育児に疲れたと言えない理由
育児に疲れたと言えない理由・消えたい逃げたいと思うとき
育児に疲れたママに知ってほしいことをご紹介します。育児疲れは誰にでもある当然のこと。消えたい逃げたいと感じているママは多いはず。育児に疲れる理由、育児に疲れたと言いにくい理由、育児に疲れてしまったときにはどうすればいいのか、たまには一人になりたいと思っているママは参考にしてください。
「育児に疲れた・・・」は贅沢発言でも怠惰発言でもない!
外での仕事に対しては「疲れた」と言うことができても、自分の子供を育てる育児に対しては「疲れた」となんとなく言いにくい風潮があります。なぜ言いにくいと感じるのか、そして、育児はどうして疲れてしまうのかについて探っていきます。
育児に疲れたと言いづらいのは何故?
一日中、赤ちゃんや子供を相手にしていることは疲れることです。ですが、疲れたということをストレートに表現することは、なかなか難しいものです。「育児に疲れた」という素直な感情を表現することが難しい理由として、次の事柄が考えられます。
自分で望んで子育てをしているから
保育士の人が仕事として子供の世話をしているのとは異なり、自分の子供を育てると言うことは、多くの場合、自分で子供を望んで子供を産んだ結果です。つまり、自分で望んで育児をしているので、「疲れた」とは言いづらいと感じてしまうのです。
また、子供のいない人や子育てをはるか昔に終えた人から、「好きで子供を産んだんでしょ?疲れたと言うのはおかしいよ!」と面と向かって言われることもあるでしょう。ですが、好きで産んだとしても育児にはパワーが必要ですし、どんな親だって超人ではない普通の人間ですから子育てで疲労しない訳ありません。
いずれも、「好きなことに疲れたと言うのは変だ」「子供が欲しくて育てているのに、疲れたと感じるのはわがままだ」という独特の理屈からの発言と考えられます。
「育児に疲れた」=「子供を愛していない」と考えてしまうから
好きなことでも、疲れてしまったりイヤになったりすることはあります。バレエが大好きな人でも、バレエのレッスンを2時間休みなく行えば疲れてしまいますし、片道3時間かけてレッスン場に行かなければならないのなら、「今日は休みたいな」と考えることもあるでしょう。どんなことでも、好きだからと言う理由だけで、絶対に疲れたり嫌になったりしないということはあり得ないのです。
これが育児ならばなおのことです。子供はかわいいし、子供のことは自分のこと以上に愛していると感じる親がほとんどでしょう。ですが、疲れてしまうことや育児をやめたいと感じることもあるのは事実なのです。そのマイナスの感情を素直に認められずに、育児に疲れたとは言いづらいと感じてしまう親もいるでしょう。また、「育児に疲れた」とつぶやくだけで、「子供のことを愛していないの?」と周囲の人が責めることもあるでしょう。
誰でも子供を育てられるわけではないから
インターネットを通じて、誰もが自分の意見を簡単に発言できるようになりました。今まで無視されてきたような少数派の意見も取りあげられるようになり、少数派が少数派ではなくなるという良い点もあります。
しかしながら、自分と意見が少し合わないというだけで大きなバッシングを受けたり、「あなたのような考え方をする人がいるせいで、辛いと感じる人の気持ちを考えたことがあるのか!」と、常に様々な境遇にいる人のことを考えて発言しなくてはいけないという意見に遭遇することもあります。平等に発言の自由が与えられているようでいて、実はインターネットがなかった頃よりも本音の発言がしにくいのが現代とも言えるでしょう。
そのような時代ですから、「育児に疲れた」という気持ちを発信するだけで、「育児をしたくても子供を持てない人のことを考えたことがあるのか!」「誰でも子供を育てられるわけではないのに、贅沢なことを言うな!」「子供を失ったばかりの人に、追い打ちをかけるような発言をするのか!」と思いもしなかったネガティブなメッセージが届くこともあります。素直に自分の考えをつぶやくことすらできないことがあるのです。
育児に疲れてしまう自分を認めたくないから
育児は身体だけでなく頭も心も使う労働です。にもかかわらず、他の労働とは区分けして神聖視している人が少なくありません。そのため、「育児のような崇高な行為を行っているのに疲れてしまうわけはない」と自分で思い込み、身体が疲れ切って悲鳴をあげていても、気付かないふりをしてしまう人がいるのです。
また、何事も努力によって乗り切ってきた人は、育児も努力すれば乗り切れるものだと思いこんでしまうことが多いです。「みんなが育児に疲れると言っても、私は違う。私は育児疲れなんかしない!」と思うだけでなく、完璧な育児を実施しようとして、自分で自分を厳しい状態へと追い込んでいくのです。
育児に疲れてしまう理由
育児に疲れてしまう理由は、仕事に疲れる理由とは微妙に異なっています。多くのママたちが「育児に疲れた」と心身の限界を感じる理由をまとめてみました。
育児は24時間待機状態でないといけないから
外での仕事なら、基本的には時間が決まっています。5時や6時の定時がくれば、残業する用事がない限り家に帰ることができます。ですが、育児には定時がありません。特に1ヶ月の新生児や2ヶ月の赤ちゃんの場合、昼夜が逆転していたり睡眠が浅かったりしますから、時間に関係なく、早朝や深夜でも育児のニーズはやってきます。
赤ちゃんは短い眠りを繰り返しても、それが普通ですから体調を崩すことはありません。ですが、育児を担当する親は大人ですから、まとまった長さの睡眠時間を取れないと、いつも眠い状態になってしまい、体調を崩してしまうのです。
育児には完璧がなく、「ここまでやればOK」がないから
育児には「これ以上できない」という完璧な状態はありません。ちょっと一息つくときでも、「今、ここでコーヒーを飲んだりするのではなく、絵本を読んであげることができるかも」と考えるなら、自分の時間を後回しにして育児をし続けることになってしまいます。そのため、気が付いたら、「朝から何も食べていなかった」「自分のトイレも忘れていた」「もう夕方なのに、髪もとかしていなかった」なんてことになってしまうこともあるのです。
完璧な状態がないからこそ、「ここまですれば良い」というポイントも分からなくなってしまいます。そのため、ついつい長時間を育児に費やしてしまうことになるのです。
育児に夫の協力がないから
妻が専業主婦をしている場合は、子供の月齢や手間がかかる割合にもよりますが、外での仕事は夫の役割、家の家事は妻の役割、育児は夫婦で分担してということがある意味理想的な状態かもしれません。ですが、多くの家庭では家事と育児がセットになってしまい、外での仕事は夫の役割、家事も育児も妻の役割となり、妻に莫大な負担がかかってしまうことがあるのです。
子供を連れて行くところがないゆえの閉塞感
外で仕事をしている人は、家と職場という2つの場所を行き来することでも、ある程度はストレスを発散させることができます。ですが、育児と家事だけに専念している人は、家しか行く場所がありませんから、「どこかへ消えたい」「ここではないどこかに行きたい」と思っても、長時間出ていく場所がないのです。
そのため、育児がどんなに辛くても、家から出るわけにもいかず、辛い状況に身を置かなくてはならなくなってしまうのです。終わりのない育児に疲れ果て、「家出したい」と考える人もでてきます。
育児を協力してくれる人がいないから
核家族化が進んだことで、家の中に家事や育児を担当する人が1人しかいないという世帯が増えました。そのため、家事も育児も1人で行うことが一般的になり、「ちょっと子供を見ていて」「買い物行っておいて」と仕事を分担することができなくなってきました。
近くに頼れる親兄弟がいる場合は、少しは育児を分担してもらうことができますが、すぐの距離に親兄弟がいる人は多くありません。近くに親兄弟が暮らしている場合でも、親兄弟自身も忙しくて気軽に育児を頼めないと言う人も多いでしょう。
愚痴をこぼす相手がいないから・自分の時間がないから
自分の母親や姉妹、夫が、丁寧に育児の辛さについて聞いてくれれば少しは疲れも癒されます。ですが、親兄弟が近くに住んでいないときや、「育児は妻の役目でしょ」という態度を取る旦那と暮らしているなら、愚痴をこぼすことさえできず、ストレスはますます溜まっていってしまいます。
余りにも育児と家事が忙しすぎて、愚痴をこぼす時間もないという人が少なくありません。毎日毎日、その日の子供の世話をするだけで精一杯で、子供以外の人間とゆっくり話をするということができなくなっている人もいます。
体力が子供に追いつかないから
1歳の子供なら、どんなに暴れても親が抑えることができるでしょう。ですが、幼稚園に行く頃、4歳から5歳くらいになると、危ないと分かっていても子供が走って行って子供が行くところについて行けなかったり、暴力を止めようと思っても子供の力に負けてしまったりすることがあります。体力的な限界を感じて、これからの子育てが不安になることもあるでしょう。
育児に疲れたときに試してみたいこと
育児に疲れたとき、適度に気分転換をすることで身体と心のバランスを取りましょう。手軽にできる気分転換法を紹介します。
自分一人だけの空間に避難する
子供がぐっすり眠っていることや周りに危険なものがないこと、段差や階段などに行けないようになっていること等を確認してから、子供とは別の部屋に行き、一人だけの時間を取るようにします。
ちょっと本を読もうと思っても、子供と同じ部屋に入ると、つい、「子供が寝ている間に洗濯をしておこう」「夕食の準備をそろそろ始めなくちゃ」「寝汗かいていないかな」と、子供の世話や家事が気になってしまいますよね。長時間は無理ですが、疲れ切ってしまう前に、子供の目線が届かないところで、まずは一人の時間と空間を確保するようにしてください。
肩周りのストレッチをする
いつもいつも「おむつはどうかな」「食事を作らなくちゃ」「公園にも連れて行かなくちゃ」と用事に追われていると、無意識に肩に力が入り、肩周りが凝り固まってしまいます。毎日抱っこで肩周りがパンパンに張っている人もいるでしょう。肩周りのコリがひどくなると、頭痛や首の痛み、不眠、視力の一時的な低下を招くことがあります。毎日1、2回は肩を回してストレッチをしてください。1分でできる簡単なストレッチ法を紹介します。
育児疲れから来る肩周りのコリをほぐすストレッチ
- 両腕をまっすぐ上に10秒ほど上げます。
- 両腕をだらんと下に落とします。
- 肩だけを上に引き上げストンと落とす動作を3回繰り返します。
- 肩を後ろ回しに3回回します。
- 肩を前回しに3回回します。
- 身体の後ろ(お尻当たり)で手指を5本しっかりと組み合わせ、後ろ方向に思いっきり引っ張ります。
ヨガのポーズを研究する
子供を抱っこするときにつま先立ちになってみたり、料理をしながら片足バランスを試してみたりと、色々なタイミングで様々なポーズを取ることで、気持ちを明るくすることができます。インターネットで検索すれば、簡単に立ったままできるヨガのポーズや、子供と遊びながら座った姿勢でできるヨガのポーズが紹介されていますので、ぜひ真似してみてください。
- 子育ては非常に疲れるものです。なぜ子育てはこんなにも疲れるのか、イライラして疲れる理由にはどのようなものがあるか、そしてどのようにリフレッシュできるのか説明します。
育児に疲れ切ってしまわないうちに
育児に疲れ切ってしまうと、育児だけでなく生活自体、生きていくこと自体にも疲れてしまうようになります。そのような状態に自分を追い込まないためにも、育児に疲れたという思いを誰かと共有して発散するようにしてください。
同じ気持ちを持つ仲間がいる、同じ気持ちではなくてもなぐさめ励ます人がいるというだけで、気持ちはかなり軽くなるものです。周囲に気持ちを理解してくれる人がいない場合は、育児疲れを持つ母親たちのブログ記事などを見てみてください。あなたと同じような悩みを持ち、同じように苦しむ母の声を聞くことができます。
終わりのない育児!楽しめるポイントを見つけるのも大事
育児は終わりのない仕事です。ようやく子供が自分の手を離れたと思ったら、今度は自分の体調が思わしくなくなったり、家族に介護が必要な人が出てきたり、孫の成長が気になったりと、いつまでも気が休まるときがありません。
もちろん、育児は疲れるものですし、育児疲れを理解してくれない人がいるのも事実です。ですが、育児をすることでしか得られない喜びがあるのも事実と言えるでしょう。ママには、子供の変化にいち早く気付くことができるだけでなく、子供のかわいいしぐさや表情、言葉を間近に見られるという特権も与えられています。
せっかく子どもの近くにいるのですから、特権を逃してしまわないように子供をよく観察してください。育児は辛いですが、育児の辛さだけでなく楽しめるポイントを見つけていくようにしましょう。