宿題も学童で行う子供が多く、自主学習の時間が通常よりも長く設けられている場合もあります。

学童の職員とは?「先生」と呼ぶの?

学童の職員は「指導員」や「支援員」などと呼ばれ、子供の遊びや生活習慣を身に着けるための援助、子供が安心・安全に過ごせる環境作りなどを行います。

子供の様子に目を配り、家庭との連携もとりながら子供の育ちを見守ります。自宅以外の安心できる居場所としての学童を作るために、大切な役割を担っているのです。

学童指導員の呼び方

子供達の職員の呼び方も様々です。学校生活の延長線上で「先生」と呼ぶ学童もあれば、第2の家庭としての居場所として、あえて先生と呼ばずに「〇〇さん」と名前で呼ぶ学童もあります。

資格の有無

学童の職員として働く際に必須となる資格はありません。ただ、平成27年4月より厚生労働省が定めた「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」によって、各学童に必ず1名は放課後児童支援員を配置することが義務付けられました。

放課後児童支援員とは、新設の資格で「児童の遊びを指導する者」という位置づけです。放課後児童支援員になるための条件はいくつかあります。

  • 保育士の有資格者。
  • 幼稚園、小学校、中学校、高校教諭の資格を持っている。
  • 社会福祉士の有資格者。
  • 高卒以上、児童福祉事業で2年以上の勤務経験あり。
  • 日本か外国の大学、もしくは大学院で、社会福祉学、心理学、教育学、教育学、体育学科かこれに相当する課程を修めて卒業をした。
  • 大学で、該当する科目において優秀な成績で単位を取得し、大学院への入学が認められている。
  • 高校を卒業して2年以上、学童かそれに類似した施設での勤務経験があり、市町村長より適正を認められている。

これらの基準に該当する人が、厚生労働省が定めた研修を受けることで、放課後児童支援員の資格を取得することができます。

専門職として子供と関わる人材がいることで、より子供の発達に適した関わりや遊びの提供が可能となります。

学童を選ぶ時のポイント

学童を選ぶ時にはまず、学童の種類を選ぶ必要があります。
放課後の時間を我が子にどの様に過ごしてほしいかという親の思いと、子供自身の気持ちを汲み取りながら選ぶことをおすすめします。

安心感や料金で選ぶなら公立型・公立民営型

子供が安全に遊び、過ごす場所を求める場合には、公立公営や公立民営の学童が良いでしょう。
小学校の敷地内、もしくは近くに設置されていることが多く安全に通うことができますし、小学校で仲の良い友達と一緒に通うことができます。

公立型・公立民営型の学童は、月額5,000円~10,000円(おやつ代込)が目安です。
※世帯収入によっては、自治体によって減額対象となるケースもあります。

習い事も兼ねたいなら民営型も候補に!

民立民営の学童は、様々な特色を打ち出している施設が多いです。
バイリンガル教育を取り入れ、外国人講師が遊びや英語学習のサポートをする施設もありますし、サッカーやバスケットなどスポーツに力を入れている学童もあります。

共働き世帯で、習い事の送迎すら難しいという場合は、習い事や学習塾を兼ねられる学童に入れるというのも方法の1つです。

ただし、設置場所は通っている学校の近くとは限りませんので、バスや電車で通う必要がある場合もあります。

民立民営の学童の料金は、施設ごとに設定されています。公立学童の受け皿的な要素が強い民営学童なら料金も1万~2万円と公立と変わらないケースもあります。

一方で、学習サービスや夕食などの用意がある学童の場合、内容が充実している分、高めに設定されており、50,000円ほどかかる施設も存在します。