保育園の家庭訪問は必要か?知っておきたい家庭訪問の目的
多くの保育園では、4月から5月のゴールデンウィーク前に家庭訪問が実施されます。どんなことを目的として、家庭訪問は実施されるのでしょうか?また、具体的にはどのような質問がされるのか、どのように答えることができるのかについて探っていきましょう。
育児に相応しい家庭環境かを確認
家庭を見るための訪問ですから、基本的にはどのような家庭で子供が育っているのかを知るということが、家庭訪問の目的になります。ママやパパが子供と何時間くらい一緒に過ごすことが出来ているのか、また、子供が日々暮らしている環境はどのようなものなのかを見ています。
もちろんこれは個人的な興味で見るのではなく、子供は育っている環境の影響を大きく受けていますので、子供の行動などを把握する際に担任の先生が把握した子供の家庭環境を利用するのです。
おもちゃや絵本などは子供がいつも遊べる場所に置いてあるか、また、きちんと片づけているかなどをチェックする先生もいるでしょう。
家庭環境を見るための具体的な質問
家庭環境を把握するために、担任は次のような質問をするかもしれません。
家庭訪問でよくされる質問
「パパとママのどちらがいつも早く帰宅しますか?」
「主にお子さんをお風呂に入れているのは、誰ですか?」
「土日は、どのようなことをして過ごすことが多いですか?」
子供の周囲の大人を確認
保育園ですので、両親ともに働いているケースが多くなりますが、おじいちゃんやおばあちゃん、両親の兄弟などの育児や家事を手伝ってくれる大人がいるのか等、子供の周囲にどのような大人の家族がいるのかを家庭訪問によって把握できます。
自営業の場合や自宅もしくは近くでお店をしているなど、両親が働いているとは言っても、いつも子供の近くに居る家庭もあります。
また、おじいちゃんやおばあちゃんの家が近くにあるなど、頻繁に行き来している家庭や、何かあったときにすぐに駆けつけることができる家庭などもあります。
このように、子供の周囲にどのような大人がいるのかを把握しておくことで、万が一の事態になったときに、保育園側が事情を把握して親以外の大人に連絡することも可能になるのです。
大人以外の家族も、家庭訪問で把握することができます。保育園に通う子供以外に、お姉ちゃんやお兄ちゃん、小さな弟や妹がいるのを把握するなら、子供の保育園での行動を理解する際の助けになります。
その他にも叔父や叔母と生活している場合、子供がほとんど毎日従兄弟と触れ合っていることもありますよね。このような状況も把握しておくなら、子供の気持ちを理解する上で役に立つ情報となります。
家族環境を見るための具体的な質問
家族環境をより深く把握するために、担任は子供の親に次のような質問をするかもしれません。
家庭環境を確認するためによくされる質問
「パパやママ以外が、お迎えに来ることはありますか?」
「お子さんは、おじいちゃんやおばあちゃんの家によく行きますか?」
「お子さんにとって、一番身近な親以外の大人は誰ですか?」
親が保育園に協力してくれるか確認
保育園では、いつも朝と夕方の送り迎えの時間しか、先生は子供の親と話すことができません。そのため、保育園に対してどのような感情を持っているのか、また、保育園にどの程度のかかわりを求めているのかをその短時間で把握することはほぼ不可能と言えます。
家庭訪問の時間を作ることで、保育園に対する親の気持ちや協力度を知り、文化祭や運動会などの季節ごとのイベントに対してどこまで協力できるのか、委員などを引き受けることができるのかを把握することができます。
万が一の事故や災害時のために住んでいる地域を把握
もし、火災や地震などの災害が起こったとき、子供が住んでいる地域を把握しておくなら、保育園側も迅速に対応できます。
集団登下校が必要になったときなどのグループ分けも、単に住所を把握しているだけでなく、実際に子供の家に行ったことがあるなら、担任の先生もスムーズに対処できます。
また、長期入院などで子供が保育園に通えない事態が生じた場合でも、近所に保育園に通う子供がいるなら、その子供や親を通して何らかの連絡を行うこともできるでしょう。
親との信頼関係を深くする
子供の親と向き合って話し合うことで、担任の先生と親の親密度を高めることができます。親も子供に対する不安や心配ごとを担任に相談しやすくなり担任の先生も子供のことや行事のこと、委員のことなどを親に話しやすくなるでしょう。
保育園では親密に話しをしようとしても他の先生や保護者、子供に聞かれてしまう可能性がありますので、あまりにも個人的な内容には触れることができません。ですが、人目が気にならない個人の家の中なら、個人的な悩みや心配事も周囲を気にせず話すことができますよね。
家庭訪問のマナーは?先生にどのような応対をすべきか
家庭訪問では、担任の先生に対してどのようなおもてなしをするのがマナーなのでしょうか?昨今は、家庭訪問の時期が近付くと「お茶やお菓子などは出さないでください」等の家庭訪問における注意事項を記したプリントが配られることが多いですが、本当に先生に対してお茶やお菓子は出していないのでしょうか?
家の玄関で済ませるのは失礼?どこまで入ってもらうか
最近では個人情報を尊重する目的もあり、家庭訪問でも担任の先生が「家庭の事情は聞かない」「家族構成や子供に関わる親以外の大人については尋ねない」ことも増えてきました。
一昔前までは、家庭訪問と言うと担任の先生が家に上がって実際に子供が過ごす部屋を見ることが一般的でしたが、家庭訪問は単に子供が住む地域や家を確認するだけの目的で実施されることも多く「担任は家に上がりませんので、玄関先で対応してください」と、前もって保育園側から通達されることもあります。
そのような保育園では、いくら親が「どうぞおあがり下さい」と担任に勧めても「こちらでお話をさせてもらいます」と、玄関先で話をすることになります。
玄関先でも家庭の中の様子は伝わる
とは言うものの、今でも家の中でじっくりと話を聞くタイプの家庭訪問を実施している保育園もあります。
家に上がってもらって話しをするタイプの家庭訪問でも、玄関先で手早く済ませるタイプの家庭訪問でも、どちらのタイプであっても家庭内の様子は担任に伝わります。家の中は家庭訪問のときはキレイに掃除しておく方がママも気持ちに余裕を持って対応できるのできちんと掃除をしておくようにしましょうね。
お茶・お菓子は出すべき?
和風の小上がりがある家なら、玄関先で応対する場合でも、担任に座ってもらってお茶やお菓子を出すことができますが、今風の段差がほとんどないタイプの家では、玄関で担任に座ってもらって・・・ということは難しいですよね。
保育園側から「玄関先で対応して下さい」という通知をもらったときは、お茶やお菓子の準備をする必要はありません。
ですが、家のリビングや客間に上がってもらって話しをする場合には、保育園側が「お茶やお菓子は出さないでください」という通達を出さない限り、準備しておく方が良いでしょう。
当然ですが、持ち帰り用のお菓子や心付けなどの『袖の下』は、保育園側から通知をもらわなくても担任に渡すのはNGです。
その場合のお茶タイミングは、担任に着席してもらったらすぐが望ましいと言えます。担任の先生も1日にいくつもの家を訪問していますので、喉が渇いていたり小腹が空いていたりすることも想定されます。
担任の先生が暑そうな様子のとき且つ時間的な余裕があるときは、初めは冷たい飲み物、お話が進む上で熱い飲み物とお菓子を差し上げるのがマナーとしても適していると言えるでしょう。
普段スリッパを使わない家庭は用意しておく
普段はスリッパを使用しない家庭でも、担任の先生は『お客さん』なのですから、スリッパを履いて家に上がってもらう方が良いでしょう。
先生側もスリッパが出されないと「携帯用のスリッパを持ってくればよかった」とか「今日の靴下はキレイだったかな?」「足に汗がついているから、そのまま家に上がるのは申し訳ない」と言う風に気を遣ってしまいます。
保育園の家庭訪問を拒否する方法
家庭訪問が実施される保育園で、親側の事情で家庭訪問は拒否できるのでしょうか?
家庭訪問を拒否したい理由
子供の住んでいる地域や家庭を把握するために実施される家庭訪問。もちろん、保育園側も興味本位で家庭を見るわけではありませんので、できれば、全ての子供の家庭を訪問し、子供やパパ・ママについての理解を深めたいと考えています。
ですが、次のような理由で、家庭訪問を拒否したいと考える親もいるかもしれません。
家庭訪問を避けたいと親が考えるときの理由
- 庭や室内が整理されていないもしくは手入れがされていない状態なので、ゴミ屋敷と思われる可能性があるから。
- 子供を粗雑に扱う大人が家に居るため、教育上好ましくない家庭と思われるかもしれないから。
- 元々、他人を家に招待することが嫌いだから。
- 手のかかる乳児や他の子供がいるため、静かな環境で担任の話を聞くことができないから。
- 家の周囲が風紀上好ましくない地域であることを担任に知ってほしくないから。
- 仕事が不規則で、日時を約束して家庭訪問に来てもらうことができないから。
- 徘徊癖のある高齢者など、介護の手がかかる同居人がいるから。
どうしても対応が大変なときの上手な断り方
様々な理由で家庭訪問をしてほしくないと考えるパパやママがいます。どうしても対応できないと思えるときは、どのように保育園側に断ることができるでしょうか。
そのまま担任に事情を話す
小さい子供や介護が必要な高齢者がいる等、正直に事情を話して断ることもできます。ただ、子供や高齢者が同居していることを理由にすると「お時間は取りませんので、少しの間でも話せませんか?」と担任に言われてしまうこともあります。
また、住んでいる地域や家を見られたくないことなどを理由にすると「家庭や地域でお子さんを判断するために家庭訪問を実施するのではなく、お子さんが育っている環境を把握するために行きますので、気にしないでください」と、親側の「来てほしくない」という気持ちを理解してもらえない可能性があります。
仕事が不規則なことを理由にする
仕事が不規則で土日もいつ出かけるかも分からないと伝えると家庭訪問を断ることができます。このように担任に伝えると「では、後日、保育園で面談をしましょうか?」という風になることもありますし「では、一応、お宅まで伺いますので、いらっしゃるときだけ対応して下さい」と言う風になることもあります。
家に来てほしくないことをストレートに伝える
同居する家族や不規則な仕事を理由に家庭訪問を断ろうとしても「少しの間だけなら話せますよね」もしくは「いらっしゃるときだけ対応して下さい」と言われてしまい、担任の先生を家から遠ざけることができない可能性も充分にあります。
ですから「家に来てほしくない」ことをストレートに伝える方が、どうしても家を見られたくないときには良いですね。
ですが、家には来てほしくないけれど、担任の先生と子供のことについて話したいと言う気持ちがあることを示すために「代わりに面談等で対応してもらっても良いですか?」と、親側から提案するのはいかがでしょうか。このように拒否の気持ちと代替案をストレートに話すならこちらの意図がしっかりと伝わりますよ。
家庭訪問は子どものことを良く知ってもらう機会
家庭訪問と言うと「家をきちんと掃除しなくてはいけない」「仕事の時間を調整しなくてはいけない」と考え、気が重くなってしまうママやパパは多いと思います。
ですが、家庭訪問は、子供のこと、そして親の気持ちを深く知ってもらうための良い機会なのですから積極的に利用して、担任の先生に普段できない話しをするのも良いですよ。
先生側も親の気持ちを知ることで、子供にもっと深く接することができるようになりますし、子供の環境や家族関係に配慮した、きめ細かな保育を実施することにも繋がっていきます。