3歳児神話の是非
3歳児神話とは?否定・肯定に惑わされない子育てを考えてみた
3歳児神話と言う言葉を知っていますか?子供が小さいのに保育園に預けるのはかわいそうと言われていました。ですが、最近では3歳児神話を否定する意見も多く、厚生労働省でも合理的な根拠はないとしています。3歳児神話に縛られず、それぞれの家庭に合った子育てをするのが理想的です。
3歳児神話ってなに?
3歳児神話という言葉、子育てを終えた筆者は知りませんでした。でも、自分が育児をしていた当時、周囲で言われていたことを思い返すと、あれが3歳児神話というものだったのだなと思えることが多々ありました。3歳児神話が当たり前の時代もあったのです。
3歳児神話とは
3歳児神話は、「母親は子供が3歳になるまでは子育てに専念しましょう。そうしなければ子供の成長に悪影響を及ぼす」とするものです。
3歳児神話はもはや昔話
3歳児神話が言われるのは、子供の成長に関することはもちろんのこと、昔は男性は一家の大黒柱として外で一生懸命に働き、女性は専業主婦になって家庭を守るという風潮があったため、子供が生まれても育児に専念し、保育園に預けて外に働きにでる人も少ない時代があったためでしょう。
小さな子供を預けて母親が仕事に出るのは子供がかわいそう。世間一般ではこのような意見が強かったのです。なので、子供が内向的な性格に育つと、母親の愛情が足りなかったからだ。などと言われたのです。
3歳児神話に対して厚生労働省は合理的な根拠は認められないと言っている
厚生労働省は「三歳児神話(子どもは三歳までは、常時家庭において母親の手で育てないと、子どものその後の成長に悪影響を及ぼす)には、少なくとも合理的な根拠は認められない。」としています。
合理的な根拠がないということなのですが、絶対的なことではないとも解釈できないでしょうか。
それなのに3歳児神話が今でも言われるわけ
3歳の神話は、合理的な根拠は認められないとされているのが今の常識です。では、なぜ現在でも一部では3歳の神話が言われているのでしょうか。
現在、子育て真っ最中の子供の祖父母の年代は、まさに3歳の神話世代とも言えるでしょう。「こんな小さな子供を保育園に預けるなんてかわいそう」「子供がちいさいうちは母親がそばにいて子育てするべき」という、外野の声もあるでしょう。筆者の子供が3歳のころは、そういった周囲の声も多かったです。
子供のそばには母親がいるのがいいという考え方がまだあるから
子供が小さいうちは、母親がそばにいるのがいいというのは誰もが分かっていることです。ですが、男女平等が叫ばれ始め、現在では男性並みにバリバリ働く女性も少なくありません。育児休暇明けに保育園に子供を預け、職場復帰するのも当たり前の世の中になってきました。
だからと言って、育児をおろそかにしているわけではないでしょう。中には働きながら子育てをしやすいよう、元いた部署よりも残業が少ない部署に移動したり、正社員からパートに変更する人もいるでしょう。
子供のそばに母親がいるのが理想的なのでしょうが、育児をおろそかにして仕事に熱中しているわけではなく、皆母親として子供への愛情を持っているでしょう。
なのに、祖父母世代や3歳神話を貫いている一部の母親からは、子供を預けてまで仕事をするのはかわいそうという声があがるのでしょう。
3歳児神話を肯定する?否定する?
3歳児神話を否定する声があがっています。確かに、3歳まで育児に専念してそばにいるのが子供のためになるというのは一概に言えない部分もあるでしょう。
かたくなに、子供が小さいうちは…と考えてそばにいても、子育て内容によって子供の成長にどう影響があるのか違ってくるのではないでしょうか。
3歳児神話が言いたいのは「子供にたくさん関わろう」ということ
3歳児神話の意味だけを見ると、全ての子供は3歳まで母親が子育てするべきだとも受け取れますが、解釈を変えると違った見方ができます。
子供が小さいころは言葉や知識など多くのことを吸収する力があり、どんどん心身共に成長する時期です。このころに、子供とたくさん関わろうということではないでしょうか。子供に絵本を読み聞かせしたり、多くの言葉をかけてあげたり、一緒に公園に行って遊んであげたり、たっぷりの愛情を注いであげることが大切なのです。
これらは、保育園に子供を預けて仕事をしている女性にもできることです。朝や保育園にお迎えに行ってから、夜眠るまで、休日の過ごし方次第で、子供にたくさんの愛情を注ぐことができます。仕事で疲れていて常に時間に追われてイライラしているようではいけません。
子供と関わる時間を増やしても子供のためにならないケースもある
3歳児の神話を守り、3歳までは仕事に出ないで子供と一緒にいるというママもいるでしょう。たくさんの愛情を注いで子育てをしているママがいる一方で、子供にあまり話しかけなかったり、いつもカリカリしていて子供を怒鳴ってばかりの育児だと、子供の心の成長に悪い影響を与える可能性があります。
この場合、3歳児の神話が生かされているとは言えません。叱ってばかりの育児は子供の自己肯定感を育むことができません。せっかく子供が小さいうちはそばにいようと決めたのであれば、子供と積極的に関わり、たくさん言葉をかけてあげるのが大切なのです。
私たち、子供が3歳になる前に職場復帰しました体験談
子供が生まれ、3歳前に職場復帰をしたママたちの体験談です。3歳児神話を知ってはいたものの、家族皆が楽しく暮らしているようです。
いつも笑顔を心がけました
このママ(28歳)
私は育児休暇をとって子育てをしていましたが、待機児童となり、保育園に入ることができず、やむなく職場を退職しました。娘が2歳になり、運よく保育園に入園できたと同時に、元いた職場から声がかかり、復職することができました。
周囲の協力もあり、残業のない時短での勤務となりましたが、自分が社会復帰できたという喜びで自分自身がいきいきとでき、子供を保育園に預けているという状況なので、子供と一緒にいるときは働きに出る前よりも話しかけることが多くなりました。
夫も子供がいながらの共働きになったので、家事や育児に積極的に関わってくれるようになり、職場復帰する前よりも家庭の中に笑顔が増えました。
思い返せばママ友もいなかったので家に閉じこもりがちで、1日中子供につきっきりで家事と育児を1人でこなしていたときは、ストレスを発散する場所もなく、笑顔が少なかったように思います。
娘もよく笑うようになり、保育園に通いだしたことでお友達に影響を受けているのか、とってもおしゃべりが上手になりました。
周囲には反対されたけれど…
AYAMI(30歳)
私は1年半の育児休暇を経て職場復帰しました。職場復帰することには両親や義両親も反対で、「こんなに小さい子供を預けてまで仕事に行くなんてかわいそう」と言われ続けました。
できれば自分も子供と一緒にいたかったのですが、職場からの復帰を望む声に、自分も社会に必要とされていると思い、反対を押し切って職場復帰しました。何よりも夫が理解してくれていましたし、保育園の送り迎えなども協力してくれるとのことだったので。
1歳半で保育園に通うようになった息子ですが、2歳を過ぎたころにはお友達の影響なのか、保育士さんの声がけでトイレトレーニングもあっという間に進み、正直助けられた部分もあります。
保育園では園庭で遊んだり、お友達と皆でお散歩に行ったり、お昼寝の時間も決まっていますし子供の生活リズムが整ったことで、家庭内での家族の生活リズムも整いました。
子供もどんどん積極的になり、保育園のお友達との関わりで、なんだか少しお兄ちゃんになったような気がします。
働かなくてはいけなかった
もなか(35歳)
私たち夫婦は中々子供ができなくて、それまで二馬力で働いていました。お互い収入もよかったので、家を新築することにしたのです。家が完成したわずか1年後にまさかの妊娠が発覚し、大喜びで出産を迎えました。
ですが、出産の喜びの反面、住宅ローンの不安がのしかかってきました。ようやくできた子供なのに、預けて仕事にでるなんてと周囲から言われましたが、仕事に出ないと言う選択肢がありません。子供と一緒にいたい気持ちを抑え、子供が生後6ヶ月のときに職場復帰しました。
こんな小さな子供の面倒を保育園に任せるなんてという罪悪感もありましたが、結果的には人見知りもしない、よく笑う子供に育ちました。住宅ローンも順調に返済できていて、休日は広い環境で子育てができ、庭でプール遊びやブランコ遊びをしたりして、笑い声がたえない家庭になりました。
2人目で3歳児神話を無視!
かなえ(32歳)
1人目を出産したとき、自分は3歳児神話の信者でした。こんなかわいい子供を預けて働きに出るなんて!と思って子育てをしていました。もちろんたくさん話しかけましたし、お散歩や公園に遊びに連れて行くのも日課でした。
ですが、2人目が生まれたとき、3歳児神話の信者をやめました。将来、子供がダブル受験をする年の差だったので、今後かかる教育費を考えると働きにでないわけにはいきません。6時間のパートではありますが、仕事に出ることにしました。
子供は同じ保育園に預けたので嫌がることなく通うようになり、お迎えに行くと保育園であったことを競争するように私に教えてくれます。それに対して、自分が疲れていても必ず笑顔で聞いてあげるようにしています。毎日お友達と接するようになり、とても明るくて活発になりました。
下の子を見ていると、3歳児の神話にこだわっていたのはなんだったんだろうとまで思う毎日です。
親が3歳児神話を信じていました
みっちゃん(26歳)
私はずっと憧れていた仕事に就くことができ、結婚してもやめずに働いていました。すぐに妊娠をしたのですが、育児休暇をとる予定の自分に親は大反対でした。仕事を辞めて育児に専念すべき!子供がかわいそう!と。
旦那は、今は子供を預けて仕事をするママは珍しくないと理解してくれたので、子供が1歳を過ぎてすぐに職場復帰をしました。親は保育園に預けるなんてという考えの持ち主で、私が仕事に行っている間は親が子供の面倒をみてくれることになりました。
私としては実親が子供の面倒を見てくれているので安心ですし、親にしても初孫と四六時中一緒にいられるので大喜びです。どこへ行くにも連れ歩き、公園では「ママ友」ができたと言っていました。
甘やかすばかりではなく叱るときは叱ってくれますし、ジュースやスナックお菓子も与えず、麦茶に手作りおやつを与え、ジャンクフードなどもってのほかの親ですので、偏食もなく育っています。
あれほど私の職場復帰を反対していたのに、連休で預けない日が数日あると「仕事何日休みなの?休日出勤はないの?」とまで言うようになりました。親の助けがあり、子供も健康的に育っているので本当によかったです。
子供の言葉に救われた
さっと(38歳)
私は若くして授かり婚をして息子を出産しました。ですが息子が生まれてまもなく、シングルマザーの道を選びました。頼る身内もおらず、母子家庭のため、保育園には優先的に入ることができ、生後3ヶ月で仕事を始めました。生活費を稼ぐために残業もしたので延長保育を頼むこともありました。
3歳児神話は知っていましたので、本当に後ろ髪を引かれる思いで保育園に息子を預け、がむしゃらに働きました。息子といるときは、これでもかという程息子にかまいました。お金がないので休日はおにぎりを作って散歩に行ったり公園に行ったり、お金のかからない遊びばかりをさせていました。
現在、息子は19歳になりました。先日言われた言葉です。
小さなころから一生懸命働いてくれてありがとう。再婚もせず、自分を高校まで出してくれてありがとう。保育園に預けられていたとき、おかんがいっぱい遊んでくれたから寂しくなかったよ。おかんが頑張っている姿を誇りに思っているから、これからは自分がいっぱい働いて楽させてあげるからね。
大泣きしました。シングルマザー家庭で不自由させたこともありましたが、3歳まで子育てに専念しなくても、子供は親の背中をしっかりと見てくれています。
3歳児神話よりも大事にしたいのは子供との関わり方
3歳児神話で言われていることは全て否定できないこともあるでしょう。ただ、3歳ころまでは母親が育児に専念するのではなく、子供への愛情の注ぎ方や関わり方ではないでしょうか。
子供の心の成長のためには、子育てをする環境や親の想いが大きく影響するので、常に一緒にすることが育児の理想とは言えない部分もあります。3歳児神話に振り回されず、自分たちの家庭状況に合った子育てをしていきましょう。