お泊り保育の活動内容

お泊り保育が不安なママへ~元保育士が解説する活動内容

お泊り保育とはどんな行事?ねらいや活動内容、お泊り保育に子供を送り出すときの注意点を元保育士が解説します。お風呂やおねしょなど、親としても子供の初めてのお泊りは不安なことだらけです。しかし、親子でその不安を乗り越えたとき、きっと子供の成長を実感できるでしょう!

お泊り保育が不安なママへ~元保育士が解説する活動内容

お泊り保育とはどんな行事?

お泊り保育とは、幼稚園や保育園に通う子供達が親元を離れ、園内や施設に宿泊する行事です。年長クラスで行うことが多く、お泊り保育がお母さん、お父さんと離れて過ごす初めての外泊という子供も多いのではないでしょうか?

初めて我が子をお泊り保育へ送り出すお母さん、お父さんへ。お泊り保育のねらいや内容、持ち物などを元保育士がご紹介します。

お泊り保育のねらいは、自立心を育て、自信を得ること!

お泊り保育の1番のねらいは、親元を離れて宿泊をすることで自立心を育て、自信につなげることです。日中は、幼稚園や保育園での生活習慣が身についている子供でも、自宅では親に頼ったり、やってもらうことが多いものです。

しかし、親がいない状況の中では、自分で出来る事はやらなければならない状況になります。その環境は、子供の自立心を育て、お泊り保育をやり遂げたという経験が自信に繋がります。

友達と協力をする中で仲間意識を育て、信頼関係を深めるきっかけともなります。また、早寝、早起きや決められた時間に食事をするなど、規則正しい生活習慣を学ぶというねらいもあります。

お泊り保育の場所

保育園の前で子供と手をつなぐ

宿泊場所は、園舎内で行う場合と、園外の宿泊施設を借りて行う場合があり、それぞれにメリットがありますが、園舎内で行うことが多いです。

幼稚園・保育園内に宿泊するメリット

園内で宿泊をする場合には、日中に動物園や水族館、公園などに出掛け、夕方に園舎に戻って宿泊というように、遠足的なお楽しみ要素を取り入れる園が多いです。

昼間はいつもと違う環境で過ごすものの、夜は慣れ親しんだ園舎での宿泊なので、園児が安心できるというメリットがあります。

園外の施設に宿泊するメリット

園外の宿泊施設では、キャンプ場の近くにログハウスを借りて宿泊をしたり、幼稚園、保育園専用の合宿施設がある場合もあります。

キャンプ場や合宿施設の場合には、いつもとは違う雰囲気の中で、たくさん自然に触れ合えるというメリットがあります。

お泊り保育の時期は、年長の夏が一般的!

夏の公園で駆け回る園児たち

お泊り保育は、年長の7月から8月の夏休み中に行う園が多いです。

保育園では夏休みはありませんが、夏は薄着で荷物も少ないですし、寒い季節に比べると体調不良の子供も少ないのが理由です。

期間は1泊2日が大半。初めて外泊する子供への負担が少なくなるように配慮されています。幼稚園・保育園最後の夏ですから、思い出に残る子が多いでしょう。

お泊り保育の費用

お泊り保育の費用は、月々の保育料とは別料金として支払います。園によっては、積み立てとして月々の保育料に上乗せされるという場合もあります。

園内に宿泊をする場合は、夕食費とお風呂代(銭湯代)などで、平均して2,000円くらいの園が多いようです。通園バスのない保育園で、バスで日中出掛けるという場合にはバス代も必要になります。

園外に宿泊をする場合には、宿泊する施設によって料金は様々で、1万円前後から2万円ほど掛かるという園もあります。

お泊り保育の内容!子供たちはどう過ごすの?

お泊り保育は、いつもの保育とは違う楽しみがたくさん用意されています。
園内で行う場合には、昼間の保育として水遊びをしたり、バスに乗って動物園や水族館に行く。少し遠い公園まで歩いていくという園もあります。

園外で行う場合には、宿泊施設の周りでハイキングをしたり、虫を捕まえたりと自然に触れ合える経験ができます。木登りに挑戦をしたり、木や葉っぱを使った工作をするという園もあります。

標準的なスケジュールや気になる食事やお風呂、子供達が楽しみにしているイベントについてご説明します。

お泊り保育1日のスケジュール

並んで立つ園児達

気になるお泊り保育の1日のスケジュールを確認してみましょう!園に子供を送り届けたあとはどんなことをしているのでしょうか。

AM8:00 登園・集合
午前登園の場合は、いつもの登園時間と同じくらいに保護者と一緒に登園します。バス通園の子供もお泊り保育の日は保護者と登園です。出席確認をしたらお母さん、お父さんとしばしのお別れです。

AM9:00 目的地へ出発・午前の活動開始
園外に宿泊する場合は、バスなどに乗って早速出発します。
園内宿泊の場合も、園外保育(動物園や水族館など)に行く場合には出発します。園内で過ごす場合は、水遊びなどの午前の活動が始まります。

PM12:00 昼食
1日目の昼食は、保護者がもたせた各自持参のお弁当を食べるのが一般的です。お弁当を食べたら午後の活動に映ります。

PM1:00 園内宿泊の場合は、園へ戻る
園内宿泊で園外保育に行く場合は、お弁当を食べて少し遊んだら帰りのバスで園に戻ります。
園外保育で、キャンプ場などに入る場合は、そのまま自由遊びです。

PM3:30 夕食作り
カレーなどの夕食作りを子供たちは体験します。

PM4:30 入浴
夕食作り後は、一度みんなでお風呂に入ります。

PM5:30 夕食・夜活動
みんなで夕食をとります。夕食後には、お泊り保育ならではの夜の活動が待っています。
花火やキャンプファイヤーなど、子供たちにとっては楽しい時間です。

PM9:00頃 就寝
楽しい1日目が終わり、皆で一緒に就寝です。

2日目は起床後に体操などで身体を動かし、みんなで朝食を食べます。
朝食後に保護者のお迎えでお泊り保育終了となります。

午後登園のケース

午後登園するお泊り保育は、15時頃に集合する園が多いです。園外保育には行かずに、園内で過ごします。出席確認をしたら、早速夕食作りです。

その後のスケジュールは、午前登園の場合とほぼ同じですが、2日目の降園が少し遅くなり、朝食後に午前の活動をしてから降園という園もあります。

この午前活動の際に、少し遠い公園まで歩いていくなどの園外保育を取り入れる場合もあります。

食事は子供達の手作りが基本!

食事を自分達で作り食べる子供達

1日目の昼食は各自持参のお弁当ですが、夕食は自分達で作った夕食を食べます。メニューはカレーライスやサラダなどが一般的です。先生に教わり、友達と協力しながら作った夕食は、いつも以上に美味しく感じるでしょう。

2日目の朝食は、サンドイッチの具を自分で選ぶバイキング形式や、おにぎり作りが人気です。簡単ではありますが、最後まで子供達が楽しめる様に工夫をしている園が多く見られます。

自宅だと食べない物でも、自分で作ったり、友達と一緒だと意外に食べる子は多く、お泊り保育をきっかけに好き嫌いがなくなるケースがあります。

お風呂は銭湯か園内で!

銭湯

ほとんどの幼稚園では近くの銭湯などの大衆浴場を利用します。保育園には、子供が何人かずつ入れるお風呂が設置されている場合もあります。園外に宿泊する場合は、宿泊施設のお風呂を使用します。

「自分で洗うことが難しいのでは…」という不安を持つ保護者もいますが、もちろん先生も一緒に入浴し、援助をしますので心配いりません。

親が近くにいないことで、自分でやってみようと挑戦する子供もたくさんいいます。友達と一緒に入るお風呂に子供達はとても喜びます。

お泊り保育で開催されることの多いイベントとは

お泊り保育は親元を離れて寝泊りするだけではなく、メインとなるイベントが組まれています。イベント内容は園によってさまざまな内容が企画されます。

園外保育では自然の中で過ごしたり、動物園などに出かける

園外に宿泊する場合は、ハイキングなど自然と触れ合う時間が多くなります。
園内に宿泊して、園外保育を行う場合に多い場所は、動物園や水族館、博物館などに出かけます。

園内で過ごすだけでも、内容には一工夫あり

スーパーボールすくい

園舎や園庭などでしか過ごさない場合でも、お泊り保育ならではのイベントを行う園が多く、子供たちが楽しめるような工夫がなされています。

夏ならではの遊びとして、水遊びやすいか割り、集団でおこなえるゲームなどをします。
近隣のお店へ子供達が夕食の買い出しに行くという園もあります。もちろん先生が付き添いますが、お金を払って品物を購入する良い体験となります。

お泊り保育の醍醐味、夜のイベント

夕食後の夜の活動としては、キャンプファイヤーや肝試し、夜の園舎探検など、いつもは入れない夜の幼稚園、保育園を満喫するイベントを行います。

肝試しなどは子供が怖がるのでは…と心配する保護者もいますが、その後の就寝に向けて怖がらずに楽しめる工夫がされています。

お泊り保育でお母さん、お父さんが不安に感じること

子供の心配をする母親

お泊り保育に我が子を送り出す時には、保護者として必ず不安に思う部分があるものです。その中でも、お母さん、お父さんが特に不安に感じることが多い点についてお答えします!

おねしょする子はどうしたらいいの?

年長クラスでは日中は問題なくトイレで排泄ができるけれど、夜中のオムツがとれていないというお子さんがまだいる時期です。ほとんどおねしょをすることはないけれど、月に1,2回は出てしまうので、お泊り保育中に出てしまうことが心配という保護者の方も多くいます。

しかし、心配をすることはありません。保育士や幼稚園教諭はお泊り保育中のおねしょ対策のプロです。毎年必ず相談にくる保護者の方がいますので、その子供に合わせた対応をします。

自宅でオムツで眠っている場合

オムツを触る幼児の手

ほとんど毎晩出てしまい、自宅ではオムツにしているという場合には、他の子供に見えない場所でオムツに着替えられような配慮をします。

オムツを履いているところを見られると、子供のプライドが傷つくことを先生たちはわかっています。保護者の方も、子供の持ち物の中にオムツを入れるのではなく、先生に事前に渡しておくなどの対応をとりましょう。

時々おねしょをしてしまう場合には

オムツでは寝ていないけれど、時々おねしょをしてしまうという子供の場合には、夜中に1回起こしてトイレに連れて行きます。保育士や幼稚園教諭は夜中の間も必ず順番に起きていますので、問題ありません。それでも不安な場合には、子供が寝てからおねしょパッドを敷く場合もあります。

おねしょで悩む保護者の方はたくさんいますが、事前に相談をすれば子供に合った対応をしてくれます。

もし幼稚園、保育園の方から提案がない場合には、ご説明した方法をお願いしてみて下さい。子供のプライドを傷つけずに乗り切ることができます。

1人では眠れないのではないかと心配

年長クラスでは、親と一緒に寝ているという子供が大半です。当然、保護者の方は「親がいない状態で眠れるのかしら?」と心配します。

泣き出す子もいますが、最後はみんな眠ります

実際に、日中は友達や先生と楽しく遊んでいても、夜になるとお母さんやお父さんが恋しくなってしまい涙を見せる子供もいます。しかし、保育士や幼稚園教諭にとってはそれも予想の範囲内。子供の寂しい気持ちに寄り添って、しっかりと対応をします。

眠れるまで手を握ったり、落ち着くまで傍で子守唄を歌ったり、どうしても泣き止めない場合には抱っこで眠る場合もあります。日中の活動の疲れもありますので、涙を見せた子供も意外とすぐに眠ってしまいます。

お母さんやお父さんがいなくても眠れたという経験は、子供の大きな自信に繋がり、自宅で1人で眠るきっかけにもなります。

お泊り保育の注意点

リュックサックに水筒を入れる女の子

お泊り保育に必要な持ち物や、準備や当日の朝に気を付けたい保護者の方の行動を説明します!

必ず子供と一緒に準備する

お泊り保育の準備は必ず子供と一緒に行いましょう。親が準備をしてしまうと、どこに何が入っているのかが分からず、お泊り保育中に子供が困ります。

また、お泊り保育のねらいは、自立心を養うためでもありますから、準備を親が全部やってしまうのはおすすめできません。

着替えや洗面道具など、ビニール袋の外側にイラストを描いたり、ジップロックやファスナー付きの袋などに入れてあげてください。子供が自分で出し入れができるように、少し大きめの入れ物が便利です。

お泊り保育の持ち物

普段幼稚園や保育園で使っている物は必ず必要です。
園帽子、ハンカチ、ティッシュ、連絡帳、シール帳、コップ、お弁当セット(はし、スプーン、フォークなど)、歯ブラシ、水筒、お弁当です。

では、お泊り保育に必要な物を確認しましょう。

お泊り保育に必要な物

  • 着替え・靴下(汚れた時のために2セット)
  • 下着(2セット)
  • パジャマ
  • 布団(掛布団は必須。敷布団は園によって違います)
  • バスタオル
  • お風呂用タオル
  • 汚れ物袋

活動内容によっては必要なもの

  • プールセット(水着、プール帽子、タオル)
  • 夕食作りに必要なもの(エプロン、三角巾、マスクなど)

その他に、幼稚園や保育園から健康調査票が配布され当日に提出する場合もあります。常備薬やバスを利用する際の酔い止め薬などは、園に必ず相談をしましょう。

子供をお泊り保育に送り出す時の心構え

お泊り保育の登園時には、心配そうな顔をした保護者の方がたくさんいます。我が子と初めて一晩離れることに、子供よりも親の方が寂しくなってしまう気持ちはよく理解できます。

しかし、お泊り保育は楽しいイベントです。不安に思うことは前日までに園に相談をして、当日は必ず笑顔でお子さんを送り出してあげて下さい。直前まで持ち物のことなどを子供に言って聞かせたい気持ちは分かりますが、前日までにしっかりと準備をしていれば大丈夫です。

子供が親元から離れ、初めて友達と過ごすイベントを楽しめるよう、当日は「楽しんできてね」とお子さんの背中を押してあげて下さい!

お泊り保育を経験したことで感じる子供の成長

お泊り保育を終えた子供達は、どの顔も自信に溢れています。お母さんやお父さんがいなくても眠れた、自分でご飯が作れた、身の回りのことを自分でできたという全ての経験が子供の自信に繋がります。

しかし、いつもとはちがう環境で疲れていることも事実です。お子さんを迎えに行った時には、ぜひ「おつかれさま」と思い切り抱きしめて、頑張りを労ってあげてください。

お泊り保育での成長は、その時だけで終わりではありません。夕食作りに自宅でも挑戦したり、少しずつ1人で眠れる環境を整えてあげることで、更なる成長に繋がるはずです!