母子家庭の生活費の平均額はいくら?必死に節約しています!
母子家庭の生活費にはいくらくたいかかるのでしょうか。母子家庭というくらいなので、もちろん子供が1人以上いるシングルマザー家庭のことです。
総務省の「平成26年全国消費実態調査」によると、18歳未満の子供がいる母子家庭の生活費の平均内訳は以下のようになります。
食費 | 24.5% | 約46,664円 |
---|---|---|
住居費 | 14.4% | 約27,427円 |
光熱・水道費 | 7.8% | 約14,856円 |
交通・通信費 | 15.4% | 約29,331円 |
教育費 | 7.3% | 約13,904円 |
教養・娯楽費 | 8.2% | 約15,618円 |
その他の支出 | 12.7% | 約24,189円 |
家具・家具用品 被服及び履物 保険医療 | 3項目合計 9.7% | 約18,475円 |
これに非消費支出(税金や健康保険料など)25,938円がプラスされて、支出全体では216,402円になります。
母子家庭の収入と支出とのバランスはとれている?
母子世帯の平均収入については、実収入が215,458円(勤務収入181,869円+その他の収入33,589円)というデータがあるので、支出の方が994円多いということがわかります。
毎月千円弱ということは単純に年間1万2千円の赤字となります。「それくらいなら何とかなりそう!」と思う方もいるかもしれませんが、車検や保険の更新、家の修繕費などイレギュラーな支出がある月は赤字も高額になります。
一般的に言えば収支バランスがプラスとなり、毎月一定額を貯蓄に回すことができるのが理想的な家計です。シングルマザーは収入を増やすか、支出を減らすかのどちらかをしないと、「貯金できるお金がない」という状況から一向に抜け出せません。
母子家庭の生活費の内訳シミュレーション
母子家庭といっても子供の年齢や人数も様々であり、生活費にも差があります。母子家庭の平均勤務収入である181,869円で家計をやりくりするための生活費の内訳を子供の人数別にシミュレーションしてみました。
小学生の子供1人の場合にかかる母子家庭世帯の生活費
住居費:5万円までに抑える
小学生の子供が1人であれば狭いアパートに住むことが可能です。公営住宅に入居できれば世帯収入で家賃がきまりますので、大幅に削減できます。
食費:3万円まででやりくりする
男の子の場合は必然的に食費が高めになりますが、母子2人ならこの程度に抑えることも可能です。
食費を減らし過ぎると、体調を崩して医療費がかかってしまうケースもあるので、削りすぎに注意しましょう。
日用品費:0.5万円
食費以外に必要な日用品、洗濯洗剤や台所石鹸、シャンプーやハンドソープ、掃除用具、ティッシュペーパー、ゴミ袋などの費用です。
光熱・水道費:1万円
基本料金によっても差がありますが、節約しても1万くらいは必要です。寒冷地の場合は、冬の暖房費を加算しなくてはいけません。
交通・通信費:2万円
子供の交通費は必要なく、親の通勤にかかる金額とスマホ代、ネット利用代金です。
スマホは格安simの利用により大幅に削減できます。
教育費:2万円
公立小学校の学費と習い事の費用です。ノートやえんぴつなどの学習用品も含みます。
生命保険料:0.5万円
県民共済などの安い保険に母と子供が加入した場合です。
美容・衣服など:1万円
子供の洋服代も含みます。
こだわりがないならもっと安くできますが、母親が営業職や販売職など人に見られる仕事の場合、意外に削りにくい支出でもあります。
レジャー費:1万円
母子家庭だからこそ休日にお出掛けをする機会が多いので、1万円を予算としました。
しかし、削ろうと思えば削れる支出ですので、経済状況によって工夫しましょう。
1ヶ月合計17万円
以上の内訳合計160,000円になり、毎月21,869円を貯金することができます。
子供が1人の場合は比較的支出が少なく抑えられるので、さらに節約すれば貯金額を増やすことも可能です。
小学生と保育園児の子供2人の場合にかかる母子家庭世帯の生活費
住居費:5.5万円
子ども1人の場合より広さが必要になります。やはり公営住宅に入居できれば大幅に削減できる部分です。
食費:3.5万円まで
子供とは言え、1人増えれば食費はかかります。小学校高学年になると大人と同じぐらい食べられる子もいるので、外食はできるだけ控えるか、安いお店などを利用した方が良いでしょう。
日用品費:0.5万円
洗剤、石鹸、ティッシュペーパーなど、子供2人となると消耗品の減りが早くなります。子供たちにも節約を心がけるように教えて、特売時に購入するなど、意識的に支出を抑える必要がでてきます。
光熱・水道費:2万円
1人増えれば必然的に増えるので節約必須です。
リビングで一緒に多くの時間を過ごせば電気代の節約に、一緒にお風呂に入れば水道代の節約になり、絆も深まります。
交通・通信費:1万円
上の子にお留守番をさせたり、習い事の送迎のために、キッズ携帯が必要になる可能性があります。そんな時は格安SIMの利用がマストです。
教育費:3万円
保育園費は所得によって違いますが、認可保育園ならもっと安く済むことも多いはずです。
学童保育は、場所によって費用が違いますが、母子家庭だと自治体によっては助成金があります。
上の子に習い事をさせる場合は、下の子も「やりたい!」と言い出す可能性を考慮しておきましょう。
生命保険料:0.7万円
母親と子供2人分の低価格な掛け捨て保険に加入した場合です。
美容・衣類など 1万円
下の子は可哀想ですが、できる限りお下がりで対応します。他にもリサイクルショップやフリーマーケットなどを利用すると安く済みます。フリマアプリなどを利用し、着なくなった洋服を売るという方法もあります。
レジャー費 0.5万円
節約しやすい生活費なので、ただで遊べる公園、図書館などの公共施設の利用を増やしましょう。兄弟姉妹の年齢差が近いなら、一緒に遊んでくれるのは大きなメリットです。
1ヶ月合計17,7万円
以上の内訳合計177,000円になり、4,869円を貯金することができます。
子供が2人になると教育費がかかるようになるので、外食を控えたり、通信費やレジャー費を節約する必要性が出てきます。
中学校1人と小学校2人の子供3人の場合にかかる母子家庭世帯の生活費
住居費:6万円まで
思春期の子供のことを考えた間取りが必要となります。
食費:4万円まで
食べ盛りが3人となれば日々の食費と外食代金もグンと高くなります。まとめ買いや作り置きなどで節約し、外食は誕生日など特別な行事のときのみした方が賢明です。
日用品費:0.5万円
ティッシュやトイレットペーパー、洗濯石鹸などの消耗が非常に早くなります。掃除は洗剤を使わず、重曹とクエン酸を活用する、不要な布をティッシュ替わりにする、柔軟剤を使用しないなど、小さな節約方法を積み重ねましょう。
光熱・水道費:2万円
思春期の女の子がいる場合は水道代が高くなる傾向がありますが、相談の上で、2万までには抑えたいです。お母さんと1番下の子だけでも一緒にお風呂に入れれば多少の節約にはなるでしょう。残り湯は洗濯や掃除に利用しましょう。
交通・通信費:1.5万円
塾の送迎、周りとの兼ね合いを考えて、上の子にはスマホが必要になるケースもあります。当然格安SIMにし、通信費は節約しましょう。
教育費:2.5万円
3人共公立の場合です。中学生になれば塾の代金も高くなりますので、受講は苦手科目のみに絞る、通信教育を利用するなど、費用対効果を考えて選択していかなくてはいけません。他にも、支援制度などを上手く利用して節約します。
生命保険料:1万円
母親と子供3人が県民共済や掛け捨ての保険に加入します。
美容・衣類など:1万円
女の子がいる場合は大変ですが、リサイクルショップなどを利用して節約します。下の子2人が小さいうちは、子育て支援センターなどの施設で無料で洋服を配布していることもありますし、親戚やママ友などからおさがりをお願いするなどした方が良いでしょう。兄弟間でのおさがりは必須です。
レジャー費:0.5万円
小学校高学年になれば友達と遊ぶ機会も増えてくるので、毎週末出掛ける必要もなくなり、節約しやすくなります。年齢差にもよりますが、3人いれば兄弟姉妹で遊ぶ機会も多いので、出かける場所はあまり問題でなくなります。
1ヶ月合計19万円
以上の内訳では190,000円になり、8,131円の赤字になります。
子供が3人の場合はかなり節約しても平均勤務収入では厳しいので、手当や養育費に頼る必要性が高くなってしまいます。
母子家庭世帯に限らず生活費の中で一番比重が高い住居費
母子家庭の住宅事情は様々ですが、住居費は生活費の中で高い割合を占めています。
それぞれの住宅別に必要な費用を比べてみました。
公団や公営住宅は収入で家賃が決まる
公団や公営住宅は基本的に抽選によって入居が決まります。抽選の回数や時期は各自治体によって様々ですが、中には母子家庭などが当選しやすいように優遇してくれる地域もあります。
家賃は収入によって決まるので、通常の賃貸物件とは違い、格段に住宅費を抑えることが可能です。ただし、新築の公団である場合は割高になる傾向があり、都心では10万円もする物件もあります。
賃貸物件は母子家庭だと住宅補助金が出る自治体も
民間の賃貸物件の家賃は、お住まいの地域や条件、広さによってかなり違いがあります。しかし母子家庭の場合は一定の条件を満たしている場合に「住宅補助金」を受給できる自治体もあるので確認してみましょう。
家賃は4万円~10万円の間が最も多く、地域にもよりますが、やはり4万円以下となると築年数が古く、手狭な環境となる可能性もあります。
賃貸物件を借りる時は毎月家賃の支払いができる収入があることを証明する必要があり、保証人も必要です。最近は保証会社に保証金を払うことで契約できる場合もありますし、保証金を補助してくれる自治体もあります。
持ち家の場合はローンがネックに
シングルマザーになるまで住んでいた持ち家に継続して住む場合、住宅ローンが完済されていれば支払いは発生しませんが、まだ残っている場合は元夫か自分が支払わなければいけません。自分が支払う場合、ローン名義が元夫になっている場合は名義変更が必要になります。
離婚の原因によっては慰謝料を支払ってもらえることもあり、それを当面の住宅ローンに充てることもできますが、養育費の支払いも滞る場合が多い世の中で、多額の慰謝料を支払える人はほんの一握りしかいません。
毎月のローン返済金額は人それぞれですが、平均すると4~7万円になります。賃貸物件の家賃と同じくらいの金額なら、将来自分の財産となる持ち家に住み続けるという選択をするシングルマザーもいます。
実家に住む場合は児童扶養手当の受給資格に注意
住宅費を抑えるために実家に戻るシングルマザーは非常に多いですが、実家暮らしの場合は「児童扶養手当」の受給がされないケースもあり、世帯全体の収入で決まる保育料も高くなる可能性があります。
しかし時間を気にせず仕事が出来るというメリットは大きく、仕事の選択肢や収入を増やせる可能性は高くなるでしょう。
実家暮らしだから住宅費は0円とは限らず、家賃代わりに1~3万程を食費として入れているなど、親との話し合いは必須です。
シェアハウスは母子家庭に人気が出てきている
ここ数年で母子世帯の住居として増えたのがシェアハウスです。同じ母子世帯との生活は子供にとって環境が良く、同じ悩みを持つ話し相手がそばにいるというのは、シングルマザーにとっては心強く感じられます。
家賃は5~7万円が相場ですが、共同で使う日用品は管理会社側が用意してくれるので、生活費が安くなるというメリットがあります。また学校から帰ってきた子供の面倒を見てくれるシッターサービスがあるシェアハウスもあります。
母子アパートは生活費を抑えられるので人気!
公営住宅と同じく抽選で入居が決まりますが、自治体によってはひとり親家庭を始め高齢者や障害者を優先してくれます。家賃は物件や所得によって違いますが、中には1万円台の物件もあり必然的に倍率は高くなります。
母子家庭でも絶対かかる子供のための教育費はいくら必要か?
母子家庭で必要不可欠な生活費が「教育費」です。子供1人を高校卒業させるためにかかる費用は1千万とも言われますが、実際はどのくらい必要なのでしょう?
文部科学省「子どもの学習費調査」(平成26年度)によれば年齢別にかかる教育費は以下の通りです。
幼稚園 | 公立 | 222,264円 |
---|---|---|
私立 | 498,008円 | |
小学校 | 公立 | 321,708円 |
私立 | 1,535,789円 | |
中学校 | 公立 | 481,841円 |
私立 | 1,338,623円 | |
高校 | 公立 | 409,979円 |
私立 | 995,295円 |
母子家庭世帯が利用できる教育費に関する支援
低所得で教育費を払う余裕がないという方のために設けられた支援もいくつかあります。
就学援助(小学校・中学校)
母子家庭だけではなく低所得世帯を対象とした就学支援で、年々受給者が増えています。教材費、校外活動費、給食費などが対象となりますが、支給されるのは支払いが終わってからになりますので、支払い時はとりあえずのお金が必要になるというのがネックだという意見もあります。
高校生等奨学給付金
前出の「就学支援制度」の高校生版で、こちらも低所得世帯が対象となります。制服代、校外活動費、文具、参考書など、高校生となればかかる金額も増えるので、少しでも支援金が出ると助かります。
支給額は非課税世帯の第一子の場合、公立高校で年間37,400円、私立高校で年間39,800円となります。
高等学校等就学支援金
平成26年4月以降の入学者を対象に、公立高校の授業料の負担をなくす制度です。上限年収がかなり高め(年収910万円程度)に設定されているのでほとんどの家庭が対象となります。
私立高校も対象となっていますが、支給限度額は年間119,880円(月額9,900円)になるので、タダになるというわけではありません。
様々な奨学金制度
奨学金と言えば「日本学生機構」が有名ですが、それ以外にも自治体や民間支援団体などが独自の奨学金制度を設けています。
例えば「りそな銀行」による奨学金制度はひとり親又は両親がいない高校2~3年生を対象としていて、公共機関の奨学金との併用も可能です。金額は年間18万円になりますが、学校を通しての申し込みになり、成績の他に生活態度なども考慮されます。
「公益財団法人 日本教育公務員弘済会」は全国に支部がある財団法人ですが、経済的な問題で学費の支払いが困難である高校生を対象に「給付型奨学金」(上限50万円)制度があり、多くの高校生が利用しています。
母子家庭やひとり親世帯が対象の貸付という選択肢
日々の生活費のことを考えると頭が痛いシングルマザーですが、支援制度の他にも貸付を利用して低金利、又は無金利でお金を借りることができれば、いざというときに助かります。
無利子が可能な「母子父子寡婦福祉資金貸付金」
各自治体によって管理が行われている貸付制度で、ひとり親家庭の経済的自立と児童福祉を推進する目的で制定されました。条件は自治体によって異なりますが、ひとり親であることが条件で、所得制限が設けられています。また連帯保証人を立てれば無利子になります。
生活費や修学資金、事業開始資金、医療介護資金、結婚資金など様々な資金に利用できるというメリットはありますが、申し込んでから受給できるまでの期間が長いというデメリットもあります。
母子家庭や低所得世帯が対象の「生活福祉資金」
生活福祉資金は、母子家庭に限らず低所得者、高齢者、障害者が無利子、または低利子で利用できる貸付制度です。事務的な手続きではなく、福祉課の相談員との話し合いの中で総合支援金、教育支援資金、福祉資金、不動産担保型生活資金の中から自分に合った貸付を決める方法が一般的です。
生活費には使えない!日本政策金融公庫(教育ローン)
国が運営する融資を専門とした金融機関から、教育費に限って固定金利2.05%、返済期間最長15年で貸付を受けることができます。
一般的な金融機関よりも審査が通りやすく、年収200万のシングルマザーでも審査が通る可能性があります。ただし生活費ではなく、あくまでも子供の「教育費」のみに限られます。
母子家庭世帯ならではのかしこい貯金術
厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査」によれば、母子家庭の貯金事情は「貯金がない」28.7%、「貯金がある」68.9%となっています。
「貯金がある」の内訳としては50万円以下が18.6%と一番多く、次いで100~200万円の8.2%です。ちなみに児童のいる一般家庭の貯金額は500~700万円の10.4%が一番多いという結果になっています。
日々の生活が苦しいシングルマザーにとって、貯金をするのは用意なことではありません。しかし、子供の学費はもちろん、自分が病気をしたときなど、いざという時の貯金があるのとないのとでは、精神的な負担も大きく違います。効率の良い貯蓄方法をいくつかご紹介します。
貯金専用の口座を作って臨時収入は全て入れておく
口座をいくつも持っていると家計管理がしにくくなります。毎月の収支用の口座のみでは貯金しにくいので「貯金専用」の口座を作りましょう。
児童手当や臨時の収入は貯金専用口座に振り込まれるようにして、さらに毎月貯金する額を決めて自動的に引き落とされるような仕組みにするとベストです。生活費が余ったら貯金するのではなく、先取り貯金をして、残りの金額を生活費とします。
慣れるまでには時間がかかるかもしれませんが、不思議なことに人間には適応能力があり徐々にそれが普通になってきます。確実に増えていく貯金通帳を見れば、貯金が楽しくなります。
母子家庭世帯に至急される児童扶養手当には手を付けない
母子家庭が受給できる「児童扶養手当」は最大で月額4万円にもなるので、手を付けないとなると生活に影響が出る家庭も多いでしょう。しかし、月額1万円~1万5千円の「児童手当」ならなんとか手を付けずに貯金に回すことも可能ではないでしょうか?
1年間で12~18万円貯金できるとなれば10年間で100万を超える金額になるので、子供の教育資金に充てることもできます。
節約を徹底して生活費から貯金にまわそう
「今でも十分に節約している!」と思っていても、実はまだまだ削れる生活費はあるはずです。
以下のような節約方法を実施しましょう。
- 電気料金の安い時間帯の利用する
- おふろの残り湯を再利用する
- 格安SIMの利用はマスト
- 保険料を見直す
- 公共料金の支払いなどはカード払いにしてポイントを貯める
母子家庭の生活費は節約につとめて改善の余地あり!
母子家庭として生活をするには、経済的にも精神的にも苦労が付き物です。一家の主となったシングルマザーは子供のためにも安定した生活を送るために最大限の努力が必要です。
生活費については様々な支援制度を利用したり、今までの生活を見直したりすることで改善することは可能なので、計画的に貯蓄することを前提とした賢い消費生活を心がけましょう。