2026.6.17

ごめんなさいが言えない子ども

「ごめんなさい」が言えない子どもの心理とは?年齢別の理由と親の正しい接し方

子どもの自己肯定感を傷つけずに「ごめんなさい」を引き出す、家庭での正しい接し方5選を紹介。「罰を与える」「恐怖でコントロールする」といったNGな謝らせ方と、子どもの心に響く望ましい声かけを対比表でわかりやすく整理しました。

「ごめんなさい」が言えない子どもの心理とは?年齢別の理由と親の正しい接し方

ごめんなさいが言えない子どもにイライラ!親はどうする?

お友達のおもちゃを勝手に取って泣かせたり、兄弟げんかで手を出してしまったり…。子育てをしていると、子ども同士のトラブルや親の言うことを聞かない場面に日々直面します。親の私たちは「人に迷惑をかけたら謝るのが当然」とわかっているため、真っ先に謝罪の言葉が浮かびます。

しかし、当の子ども本人は、悪いことをしたその瞬間にすぐ「ごめんなさい」と言えないことがよくあります。「ほら、ごめんなさいは?」と促しても、黙って下を向いたり、ふてくされた顔をしてそっぽを向いたり。焦った親がイライラして怒り、泣かせながら無理やり「ごめんなさい」を言わせた経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

頭ごなしに叱ってはいけないと思っていても、実際にトラブルが起きた時、どんな態度で接するのがベストなのか迷ってしまいますよね。子どもがなかなか素直に謝れないのには、必ず理由があります。親が叱らずに、子どもが心から謝ることのできる思いやりの心を育てるためにはどうすればいいのか、一緒に探っていきましょう。

どうして?子どもが「ごめんなさい」と言えない心理と理由

思うように謝れない男の子

ごめんなさいが言えない子どもは、なぜその一言が言えないのでしょうか。親には「意地を張っている」ように見えても、年齢によってその心の中は全く異なります。

【2歳〜3歳】善悪の区別がまだついていない・状況が理解できない

○×の札を持つ3歳児

ブランコで遊んでいるお友達を押しのけて割り込んだ際、親に「謝りなさい!」と叱られても、キョトンとして他の遊びを始めてしまうシーン。

発達の観点から見ると、2〜3歳の子どもはまだ社会的なルールが備わっておらず、本能のままに動く段階にあります。他人の痛みや善悪の区別を理解する力がまだ育ち切っていないため、「自分が悪いことをした」という自覚を持てない行動が出やすく、だからこそ「ブランコは順番なんだよ」と状況を教える関わり方が合いやすいのです。

本人にとっては悪気も理由もなく、「今遊びたいから即行動した」だけなのです。自分がなぜ叱られているのか理解できていない子どもに「ごめんなさい」を強要しても、意味がありません。まずは状況をわかりやすく説明してあげる必要があります。

【4歳〜5歳以上】プライドが傷つく・恥ずかしくて言えない

4〜5歳になると、大人の話の内容も理解できるようになり、物事の分別がついてきます。しかし、自分の気持ちを優先して行動するのは変わりません。

自分が悪いと頭ではわかっていても、大きくなるにつれて芽生えてきた「プライド」が邪魔をして意地を張ってしまうことがあります。「謝る=負け」のように感じて悔しい時、子どもはなかなか謝ろうとしません。また、極度に恥ずかしがり屋の子どもは、人前で自分の非を認めて自分をさらけ出すこと自体に恐怖を感じ、もじもじして言葉が出ないこともあります。謝ることは、大人にとっても子どもにとっても、とても勇気のいることなのです。

【小学生】「自分は悪くない」と納得がいかない

ママに抱っこされても納得いかない子供

小学生になると、基本的な善悪の判断はつくようになりますが、感情任せに行動してしまうことはまだたくさんあります。

同じトラブルでも、幼児期と小学生では謝れない理由が異なります。幼児期は状況理解の不足という段階にあるため無自覚が背景にあり、小学生は「相手にも悪いところがある」という自己主張が育ってくる時期なので「納得がいかない」という不満が理由になっていることが多いのです。

自分からお友達を突き飛ばしてしまったとしても、最初に嫌なことを言ってきたのが相手であれば、「自分だけが悪いわけじゃない」と絶対に謝ろうとはしません。親は世間体があるため我が子を擁護しにくいですが、子どもにとっては「親が一方的に自分だけを悪者にした」と感じ、心を閉ざしてしまいます。

子どもの心を守りながら「ごめんなさい」を引き出す5つの対応

謝る理由が分からずにふてくされる子供と戸惑う親

大好きなママやパパから突然怖い顔で「謝りなさい!」と迫られたら、子どもは逃げ道を失い思考を停止してしまいます。子どもがいけないことをした時、親はどのようにサポートすればよいのでしょうか。

1. 親が怒らずに「起きた事実」を淡々と伝える

我が子の過ちを目撃すると、親はつい感情的になって怒鳴ってしまいがちです。しかし、悪いことをした自覚がない子どもに対しては、起きた事実を起きたままに「淡々と」伝えることが重要です。

感情を込めて「なんてことするの!」と怒ると、子どもは親の怒りや恐怖に気を取られてしまい、本質がわかりにくくなります。「おもちゃを投げたら、お友達に当たって泣いちゃったね」と、真っ白な画用紙に絵を描いていくように、一つひとつ事実を整理して伝えるアクションを取りましょう。

2. まずは親から相手に謝る「お手本」を見せる

幼い子どもに自分のミスを瞬時に理解させ、勇気を持って「ごめんなさい」と言うまで、相手の親子を待たせるわけにはいきません。

理由は何であれ、我が子の非を認めたら、まずは親であるあなたが「痛い思いをさせてごめんね」と心からの謝罪を相手の子と親に示し、その姿を我が子に見せましょう。お母さんが素直に謝る姿を見ることで、子どもの心に「あ、いけないことをしたんだ。謝らなければいけないんだな」という気づきの種が蒔かれます。

3. 子どもの言い分(言い訳)を最後まで聞いて共感する

友達と喧嘩をしてママに相談する女の子

起きた事実を伝えたら、次は「あなたはどうしてそうしたの?」と子どもの声に耳を傾けます。たとえ子どもが100%悪くても、「だって〇〇くんが先に取ったんだもん」といった言い訳を最後まで聞いてあげてください。

発達心理学では「受容と共感」という考え方が知られています。これは自分の感情を他者に受け止めてもらうという現象で、家庭の場面では親に対する安心感として表れます。この理解があると、頭ごなしに否定するのではなく、まずは「遊びたかったんだね」と受け止めるというステップへの向き合い方が変わってきます。

言い分を受け止めてもらえることで、子どもは安心し、徐々に「でも、叩いたのは悪かったな」と相手の痛みを知るプロセスに進むことができます。

4. 親が代弁して謝る、または「一緒に」謝る

子どもがどうしても自分で謝れない時は、ママやパパが本人の代わりに「〇〇ちゃんも、叩いてごめんねって思ってるよ」と代弁してあげます。

小学生低学年以下であれば、「じゃあ、ママと一緒に謝りに行こうか」と手を引いて誘うアクションも有効です。親が横にいてくれるという安心感が、子どもの口から「ごめんなさい」の言葉を引き出す大きなサポートになります。

5. 謝れた時は、しっかり受け止めて褒める

迷惑をかけた相手に素直に「ごめんなさい」が言えたら、その勇気をしっかりと褒めてあげましょう。相手が親である場合も、「素直に謝ってくれてママは嬉しいよ」と気持ちを伝えます。失敗を乗り越えて謝罪できた経験が、子どもの成長への大きな糧となります。

【対比表】やってはいけないNGな謝らせ方と正しい声かけ

子供を叱責する親

親が焦ってやってしまいがちな「効果のない謝らせ方」と、子どもの心を育てる正しい声かけを確認しておきましょう。

やりがちなNGな謝らせ方 子どもの受け取り方とリスク 心を育てる正しい声かけ
「早くごめんなさいは!?」と大声で怒鳴る 恐怖を感じ、思考停止してその場しのぎで謝る 「お友達が泣いているね。どうしたらいいかな?」
「謝らないならおやつ抜き!」と罰を与える 罰を避けるために謝るだけで、本質的な反省にならない 「自分がされたらどんな気持ちになる?」と一緒に考える
双方の言い分を聞かず、我が子だけを一方的に悪者にする 親は自分の味方ではないと絶望し、心を閉ざす 「あなたも悔しかったんだね。でも手を出したのは謝ろうね」
不服そうなのに無理やり頭を下げさせる 謝罪が形だけの儀式になり、本当に反省する心が育たない 落ち着くまで少し待ち、親が一緒に謝りに行く

一般的には、その場ですぐに謝らせることが正しいしつけだと思われがちですが、実際には「心から納得して謝る」方が、将来的な人間関係の構築にはプラスになるのです。なぜなら、心理学でいう「誠実な謝罪」を経験することで相手の痛みを理解するという発達の特徴があるからで、結果的に同じ過ちを繰り返さなくなるという結果につながりやすくなります。大人の体面を守るためだけの「形だけの謝罪(道具的謝罪)」を強要するのはやめましょう。

日常生活の中で「謝れる子」を育てる親の心がけ

子供の話を聞いてあげる親

子どもを素直に謝れる子にするには、日頃の親の行動が何より重要です。子どもは親の姿を映す鏡です。

夫婦喧嘩の後など、パパやママは素直に謝っていますか?

両親が夫婦喧嘩をした時、意地を張らずに互いに「ごめんなさい」と言えているでしょうか。また、親が子どもに対して理不尽に怒ってしまった後、「さっきは言い過ぎてごめんね」と謝罪できているでしょうか。

パパやパートナーと関わり方をそろえると、子どもにとって「間違えたら素直に謝るのが当たり前だ」という安心感につながります。家庭内で「親であっても間違えたら子どもに謝る」という方針を共有しておくと、子どもも変なプライドを持たずに素直に非を認めやすくなるという効果が出やすくなります。子どものためにも、まずは親自身が見本となる行動を示していきましょう。

よくある質問(FAQ)

子どもが謝らないことに悩むママ・パパから寄せられる疑問にお答えします。

Q1:お友達を叩いたのに、絶対に謝ろうとしません。

その場は親が代わりに謝罪し、子どもを落ち着けるために物理的にその場から離れましょう。家に帰ってリラックスした状態で「どうして叩いちゃったの?」とゆっくり聞けば、ポツリポツリと本音を話し出すことが多くあります。子どもなりに「言い返せなくて手が出た」などの理由があるはずなので、まずはそれを受け止めてから「次は言葉で伝えようね」と教えてあげてください。

Q2:悪いことをしていないのに、親の顔色をうかがってすぐに「ごめんなさい」と言います。

これは、過去に親が激しく怒鳴りすぎた結果、子どもが「親の怒りを鎮めるための防衛手段」として謝罪の言葉を多用している危険なサインです。「ごめんなさい」が条件反射のようになっている場合は、親自身の叱り方が厳しすぎないかを見直す必要があります。「怒らないから、本当の気持ちを教えて」と、安心させる声かけを徹底しましょう。

Q3:思春期になって、親に対して全く謝らなくなりました。

思春期に入ると、親に対する反発心から「絶対に自分が悪いと認めたくない」という態度をとりやすくなります。ここで親が力でねじ伏せて謝らせようとすると、さらに激しい衝突を生みます。命に関わること以外は「親はこう思って悲しかった」というアイメッセージだけを伝え、あとは本人が冷静になるのを待つのが正解です。

まとめ:「ごめんなさい」は親子の成長のチャンス!

謝る子供

子どもが「ごめんなさい」と言えない時、親は焦って「しつけがなっていないと思われる!」と世間体を気にしてしまいがちです。しかし、ごめんなさいの言葉は親の体面を保つためのものではなく、子ども自身が相手の痛みを理解し、思いやりの心を育てるためのものです。

カッとなって怒鳴りたい気持ちをぐっと堪え、子どもの言い分に耳を傾けて良い方向に導くプロセスは、子どもだけでなく「親としての人間的な成長」の機会でもあります。たとえ不利な状況であっても、自分の心を親に受け止めてもらえたという経験は、子どもの自己肯定感を大きく引き上げます。

「ごめんなさい」と自分を開示するには勇気が必要です。親の温かいサポートと忍耐があれば、子どもは必ず、人の痛みがわかる優しく強い子へと成長していきます。焦らずに、ゆっくりと親子の対話を続けていきましょう。