PTAがない学校の実態
PTAのない学校が増加中!「PTAなし」の真実とは?
PTAのない学校が私立だけでなく、公立校でも増えています。実際にPTAがないとどのようなデメリットや問題が起こるのか、PTAのない学校はどのように対策しているのか解説。PTAのない学校への引っ越しや転校は可能ですが、PTAと名前が違うだけで、活動内容がほぼ同じ保護者会も存在するので要注意です!
PTAのない学校が増加中!PTAがなくても困らない?
かつては、子どもが小学校や中学校に入学するときには、親はPTAに入って活動するのは当然と考えられてきました。ですが、生活が多様化する現代において、PTA活動に携わることのできない家庭は増えていき、それまで当然のように行われてきた強制参加や個人情報流出など、様々な問題を抱えるPTAに異が唱えられるようになりました。
PTAを脱会する人や最初から入会しない対策を講じる人も出現し、そうしてついに新興住宅地などでは、最初からPTAがない学校やPTA活動を任意の活動と位置付けている学校も出てきています。
PTAのない学校が増えてきた背景
PTAのない学校が増えてきたのは、やはり共働き家庭の増加など、時代や家庭環境による変化が大きいでしょう。
昔は当たり前だったPTA活動
昔は『父親は外に仕事に行くもの、母親は家庭で育児と家事を行うもの』といった、男女による役割分担が当たり前とされていたように、『親が子どものためにPTA活動するのも当たり前』といった考え方は一般的でした。いつの時代も交流が苦手な人もいたでしょうが、当時の時代背景においては、表立っての意思表示はできない状態だったのでしょう。
ですが、そのような時代には、仕事を持つ母親は少数派でしたので、仕事を理由にPTA活動ができないと断ったとしても、「仕方ないわね」「お仕事があるんじゃPTA活動は無理よね」と専業主婦の人たちからも大きな反感を持たれずに受け入れられていたのです。
表向きは「家庭の負担軽減」だが、実際は…
がない学校、廃止した学校の言い分として、表向きは「各家庭の負担を考慮した」と発表されます。しかし、保護者同士の人間関係のトラブルを避けようという意図も当然あるでしょう。
現代では、共働きの世帯が増え、シングルファーザーやシングルマザーも少なくない現在。家にいる大人が皆仕事していることが普通になってきており、「フルタイムで働いているからPTA活動ができない」と言ったところで、「うちもそうよ!」「みんななんとか時間に都合をつけているんだから、一人だけわがまま言うのはおかしい!」と集中砲火を浴びてしまうだけです。
もちろん反発するのは仕事を持っている保護者だけではありません。専業主婦・主夫からも「好きで家にいるわけじゃない!」「仕事仕事って偉そうに言わないで!」と猛反発を受けることでしょう。
昔からPTAが脈々と受け継がれている場合でも、「そろそろ廃止しても良いのでは?」と保護者達が提案することもあります。新興住宅地にできた新しい学校なら、「最初からもめごとの元は作らない方が良いだろう」と判断し、PTAは作らないという決断がされるのです。
「PTAがない学校」と思ったら…異なる名前で活動を行っている!?
PTAは本来、『親と教師の会(Parent-Teacher Association)』ですので、子どもたちの福利のために親だけでなく学校の教師も共に働く組織です。ですが、私立幼稚園や私立小学校・中学校では、親だけによる『父母の会』『母の会』などの組織がPTAの代わりに存在することもあります。
表向きは「PTAがない学校」として括られますが、活動内容は一般的なPTAと同じであったり、時には一般的なPTA活動以上の負担を強いられるケースもあります。
また、名門私立校の場合、役員になりたいと願う保護者が多かったり、役員になりたくてもコネがないとなれないなど、PTAとは一味違った特権階級的な組織も存在します。
とは言うものの、このような私立的PTAも、昨今では組織されない学校も増えてきました。特に中高一貫校など、子どもが中学受験して入学する学校の場合には、父母会の役員を募集しても人が集まらず、反対に父母会がないことを学校の特徴として大きく掲げているケースもあります。
PTAがない学校のデメリット~不便になる点をピックアップ
再三問題として取りあげられているにも関わらず、いまだにほとんどの学校で組織されているPTA。こんなに多くの学校でPTAがあるということは、PTAがあるからこそのメリットが存在すると考えられます。もし、PTAがないなら、どのような不便が生じるのでしょうか。
PTAがないことで不便になる点
PTAがないことで不便になる点、デメリットは、今のPTAがどのような活動を行っているか、またもともとない学校の場合、代わりにどこがそうした役割を担っているかが重要です。
保護者の代表がいない
保護者の代表としてPTAを捉えている学校や、保護者の代表としての活動のみを実施している学校も少なくありません。
PTAという存在がなくなってしまうと、先生方と交渉するような事態が起こったとしても、問題1つ1つに保護者の代表を決めて、1回ごとの組織を構成しなくてはいけなくなります。問題が発生する前に対処するという行動も難しくなるでしょう。
保護者向けの行事がなくなる
学校側が保護者向けの講演会や講習会を準備してくれると言うことは、あまり多くはありません。ほとんどの学校において、PTAがそれらの保護者向けの講演会や講習会等のイベントを企画し、実行します。PTAがない学校では、保護者向けの行事自体がないのが一般的です。
学校に行く機会が減る
PTA活動のメリットとして、普段の学校の様子がわかる、先生の性格を感じられる、他のママ友と情報交換できる点が挙げられます。PTAがないと、親は参観日や運動会などの行事の日にしか子供の様子を見られません。
安全パトロール等の地域活動ができない
学区内の繁華街をパトロールしたり、登下校時に通学路に立って子どもの安全を見守る活動を、PTAが主導して実施しているケースは多いでしょう。
PTAがこれらの安全活動を実施している場合、PTAがないと子供の見守りができなくなってしまい、不安を感じますよね。通学路の見守りに関しては、地域のボランティアや保護者の間で有志を募るなどの対策が必要になるでしょう。
美化活動ができない
学校の校庭の雑草を抜いたり、花壇の花を植えかえたり、また定期的に学校を大掃除したりといった美化活動を、PTAが主導して実施している学校も多くあります。
PTAがない学校では、こうした美化活動を日頃の子供たちの取り組みとしたり、必要な時にのみ保護者に呼びかけるなどして対策しています。
PTAが担ってきた活動を誰が行うのか?
現在PTAが主導して実施している活動は、PTAがないとできないという訳ではありません。PTAが主導しなくても、必要に応じて、だれかが言い出して人員を集め、美化活動やパトロール活動、保護者向けのイベントなどを実施すれば良いのです。
PTAがない学校では、学校側から保護者全員に向けて「都合がつく方は手伝ってください」というお願いの連絡をして、その都度、有志を募っていることもあります。
ただ、学校関連ではあるけれども忙しい先生方に負担を掛けられない事柄を実施するには、PTAという組織は機動性には優れています。現実には、だれかが言い出すのを待っているだけでは何も実行できず、結局は、「PTAがあった方が良かったのかも」と思うこともあるでしょう。
PTAのない学校に入学・転校させることは可能か
仕事が忙しく、PTA活動に参加できない場合やそもそもPTA活動そのものに賛同しかねる場合には、どうすることができるでしょうか。
引越しする
通学圏にあるどの学校もPTA組織がある場合、どうしてもPTAに入りたくないと考えるなら、引越しをするという方法もあります。ですが、生活環境を変えると言うことは精神的にも金銭的にも大きな負担を強いますので、家族でしっかりと話し合ってから決意するようにしましょう。
PTAのない学校に転校できる?
PTAのない学校への転校は、理論上は可能です。ただし、転校となると、入学前に引っ越しをして、通学圏を変える以上に負担が増します。子供の意思が一番に尊重されなくてはなりません。
公立学校
市町村によっては近隣の学区への越境通学は認められています。お近くの学区の小学校・中学校にPTAがないならば、そのような学校へ転校できる可能性はあります。
ただし、義務教育における越境通学は例外扱いです。PTA活動が嫌だからという理由だけでは認めらないでしょう。
私立学校
通学圏にある私立学校にPTA組織がないなら、受験などの手続きを踏んでから、私立学校に転校もできます。ただし、私立学校の場合はPTAという名前でなくPTA状の組織が存在することもありますので、受験する前に学校側としっかりと話し合い、理想的な父母活動が行える学校なのか見極めが必要です。
PTAから脱会する
引っ越しや転校といった大掛かりな方法をとらなくても、基本的にはPTA活動は『任意の活動』ですので、どうしても賛同できないときや参加できないときは、その旨をPTA会長に書面で伝え、退会できます。
退会する際に不快な思いをするときは、教育委員会に相談したり、法テラス等の無料法律相談を活用しましょう。
PTAのない学校はまだまだ少数派
現代では、テレビや雑誌を通してもPTAに関してネガティブな情報を聞くことはよくあります。その通り、非効率な作業を保護者に要求したり、前時代的な儀礼を先生方や関係者に行っているPTAがあるのも事実です。
しかし、PTAとは、保護者と教師が一丸となって子どもの福利のための活動を行うという理念のある組織ですし、デメリットばかり注目されますが、「やってよかった」というママも当然いるのです。
まだまだPTAがない学校というのは少数派です。
PTAのある学校にいる場合は、PTA活動も社会勉強の1つとして受け入れましょう。