乾物は干すことで栄養価や旨味がアップ!
乾物とは食材を乾燥させたもののことをいい、切干大根や干ししいたけなど、乾物料理には欠かせない食材です。
中国では乾貨と呼ばれていて、日本から伝わった干しあわび、干しなまこ、フカヒレなどは中国料理に使われる定番となっています。
乾物は食材から水分を抜くため細菌が繁殖しにくく、長期保存ができるため、非常食としても重宝されています。また、天日干しすることにより栄養価だけでなく旨味や風味も良くなります。
乾物と干物ってどこが違うの?水分量に違いが?
乾物同様に食材の水分を抜いてものに干物があります。干物と乾物の違いは、海藻や野菜などの植物系のものを乾燥させたものを乾物、魚介系を乾燥させたものを干物と言います。
ですが、鰹節や煮干しも乾物になるため、違いは曖昧なところもあります。基本的には水分を完全に抜いて常温でも保存できるものが乾物、水分が多少残り冷蔵での保存が必要なものが干物と言えるでしょう。
野菜の乾物の戻し方と活用アイディア
乾物は正しい戻し方をすることで、栄養や風味を損なわずにおいしく食べることができます。それぞれの乾物の戻し方や料理のアイディアは次の通りですので参考にしてみてください。
「干し大根」は歯ごたえを残して戻しましょう
独特の風味と歯ごたえがある干し大根は、代表的な切干大根のほかにも、大根を割いてから干した割り干し大根や、茹でてから干したゆで干し大根、輪切りにしたものを干した丸干し大根など様々な種類があり、カルシウムや鉄分・カリウムが豊富です。
水で戻さずに水洗いのみで使うこともできシャキシャキとした歯ごたえを楽しむことができるのでおすすめです。
干し大根の戻し方
20分を目安に水につけてもどします。干し大根は戻し過ぎると柔らかくなりすぎてしまい、せっかくの食感が損なわれてしまいます。すぐに使いたい場合は50℃くらいのお湯を使うと数分で戻すことができます。
干し大根の料理アイディア
干し大根は定番の煮物以外にも、水洗いしてマヨネーズやお好みのドレッシングで和えたサラダや、炊き込みご飯の具材や豆腐と混ぜて豆腐ハンバーグ、戻さずにそのまま素揚げすると、サクサクとしておつまみになり、おすすめです。切干大根を水で戻して使用する場合は戻し汁ごと使うことで栄養も丸ごと摂れます。
「干ししいたけ」は様々な料理に使えます
たっぷりの旨味が濃縮されている干ししいたけは、三大うま味成分の一つであるグアニル酸が豊富に含まれているので料理の旨味をアップしてくれます。
干ししいたけの戻し方
水で軽く洗い約5℃の冷水につけ冷蔵庫で5時間以上置いて戻します。冷たい水でじっくり時間をかけて戻すことでうま味成分がたくさん出てきます。時間がない場合はぬるま湯に砂糖を加えて戻すことにより、20分程で戻すこともできます。
干ししいたけの料理アイディア
うま味たっぷりの戻し汁ごと、シンプルにスープや煮物や、春巻きや餃子、ちらしずしの具材やハンバーグに混ぜ込んでも旨味がアップしておすすめです。また、豚肉や卵などと炒めてもおいしくいただけます。
戻さずにそのまま細かく砕いて炊き込みご飯にすると手軽に楽しむことができます。
「かんぴょう」は海苔巻き以外にも色々使えます
かんぴょうとは夕顔の実を薄くひも状に剥いて乾かしたものです。無漂白かんぴょうとカビや変色を防ぐために燻蒸した漂白かんぴょうの2種類あります。かんぴょうは、食物繊維やカリウム、マグネシウムが豊富です。
かんぴょうの戻し方
塩をまぶして水でしんなりするまでもみ洗いし、沸騰したお湯で15分くらい茹でて戻します。
かんぴょうの料理アイディア
かんぴょうは海苔巻きの具材や煮ものだけでなく、炒め物やサラダなどに幅広く活用することができます。かんぴょうを出汁で煮て卵でとじるとうま味たっぷりのメインのおかずになるだけでなく、ポテトサラダに細かく切って混ぜ込んでもおいしくいただけます。
また、生春巻きの皮代わりにかんぴょうで具材を巻いたものや、酢の物やナポリタンをかんぴょうで作るとケチャップとの相性もバッチリでおすすめです。
「きくらげ」は中華料理だけではなく和食にも合う
きのこの一種であるきくらげは中国料理の定番です。クセがなくコリコリとした食感のきくらげは、食物繊維やビタミンD、カルシウムが豊富に含まれています。
きくらげの戻し方
きくらげが被るくらいの水で15~20分かけて、かさが大きく開くまで戻します。長時間水につけると柔らかくなりすぎて独特のコリコリした食感が失われてしまうので注意しましょう。
きくらげの料理アイディア
定番の炒め物以外にも、シンプルにそのままお刺身で食べても素材そのもののおいしさを味わうことができるのでおすすめです。細切りにしてサラダや、スープの具材・つくだ煮、また白きくらげは黒蜜などとあえてデザートとしてもおいしくいただけます。
魚介類の乾物の戻し方と活用アイディア
旨味たっぷりの魚介系の乾物は出汁としてやそのまま食材としても大活躍です。きちんと戻すことによっておいしい出汁ができますので以下を参考にしてみてください。
「干し貝柱」はそのまま食べても料理に使っても!
おつまみや中国料理の材料としてよく利用される干し貝柱はホタテの貝柱を干したもので、ホタテの旨味が凝縮されています。
干し貝柱の戻し方
干し貝柱をさっと水で洗い熱湯に入れ30分ほど置いて柔らかくなったら、酒を加えて身がほぐれるくらいまでゆがきます。時間があるときはぬるま湯に入れて一晩じっくり時間をかけて戻すと旨味もしっかり出るのでおすすめです。
干し貝柱の料理アイディア
干し貝柱は戻し汁やゆで汁に旨味があります。戻し汁ごとスープにしていただくと、干し貝柱の旨味を存分に味わうことができます。また、おかゆに入れるとちょっと高級な中華粥の気分も味わえますし、炊き込みご飯やチャーハンの具材として利用すると旨味がグンと引き立ちます。
ほかにも、ペペロンチーノに加えることや、戻したものをそのままサラダに入れたり、グラタンのホワイトソースに戻し汁ごと混ぜてもおいしくいただくことができます。
「干しエビ」は戻し汁も余すところなく使える
エビを殻から内臓まで丸ごといただくことができる干しエビは、カルシウムがとても多く含まれていて成長期の子供のカルシウム摂取に活躍します。またミネラルやビタミン・たんぱく質もバランスよく含まれています。
干しエビの戻し方
さっと水洗いしてエビの2倍程度の量のぬるま湯に30分程つけて、水が少し濁り、エビの身がややふくらんで柔らかくなるまで戻します。
干しエビの料理アイディア
干しエビの戻し汁には旨味がたっぷり含まれているので、戻し汁ごと料理に使いましょう。スープや炊き込みご飯、おこわの具材としてだけでなく、炒め物や卵焼き、焼きそばに加えてもおいしくいただけます。
また、戻さずそのままおつまみや、かき揚げの具材としてもおすすめです。
豆類の乾物の戻し方と活用アイディア
豆を加工した高野豆腐や豆の乾物は使い方が難しいイメージがありますが、コツを覚えると手軽に戻していろいろな料理に使うことができます。豆系の乾物の活用方法は以下を参考にしてみてください。
「高野豆腐」は豆腐から作られていて栄養満点
高野豆腐とは豆腐を凍らせてから乾燥させたもので、凍り豆腐や凍(し)み豆腐とも呼ばれています。大豆の良質なたんぱく質、カルシウム、鉄、ミネラルが豊富に含まれています。
高野豆腐の戻し方
50度くらいのお湯に高野豆腐を10分ほど浸し、中まで水分を吸収したら水気を絞ります。時間がない場合は熱湯に5分ほど浸しましょう。この場合は長く浸すと崩れやすくなるので気を付けましょう。
高野豆腐の料理アイディア
だし汁をしっかり含んだ定番の煮物以外にも、ひき肉に混ぜてハンバーグやコロッケ、お肉で巻いて焼くとおいしいだけでなく、カサ増しにもなりヘルシーにいただけます。
また、マーボー豆腐を高野豆腐で作ることやグラタンの具材やフレンチトースト風にして食べるのもおすすめです。
「大豆や小豆・黒豆」などの豆類
大豆や小豆、黒豆などの豆類には良質なたんぱく質や食物繊維、ビタミンB群やカルシウムに鉄分など、小さい豆には豊富な栄養が含まれています。
豆類の戻し方
基本的に豆類は水でさっと洗ってから豆の4倍ほどの水につけて一晩おきます。一晩おいたら漬け汁ごと火にかけ、煮立ったら一度煮汁を捨てる茹でこぼしをし、新しい水に入れ替え中火で煮立たせたら差し水を一度行い、その後弱火で豆が軽くつぶれるくらいまで煮ます。
豆類の料理アイディア
煮込み料理やスープ、炒め物にデザートまで幅広く活用できるのが豆類です。戻した豆をサラダに入れたり、ディップにしてパンなどに付けて食べるのもおすすめです。
また、肉に混ぜてハンバーグなどに活用するとカサ増しにもなり、ヘルシーに栄養を摂ることができます。
海草の乾物の戻し方や活用アイディア
乾物といったらひじきや昆布などの海藻を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。海藻類の戻し方や活用方法は以下を参考にしてみてください。
「ひじき」はローカロリーなのに満腹感が得られる
ひじきは歯ごたえのいい「長ひじき」とやわらかい「芽ひじき」の2種類に分かれます。どちらも栄養価がとても高くとくにカルシウムや食物繊維・マグネシウムが豊富に含まれていて、特に食物繊維は水溶性、不溶性ともに多く含まれておりカロリーを抑えつつ満腹感を得られます。
ひじきの戻し方
ひじきをたっぷりの水に20分ほどつけてふっくらするまで戻します。戻した後はザルにあげて水洗いしましょう。ことのきひじきは戻すと8~10倍に膨れるので大きめのボールとたっぷりの水を使うようにしましょう。
ひじきの料理アイディア
ひじきは定番の煮物のほかに、サラダやひじきごはん、がんもどきにしても美味しくいただけます。豆腐やおからとの相性も抜群で、ハンバーグやコロッケのタネに混ぜてもヘルシーです。
「昆布」は余すところなく使える乾物
昆布は水溶性食物繊維やミネラルにビタミンなど栄養が豊富です。出汁をとった後の昆布は料理にも使えるため、無駄のない乾物と言えます。
昆布の戻し方
昆布を水でさっと洗って正面のごみなどを取り除きます。その後浸かるくらいの水に入れ20分ほど置いて昆布のしわがなくなり大きくなり柔らかくなるまで戻します。このとき途中で上下を返したりして全体が水に浸かるようにしましょう。また、長時間付けるとぬめりが出てきてしまい、水が多すぎると旨味が水に逃げてしまうので、出汁用ではない場合、水を少な目にしましょう。
昆布の料理アイディア
定番の煮物や出汁を取った後のつくだ煮に、ふりかけやツナ、白菜とあえてサラダにしたり、細く切ってパスタに入れると旨味も栄養もばっちり摂れる洋風レシピになります。
また、ゴマをまぶしてレンジでパリッとなるまで加熱した昆布のチップスもおすすめです。
「わかめ」は美容の見方!風味も最高!
海藻の定番わかめは、食物繊維とミネラルが豊富なのに低カロリーで美容の見方です。お味噌汁の具としても定番なので、日ごろから使っている人もおおいでしょう。
わかめの戻し方
たっぷりの水を入れた容器にわかめを入れ5分ほど柔らかくなるまでつけます。つけすぎやお湯を使うと食感や風位が落ちるので注意しましょう。また、煮込み料理に使う場合は戻し時間を短めにしましょう。
わかめ料理アイディア
みそ汁やスープ以外にも、炒め物やサラダ、パスタや焼きそば、かき揚げなどに混ぜてもおいしくいただけます。また、パプリカとオリーブオイルをかけて食べるのもおすすめです。
乾物の風味を逃さない保存方法のコツ4つ
乾物はついつい保存方法が適当になりがちです。適当に保存してしまうとせっかくの乾物の風味や栄養が損なわれるだけでなく、食べられなくなってしまうこともあります。乾物の保存のコツは以下のとおりですので、参考にしてください。
乾物はきちんと保存することにより、おいしく長く食べることができますので、適切な保存方法をすることが大事です。
1.ラップに包んで保存袋に入れる
乾物は水分が減っているため湿気を吸いやすいです。保存するときは湿気を吸わないようにラップなどに包み、保存袋に入れて保存しましょう。
2.夏場や梅雨時は冷蔵庫で保存する
乾物は基本的に常温で保存できますが、夏場や梅雨時などの湿気の多い時期は、乾燥している冷蔵庫で保存することにより、カビや虫を予防できます。
乾物にもカビが生える!?
水分が抜けているからといって乾物にカビが生えないわけではありません。乾物は水分が抜けている分、湿気を吸いやすくもあり、保存方法を誤ると乾物にもカビが生えてしまうのです。
3.長く保存したいときは冷凍保存する
乾物をより長期保存したい場合は、冷凍庫で保存するのがおすすめです。乾いたまま冷凍することも可能ですが、一度戻した乾物を冷凍保存することで、使いたいときにサッと使うことができるようになります。
4.購入日や乾物にした日付ラベルを貼っておく
せっかく買った乾物が棚の隅っこで埋もれてしまい、使えなくなっていた経験がある方も多いのではないでしょうか。頻繁に使うことが少ないため、できるだけ見えやすく保存することで、いつの間にか埋もれてしまう…なんてことがなくなります。透明の容器に入れたり容器にラベルを貼るなどして、見える保存をするようにしましょう。
ヨーグルトで乾物を戻す「乾物ヨーグルト」が腸に嬉しい!
最近話題の乾物ヨーグルトをご存知でしょうか。乾物ヨーグルトとは、乾物をヨーグルトに漬けて戻したものです。乾物を水で戻すとカリウムやビタミンB群などが失われてしまうことがありますが、ヨーグルトで戻すことでこれらの栄養が失われず、ヨーグルトの乳酸菌と乾物の繊維で善玉菌を活性化し腸内環境の改善にも役立ちます。
また、栄養の吸収率もアップし、乾物の栄養にプラスしヨーグルトの良質なたんぱく質も加わり、嬉しいことだらけなのです。
乾物ヨーグルトの戻し方
- 乾物をタッパーに入れてプレーンヨーグルトを埋まるくらいかける
- 乾物とヨーグルトを混ぜたら半日冷蔵庫に置く
戻した乾物は2~3日、日持ちがします。使う際は乾物についているヨーグルトは洗い流さずに、一緒に料理に使いましょう。
乾物ヨーグルトはひじきには使えないので注意!
ひじきは乾物ヨーグルトにはあまり適していません。乾物ヨーグルトは戻したあと、ヨーグルトと一緒に料理に使用するため、通常戻した後に水洗いが必要なひじきでは、洗うことができないので乾物ヨーグルトには使えません。
家庭で気軽に乾物を作ってみよう!
乾物を家庭でも気軽に作ることができます。家庭で作る乾物も素材の旨味をギュッと濃縮することができ、捨てられる食材を有効活用することができます。
家庭で乾物を作るには、水分が少なめの野菜を使うと失敗が少なくて作りやすいです。人参や大根、レンコン、きのこ類やさつまいも、プチトマトなどがおすすめの食材です。家庭での乾物の作り方は次の通りです。
- 野菜を水洗いししっかり水気をきる
- 野菜を同じ厚さで薄切りにする
- 干す
野菜を干すときのコツをおさえておこう
野菜を干すときはザルや網など、上下から空気が通るものを使用すると失敗なく干すことができます。専用の干しネットを使うと手軽にできるのでおすすめです。また、干すときはカビに注意し一日を通して通気性のいいところに干すようにしましょう。
太陽が出てから干しはじめ、太陽が陰ったら室内に干すようにします。夜間外に干しっぱなしにしているとカビの原因になるので気を付けましょう。
干す目安
- 半乾きにする場合:半日~1日で表面が白っぽくなるまで
- 完全に乾かす場合:2~3日で小さく軽くなるまで
夏場や冬が乾物作りにおすすめ
乾物を作るには、乾燥していることが大事です。夏の強い日差しのもとだけでなく、湿度の低い冬場も乾物作りに適しています。
干し野菜の使い方
干し野菜はアイディア次第でいろいろな料理に活用することができます。お好みのオイルに漬けたり、食べやすいサイズにカットしてみそ汁やスープ、鍋などでもおいしくいただけます。
乾物はストックしておけるので活用すると便利です!
長期間保存が出来、栄養豊富で健康にも美容にも役立つ乾物ですが、戻し方が手軽なものが多く、それぞれの種類にあった戻し方をすることで、おいしさをより引き出し味わうことができます。
水で戻した後の乾物を冷凍保存することで、料理に使いたいときにすぐに利用することができます。野菜を冷凍保存!解凍しても美味しく食べられる冷凍術を参考にして、乾物を工夫して使ってみましょう。
また、乾物の料理方法はアイディア次第で幅広く活用できますので、毎日の献立にぜひ乾物を役立ててみてください。