反抗期の始まる年齢は何歳?接し方と対処方法を考える
反抗期、と言うとあなたはどんなイメージが浮かぶでしょうか?スーパーで自分の主張を通そうとひっくり返って泣く幼児?それとも、中学生くらいの男の子が、急に母親の言うことを聞かなくなるイメージでしょうか?
子供の成長過程において「反抗期」と呼ばれる時期が訪れるのは、実は一度きりではないのです。
反抗期が始まる年齢はいつ?第1次反抗期と第2次反抗期
第1次反抗期は幼児(2歳)の頃
反抗期が始まる年齢は、大きく分けて2つあります。
一つ目の時期は、2歳頃。早い子では自我の芽生えとともに、1歳半くらいからその兆候が見え始めます。
一般にイヤイヤ期と呼ばれるこの時期は「第1次反抗期」と呼ばれますが、はじめてお子さんを持った親には、我が子が小さな怪獣のごとく見えるかもしれません。欧米では「Terrible Twos」などと呼ばれるほど、なんでも「イヤ」を連発する時期ですが、しっかりと心が成長して、自我が芽生えてきた証拠です。なんでも一人でやりたがり、出来ないとかんしゃくを起こしたりするものこの時期。
この時期の子供の接し方としては、時間をかけて見守る、最後まで待ってあげる姿勢が大人にあることで、このイヤイヤ期を短くすることが出来ると言われています。なるべく「ダメ」という言葉を使わないですむような環境を整えて「イヤ」を減らすことも、大切でしょう。
第2次反抗期は思春期の頃に
二つ目の時期は、小学校高学年から中学校あたりの、いわゆる思春期の頃に訪れます。この時期を「第2次反抗期」と呼びます。
第1次反抗期との決定的な違いは、親(特に母親)に頼らない、甘えないという姿勢が強いことでしょう。幼児の間は「イヤ」とは言いながらも、親のそばを離れることはありませんが、この時期は親と距離を置こうとします。親から見ればまだまだ子供でも、子供は確実に自立への一歩を踏み出しているのです。
親を求め、依存したくてもそれを許さない気持ちが同時に芽生え、心が不安定になりやすいのもこの時期の特徴です。
反抗期?そのとき我が子にどう接すれば良い?
話には聞いていたけれど、いざやってきた反抗期!そのとき、我が子にどう接すれば…?
幼児の反抗期と「自我の芽生え」
産まれて初めての反抗期は幼児期に訪れますが、何しろまだお互いに言葉がうまく伝わらないこともあって、対処に困ることも多いでしょう。
ここで大事なのは、幼児に対してくどくどと説明したり、ダメ!と頭から止めたり(危険なことはもちろん別ですが)、言葉で解決しようと思わないことです。2歳児の「自分で!」という主張は、大事な成長の一過程ですから、可能な限り子供の納得するように一人でさせてあげ、大人は程よく手伝うことが肝心なのです。
思春期の年齢の反抗期と「自立心の芽生え」
幼児の反抗期が自我の芽生えによるものだとすれば、思春期の反抗期は自立心の芽生えと言えるでしょう。自立したい、という気持ちは、子供だった心が大人になろうともがいている状態です。この時期、少年少女だった子供達は、男性、女性になろうと自分なりに動き出すのです。
女の子は生意気な口をきくようになり、あなたに対してときにイライラした様子を見せるかもしれません。男の子は言葉が乱暴になったり、態度が悪くなったり、急に口数が少なくなって、何を話しかけても「別に」や「そう」などの一言しか返ってこなくなるかもしれません。
子供の話を聞きたい親としては心配や不満もあるところですが、これらは成長の大切な一過程だということを思い出していただいて「ああ、おんぶに抱っこを良しとしなくなったのだな」と接し方を変えていく時期が来ているとも言えます。
反抗期の子供の心を育てる接し方
幼児期と思春期ではそれぞれ対応が違いますが、反抗期を迎えた子供に大人がやってはいけないことがいくつかあります。
幼児期の子供にはやらせてみよう
ボタンをとめようとして出来ない、手を貸そうとしても受け付けない、最後には出来ないと泣き出し「だから出来ないって言ったじゃないの!」…特に忙しい朝では親だって心の余裕はなかなか持てません。
また、台所にやってきて、自分もかき混ぜたいと、生卵入りのボールを力ずくで奪い取ろうとする子に対し「これはダメよ!こぼす!!」…夕食作りに遊び半分で飛び入り参加されても本当にありがた迷惑というものです。
こんなシーンではカッとなってつい「ほら言ったじゃない!」「だめって言ったじゃない!」と言いたくなりますが、これは先(失敗)が予想できる大人で、無意識に失敗を回避しようとするゆえ。確かに「卵一つかき混ぜるにも満足にできない子供にボウルを預けて案の定卵が床に広がって…それ片付けるのはワタシ…」と、いちいちそんなことをやっていたら具合も悪くなりますが、なるべく「ダメ!」や「だから言ったじゃない!」と、とっさに子供の行動を抑制せず、挑戦させられるものはやらせてみましょう。
怒鳴らない、感情的に怒らない
また、子供を感情的に怒鳴ることのないように心がけましょう。
海外では「怒鳴る」という行為は「暴力」に匹敵する野蛮な行為。ですが、怒鳴る=暴力という認識がほとんどない日本人は少なくありません。
親の怒鳴り声が向けられるのは、子供にとってとても怖いため、子供は恐怖心から行動を抑制します。親はラクに子供のわがままな行動をコントロールしたように思えますが、実態はいくら怒鳴っても「何が悪いのか」「親がどうして起こっているのか」を子供に理解させることからかけ離れているだけに、躾とはほど遠いのが実情です。
また、怒鳴ると一瞬でもイライラがスッキリするために、条件反射的なクセになりやすいのも問題。これをいつも続けていると、最悪の場合、子供が「自己主張をしてはいけない」と考えるのをやめてしまいます。
つい感情的に怒鳴ってしまったら、ちゃんと謝りましょう
なにより、子供に、自分の主張は怒鳴れば通る、主張したいときには暴力で訴える、そんな風に考える大人に育ってはもらいたくありませんよね?まずは大人がその手本になり、正しく主張したいことがあるのなら、感情的に怒鳴るのは無意味なのだと教えてあげましょう。
思春期の子供に対しても、感情的に怒鳴ったり、怒ったりは得策ではありません。「親に何を言ってもムダ」そう思われかねず、子供との距離感を生んでしまう原因になります。
反抗期の子供ほど、意思疎通の難しい人もなかなかいませんから、大人だってつい感情的になってしまうのも無理のないこととはいえ、相手はあくまで子供。間違いなく、守るべきあなたの大切な子供です。子供が感情にまかせて怒鳴っていても、一緒になって大声を張り上げないようにしましょう。
子供扱いして馬鹿にしない
どんなに小さい幼児も、一人の人間ということを忘れてはいけません。
小さな子供が自分でなんとかしようと頑張る姿勢には、大人では到底真似できないほどのすごいパワーを秘められているもの。これを頭から「どうせあなたには出来ないんだから」と否定することは、子供の小さなプライドを傷つけ「できた!」「ママに褒められた!」という成長に必要な自尊心を育てられません。
精神的に自立しようとしている思春期の子供には、なおさらです。
ただ感情にまかせて反抗してくる子供には折れない姿勢も必要ですが、決して「ものごとをよく分かっていないのに生意気な子供」として扱わないでください。子供が親の意見に対して自分なりに考えた主張をしてくるのでしたら、それに耳を傾けてあげるのも重要です。
交換条件を出さない
子供が自分の思い通りに動かないからと言って、おいしい交換条件を出すのはいかがなものでしょうか。
幼児には「飴を買ってあげるから」ですむかもしれませんし、有効な手段かもしれません。
しかし次に同じような困ったシーンに出くわしたとき、また同じ交換条件か、それ以上の対価を与えなければいけないことを、しっかりと心に留めておくことが必要です。
繰り返しすることで効果もなくなるかもしれませんし、将来、交換条件がなければ動けない大人になってしまう危険性も出てきます。
これは、どの年齢にも共通して言えることではないでしょうか。
存在を否定しない
どんな悪態をついていようが、どの年齢の子供も、本心では親に甘え親を頼りたい気持ちがあるのです。子供が心ない言葉をぶつけてきても、受け入れる気持ちを持つようにしましょう。「それでもあなたを愛している」という親の気持ちが、不安定な子供の大きな助けになります。
「あなたなんていなければいい」「そんな子はいらないから出て行きなさい」などといった存在を否定する言葉は、子供の心を深く傷つけるだけで何の解決にもなりません。
放置しない
子供がいくら何を言っても聞かないからといって、完全に野放しにしていいわけではありません。
親(保護者)は子供に対して社会的に保護、監督責任がありますし、何より彼らはまだまだ未熟者ですから、このまま放置し野(社会)に放つような真似はするべきではありません。
親に悪態ついて反抗しているうちは、どんなに一丁前ぶっていても、まだまだ親に依存して生きている存在とはいえ、思春期の子供には「子ども扱いをしている」と思われないように接するのがポイント。思春期の子供がイライラしているそぶりをしていたら、そっとしておいてあげる。かまって欲しくないオーラが出ているから、聞きたいことがあってもそのタイミングでは質問しない、などは基本の気遣いとなってきます。
うるさく言う必要はありませんが、もうどこで何をやっているのか知らない、という状態にはしないように!しっかりと家庭内で大きなルールを決め(たとえば門限や、法に触れるような形で人に迷惑をかけないなど)、それを徹底して守らせる気概が大切です。
いつも目を見て話し、心を離さない
アメリカインディアンの子育てに、こんな四訓があります。
- 乳児の頃は しっかりと肌を離さず
- 幼児の頃は 肌を離しても 手を離さず
- 少年(少女)の頃は 手を離しても 目を離さず
- 青年の頃は 目を離しても 心を離さず
実際にこれでもかと言わんばかりに悪態をつく我が子を前にすると、こんな気持ちの余裕も持てない!…かもしれませんが、一呼吸おいてインディアンの教えを思いだしてみると、反抗期の年齢の子供の対応に役立つこともあるかも知れませんね。
男の子と女の子で違う「反抗期」
第1次反抗期の頃には男の子と女の子の区別はそれほど差がありません。しかし、第2次反抗期になってくると…?思春期の男女の主な行動の違いをまとめてみました。
男の子の場合
- 親と一緒に行動するのをいやがるようになる
- 言葉遣いが乱暴になる
- 物にあたったり、怒鳴ったりする
- 母親と会話するのをいやがるようになる
- 身だしなみに気をつけようとする気持ちが強くなる
女の子の場合
- ひねくれた発想を持つようになる
- 大人びた生意気な口をきくようになる
- 父親を避けるようになったり、嫌った態度をとるようになる
- 母親に対してイライラした、ふてくされた態度をとるようになる
- おしゃれにこだわるようになる
環境や性格により反抗期がない子供もいる
世の中には「うちの子反抗期がなかったよ」という反抗期のないケースも存在します。
反抗期が訪れない理由はケースによって様々あると思いますが、親子で価値観が似ていて、普段からよく会話をする、親が子供の話をよく聞いてあげるという家庭では、特段反抗する理由もないことから、目立った反抗期が訪れないとも言われています。
また、育ってきた環境や子供の性格によって、自己主張をしたくても出来ない、性格的に内に秘めたまま我慢してしまう、などという場合にも、反抗期がないことがあります。
前者と違い、こちらは後々になって爆発する可能性もあるため、注意が必要です。
さらには、子育てとは年齢に応じて様々な悩みがつきまとうもの。子育てに翻弄される毎日に親が反抗期に気づかなかった、というケースや、反抗期はあったのかもしれないけど、子供の主張を反抗と捉えなかったばかりに「反抗期?ハテ、記憶にないな~…」と思うケースもなくはありません。
ちょっと意外な大人の反抗期
反抗期は大きく分けて2つある、という話をしてきましたが、もっと細かく分類すると、6歳~小学校2年生あたりで起こる「中間反抗期」というものもあります。なんだかちょっと生意気な口をきくようになってきた、口ごたえが多くなった、と感じるのはこの頃かもしれません。
そしてなんと、大人にも反抗期があるのです。
大人の反抗期は思春期に反抗したかったのに、なんらかの理由で反抗期が訪れることなく大人になってしまった、というもの。子供の反抗期と違って、ただ親に反抗するという形で表れるとは限りません。反抗すべき親はすでに歳をとっていたり、身近にいなかったりすると、矛先は会社の上司や、同僚に向くこともあります。
言いたいことを言えずに溜め込んでしまって、意見を大人にぶつけてこなかった人が、主張を通したい子供の精神を内に抱えたまま大人になってしまった状態のときに起こると言われます。
特徴には以下のような性格、考え方の傾向があります。
- 自信が持てない
- 自分のことを価値がある人間だと思えず、罪悪感がある
- 自分らしさが分からない
- 恋人や他人と健全な人間関係を築けない
該当項目の多い方は、ひょっとすると、大人の反抗期を経験した(これからする)のかも?あなたの思春期の頃に、反抗期は訪れていましたか?
反抗期はいつか必ず終わります
幼児期や思春期に迎える、心の成長の表れであり自分という存在を確立するためになくてはならないものが反抗期です。
が、実際に目の前の子供の反抗期に直面したとき、いつも平静でいられるという大人は少ないかもしれません。急に変わり始めた我が子の態度にただかちんときたり、傷ついてしまうこともあるでしょう。親にとっては辛抱のときですが、どうかいつでも子供の味方である気持ちを忘れないでいましょう。
子供はいつまでも子供ではありません。親への反抗を踏み台に心を成長させ、時がくれば反抗期は必ず終わるもの。
心ない言動があったとしても見守り、その後ろにある心の成長にエールを送ってあげてください。あなたはそのままでいいと、言葉に出せずとも態度で存在を肯定してあげてください。
そうすることで、きっと子供は安心して大きな成長を遂げることが出来るはずですよ!