油汚れは重曹できれいに落とすことができます
油汚れの掃除は億劫な上にたいへんです。年末の大掃除のほか、いつかはやらないといけないと感じる油汚れの掃除を業者に頼む人もいるほどです。しかし、ギトギトした油汚れは、ナチュラルクリーニングでもある重曹を使ってきれいに落とすことができます。
赤ちゃんや子供がいても安心な重曹で落とせる汚れはどのくらいあるのでしょうか。気になるお掃除ポイントと方法を紹介します。
油汚れは普通の洗剤ではなかなか落としにくいもの
油汚れは中々すっきり落ちにくいです。食器でも、普通の食べ残しの汚れと油汚れでは、汚れの落とし方が違います。油汚れがついた食器や洗濯物は水だけでは洗い流すことができません。理由は水と油の2つは弾きあう性質を持っているからです。油も落とせる食器用洗剤に入っている界面活性剤は、水と油を結びつかせるはたらきがあります。
汚れには水に溶けにくい油が含まれていて、洗剤に含まれている界面活性剤が水に溶けます。油と界面活性剤がくっつき、水を好む親水基と油を好む親油基が覆い、食器などからはがれおちて水と一緒に洗い流されます。
油は温めると液体になりますが、冷めてしまうと定着して落ちにくくなってしまいます。料理の時にはねてこぼれることでこびりつきます。コンロはもちろん、お弁当箱や食器にも落ちにくくなり、プラスチック製品も油が原料なので油汚れが落としにくいです。そのため、早めに落とすことが重要です。
油汚れを落としたい時はアルカリ性洗剤の「重曹」を選ぼう
油汚れを落とすためには、アルカリ性の洗剤を使ってみましょう。掃除用の洗剤を選ぶ時には、「中和」がキーワードです。ほこり汚れは中性、油汚れはアルカリ性、水あか汚れは酸性の汚れです。化学反応で、中和は成分の違うもの同士を合わせて化学反応を起こすことです。
落としたい汚れに合わせて種類を変える!
- ほこり汚れは中性の汚れ
- 油汚れは酸性の汚れ
- 水あか汚れはアルカリ性の汚れ
油汚れは酸性の汚れになるので、中和させたい時にはアルカリ性の洗剤を使います。市販の製品でも油汚れと書かれた製品はアルカリ性と書いてあることが多いです。ドラッグストアやホームセンター、通販でも取扱いがあり、種類の多くは、スプレー式です。泡で出てくるタイプもあります。
ナチュラルクリーニングで注目されている製品は、重曹とクエン酸です。重曹は水に溶けるとアルカリ性、クエン酸は酸性なので、キッチンのコンロなどの油汚れに使うのなら重曹がおすすめです。クエン酸は水あか汚れに使い、中和反応を起こさせます。このように、汚れの種類で使う洗剤が違ってきます。
重曹は3種類ある
食用としても売られている重曹は、赤ちゃんや幼児がいる家庭でも使うことができるので、子育て中の家庭でも重宝されています。重曹とは、炭酸水素ナトリウムと呼ばれるものです。料理で使う時には膨らませるために使うベーキングパウダーとしても使われています。
白い色の粉末で水に溶ける性質を持ちます。重曹は油汚れ全般に効果があり、応用次第では洗濯にも使うことができます。
重曹には、薬として使われるもの、食品添加物、工業用の3種類があります。
種類別に3種類ある重曹
- 薬として使う:医薬品医療機器等法が適用されている
- 食品添加物として使う:食品衛生法が適用されている
- 工業用:適用法令なし
食品添加物として売られている製品はベーキングパウダーという名前のこともあります。工業用は掃除に使われるものです。中身には大きな違いはありませんが、口に入れても問題がない商品は食用として売られていて、値段は工業用よりも高いことが多いです。薬用、食用はさらっとしている一方で、工業用は粒が大きくてざらざらしています。
工業用を誤って口に入れても問題がないことも多いですが、適用法令がなく、業者によっては界面活性剤を入れていることもあります。
油汚れで重曹を使う時はゴム手袋をしよう
重曹は油汚れを落とすはたらきがあります。ナチュラルクリーニングに多用されているので、エコな洗剤で手荒れをしないと思いがちですが、まったくしないわけではありませんので、ゴム手袋を使って掃除をするようにしましょう。
重曹、クエン酸はナチュラル系の洗剤ですが、アルカリ性でたんぱく質を変性する作用があります。油汚れを落とすほどの作用があるので手の油分も取り去ってしまうことがあります。100均などでゴム手袋が売っているので、掃除をする時には手袋をはめて掃除をした方がいいでしょう。重曹を使う時には、研磨剤効果があるので塗装がはがれないか注意して使うのもポイントです。
油汚れを落とす重曹水・重曹ペーストの作り方
重曹は市販品の重曹水やクリーナーが販売されていますが、重曹の粉があれば、自分自身でクレンザーにしたり、重曹ペーストを作ることができます。
重曹水の作り方
- お湯:100ml
- 重曹:小さじ1
- 混ぜ合わせてスプレー容器に入れると重曹水になります
重曹ペーストの作り方
- 水:大さじ1程度
- 重曹:大さじ2~3
- 容器に混ぜ合わせてペースト状にします。こびりついた油汚れに使います
重曹水は、スプレー容器に入れて床掃除に使えば簡単に油汚れを落とすことができます。重曹ペーストは頑固な汚れに活躍します。
重曹を使った油汚れの落とし方
油汚れに効果的な重曹洗剤ですが、大掃除をはじめとして普段の洗濯にも使えることを知ってしましたか?レンジフードやコンロのほか、普段の拭き掃除や洗濯にまで利用できる場所が多いです。
レンジフードの油汚れの落とし方
レンジフードの油汚れは、普段から洗う人が少ない箇所です。天井、壁の中にダクトが通っていて煙や湯気を排出する換気扇のことで、レンジフード以外にはプロペラ型のファンになっていることもあります。
レンジフードは人の頭よりも上の高さにあることが多く、市販の重曹水をかけると水がしたたり落ちてしまいます。そのため、キッチンペーパーを使った重曹水パックをします。
レンジフードの掃除方法
- 掃除用の手袋をしてキッチンペーパーに重曹水や重曹クリーナーを含ませる
- キッチンペーパーをレンジフードの汚れ部分に貼りつける。あれば、ラップを上から密着するようにはりつけて5分程度放置する。
- キッチンペーパーやラップを外してタオルや雑巾で水拭きする
- 最後にタオルや雑巾でからぶきする
- 水分をしっかり取ったら掃除完了
換気扇フィルターを洗いたい場合は重曹の粉をふりかける
換気扇フィルターを取り外せる場合は分解して外し、重曹の粉をふりかけます。2時間ほど放置しておき、その後使い古した歯ブラシで油汚れがたまった部分をこすり洗いします。
コンロの油汚れの落とし方
コンロは毎日の料理でついてしまった油汚れが落ちにくい箇所です。年末の大掃除で取ろうと思っていても、五徳にこびりついてしまうとなかなか落ちないものですが、重曹を使えば落ちやすくなります。重曹ペーストを使いましょう。
重曹を大さじ2杯に水を大さじ1杯加えたものを重曹ペーストと呼びます。小さい容器に作っておき、スプーンで混ぜ合わせておきます。
コンロの五徳の掃除方法
- 掃除用の手袋をはめ、重曹ペーストをコンロの五徳に塗りつる
- 使い古しの歯ブラシで五徳の油がついた部分をこすって汚れを落とす
スポンジで拭き取ってもいいですが、スポンジに汚れが移ってしまうので、捨てられるスポンジを使うようにしてください。
最近では、ガラストップコンロに五徳が乗っていて取り外しできるレンジ台も増えてきました。その場合は、五徳を重曹で漬け置きして汚れを浮かせても構いません。ぬるま湯1リットルに大さじ2~3杯程度の重曹を入れて2時間ほど漬け置きした後、歯ブラシやスポンジで汚れを落とします。
電子レンジの油汚れの落とし方
電子レンジは、普段から軽く拭いてはいても、オーブンレンジだと焦げつきはそのまま放置の家庭も多いです。すると大掃除の時に重点的に掃除をしなくてはいけないことになります。
水200ml、重曹大さじ2杯に酢を小さじ1入れたものをグラスに入れて、簡単な掃除をしましょう。
電子レンジ内の掃除方法
- グラスに水、重曹、酢を入れる
- 電子レンジ内で1分30秒ほど加熱して庫内を蒸気で充満させる※重曹と酢の成分が蒸気になるので掃除しやすいです。
- キッチンペーパーやふきん、雑巾を使って拭き掃除をする
- 汚れが落ちないようなら、再度、重曹と酢を入れたグラスを電子レンジに入れて加熱。蒸気を充満させて汚れを浮かせて落とす
電子レンジは、食べ物を温める場所なのでできるだけナチュラルクリーニングをしたいものです。重曹だけでなく酢を入れることでしゅわしゅわとした泡が出てきて、汚れをはがしやすくします。
洋服についた油汚れの落とし方
油汚れに効果的な重曹には消臭作用があるので、洋服のお洗濯にも最適です。万能洗剤として注目されています。いつもの洗濯に重曹を加えるだけで洗濯物の仕上がりがよくなります。
重曹を使って洗濯をすると洗浄力が上がり、消臭力や漂白力も高くなります。重曹はアルカリ性なので、油汚れに効果的です。洗濯の中には皮脂汚れによる黄ばみ、油を含んでしまった食べこぼしも多く、消臭力も優れているため、においが染みついてしまった洋服の脱臭にも効果的です。部屋干しをする時のにおい対策として入れることもあります。
重曹を使った洗濯の方法は2通り
洗濯用の粉石鹸や液体石鹸と一緒に使う簡単な方法が1つ目です。普段の洗濯に重曹を加えて洗濯し、液体石鹸や粉石鹸と同じタイミングで入れます。注意点は、液体石鹸を使う時は合成石鹸ではないものを用意します。
油汚れに重点的に使いたい時は、シミ抜きにスポット状で使うことができます。用意するものは重曹の粉と使い古した歯ブラシで、ワイシャツの襟の皮脂汚れ、食べこぼしの油汚れに使います。粉にふりかけて5分くらい置いておき、その後、水で濡らした古い歯ブラシで磨くと汚れが浮き出てくるので、軽く水洗いした後、洗濯機に入れます。がんこなシミにも使えます。
脱臭のために重曹を使う人もいます。ぬるま湯に重曹を小さじ1入れ、溶かしておいたものに洋服を浸してつけおき、30分ほど経過したら洗濯します。がんこな汗のニオイも撃退できます。
油汚れを重曹で掃除をしている人の体験談
油汚れを撃退するために、主婦の人たちはどういったことをしているのでしょうか。大掃除派?それとも日常の掃除派?口コミ体験談を集めてみました。
年末は11月から大掃除!
主婦の鏡(40歳)
専業主婦です。毎年油汚れは大変なことを知っているので11月から大掃除をはじめています。時間のある時を狙って、今日は換気扇、今日はコンロといったように日によって掃除箇所を決めています。過去に業者に依頼してガスレンジやレンジフードを掃除してもらっていたのですが、家に他人を上げるのも抵抗があります。数万円することもあって重曹でどこまでできるかやってみました。
重曹は、ペーストにもでき、重曹水も作ることができ、家の中の拭き掃除からひどい油汚れまでしっかり落とすことができます。五徳は一度ではきれいにならなかったので濃度の高い重曹ペーストを作って漬け置きをして、少しずつ汚れを落としていきました。11月から行ったので、年末は焦らずに過ごせそうです。
洗濯にも使えるってすごい!
りんごさん(34歳)
ママ友に言われて油汚れに重曹を使ってみました。家に食用の重曹のあまりがあり、かなり昔に買ったものだったので食用としては使えなさそうなものを応用して洗濯に使っています。
子供は男の子で食べこぼしが本当にひどいです。家ではナポリタンなどのパスタ汚れがひどく、保育園でもカツなど油ものを洋服にこぼして、家でもたくさん洗濯ものを洗わなくてはいけません。
重曹を洗濯に使ったら、落ちないと思っていたシミが取れていて驚きました。ママ友に言わせると重曹と水を入れた重曹ペーストを使うとシミ汚れもすっきり落ちるそうです。これからは重曹を洗濯に使っていきたいと思います。
共働きなら一週間に一度の掃除が楽
ぺんぎん好き(40歳)
台所の油汚れの掃除は、一週間に一度しています。ガラストップコンロを使っているので、五徳部分は取り外してたらいに入れて1リットルあたり大さじ2くらいの重曹の粉を入れて漬け置きしています。
ガラストップコンロは、五徳を取ったら市販の重曹スプレーと厚めのキッチンペーパーを使ってふき取り。以前はたわしや固めのスポンジを使っていたのですが、たわしやスポンジにもべとべととした油汚れが移ってしまうだけだったのでキッチンペーパーでふきとり→捨てるの流れが気楽だと思いました。
大掃除では換気扇のみの掃除です。普段からガラストップのコンロを掃除していると、大掃除では決められた場所だけ掃除すればいいので楽ちんです。
油汚れを落とすには重曹のつけ置き掃除も効果的
油汚れはベトベトして本当に掃除が億劫なものです。筆者の周囲では大掃除の負担を軽くするために1週間に1度、1ヶ月に1度と決めて、油汚れの場所を掃除して大掃除の時の負担を軽くしていました。重曹を使えば油汚れの漬け置き掃除も楽になります。すっきりと汚れを落としてみましょう。