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反抗期がないと将来が心配?

反抗期がないと将来が心配?思春期の子供の心を守るには

反抗期がない中学生・高校生…思春期の子供に反抗期が訪れないと将来にどんな影響がある?第二次反抗期が起こる理由と反抗の意味、最近の子供達が反抗しない原因を解説。また、それによりどのような問題がおこるのか…反抗期がないことにより子供の心の成長に与える影響についても説明します。

最近、急増傾向にある『反抗期』のない子供

皆さんは中学・高校生の頃『反抗期』を経験しましたか?
親のことをうるさく感じた、ほっておいてほしいと思っていた、など、身に覚えのある方も多いのでは?ところが最近、反抗期のない子供が増えているのだとか…。
親としては反抗期がなければ余計ないざこざも起きずに、ストレスがなくて楽だわ、と思いますが、逆に、反抗期を経験しなくても成長に影響はないの?と心配にもなりますよね。

どれくらいの子供が反抗期がない?

では、具体的には、最近の反抗期事情はどうなっているのでしょうか?
NHKが今年、番組で大学生300人に行ったアンケートでは、なんと54.7%もの人が「自分に反抗期はなかった」と回答しています。
最近の思春期の子供たちは親との関係も良好なようで、30年前のデータでは、『困ったことや悩み事』があったときに「友達に相談する」子供が62%だったのに対し、今の子供は42%に減少。
逆に「お母さんに相談する」が30年前の20%から38%へと倍増しているのです。

どうして反抗期に親に反抗しなかった?子供たちが反抗できなかった理由

思春期の子供といえば、多少なりとも親に反抗するもの。男の子ならお母さんに向かって「クソババア」などと言ってみたり、女の子なら「お父さんの洗濯物と一緒にしないで」と毛嫌いしたり…というのはよく聞く話ですよね。

では反抗期がないという子供たちは、どうして親に反抗しないのでしょうか?もしくは反抗できない理由があるのでしょうか?

自己主張ができず反抗心を押さえつけられている

第一のパターンは、子供が家庭内でうまく自己主張ができないケース。
成長に伴って子供の思考や意思も一歩一歩育ち、一人の人間として段階的に精神的に自立をしていきます。自分がこうしたいという明確な意思があるからこそ、自分の意見を通そうとして親と意見が対立し、反抗するという行動に出ることになります。
ところがその自己主張ができないと、親に対する反抗心を心の中で押さえ込むことになります。

自己主張ができない理由

子供が家庭内で自己主張ができていない場合には、いくつかの理由が考えられます。

意見を言っても意味がないと思っている

「自分はこうしたい」と子供が言っても、もし親が頭ごなしにそれを否定したら、子供はがっかりするでしょう。
「野球チームに入りたい」「それよりサッカーにしなさいよ」「学級委員に立候補したいと思っている」「勉強の妨げになるから、やめておきなさい」、こんなやり取りが続くと、次第に子供は、自分の意見を言っても、結局、言い返されたり否定されたりするので、何を言ってもムダだ、とあきらめるようになってしまいます。

親を悲しませたくないから反抗しない

家庭内で子供が自己主張ができないのは、親をがっかりさせたくない、悲しませたくない、という気持ちが原因の場合があります。自分が親と違う意見や反対意見を持っていることで、がっかりされると思うと怖くなってしまう子もいます。

親に見放されたくなくて自己主張できない

そもそも子供が親に反抗できるのは、親を心から信頼し自分が反抗しても親は自分を愛してくれるという絶対的な自信があるから。
親の愛情に自信がなければ、子供は親と違う意見を言ったことにより、愛想をつかされ排除されるのでは?という不安で、それ以上自己主張することはできなくなってしまいます。

親が子供の反抗期に気づいていない

一方で、子供なりに反抗していても、親からそれが見えていないだけのこともあります。

例えば、おとないしい子供と変にポジティブな親のケースでは、反抗期を迎えて今までより自己主張していたり態度に変化があっても「最近、少し変わったわね?」「ちょっと大人っぽくなったみたい」程度で済んでしまうことも。

また、下に小さな兄弟がいて親が大変そうだったり、仕事で忙しかったり、放任だったりとさまざまな理由で、親が子供の反抗期に気が付かないこともあります。

親と子供で価値観が同じ

昔は、親とは怖い存在でしたが、近年は友達感覚の親子も増え、親子関係にもずいぶんと変化があるようです。子供が成長するにつれて親と価値観がズレてきて反抗するはずが、親子の距離があまりに近くて価値観も同じだと、子供は反抗する理由がありません。
親のほうも、昔の親と比べると年齢の割に見た目も精神的にも若いので、中学生・高校生の子供と一緒に、スポーツをしたりアイドルのコンサートに行ったりする人も多いですよね。

このように価値観が近い親子の場合にも、良好な関係を築くことができ、反抗期にならない子供も多いようです。

子供の主張がある程度認められている環境

子供がある時期になれば自己主張を始めるのは当然のこと。今までは親に頼っていた子供が自分の考えで行動しだすのは、成長を実感できるうれしい変化と言えます。そのときに親がきちんと子供の意見を聞き、子供の考えを尊重して見守ってあげることができれば、子供は安心して果敢に冒険していけるでしょう。

絶対的NGにも納得のいく解決がなされている

ですが、もし子供の主張が危険を伴うことだったり犯罪につながりかねないなど賛成できない場合には、親子でしっかりと話し合って、子供が納得いくように解決するべき。
よっぽど間違っていることでなければ、親は自分の意見も認めてくれると思えば、子供は反抗するという形で自己主張をする必要がありません。

子供に反抗期が訪れないのは『親』に問題があるから?

子供の反抗期は子供自身の成長の証ですが、周りの環境にも大きく影響されます。反抗期がない子供の場合、その原因が親にあるケースも見受けられます。

親が過干渉タイプ

「次はこれで遊んだら?」「そのやり方より、こうやったほうがいいわよ」と、小さいときからいちいち子供の行動に口を出してきたら、子供はすべて親の言いなりで行動することに慣れきってしまいます。

このように親が子供を支配する過干渉な環境で育った子供は、自分の意見を持っていなかったり、意思はあっても伝えられなかったり、どうせ言ってもムダだ、とあきらめてしまったり、自己主張をしない子供になってしまう危険性があります。

甘やかしタイプ

親に反抗するのは、自分がやりたいことと親が子供に望むことにズレが出始め、お互いの意見がぶつかるから。

しかし、親が徹底的に子供を甘やかすタイプだったらどうでしょう?子供が欲しがるものは何でも与え、やりたがることは何でもやらせていたとしたら…なんでも我慢を強いられることがない子供の思い通りになる環境に満足していたとしたら、子供は親に反抗する必要がありません。

無関心タイプ

親が仕事で忙しい、極度の放任主義などで、親子の関係が薄く、親と子の接点が少ないと、お互いがぶつかる機会もなく、反抗することもできません。

反抗期(第二次反抗期)はなぜ訪れる?思春期の変化と反抗期の意味

『反抗期』と聞くと、子育ての中でも特に難しい時期であり、親としては憂鬱になってしまいますが、実は反抗期は、子供の成長過程で重要な意味を持つものです。
ここでは反抗期はなぜ起こり、どんな意味があるのかをみていきましょう。

第一次反抗期と第二次反抗期

子供が生まれてまず最初に直面する反抗期が、俗に『イヤイヤ期』と呼ばれる2歳頃の時期。活発に動き回るようになり、だいぶ自分でいろいろなことができるようになるこの時期は、『第一次反抗期』とも呼ばれ、子供は何でも自分の思うようにやってみたがりますよね。人生で最初の本格的な自己主張だといえるでしょう。第一次反抗期は3歳をすぎると収束していきます。

そして思春期になると、次のステップである『第二次反抗期』がやってきます。時期には個人差がありますが、大体小学校高学年から高校生くらいまで。中学生時代がいちばんひどかった、という人が多いと思います。

反抗期は、今までは大人の庇護の下で生活していた子供が自立していくための大切なステップ。「最近、反抗的で・・・」と文句を言う前に、反抗期がなぜ成長過程で欠かせないのか、じっくりと考えてみてほしいところです。

第二次反抗期は『自立期』

子供はみんな、もともと親が大好きで甘えていたいと思っています。でも一生ずっと親と一緒にいられるわけではありません。親大好きな子供が自立するために、ある時期になると無意識に親のアラ探しを始め嫌いになるような態度を取るようになります。
これにより両親に強い不満を感じるようになったり、距離をとるようになったり、反抗的になったりするというわけです。

動物の親も、時期が来るとある日突然我が子をつき離すようになるように、人間も親から自立するための機能を備えているのですね。

反抗期がないことによる問題

子供が自立する上で、本来は必要であるはずの反抗期。
反抗期が訪れないことをいいことに安心もできませんが、かといって『反抗期がない = 問題』というわけでもありません
ただし、なぜうちの子は反抗しないのか、その理由と原因を考えてみる必要があります。

反抗期がないことが問題ではない場合

反抗期が訪れない理由が、上記で述べたように「親と価値観が全く同じなので反抗する必要がない」であったり「自分の主張も認めてもらえるので反抗する必要がない」である場合には、親子関係が良好であるので大丈夫。きちんとお互いに向き合って信頼できているのなら、心配する必要はありません。親が少しずつ距離をとり、上手に子離れできていければ、子供はちゃんと自立するでしょう。

反抗期がないことが問題となりうる場合

ところが、反抗期が訪れない理由が他にある場合、なかには問題となりうるケースもあります。
子供が親に対し信頼を持てずに自己主張できないことが原因だったり、親が子供の反抗心に気が付いていない場合には、子供の将来に影響を与える可能性もあります。

反抗期がないことによる将来への影響

思春期にきちんと自己主張をしてこなかった子供は、その後の人生にも影響が出ることがあります。

一番は、自分の意見を伝える練習をしてこなかったために、自己の主張を伝えようと考え努力する習慣がありませんので常に周りの人間の言いなりになってしまう、誰かの指示がなければ行動できない、自分の可能性を広げられない、など。
社会人となっても真の自立には至らず、特にコミュニケーションにおいて苦労することになるでしょう。
また親離れができない傾向があることも大きな問題です。自分で自分の意志が伝えられないので結局自立できず、甘えの意識も残ったままで依存傾向にあると、職場では上司や同僚とうまくやれず、プレイべートでも友達関係がうまくいかないなど、さまざまな問題を誘発しかねません。

ニートという言葉もよく耳にしますが、大学に入学したり就職しても、その後引きこもりになってしまうというケースも少なくないようですが、社会不適合者といわれる人の親はきまって「小さいときは優しくて反抗期もなく、いい子だった」と言いますが、それは『いい子』ではなく、単に自立心が育っていなかっただけだとも考えれるのです。

友達親子の落とし穴

最近は、親友のように仲のいい親子も多いため、『友達親子』と呼ばれることもあります。1990年代半ば以降に顕著になり始め、特に母と娘に多いのが特徴です。男の子しかいないお母さんはうらやましいと思うこともありますよね。

そんな仲良し友達親子も共依存親子になると子供の自立に悪影響を与えることがあります。

親友のように仲がいい母娘の場合、あまりに関係が近いためにお互いがお互いの存在に依存しすぎていたり、二人で一人のような関係になってしまうことがあります。母は自分を親友のように慕ってくれる娘を束縛しすぎてしまったり、娘はときに憧れの存在でもあるママを悲しませたくない、また嫌われたくないため、母親の意に沿わないことは初めから諦めるようになることも。
そして長期間、自分の心にウソをつき続けると、いつか精神のバランスを崩してしまい、親への反抗ではなく、自分の心を傷つけることで抵抗しようとすることもあるのです。

『親離れできない娘』と娘を支配し続ける『子離れできない親』の共依存関係にある親子では、その後の親子関係が悪化してしまう例も多くみられます。

子供を上手に自立させるために気を付けるべきこと

反抗期がないこと自体は、問題ではありません。ただしその場合は反抗するという形をとらなくても子供が健全な自己主張ができて自立していけるように配慮をしてあげるべき。

過度に口出しをせず、子供に決めさせる

まず初めに親の過干渉はNG。子供が自分で考え、自分で決められるように、なるべく口出しはしないようにしましょう。親はそれとなく見守り、子供が本当に道を踏み外しそうになったら、そのとき初めて助け舟をだしてあげればよいのです。

意見を言いやすい環境を作る

仕事と家事などで毎日バタバタ忙しくしていると、子供が話しかけてきても、つい「今忙しいのよ」と言ってしまうことはありませんか?でもそのときその子は、親に大切な相談をしたかったのかもしれませんし、学校でイヤなことがあったのかも。
子供の話にはなるべく仕事の手を止めて耳を傾け「君の話はいつでもちゃんと聞くよ」という雰囲気を作ることで自分の意見を言いやすいような環境を作ってあげましょう。

疲れをためては精神的余裕が出ずに、パワーやエネルギーが必要な子供の対応はしにくいもの。子供の話をいつでも聞ける体制を保つには、親のストレスコントロールやメンタルケアが一番重要です。

子供の意見を聞き、考えを認め、意思を尊重する

親が子供の意見を頭ごなしに否定したり、言おうとしたことを遮ったりすると、子供は委縮して自由に自分の気持ちを表現できなくなってしまいます。

確かに、子供の言うことや考えというものはしょうもない話も多々で、大人である親からしてみたら「アホやな~、そうじゃないのに」と思うこともあるもの。
ですが、それは失敗を経験してきた大人ゆえの歯がゆさであり、この場合は効率的かつ合理的な成功の近道を教えてあげるのが正解なのではなく、じれったくても子供なりに考えさせ行動させてあげましょう。失敗は悪いことではなく、むしろ子供のうちにたくさん経験しておくべきことです。

それに、よくよく聞いてみると、逆に大人では思いつかないような発想をしていることもあります。子供の若い感性を楽しむつもりで子供の意見は真剣に聞いてあげましょう。

家庭環境を見直す

子供が親に反抗できない原因が家庭環境に起因している場合もあります。
夫婦関係がうまくいっていない、お金の問題でいつも口論になっているなど、たとえ子供には隠していても、子供は家庭内の雰囲気を敏感に感じ取ります。

「最近、お母さん、笑わないな」と思っていたら、言いたいことや反発したいことがあっても、親をこれ以上不幸にしたくないために我慢してしまうこともあります。心当たりがあるようなら、まずは家庭内の問題を解決できるよう努力する必要があるかもしれません。

第二次反抗期時期の子供とうまく付き合って

「うちの子、反抗期がなくて」などと言うと、思春期の子供を持つ人からはうらやましがられることでしょう。
しかし、ある時期になると子供が親や周囲の人に反抗的になるのは、自立したいという意思のあらわれなのです。無理に反抗しなくても上手に自立していける子供もいるので、反抗期がないからといってすぐに心配する必要はありませんが、子供が将来、幸せな人生を歩めるためにも、その理由については考えてみるべきでしょう。

子育て期間の中でも特に難しい時期である第二反抗期。この時期の子供の心の動きを理解することにより、上手に付き合って、楽しく乗り越えたいですよね。