野菜を冷凍保存したときの栄養価と消費期限
野菜の冷凍保存に対して、栄養価が落ちそう、消費期限がよくわからない、美味しくなさそう…というマイナスイメージを持つ方が多いです。そこで、冷凍保存された野菜の栄養素や期限について、解説していきましょう。
野菜を冷凍保存したときの栄養価の変化
野菜を冷凍保存した時に心配なのが栄養価です。野菜を冷凍すると、含まれている栄養素が、破壊されてしまうというイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。しかし、実際に野菜を冷凍しても栄養価はあまり変わりません。
野菜を茹でるなどの下処理した後に、密閉容器や保存袋に入れて冷凍保存をすれば、酵素の働きを抑えることができるので、冷蔵保存するよりも栄養価を保つことができます。
野菜を常温や冷蔵庫の野菜室で保存すると、冷凍保存するよりも庫内の温度が高いため、日が経つにつれて味や栄養価が落ちていきます。空気に触れて酸化が進んだり、乾燥したり、野菜に含まれている酵素や微生物の働きなどによって劣化していくからです。
野菜の種類によって差はあるものの、上手に野菜を冷凍保存することで栄養価は大きく損なわれません。そのため、すぐに食べきれない量の野菜を購入した場合は、冷凍保存をすることで、効率よく栄養素を摂取することができます。
野菜を冷凍保存したときの消費期限
家庭で冷凍した野菜は、急速冷凍されたものではない上に、雑菌や空気に触れている可能性が高いでため、数週間から1か月を目安に食べ切るようにしましょう。
スーパーで売られている冷凍野菜は、家庭で売られている物に比べて、かなり低い温度で急速冷凍されている上に、雑菌や空気に触れないように品質管理が徹底されているため、消費期限が長いです。
冷凍の失敗原因と上手な冷凍保存のポイント
野菜を冷凍した時に、上手に冷凍しないと、解凍した時に水っぽくなってしまったり、美味しい歯ごたえがなくなってしまったりしまいます。そこで、失敗の原因と、上手な冷凍保存のポイントをご紹介します。
冷凍の失敗の原因は野菜の水分と冷凍温度
主な原因として、家庭用の冷凍庫はマイナス13度前後と、温度が高いことが挙げられます。そのため、業務用の冷凍庫のように、マイナス30度前後で冷やせず、急速冷凍ができないため、冷凍の失敗につながります。
急速冷凍ができない場合、水分が多い野菜の細胞の中で、氷の結晶が大きくなってしまいます。そうなると、野菜の中の細胞や組織が破壊されてしまいます。
また、解凍されたと同時に、中の水分が溶け出けだします。そのため、中に空洞ができ、歯ごたえが無くなり、すかすかとした食感になってしまいます。
野菜を冷凍保存する際のポイント
家庭の冷蔵庫でも急速冷凍に近い状態にすることで、氷の結晶が大きくなる前に冷凍することができます。この状態にするためにはいくつかポイントがあります。
野菜を下茹でしてから冷凍保存する場合は、粗熱を取ってから冷凍しなければ、冷凍されるまで時間がかかってしまいます。
野菜の基本の冷凍方法
- 流水で野菜を洗い、ザルにあげて水気を切ります
- 水切りした野菜についている水分をキッチンペーパーでしっかりと拭き取ります
- 冷凍保存袋など、密閉できる袋に厚みを出さないよう、平たく入れ、空気を抜いて冷凍します。
野菜を平たく保存袋に入れるのは、厚みがある状態で冷凍をすると、内側の方の野菜が冷凍できないためです。また、平たくすることで立てて収納することができるので、冷凍庫内のスペース削減にもつながります。
保存袋に入れる時に空気を抜くのは、空気に触れないようにすると、風味を損なわないためです。さらに、熱伝導の良いアルミ製のパッドに並べて冷凍したり、保存袋をアルミホイルで包んだりすると、冷気が早く伝わり、急速冷凍に近い状態にできます。
立てて冷凍するときの裏技
冷凍野菜を立てて収納する場合には、アルミ製の、本用の仕切りを使用するのがおすすめです。重ねて収納するよりも、冷凍庫内がすっきりとまとまります。
冷凍に向いていない野菜を把握する
冷凍保存に失敗しないためには、冷凍に向いていない野菜を把握しておくことが大切です。例えばトマトやレタス、キャベツ、キュウリ、モヤシなどです。これらの野菜は水分を多く含んでいるため、冷凍すると食感が悪くなります。
また、ゴボウやニンジン、大根などの根菜類も固くなってしまって美味しくありません。そのため、水分が多い野菜や根菜類は、そのまま冷凍をすることは避けましょう。
ただし、これらの冷凍保存に向かない野菜でも、保存方法によっては美味しく食べることができます。次の項目で詳しく解説するので参考にして下さい。
野菜別冷凍保存の仕方
野菜は、水分量や性質が種類によって違うため、知らずに冷凍してしまうと美味しさが半減してしまいます。ここでは野菜別の冷凍保存の仕方や、ぴったりの調理方法についてお伝えします。
キャベツの冷凍保存方法
キャベツはそのまま野菜室に入れるとかさばりますが、冷凍保存することでコンパクトにできます。丸ごと買った方がお得な野菜なので、冷凍保存の方法を覚えておくと便利です。
生で冷凍保存
- キャベツを洗い、キッチンペーパーでしっかりと水分を拭き取ります
- ザグ切りにして、冷凍保存袋に入れ、冷凍します。
水分が多いキャベツは、解凍後しんなりした状態になります。そのため、味噌汁など、シャキッとした歯ごたえが不要な料理に使いましょう。
茹でて冷凍保存
- 1枚ずつ、湯通しする程度にサッと茹でます
- ザルにあげ、粗熱を取ります。
- キッチンペーパーでしっかりと水分を拭き取ります
- 1枚ずつラップに包み、冷凍保存袋に入れて冷凍します
茹でて冷凍する場合には、キャベツの形が崩れやすいので、茹で過ぎに注意しましょう。冷凍保存した茹でたキャベツは、解凍すると水気が多くなるため、スープの具材や餃子の具材におすすめです。
ブロッコリーの冷凍保存方法
冷凍保存が簡単で、料理に彩りを与えてくれるブロッコリーは、ストックしておくと便利です。普段の食材としてだけではなく、お弁当の隙間埋めにおすすめです。
冷凍保存方法
- ブロッコリーを房ごとに小分けにします
- 塩を少量入れたお湯で30秒ほど茹でます
- 冷水で冷やし、水気をしっかり切ります
- 使いやすい量に分けてラップをし、冷凍保存袋に入れて冷凍します
ブロッコリーは茹ですぎると、料理するときに火が入りすぎてしまうので、少し固いくらいにします。
使いやすい量を冷凍保存袋に入れておき、料理のときに好きな分だけ取り出して、凍ったままシチューやスープに入れて煮込むと便利です。また、バターで炒めて、ステーキやハンバーグなど、肉料理の添え物にしても彩りが豊かになります。
ホウレン草の冷凍保存方法
栄養価の高いホウレン草は、冷蔵するより冷凍保存した方が、栄養素を損ないませんので、生と茹でてからの2種類を冷凍保存しておくと便利です。。
生で冷凍保存
- 流水で洗い、キッチンペーパーでしっかりと水分を拭き取ります
- 冷凍保存袋に、なるべく密閉状態にして冷凍保存します。
茹でて冷凍保存
- ほうれん草を固めに茹でます
- 茹でたほうれん草を5cmほどに切り分け、しっかりと水気を絞ります
- 小分けにし、冷凍保存袋に入れて冷凍します
使う時には、軽く茹でてから水にさらし、絞って使うか、電子レンジで温めて解凍し、水分をしっかりと絞ります。
柔らかくなったホウレン草は、バターソテーやおひたしにすると美味しいですし、凍ったままで味噌汁の具やうどんに入れると手軽に調理できます。
トウモロコシの冷凍保存方法
トウモロコシは時間が経てば経つほど味が落ちてしまいます。すぐに食べない場合、早めに冷凍保存をしましょう。
生で冷凍保存
- ひげと皮をしっかり取ってから洗います
- 水分をキッチンペーパーで拭き、1本ずつラップに包みます
- 冷凍保存袋に入れて冷凍します
茹でて冷凍保存
- トウモロコシを茹でたらザルにあげ、しっかりと水分を切ります
- 熱いうちにラップに1本ずつ包みます
- 粗熱が取れたら冷凍保存袋入れ、冷凍します
冷凍したトウモロコシは、そのまま電子レンジで温めれば蒸しトウモロコシが出来上がりです。
トウモロコシを茹でた後に、粒を包丁や、専用の器具で削ぎ落してから冷凍するのも便利です。粒の状態で冷凍しておくと、バター炒めや、チャーハン、オムライスなどの具材にすることができます。
グリーンピースの冷凍保存方法
意外とかさばりがちなグリーンピースは、冷凍保存しておくとコンパクトに収納できますし、様々な料理の彩りに使えます。
冷凍保存方法
- さやから取り出し、バラバラにします
- 生のまま冷凍保存袋に入れて空気を抜き、冷凍します
調理する際には凍ったまま使用できるので、とても便利です。ピラフなどの炒め物や、煮物の彩り、ポタージュなどに入れると、美味しく食べられます。
玉ネギの冷凍保存方法
冷凍保存した玉ネギは、解凍すると中の水分が抜けだしてシャキッとした食感がなくなってしまいます。そのため、冷凍保存に不向きとされていますが、冷凍することで甘味を凝縮させることがでるので、この性質を利用して料理に使えば、美味しく調理することができます。
冷凍保存方法
- 細かく切ると水気が出やすくなってしまうので、粗めのみじん切りや、厚めのくし切りにします
- 冷凍保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍します
調理する際には、電子レンジで解凍するか、凍ったまま使用できます。甘味が凝縮される性質を利用して、カレーやシチューなどの煮込み料理や、ミートソース、ドレッシングに利用すると、美味しく食べられます。
ネギの冷凍保存方法
料理の材料として、薬味として、ネギが食卓に上がる頻度は比較的多いですが、家庭によっては使う頻度がまちまちなため、うっかり腐らせてしまうこともあります。そのため、冷凍保存で長持ちさせると使い勝手がぐんと良くなります。
冷凍保存方法
- ネギは小口切り、斜め切りにします
- それぞれ冷凍保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍します
小口切りと斜め切りにしておくと、料理に合わせて使い分けることができ、便利です。使う時は凍ったまま調理します。薬味としてうどんやそばに入れたり、チャーハンや味噌汁の具材にしましょう。
大根やニンジンの冷凍保存方法
大根やニンジンは、冷凍することによって、調理の際、生に比べて味が染み込みやすくなるため、調理時間の短縮にもなります。
生で冷凍保存
- 大根、ニンジンを洗って皮をむきます
- 大根は半月切り、いちょう切り、短冊切りなど、使いやすい形に切ります
- ニンジンは乱切りにはせず、スライスか千切りにします
- 冷凍保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍します
茹でてから冷凍保存
- ニンジンを茹でてから冷凍する場合、大きめにカットしたものでもOKです
- 固めに茹でて粗熱を取ります
- キッチンペーパーで水分を除きます
- 冷凍保存袋に重ならないように入れ、空気を抜いて冷凍します
大根やニンジンはすりおろすことでも美味しく冷凍できます。大根おろしは、凍ったままみぞれ鍋に入れたり、魚の薬味として使用できます。
また、すりおろしたニンジンは、野菜が苦手なお子さんにも甘味があって食べやすいです。ハンバーグやポタージュに、混ぜて使用すると良いでしょう。
トマトの冷凍保存方法
トマトはそのまま冷凍してしまうと、解凍した時に崩れ切ってしまうので冷凍保存にはあまり向きません。しかし、トマトは加熱してソースにしてしまえば、冷凍した後も風味が変わりにくいです。ペースト状にすることでパスタソースや、トマトシチュー、カレーの隠し味などに使うことができます。
オリジナル冷凍ミックス野菜の作り方
あると便利なのが、オリジナルの冷凍野菜ミックスです。忙しい時でも冷凍野菜ミックスがあれば、あっという間に一品作り上げることができます。
また、国産の野菜を使って自分で作るので、品質面でも安心して使うことができます。ここでは、育児に仕事に忙しいママにおすすめの4種類をご紹介します。
ミックスベジタブルの作り方
冷凍食品のベジタブルミックスはとても便利ですが、原料に使われている野菜に、国産の物があまりありません。原産地が心配な場合は、自分でベジタブルミックスを作ってみると良いでしょう。
材料
- 茹でトウモロコシをばらしたもの
- 角切りにしたニンジン
- グリーンピースなどの豆類
作り方
- 材料すべてをまんべんなく混ぜます
- 冷凍保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍します
トウモロコシは、コーンの缶詰でも代用できます。完成したミックスベジタブルは、ピラフやスープに使えば、栄養満点のカラフルな料理が完成します。
味噌汁の具ミックスの作り方
味噌汁は体を温める上に、良質なたんぱく質と野菜の栄養素を摂取するのに効率の良いメニューですので、みそ汁の具ミックスを冷凍庫に常備しておくとおすすめです。
作り方
- 油揚げ、ワカメ、長ネギ、きのこなど、味噌汁に入れたい野菜や具を切ります
- 冷凍保存袋に入れて、空気を抜いて冷凍します
味噌汁の具ミックスで、時短で味噌汁が作れる味噌汁の具材セットが完成します。だし汁を沸かし、冷凍した具材を適量入れ、火を通してから味噌を溶けば味噌汁が完成します。
キノコミックスの作り方
キノコ類は冷凍保存するとよりおいしくなると言われています。また、冷蔵の状態だと水分が蒸発して干からびやすいので、冷凍保存がおすすめです。
冷凍保存方法
- 石づきを取り、そのまま容器や袋に入れて冷凍保存します
- えのきやしめじの場合、バラバラにほぐしてから冷凍します
しいたけなどを炒め物に使いたい場合には、あらかじめスライスしてから冷凍すると便利ですし、バター炒めやパスタやグラタン、スープなど洋風の料理に万能に使えるので常備食としておすすめです。
キノコのいい香りは料理を格上げしてくれる上に、しいたけ、しめじ、えのき、エリンギなど、いくつかのキノコをミックスして冷凍しておくと、種類によって違った食感を楽しむことができます。
豆ミックスの作り方
インゲン豆やグリーンピースなど、お好みの豆を茹でずにそのままミックスして冷凍しておくと、スープや付け合わせに使用できるので便利です。火の通りも早いため、凍ったまま炒めたり、茹でたりできます。
上手に野菜を冷凍保存して家事を楽にしよう!
野菜を上手に冷凍保存することで、料理にかかる時間を短縮することができ、安い時にまとめて買って冷凍保存すれば、節約にもなります。さらに茹でたり、下ごしらえをしたりしてから冷凍することで、スペースを取らずに収納できます。
野菜を上手に冷凍保存して料理の時短ができると、家族と過ごせる時間が増え、さらに、家事も時短できれば、育児や仕事で自分の時間がないママでも、自分の時間を作ることができます。
時短家事で育児中もきちんと家事を参考にして、料理も家事も時短にチャレンジしてみませんか?