シングルマザーが仕事と育児の両立をうまくこなすには
シングルマザーになると、仕事に育児にと、その責任が重くのしかかり、しかも時間に追われる毎日となってしまいます。しかし、時間がない中でも、子供と触れ合う時間はしっかり取りたいですよね。
子供との生活を守るうえで大事なシングルマザーの「仕事」。
仕事の選び方で大切なポイント、就職活動のための公的支援についてしっかり理解し、日々の生活に役立てましょう。
シングルマザーだからこそ仕事をするうえで考えるべきこと
シングルマザーは一人でパパ、ママの役割をこなさなければいけません。
そのため、仕事をするうえで一番大切なのは、「安心して働ける」ということです。
大切な子供を安心できる誰かに見てもらえれば、心置きなく働くことができます。
しかし、預け先によっては時間の制限がある場合もありますし、子供が体調不良になってしまった時には預かってもらえない場合もあります。
これから仕事を探す上で、まずはどのような点で預け先を考えて行けばよいのでしょうか。
子供が小さければ小さいほど必要になる預け先
子供が1人でお留守番出来る年齢であればよいのですが、子供が小さければ小さいほど、「預け先」が必要になってきます。
子供の預け先として、具体的にはどのような場所があるのでしょうか。
- 実家や姉妹
- ママ友
- 保育園
- 幼稚園
- 学童保育所 など
子供を預けられるところは様々な場所がありますので、子供の年齢や預かり時間、自宅との距離など、ご自身の環境にあった預け先をピックアップし、どこが一番よいのかを選びましょう。
また、保育園や幼稚園は、園の方針もありますので、できるだけご自身の教育方針と合った園を選ぶことで、より安心して預けることができます。
子供が具合悪くなった!こんなときはどうする?
保育園や幼稚園では、通っているお子さんの体調が優れない場合など、預かってもらえないケースがあります。仕事を休んで看てあげられれば一番よいのですが、シングルマザーで頑張っている方はそうも言っていられません。
実家の両親であれば、気兼ねなく預けることができますが、実家が遠方であったり、両親も働いていてすぐ預けることができない場合もあります。その場合は、便利なサービスを利用するというのも、一つの方法です。
病児保育
病児保育所とは、親が仕事等で子供の看病をできない場合に、子供を預かってくれる施設やサービスです。厚生労働省の「乳幼児健康支援一時預かり事業」(注1)として実施されており、施設型と、自宅にきてもらう訪問型の2種類に大きく分けられます。
病後児保育ともいって、主だった具合悪さは落ち着いているがまだ集団生活に不安がある場合や出席停止になってしまっている期間のお世話をしてもらえる施設やサービスもあります。
病児保育所は、小児科などに隣接され、保育士と看護師が常駐し、医師の回診がある施設も多く、安心感があります。また、国の事業ですから利用料は1日2000円程度、非課税世帯や生活保護世帯は利用料半額や無料といったケースも見られます。
しかし、地域によっては混雑しているため、当日の申し込みではなかなか利用できないというデメリットもあります。
ファミリー・サポート
ファミリー・サポートとは、育児の援助を受けたい会員と、育児の手伝いをしたい会員とを地域内でマッチングし、子供の預かりや送迎、そして看病等を行うサービスです。
厚生労働省の『子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)』であり、平成27年度時点では800の市区町村で実施、病児への対応は142市区町村で実施されています(注2)。
ファミリー・サポートで、育児を手伝ってくれる提供会員は、特別な資格はありませんが、研修を受けており、実態としては時間に余裕のある子育て経験者などが多数です。
料金は1時間700~1000円ほどで民間のベビーシッターと比べると安価で、地域に住んでいる方なので、まるで自分の祖父母のように懐くこともあります。頼れる人が近くにいないシングルマザーにとっては、とても心強い味方です。
その他、民間のサービス
- ベビーシッター
- N出張病児保育サービス など
ベビーシッターなど民間企業が提供しているサービスは、価格が高い場合もありますが、複数の会社があるので、混雑している時期でも比較的利用しやすい傾向にあります。出張病児保育サービスは、国の認定を受けたNPO法人などによって事業は拡大してきており、都市部では珍しいものではなくなってきました。
しかし、地域によってはこのようなサービスを提供している会社がない場合もありますので、事前に調べておくことをおすすめします。
シングルマザーの仕事の選び方・探し方
仕事を選ぶ際、通勤時間や勤務時間、休日出勤の有無や収入面など、さまざまな希望条件がありますが、子育てとの両立を図るうえでは、そのすべての希望条件を満たす求人は無いのが現状です。
それでは、数ある求人の中から、どのような観点で選んでいけばよいのでしょうか。
最低限譲れない条件を整理しよう
何よりも大切なのが、「譲れない条件」の洗い出しと、優先順位を付けることです。
自宅から近い勤務地で、残業もなく、給与も多い正社員など、希望をすべて満たす求人は無いため、例えば「残業が少ない」という事を譲れない条件とした場合は、自宅から勤務地までの距離や給与面でも多少の妥協が必要になってきます。
また、必ずしも正社員がよいといわけではなく、パート勤務で掛け持ちしたほうがよい、在宅ワークをした方という場合もあるので、自分の能力や環境と照らし合わせて、考えてみてください。
将来につながる仕事選び
せっかく条件に合った職場を見つけたとしても、長く続けられなければ意味がありません。
就職活動には時間もお金もかかってしまいますので、なるべく長く続けられる仕事を選びたいものです。いつも求人が出ている会社はやはり離職率が高い傾向があります。また、採用試験に行ったときには働いている人たちの様子などもよく観察しましょう。
また、その会社で働くことで、将来的に独立を視野に入れられる、転職にも有利な資格取得が目指せるといった点も将来的に大きなメリットとなります。
そのため、給与などの待遇面だけではなく、仕事内容や福利厚生などもしっかり確認しておくことをおすすめします。
なかなか仕事が決まらないそんなときは?
なかなか仕事が決まらないと、焦ってしまったり落ち込んだりしてしまいがちですが、そんな時には別の方向に目を向けてみるのも一つの手です。
派遣会社への登録
派遣会社に登録し、スキルアップが目指せる企業を探してもらったり、「紹介予定派遣」といって、正社員登用を前提とした派遣もあります。
また、派遣会社の場合は、ママ向けの求人を多く扱っている会社もありますから、是非チェックしてみてください。
業種を広げる
初めから「この業種はできない」などと決めてしまっている場合は、改めて見直してみることで、魅力的な求人を見落としていることに気づける場合もあります。
ハローワークは定期的に訪問
仕事を探すための情報源は、フリーペーパーや求人サイトを見るだけではなく、ハローワークの掲示板にしか出ていない求人もあります。
せっかくハローワークまで出向いたときは、単に求人を見て終わりではなく、窓口の人に相談しましょう。まだ貼りだしていないような求人を教えてくれたり、就職活動に向けたアドバイスをしてもらえるはずです。
資格がない方は、希望の職種に就職できるよう資格を取得するという方法もあります。
人に相談する
他にも、友人や知人に「仕事を探している」とこちらの状況を伝えておくと、就職に役立ちそうな情報を持ってきてくれる可能性が高くなります。長期の仕事とはいかなくても、「人が足りないから手伝って欲しい」と短期間の仕事を依頼されることもあるので、人の縁は大切にしましょう。
シングルマザーが知っておきたい職業支援・資格取得制度
公的な就業支援など、シングルマザーにとって役立つ制度をお伝えします。
ママ向けの就業支援「マザーズハローワーク」
子育てをしながらお仕事をしたいという方に対し、個々の希望に合った就職支援を行ってくれます。
通常のハローワーク求人の中から探してもらう事ができます。
子連れでも利用しやすいよう、キッズコーナーが設置されている場所もありますので、是非活用してみてください。
自立支援教育訓練給付制度・高等職業訓練促進給付金
「自立支援教育訓練給付金」、「高等職業訓練促進給付金」は母子家庭や父子家庭の自立支援のための就業支援制度です(注3)。
雇用保険に加入済みの人が対象ですが、未加入でも対象となる教育訓練を修了した際、経費の60%が給付金として支給されます。ただし、給付を受ける場合、要件を満たす必要がある為、事前に自治体に相談することをお勧めします。
なお、「高等職業訓練促進給付金」については、看護師や介護福祉士、保育士など、直接仕事に結びつきやすい資格を取得するための制度です。2年以上の資格取得訓練中は、毎月10万円が支給されます。
他にも、自治体によっては、「高等学校卒業程度認定試験合格支援事業」などの事業も行っているため、自治体のホームページなどをチェックしてみてください。
仕事で疲れてしまうシングルマザーでも、子供のためにできること
仕事に家事に育児と、シングルマザーは毎日忙しく、子供との時間を十分に取ることが難しいのが現状です。
では、日々時間がない中で、どのように子供との時間を作っていけばよいのでしょうか。
時間の長さよりも質が大事!
子供との時間は長ければ長いほど良いという事ではありません。質が重要なのです。
寝る前のほんの数十分、食後の数十分、お風呂の時間だけでもいいので、毎日「子供が主役になる時間」を作ってあげることで、子供は安心できます。また、子供は自分が主役になる事で、母親が自分に関心を持ってくれていると感じてくれます。
朝起きる時間を少しだけ早めてみたり、毎日の家事で時短が出来るようやり方を変えてみたり、子供に手伝ってもらえるところは手伝ってもらうなどして、少しだけ時間を確保しましょう。
他にも、週一回や月に一回、家事代行サービスやファミリー・サポートを利用するなどして、お母さん自身も休みつつ、子供との時間を作り出してあげる方法があります。子供が大きい場合は、親子で時間を過ごすためには、どうしたらよいかなどを一緒に考えてみるのも楽しいでしょう。
ママの不安は子供に伝わるもの
シングルマザーは、一人で仕事、家事、育児と全てをこなさないといけない分、不安も悩みもたくさんあります。
しかし、それらを吐き出さないままで抱えていると、子供に伝わってしまい、子供自身も不安定な気持ちになってしまいます。
お母さんの心の内を誰かに聞いてもらうことも大切です。
子供にとって唯一無二のお母さんなのですから、心も体も健康に保てるよう、頼れる部分は周囲の人に頼っていいということを忘れないでください。
参考文献
- 注1:厚生労働省 乳幼児健康支援一時預かり事業(病後児保育)
- 注2:厚生労働省 子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)
- 注3:母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施について